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第二章 チーム『オリーブの芽』の躍進
簡単な最終試験のはずだったのに
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メグ、リット、ケントの三人は、王都から乗馬で二時間弱のいつものダンジョン洞窟の前にいた。
「本当に、こんなしょぼい所で、狩りするのかよ」
「うん、今日は、リットの最終試験。C級のボスを一人で倒せるのか、確認するのが目的だから。次回からは、ちゃんと魔物の森の依頼を受けるから、今日だけ我慢して」
「ケントは、見ているだけでいいよ。何もしなくても、五万クルーゼ入るんだから、いいでしょう」
「いや、ボスを見つけるまでは、戦ってくれる? どんな戦い方をするのか、知っておきたいから」
これは、未知数である彼の実力を知っておきたいという意図以外にも、彼が前衛として戦えるかを見極めるという、ある構想からのお願いだった。
実は、あの後、メグは、このチームで本当に魔物の森で戦っていけるのかと、不安を抱き出した。
リーダーとして、リンのように、的確な指示を出せるのかという不安も勿論あったが、前衛一人、後衛二人というチーム構成に、不安に感じた。
三人のチームなら、少なくとも前衛が二人いるのが普通なのに、近接戦闘を苦手とする後衛が二人もいて、メグが一人で盾となって、彼らを守らなければならない。
魔物の森では、B級を相手しながら、C級、D級の複数体と同時に戦わなければならない事態が起きるので、一人で守り切れる自信がない。
勿論、メグの実力は、Aランク冒険者を凌ぐほどなので、敵の攻撃を知っていれば、一人でも攻略でき、当然、このチームでも問題ない。
だが、それは魔物の攻撃パターンを熟知しているからこそ可能な事。
メグが初めて一人で魔物狩りに来た時、依頼達成できずに帰還したことからも分かる様に、初見の対戦は、とんでもなく苦労する。
それでも、A級冒険者なら、豊富な戦闘経験から、攻撃パターンを予測して、なんとか対応できるのだが、メグにはその経験があまりにもない。
魔物狩りを初めて、たったの七か月で、しかも安全な後方から、魔法を放っていただけ。C級以下の魔物の攻撃パターンは、ほとんど理解しているとはいえ、遭遇したB級魔物は、たったの十種類程度に過ぎない。
未知のB級に遭遇した際に、後衛に攻撃が行かない様に戦うのは不可能だ。
だから、王都に戻るとすぐにモローを捜し歩いた。彼にリーダーとして、チームを引っ張ってもらうのが、最良だと判断し、土下座もなんでもして、許してもらうつもりだった。
でも、彼がいつも使っている宿屋にも、酒場にも、冒険者ギルドにも、いなかった。
やはり、今の三人だけで戦うしかない。
私が、魔物を防ぎきれなくても、あの二人ならきっと何とかしてくれる筈。
リットには、一人でも戦える様に仕込んでいるし、ケントも冒険者になって五年間、魔物狩りに参加していた。
だから、大丈夫と言い聞かせたが、やはり、前衛一人は心もとない。
そこで、考えついたのが、ケントのコンバート。
ケントは、エルフの里で二十年近く狩人をしてきたベテラン狩人で、B級魔物の知識も豊富で、動きも素早そう。
今は、ボーガン使いの狩人だけど、前線でも、きっと戦える気がした。
幸い、彼の為の新しい武器のアイデアも浮かんでいる。彼ならその武器を使いこなし、臨機応変に前衛、後衛を使い分ける遊撃を熟してくれるに違いないと考えた。
そして、その新たな武器を開発するには、大量の魔石玉が必要になる。
