僕はボーナス加護で伸し上がりました

根鳥 泰造

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第二章 ボーナス加護で人生が変わりました

2-2 仲間ができました

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 一刻も早く、レベル10まで上げようと、今日も早朝からスライム討伐していると、街道を二人の若い冒険者が遣って来た。
「へぇ、中級の火魔法を使える魔導士か。あっ、紹介が遅れたね。僕は剣術士で盾役のリット」
「妻で弓使いのミミです」
 フェイ程ではないが、かなりの金髪美少女だ。
 女子高生くらいにしか見えないが、間違いなく妻と言った気がする。
 自己紹介したあと、年齢を聞いてみたら、十八歳と十七歳との結婚して三か月の新婚夫婦だった。
 リットは僕以上の年齢に思えたが、彼も僕より年下だった。
 僕は未だに童貞だのに、こんな若い年齢から、毎夜、しているのかと思うと羨ましいというか悔しい。
 あの時、冒険者になるのを拒んでいたら、フェイはあんな酷い目に遭わなかったし、僕も今頃、フェイと結ばれていたに違いないのだ。

「どうだろう。クラン所属していないフリーなら、僕らとパーティーを組んでもらえないだろうか。多くの敵に襲われると、二人ではどうにもできずに逃げるしかなくなるし、スライムの様に魔法しか効かない魔物もいるだろう。それにケントも一人だと、なにかと辛いんじゃないか」

 駆け出しのD級になったばかりだと自己紹介したのにパーティーに誘ってもらえ、嬉しくてならない。
 二人のイチャイチャを見せつけられるのかと、すこし躊躇いもあったが、スライム討伐にも飽きて来たし、三人パーティーなら、魔物狩りの範囲が大幅に広がる。
「僕の魔法がどれだけ役に立つかはわかりませんが、宜しくお願いします」
 こうして、僕らは三人パーティーで暫く行動を共にすることになった。
 冒険者ランクは二人ともCで、能力レベルはリットが23で、ミミが22。僕はまだ能力レベル4だが、見栄をはって、20と言う事にしておいた。

 リットは本当にいい人で、僕がスライム討伐途中だったので、区切りのいいところまで済ませてからでいいよといってくれ、僕はそのお言葉に甘えることにした。
 残り八匹で二十匹になるので、気配感知で八匹が集まった場所にさっさと向かい、先ずはその一匹に近づき、八匹が出てくるように、挑発する。
「そんなに沢山、誘い出して大丈夫なのか」
 リットは、心配しながらも、近くの土手に腰かけて、僕の戦闘の様子を改めて観察し始めた。
 そして、一斉に襲い掛かって来るところに鎌鼬発動。鎌鼬もレベル3になっているので、スライムなら、一撃でほぼ全滅にすることができる。
「凄い、風の範囲魔法も使えるんだ」ミミも座って観戦しながら、拍手してくれ、嬉しかった。
 三匹、生き残っていたので、もう一度鎌鼬を出して一掃してみせた。

「待たせて悪かったね。じゃあ行こうか」 僕は、魔石をバックに詰めながら、リットに声を掛けた。
「今回は、この先の村の依頼で、野犬狩りに行くんだが、鎌鼬が使えるとなると、作戦を考え直さないとな」
 リットが立ち上がり、お尻の汚れを落とすと、ミミも立ち上がり、ショルダーバックを肩から外した。
 そして、おもむろに着ていたローブを脱ぎ始めた。
 日が高くなってきて、気温があがってきたので、脱ぐことにしたみたいだが、つい見つめてしまった。
 ローブの下は、ホットパンツにブラの様な胸当てをした臍出し姿だったからだ。
 胸はフェイより豊満で谷間がくっきり浮かんでいて、抜群のプロポーションに、白い生足を晒し、つい興奮してしまう。
 脱いだローブは、自分のバックではなく、リットの背負っているリュックにいれ、いかにも新婚夫婦で、また焼けてしまった。

 僕は、できるだけミミを見ないようにして、前を向いて歩いたが、野犬狩りの大まかな作戦が決まると、ミミがさっと前にまわり、腕を後ろに回して、後ろ歩きしながら訪ねて来た。
 大きな胸にバックを斜め掛けしているので、更に強調され、目に毒だ。

「ケントさんは、どこの国が出身なの」
「ミミ、失礼だろう」
 僕の出身を訊いてくるものが今までいなかったので、それほど目立たないんだと思い込んでいた。
 ここの男は、白人と言っても色黒だし、彫もそれほどは深くないので、髪と目の色以外はさほど変わらないのだ。
 だが、出身を訊くのは、この世界では失礼なこととなり、訊いてこなかっただけだったらしい。
「日本という東方の海の向こうの国から、十日程前に、この地に流れ着いたんだ」
「えっ、海の向こうにも、国があったの?」
 二人とも、目を丸くして驚いていた。
「ねぇねぇ、その日本って、どんな国なの」
「いつか、海を渡る大冒険もしてみたいな。参考にいろいろ教えてくれ」
 どうやら、この世界が球体で、太陽の周りを公転している惑星だということすら認識していないらしい。
 僕は、時代劇を思い出して適当に嘘をついて話を聞かせ、仲良くなった。

