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第一章 のんびり異世界ライフをおくれるんじゃなかったのか
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初めて受注するクエストを何にするか悩んだが、一人で熟すのならばと、受付嬢のローラが、ネズミ退治クエストを推薦してくれた。
ネズミの尻尾百個を納品するという大変な仕事で、報奨金は300ギルと安く、誰も受け手がなく、ひと月近く放置されていたクエストだが、彼女の話をきいて、受注することにした。
鼠は素早く、剣やナイフで狩るのは大変だが、臆病なので襲ってくることはなく安全で、6ギル程で買えるネズミ捕り機を沢山の仕掛けて、時間さえかければ誰でもこなせるとの話だった。
だから、初仕事としては丁度いいと判断した。
「お待たせ、この街の外れに或る倉庫の鼠百匹の討伐クエストを引き受けたよ」
「鼠退治じゃ、レベルアップはしないわね。魔物退治しないと経験値は上がらないのよ。パーティーを組んで、魔物退治のクエストを受けるしかないけど、クラン加入条件は最低でもレベル10みたいね。Eランクじゃ誰もパーティーは組んでくれないし、クランにも入れない。地道に冒険者クエストを熟していけば、Dランクには直ぐになれそうだし、Dランクになったら、頭を下げてパーティーを組んでもらい、比較的簡単な魔物討伐依頼を受ける様にして、レベル10を目指すんだね」
コミュニティー掲示板の前で、クランメンバー募集を確認していたフェイにそう言われてしまった。
その後、武器屋にいったが、中古の片手剣は最も安くて800ギル、盾が600ギル、鎧は新品しかなく、安くても980ギルと、最低品を揃えても、とてもじゃないが買えない額だった。
どうせ買い替えるのだからと、最安のナイフを買う事にしたが、それでも500ギル。成果物を入れるための小型リュックも500ギルもして、鎖帷子は最低でも700ギルもする。合計1700ギルだ。
「ナイフとリュックだけでもいいよ」
「遠慮するんじゃない。冒険者として送り出す私に、恥をかかせないで。それに、窮鼠猫を噛むと言って、鼠と言えど、襲い掛かってくることもある。防具がないと大変なことになるんだからね」
そう言われて、鎖帷子も買ってもらって、サービスで五パーセント引きしてもらったが、今日の稼ぎの大半をつぎ込むことになってしまった。
「もう、こんな時間。これから始めても、鼠百匹となると、今日中には終わらないわね。宿代と食事代には足りないかもしれないけど、これをもっておいき。それと、私からの最後のプレゼント。大切にありがたく使うんだよ」
彼女の手持ちの全部230ギルと、毒消し三本と治癒薬七本とを貰った。売れ残りと思っていた十本の小瓶は、僕のために売らずにとっておいたものらしい。
薬局で買えば、2600ギルにもなる薬を貰え、本当にありがたい。
でも、現金は流石に受け取れない。
「嬉しいけど、これを貰うと、今晩からの食材が買えないじゃない。このお金は受け取れないよ」
「あんたに心配されるとはね。私を誰だと思ってるの。これほどの美貌があれば、直ぐに稼げるわ」
「だめだよ。そんなの」
「勘違いしないで。女給のアルバイトや、モデルの仕事をするだけよ。私の心配はしないで、ちゃんと食事を食べて、身体を休めなさい」
モデルというのはヌードの様な気もしたが、確かに昼飯も食べていないので腹ペコだ。売春でなければ、まあいいかと思い、お金も有難く頂くことにした。
昼飯は市場の10ギルの猪肉の串焼きで済ませ、街はずれの倉庫に行ったが、鍵がかかっていた。
この倉庫の管理者の依頼者の所に行き、鍵を貰い、倉庫の扉を開けたが、想像以上の鼠の数。暗闇の中で、千匹くらいの赤い目がこちらを見つめていた。
ずっと依頼を受けるものがなく放置されていたので、鼠算式に、増えてしまったらしい。
さてどうしたものかと、考えていると、チューと言う鳴き声がして、その大軍が一斉に襲い掛かってきた。必死に逃げたが、身体中を噛まれた。