今日、ここに来た理由の一つは、その魔石玉を採取をするためでもある。
「リット、ボスに遭遇するまで、あなたは戦わなくてもいいから、魔石玉を集める係をお願いね」
「ええっ、まあ、師匠の命令なら、従いますけど……」
不満気なリットだけど、弟子なら当然のこと。
洞窟に入ると、メグはE級雑魚を一掃する係になり、D級魔物はケントに任せた。
思っていた通り、素早い足さばきで、D級の攻撃を余裕で回避して、ボウガンを急所に命中させ、一撃で仕留めていく。
D級二体の時ですら余裕で、二体が重なる位置に回り込んで、たった一発で、矢を貫通させ、見事に二体同時に仕留めて見せた。
Cランクだけど、自信たっぷりに語るだけの、凄い冒険者。私の武器を使いこなす最適な人と、確信した。
D級魔物を二十五体程度仕留めた所で、漸くC級ボスに遭遇した。
ダークホーンと呼ばれるトナカイを巨大化したような魔物だ。
このダンジョンのボスは、不思議と討伐しても、二十日ほどでまた出現する。だから、何度も対戦していて、攻撃パターンは熟知している。
二メートル越えの大きな身体に似合わず、動きはボス狼の様に俊敏で、魔法攻撃も簡単に交わしてくる。主な攻撃は、角での突きと、前蹴り、後ろ蹴り、高く飛び上がってからの落下衝撃だが、角が赤くなると、小さな火球を角の部分から乱射してくる。
メグも初見の時は、落下衝撃で吹き飛ばされたり、火球の乱れ打ちで火傷を負ったりと、苦戦した。
だが、今回、リットには敢えて、どんな攻撃手段をもつ魔物なのかは、伝えていない。
全く知識なく、戦いながら学び、対処方法を見出して、討伐するのが、目的。
「ボスって、コルドホーンだったのか。後衛には厄介な相手だな」
「魔物の森のコルドホーンとは違う亜種。素早い動きや攻撃パターンは同じだけど、この洞窟固有のダークホーンよ。吹雪は吐かないけど、その代わり別の攻撃を仕掛けてくる。楽しみにしてて」
メグとリットは、すっかり観戦モード。
リットはリュックを降ろすと、通常通り、距離を取って、火球を放ったが、鹿はさっと動いて、それを交わす。
放射型鎌鼬も交わされ、リットも長距離からでは当たらないと分かり、懐に飛び込んで至近距離から魔法を当てようと作戦変更する。
だが、鹿は足で攻撃してきて、リットは当たらない様に交わすのが精いっぱいで、魔法を出せない。
「あいつ、本当にEランクなのか? C級でもおかしくない素早い動きだ」
自分がC級なので、C級と言っているが、A級並みの足さばき。
弟子を褒められるのは嬉しいかったが、メグは素直じゃない。
「私が、懇切丁寧に、指導してきたんだから、当然でしょう。それに、今日でDランクに昇格する予定」
「いかん。よけろ」
鹿が高くジャンプし、ケントがつい大声を上げ、落下衝撃が来るのを伝えた。
だが、リットはその意味が分からず、ぎりぎりで交わし、着地時の衝撃波で吹っ飛ばされた。
そして倒れた所に、角での突進攻撃。
どうするのかと思っていたら、なんと無詠唱で、教えていない高圧放水を放った。水属性の防御魔法なので、敢えて教えなかったのに、私が使ったのを見て、練習していたらしい。
鹿の突進は、その水圧で止まり、リットは態勢を立て直す。
「なかなかやるな。これなら、魔物の森でも全く問題ない」
苦手だった水魔法も、すっかり得意になっていて、今度は、遠距離からでも当てられる高圧水刃で、鹿の足を切りに行く。
見事に当たったが、切り落とすほどの威力はないので、前足が切れた程度だ。
前足にダメージを与えるのはいい着眼点で、もう少し、足にダメージを与えていれば、前足打撃や、ハイジャンプを防げるのだが、もう一度、切らないと、そこまでには至らない。