 彼らの受注したクエストは、その村の周辺で家畜を襲う野犬の討伐で、討伐対象は、赤目と呼ばれる野犬のリーダ。納品も、その赤い瞳の眼球一個でよく、その一匹を倒せばいいだけだ。だが、二十匹近い野犬を引き連れて行動しているので、簡単には行かない。
 ミミが毒矢で、赤目に当てて倒せば、他の野犬は逃げていくとの予想だが、他の野犬が襲い掛かって来て、近づけないし、動きがかなり素早く、遠距離からでは避けられてしまうのだ。
 だから、当てられる距離まで近づく必要があり、僕の鎌鼬で、赤目の前で行く手を阻む野犬の群れを排除し、その隙に、三人で一気に飛び込んで間合いを詰める作戦で臨む。

 依頼者である村長から、詳しい話を改めて聞いた。
 野犬は、夜にならないと現れないとの話なので、村長宅で、夕食をご馳走になった。
 その後、野犬が襲いに来ると言う家畜小屋の傍で、野犬が来るのを待ち続けた。
 でもなかなか現れない。気温もどんどん下がって来て、深夜になると震えがでるほどに寒くなる。

 村民が寝静まってから襲いにくるという話だが、もう午前二時を回っている。
 今日は来ないのかなと思っていたら、僕の気配感知モニターに、赤い点が現れた。
 次々と、点が増えこちらに近づいてくる。野犬は二十匹という話だったのに、三十匹近い群れだ。

「漸く現れた」
「そうみたいだな」 リットもちゃんと敵の気配を感じ取っていた。
「ミミ、来たぞ。目を覚ませ。合図とともに作戦どおりにいくぞ」 
 毛布に包まり仮眠をっていたミミも、戦闘態勢を取った。
 無数の黄色い目が、僕らの気配を感じ取って、こちらを向いた。
「今だ」 
 リットの合図が掛かり、僕は全速力が先頭を走りながら、両手を広げて、心の中で詠唱して、掌を前へと突き出した。
「キャイン、キャイン」
 野犬程の大型動物だと、鎌鼬の一撃では死なないが、かなりのダメージを負い、前衛の野犬は皆逃げ出した。
「あそこだ。突っ込むぞ」
 リットは、目が赤く光るボスを見つけたみたいで、一目散に走り出し、僕とミミも彼の後を追いかける。
 でも、手下の野犬が行く手を阻み、簡単には近づかせては貰えない。
 ミミが頑張って赤目目掛けて、矢を放つが、やはり遠すぎて交されてしまう。

 仕方なく、ミミは弓矢で、僕が火球で、リットを援護しつつ、少しずつ前進して近づいてくことにした。
 だが、野犬の数が多すぎる。リットが野犬に噛まれ、近づけないどころか、後退し始めた。
「もう一度、行くよ」 今度は僕がリットに声を掛けた。
 鎌鼬は、リットを巻き込まないように、リットの横に立つ必要があるのだが、不用意に前にでると僕が襲われる。
 リットも分かっていて、僕の方に後退して、僕を守る様にしてくれた。
 僕に襲い掛かろうとする敵を優先して徹し、ミミも矢で、援護射撃してくれた。
 そして、再び沢山の犬の悲鳴が鳴り響き、目の前が開けた。
「今だ」
 僕は出遅れてしまったが、ミミとリットの二人で五メートル程の距離まで一気に間合いを詰めた。
 ミミが弓矢を構えると、野犬がミミを襲ってきたが、リットが必死にかばって、ミミが赤目に毒矢を見事に当ることに成功した。
 その後も、暫く野犬の群れとの戦闘は続いたが、ボスが死亡したのに気づいたのか、遠吠えが鳴り響き、野犬の群れは、一斉に逃げ出して消えて行った。
「イェイ、やったね」「こんなに簡単にこなせるとは、ケントのお蔭だ」
 二人とハイタッチして、喜んだ。
 だが、僕も足を一か所噛まれ、ミミも腕を噛まれ、リットは何カ所も噛まれ、血だらけになっていた。
 二人が持参しているポーションは安売りの粗悪品で、ほとんど効果がないので、僕の一本を分けてあげたら、凄い効果だと、感動していた。
 これでまた、フェイの治療薬のファンが増えた。
 
 その日は、そのまま野宿するつもりでいたが、ミミが寒すぎると我儘を言い出し、こんな時間に迷惑とも思ったが、村長を起こし、赤目を無事討伐したことを報告し、村長宅の客間で休ませてもらった。
 だが、客間は一つで、ベッドはシングルが二つ。
 服を着たまま、布団をかぶって寝たが、リットとミミは抱き合う様に寝ていたので、変な妄想をしてしまい、いつまでも寝付けなかった。

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