鼠は追い込まれないと、攻撃してこないと思ったが、倉庫内の食糧をほとんど食い尽くしたので、僕を格好の食糧とみなしたらしい。
噛まれただけでなく、肌を晒してた前腕は肉まで抉られ、全身血だらけで、身体中が痛くて動けない。
こんなに早く、治癒薬を使う羽目になるとは思いもしなかった。
飲むと、身体か熱くなり、出血がとまり、小さな噛み傷はみるみると塞がっていく。流石は高級品だ。一瞬で元通りの身体になるというわけではなく、抉られた肉が元に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだが、ちゃんと肉も蘇生してきている。
でも、分かったことがある。治癒薬で傷が塞がっても、痛みは直ぐには消えずに、暫く残るし、貧血状態は治療されない。大量に血液が流れ出てしまったが、造血作用はないのみたいで、眩暈は続いたままだ。
この調子で、何度も瀕死になれば、治癒薬で傷は治っても、出血死してしまう可能性は否めないということだ。
傷は未だ完治しておらず、激しい眩暈はしているが、僕は倉庫の現状を伝えに、再び、依頼主の許に行った。
依頼者は頭を抱えていたが、倉庫を再び使えるようにしてほしいとの話。鼠を全て退治してくれたら、報酬はクエスト報酬とは別に2000ギルだすと提案してきた。
報酬は美味しいが、全てというのが気になって、その辺の条件を明確にするようにすり合わせ、引き受けた。
倉庫の扉を開けた時、鼠が一匹も見えない状態にするのが、このミッションの完了条件だ。
千匹も退治するとなると、一匹ずつのネズミ捕り機では埒があかない。巨大な金網で、大量にとらえる罠をつくることにしたが、それなりの材料費が必要となる。
貧血には乳製品がいいと聞いたことがあったのを思い出し、途中でヨーグルトを買って食べ、万事屋で、必要なものを買ったら、残金百ギル強。今日の宿代すら怪しくなってしまった。
倉庫横に空き地があったので、そこで野宿することにして、その空き地で、早速トラップづくりを始めた。
追加の材料も必要となり、何度か往復することになったが、なかなかのトラップを製作できた。一回で五十匹くらい捉えられそうなトラップだ。
早速、それを倉庫内に仕掛けることにしたが、またも鼠の大軍に襲われ、またも治癒薬を消費することになった。
200ギルもする治療薬を二本も消費するなんて、300ギルの報奨金だけでは大赤字だった。
だが、トラップは見事に作動し、大量の鼠を一網打尽に捕まえることができた。
ここからが大変。鼠に噛まれないように、罠にかかった鼠から尻尾を回収しなければならない。
鼠に警戒しながら、トラップを倉庫から引っ張り出して扉をしめた。これでもう安全だ
金網の中で逃げ回る鼠を次々とナイフで仕留めていったが、やはり窮鼠は必死で、治癒薬を飲むほどではないが、噛まれた。
今回は、なんと六十二匹。罠を解除しながら、六十二本の尻尾を回収した。
既に陽もとっくに暮れているので、残りの討伐は翌朝、陽が昇ってからにして、とりあえず居酒屋で腹ごしらえすることにした。
食事代は25ギルと、思ったほど高くはなかったが、そこで隣の席の男から、変な話を耳にした。
「鉄の魔女いるだろう。今は人里離れ、山奥に住んでる伝説の高級娼婦ミルク」
「ああ、奴隷の首輪を嵌められて肉便器にされた美女だよな。あの事件以来、誰とも寝なくなって、鉄の魔女と呼ばれるようになったんだっけ。それがどうした」
「立ちんぼしてて、思い切って買ってみたんだが、伝説通りに最高だったよ」
「もう三十過ぎだろう。未だに凄い痙攣で、行き捲るのか」
「ああ、しかも飛んでもない名器。あんな凄い膣は初めてだった。金に困ってたのか、僅か400ギルだったし、お前も一度買ってみろよ。あんないい女、俺は初めてだった」
「俺も、抱いてみたいが、金に困らないと立ちんぼはしないだろう。今度はいつになるか分からないじゃないか」
「それもそうだな。もう二度と抱けないかもな」
僕はそれを訊いて、食事が喉を通らなくなってしまった。