それでも、多少は効果があり、鹿の俊敏な動きが少し鈍くなっている。
再び、近接戦が始まり、またハイジャブしてきたが、今度は大きく交わして、衝撃波を受けない様にした。
そして、鹿の攻撃の隙をついて、近接距離から火炎放射を放つことに成功する。
流石によけきれず、火だるまになるも、なんとか距離を取り、致命傷を逃れ、角が赤くなり始めた。
止めを刺しに、懐に飛び込んでいくと、火礫を浴びることになるが、何も知らないリットは、鹿の懐に飛び込んでいく。
角から一斉に、小さな火球が、次々と無数に放たれた。
だが、彼が選択して発動した魔法が良かった。トルネードという竜巻を起こす魔法だったので、火礫はその竜巻に飲み込まれて彼に当たらなかった。
本来、トルネードは任意位置に竜巻を発生できるので、近接戦闘用の魔法ではないのだが、遠距離から放つと、竜巻になる前に位置をずらされると考え、敢えて近接に飛び込んで、足で攻撃に来る瞬間を狙う作戦を考えていたらしい。
足攻撃ではなかったが、それが幸いし、彼は火傷を負わず、鹿は仰け反る様に態勢を崩す結果となった。
続いて雷球を放って、鹿を感電させ、止めとばかりに火柱で吹き飛ばす。
もう勝負はほぼ着いた。絶命するまで魔法攻撃すれば、リットの勝ちだ。
誰もがそう思っていたら、鹿がウェ~~~~~ッと、悲鳴の様な奇妙な声を上げだした。
すると、どこからともなく、次々と魔物が駆けつけてきた。
メグもこんなことは初めて。いつも、剣技で、直ぐに止めを刺していたので、このボスの最終奥義を知らなかった。
ダークホーンは、瀕死になると、この最終奥義で、救援を求めるのだ。
E級の雑魚でも、数は脅威なのに、D級までなだれ込んでくる。
流石に、これには静観することもできず、三人掛りで必死に応戦した。
「ふぅ、疲れた」
百体以上を倒した気がする。
「もうだめかと思いましたよ」
「こんなダンジョンでも結構楽しめるんだな」
三人は、何もいなくなった洞窟の地べたに倒れ込んでいた。
「ところで、あのボスは?」
「はい、これ」
リットはあのどさくさの中でも、ちゃんとダークホーンを仕留めていたらしく、魔宝石をメグに渡して来た。
「偉い。じゃあ、ここに転がってる魔石玉も全て集めてね」
「ええっ、これ全部持って帰るんですか?」
「魔石玉なんて、大した金にはならんだろう。そんなに集めて何するんだ」
「秘密。ちょっと実験してみたいの。ケントの新しい武器にできなかなって」
「俺の新しい武器? 何か知らんが、楽しみにしてるよ」
チーム『オリーブの芽』の初陣は、独りの負傷者もでず、無事に任務完了した。
「本当に、こんなしょぼい所で、狩りするのかよ」
「うん、今日は、リットの最終試験。C級のボスを一人で倒せるのか、確認するのが目的だから。次回からは、ちゃんと魔物の森の依頼を受けるから、今日だけ我慢して」
「ケントは、見ているだけでいいよ。何もしなくても、五万クルーゼ入るんだから、いいでしょう」
「いや、ボスを見つけるまでは、戦ってくれる? どんな戦い方をするのか、知っておきたいから」
これは、未知数である彼の実力を知っておきたいという意図以外にも、彼が前衛として戦えるかを見極めるという、ある構想からのお願いだった。
実は、あの後、メグは、このチームで本当に魔物の森で戦っていけるのかと、不安を抱き出した。
リーダーとして、リンのように、的確な指示を出せるのかという不安も勿論あったが、前衛一人、後衛二人というチーム構成に、不安に感じた。
三人のチームなら、少なくとも前衛が二人いるのが普通なのに、近接戦闘を苦手とする後衛が二人もいて、メグが一人で盾となって、彼らを守らなければならない。