売春はしないといっていたのに、やはり売春していた。女給のアルバイトも、モデルの仕事も見つけることができず、仕方なく身体を売ることにしたのかもしれない。
僕の所為で、食材を買えなくなり、嫌な事までさせてしまった。
僕は今回の報奨金は、全て彼女に渡すときめ、残すのはもったいないので、無理して腹の中に詰め込んだ。
翌朝は、朝から、鼠退治に精を出したが、日中は巣に隠れているのか、一回のトラップに掛かる鼠の数が少ない。クエストの百匹は簡単に達成したが、鼠を全滅させるのは、容易ではなかった。
四十回罠を掛けては殺すをくりかえし、千匹程殺した時の事だ。突如、頭の中に女神の声に似た女性の声が響いた。
『能力レベルが2に上昇しました。スキル「トラップマスター」を習得しました。耐性「痛覚鈍化レベル1」を習得しました。魔法「鎌鼬レベル1」を習得しました』
ええっ、レベルアップだって。フェイからは、魔物を倒さなければレベルアップしないと聞いていたけど、動物でもレベルアップするものだったんだ。
でも、トラップマスターって何だろう。鎌鼬って風魔法の真空切りだよな。
「トラップマスターの詳細説明」「ヘルプ、トラップマスター」「鎌鼬の使い方」
いろいろと独り言をつぶやいてみたが、もう女神の声は聞こえてこなかった。
この仕事が終わり、フェイに報奨金を渡す序でに、鎌鼬の使い方やトラップマスターについて聞くことにした。
それからも、夜になるまで、罠を仕掛け続け、その後百匹程殺したが、ついに全く罠にかからなくなった。
全滅できたのではなく、ちょろちょろと走り回り、おちょくる様に鼠が沢山いるのに、学習したのか、もうこの罠には、掛からなくなった。
仕方なく、大型トラップで捕まえるのは諦め、クエスト報酬で一匹ずつ仕留めるネズミ捕り機を沢山作って仕掛け、その日も倉庫横の空き地で野宿した。
朝、倉庫を開けると、一匹の鼠も見えなくなっていた。新しい罠のほとんどに鼠が掛かって、二十六匹を仕留めた。まだ数匹は生き延びていそうだが、どこを探しても鼠は見えない。
任務完了報告に行き、依頼者にも再確認してもらい、2000ギルを手に入れることができた。
ネズミの尻尾百個を納品するという大変な仕事で、報奨金は300ギルと安く、誰も受け手がなく、ひと月近く放置されていたクエストだが、彼女の話をきいて、受注することにした。
鼠は素早く、剣やナイフで狩るのは大変だが、臆病なので襲ってくることはなく安全で、6ギル程で買えるネズミ捕り機を沢山の仕掛けて、時間さえかければ誰でもこなせるとの話だった。
だから、初仕事としては丁度いいと判断した。
「お待たせ、この街の外れに或る倉庫の鼠百匹の討伐クエストを引き受けたよ」
「鼠退治じゃ、レベルアップはしないわね。魔物退治しないと経験値は上がらないのよ。パーティーを組んで、魔物退治のクエストを受けるしかないけど、クラン加入条件は最低でもレベル10みたいね。Eランクじゃ誰もパーティーは組んでくれないし、クランにも入れない。地道に冒険者クエストを熟していけば、Dランクには直ぐになれそうだし、Dランクになったら、頭を下げてパーティーを組んでもらい、比較的簡単な魔物討伐依頼を受ける様にして、レベル10を目指すんだね」
コミュニティー掲示板の前で、クランメンバー募集を確認していたフェイにそう言われてしまった。
その後、武器屋にいったが、中古の片手剣は最も安くて800ギル、盾が600ギル、鎧は新品しかなく、安くても980ギルと、最低品を揃えても、とてもじゃないが買えない額だった。
どうせ買い替えるのだからと、最安のナイフを買う事にしたが、それでも500ギル。成果物を入れるための小型リュックも500ギルもして、鎖帷子は最低でも700ギルもする。合計1700ギルだ。
「ナイフとリュックだけでもいいよ」
「遠慮するんじゃない。冒険者として送り出す私に、恥をかかせないで。それに、窮鼠猫を噛むと言って、鼠と言えど、襲い掛かってくることもある。防具がないと大変なことになるんだからね」
そう言われて、鎖帷子も買ってもらって、サービスで五パーセント引きしてもらったが、今日の稼ぎの大半をつぎ込むことになってしまった。
「もう、こんな時間。これから始めても、鼠百匹となると、今日中には終わらないわね。宿代と食事代には足りないかもしれないけど、これをもっておいき。それと、私からの最後のプレゼント。大切にありがたく使うんだよ」
彼女の手持ちの全部230ギルと、毒消し三本と治癒薬七本とを貰った。売れ残りと思っていた十本の小瓶は、僕のために売らずにとっておいたものらしい。
薬局で買えば、2600ギルにもなる薬を貰え、本当にありがたい。
でも、現金は流石に受け取れない。
「嬉しいけど、これを貰うと、今晩からの食材が買えないじゃない。このお金は受け取れないよ」
「あんたに心配されるとはね。私を誰だと思ってるの。これほどの美貌があれば、直ぐに稼げるわ」
「だめだよ。そんなの」
「勘違いしないで。女給のアルバイトや、モデルの仕事をするだけよ。私の心配はしないで、ちゃんと食事を食べて、身体を休めなさい」
モデルというのはヌードの様な気もしたが、確かに昼飯も食べていないので腹ペコだ。売春でなければ、まあいいかと思い、お金も有難く頂くことにした。
昼飯は市場の10ギルの猪肉の串焼きで済ませ、街はずれの倉庫に行ったが、鍵がかかっていた。
この倉庫の管理者の依頼者の所に行き、鍵を貰い、倉庫の扉を開けたが、想像以上の鼠の数。暗闇の中で、千匹くらいの赤い目がこちらを見つめていた。
ずっと依頼を受けるものがなく放置されていたので、鼠算式に、増えてしまったらしい。
さてどうしたものかと、考えていると、チューと言う鳴き声がして、その大軍が一斉に襲い掛かってきた。必死に逃げたが、身体中を噛まれた。
鼠は追い込まれないと、攻撃してこないと思ったが、倉庫内の食糧をほとんど食い尽くしたので、僕を格好の食糧とみなしたらしい。
噛まれただけでなく、肌を晒してた前腕は肉まで抉られ、全身血だらけで、身体中が痛くて動けない。
こんなに早く、治癒薬を使う羽目になるとは思いもしなかった。
飲むと、身体か熱くなり、出血がとまり、小さな噛み傷はみるみると塞がっていく。流石は高級品だ。一瞬で元通りの身体になるというわけではなく、抉られた肉が元に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだが、ちゃんと肉も蘇生してきている。
でも、分かったことがある。治癒薬で傷が塞がっても、痛みは直ぐには消えずに、暫く残るし、貧血状態は治療されない。大量に血液が流れ出てしまったが、造血作用はないのみたいで、眩暈は続いたままだ。
この調子で、何度も瀕死になれば、治癒薬で傷は治っても、出血死してしまう可能性は否めないということだ。
傷は未だ完治しておらず、激しい眩暈はしているが、僕は倉庫の現状を伝えに、再び、依頼主の許に行った。
依頼者は頭を抱えていたが、倉庫を再び使えるようにしてほしいとの話。鼠を全て退治してくれたら、報酬はクエスト報酬とは別に2000ギルだすと提案してきた。
報酬は美味しいが、全てというのが気になって、その辺の条件を明確にするようにすり合わせ、引き受けた。
倉庫の扉を開けた時、鼠が一匹も見えない状態にするのが、このミッションの完了条件だ。
千匹も退治するとなると、一匹ずつのネズミ捕り機では埒があかない。巨大な金網で、大量にとらえる罠をつくることにしたが、それなりの材料費が必要となる。
貧血には乳製品がいいと聞いたことがあったのを思い出し、途中でヨーグルトを買って食べ、万事屋で、必要なものを買ったら、残金百ギル強。今日の宿代すら怪しくなってしまった。
倉庫横に空き地があったので、そこで野宿することにして、その空き地で、早速トラップづくりを始めた。
追加の材料も必要となり、何度か往復することになったが、なかなかのトラップを製作できた。一回で五十匹くらい捉えられそうなトラップだ。
早速、それを倉庫内に仕掛けることにしたが、またも鼠の大軍に襲われ、またも治癒薬を消費することになった。
200ギルもする治療薬を二本も消費するなんて、300ギルの報奨金だけでは大赤字だった。
だが、トラップは見事に作動し、大量の鼠を一網打尽に捕まえることができた。
ここからが大変。鼠に噛まれないように、罠にかかった鼠から尻尾を回収しなければならない。
鼠に警戒しながら、トラップを倉庫から引っ張り出して扉をしめた。これでもう安全だ
金網の中で逃げ回る鼠を次々とナイフで仕留めていったが、やはり窮鼠は必死で、治癒薬を飲むほどではないが、噛まれた。
今回は、なんと六十二匹。罠を解除しながら、六十二本の尻尾を回収した。
既に陽もとっくに暮れているので、残りの討伐は翌朝、陽が昇ってからにして、とりあえず居酒屋で腹ごしらえすることにした。
食事代は25ギルと、思ったほど高くはなかったが、そこで隣の席の男から、変な話を耳にした。
「鉄の魔女いるだろう。今は人里離れ、山奥に住んでる伝説の高級娼婦ミルク」
「ああ、奴隷の首輪を嵌められて肉便器にされた美女だよな。あの事件以来、誰とも寝なくなって、鉄の魔女と呼ばれるようになったんだっけ。それがどうした」
「立ちんぼしてて、思い切って買ってみたんだが、伝説通りに最高だったよ」
「もう三十過ぎだろう。未だに凄い痙攣で、行き捲るのか」
「ああ、しかも飛んでもない名器。あんな凄い膣は初めてだった。金に困ってたのか、僅か400ギルだったし、お前も一度買ってみろよ。あんないい女、俺は初めてだった」
「俺も、抱いてみたいが、金に困らないと立ちんぼはしないだろう。今度はいつになるか分からないじゃないか」
「それもそうだな。もう二度と抱けないかもな」
僕はそれを訊いて、食事が喉を通らなくなってしまった。
売春はしないといっていたのに、やはり売春していた。女給のアルバイトも、モデルの仕事も見つけることができず、仕方なく身体を売ることにしたのかもしれない。
僕の所為で、食材を買えなくなり、嫌な事までさせてしまった。
僕は今回の報奨金は、全て彼女に渡すときめ、残すのはもったいないので、無理して腹の中に詰め込んだ。
翌朝は、朝から、鼠退治に精を出したが、日中は巣に隠れているのか、一回のトラップに掛かる鼠の数が少ない。クエストの百匹は簡単に達成したが、鼠を全滅させるのは、容易ではなかった。
四十回罠を掛けては殺すをくりかえし、千匹程殺した時の事だ。突如、頭の中に女神の声に似た女性の声が響いた。
『能力レベルが2に上昇しました。スキル「トラップマスター」を習得しました。耐性「痛覚鈍化レベル1」を習得しました。魔法「鎌鼬レベル1」を習得しました』
ええっ、レベルアップだって。フェイからは、魔物を倒さなければレベルアップしないと聞いていたけど、動物でもレベルアップするものだったんだ。
でも、トラップマスターって何だろう。鎌鼬って風魔法の真空切りだよな。
「トラップマスターの詳細説明」「ヘルプ、トラップマスター」「鎌鼬の使い方」
いろいろと独り言をつぶやいてみたが、もう女神の声は聞こえてこなかった。
この仕事が終わり、フェイに報奨金を渡す序でに、鎌鼬の使い方やトラップマスターについて聞くことにした。
それからも、夜になるまで、罠を仕掛け続け、その後百匹程殺したが、ついに全く罠にかからなくなった。
全滅できたのではなく、ちょろちょろと走り回り、おちょくる様に鼠が沢山いるのに、学習したのか、もうこの罠には、掛からなくなった。
仕方なく、大型トラップで捕まえるのは諦め、クエスト報酬で一匹ずつ仕留めるネズミ捕り機を沢山作って仕掛け、その日も倉庫横の空き地で野宿した。
朝、倉庫を開けると、一匹の鼠も見えなくなっていた。新しい罠のほとんどに鼠が掛かって、二十六匹を仕留めた。まだ数匹は生き延びていそうだが、どこを探しても鼠は見えない。
任務完了報告に行き、依頼者にも再確認してもらい、2000ギルを手に入れることができた。
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