魔物の森では、B級を相手しながら、C級、D級の複数体と同時に戦わなければならない事態が起きるので、一人で守り切れる自信がない。
勿論、メグの実力は、Aランク冒険者を凌ぐほどなので、敵の攻撃を知っていれば、一人でも攻略でき、当然、このチームでも問題ない。
だが、それは魔物の攻撃パターンを熟知しているからこそ可能な事。
メグが初めて一人で魔物狩りに来た時、依頼達成できずに帰還したことからも分かる様に、初見の対戦は、とんでもなく苦労する。
それでも、A級冒険者なら、豊富な戦闘経験から、攻撃パターンを予測して、なんとか対応できるのだが、メグにはその経験があまりにもない。
魔物狩りを初めて、たったの七か月で、しかも安全な後方から、魔法を放っていただけ。C級以下の魔物の攻撃パターンは、ほとんど理解しているとはいえ、遭遇したB級魔物は、たったの十種類程度に過ぎない。
未知のB級に遭遇した際に、後衛に攻撃が行かない様に戦うのは不可能だ。
だから、王都に戻るとすぐにモローを捜し歩いた。彼にリーダーとして、チームを引っ張ってもらうのが、最良だと判断し、土下座もなんでもして、許してもらうつもりだった。
でも、彼がいつも使っている宿屋にも、酒場にも、冒険者ギルドにも、いなかった。
やはり、今の三人だけで戦うしかない。
私が、魔物を防ぎきれなくても、あの二人ならきっと何とかしてくれる筈。
リットには、一人でも戦える様に仕込んでいるし、ケントも冒険者になって五年間、魔物狩りに参加していた。
だから、大丈夫と言い聞かせたが、やはり、前衛一人は心もとない。
そこで、考えついたのが、ケントのコンバート。
ケントは、エルフの里で二十年近く狩人をしてきたベテラン狩人で、B級魔物の知識も豊富で、動きも素早そう。
今は、ボーガン使いの狩人だけど、前線でも、きっと戦える気がした。
幸い、彼の為の新しい武器のアイデアも浮かんでいる。彼ならその武器を使いこなし、臨機応変に前衛、後衛を使い分ける遊撃を熟してくれるに違いないと考えた。
そして、その新たな武器を開発するには、大量の魔石玉が必要になる。
今日、ここに来た理由の一つは、その魔石玉を採取をするためでもある。
「リット、ボスに遭遇するまで、あなたは戦わなくてもいいから、魔石玉を集める係をお願いね」
「ええっ、まあ、師匠の命令なら、従いますけど……」
不満気なリットだけど、弟子なら当然のこと。
洞窟に入ると、メグはE級雑魚を一掃する係になり、D級魔物はケントに任せた。
思っていた通り、素早い足さばきで、D級の攻撃を余裕で回避して、ボウガンを急所に命中させ、一撃で仕留めていく。
D級二体の時ですら余裕で、二体が重なる位置に回り込んで、たった一発で、矢を貫通させ、見事に二体同時に仕留めて見せた。
Cランクだけど、自信たっぷりに語るだけの、凄い冒険者。私の武器を使いこなす最適な人と、確信した。
D級魔物を二十五体程度仕留めた所で、漸くC級ボスに遭遇した。
ダークホーンと呼ばれるトナカイを巨大化したような魔物だ。
このダンジョンのボスは、不思議と討伐しても、二十日ほどでまた出現する。だから、何度も対戦していて、攻撃パターンは熟知している。
二メートル越えの大きな身体に似合わず、動きはボス狼の様に俊敏で、魔法攻撃も簡単に交わしてくる。主な攻撃は、角での突きと、前蹴り、後ろ蹴り、高く飛び上がってからの落下衝撃だが、角が赤くなると、小さな火球を角の部分から乱射してくる。
メグも初見の時は、落下衝撃で吹き飛ばされたり、火球の乱れ打ちで火傷を負ったりと、苦戦した。
だが、今回、リットには敢えて、どんな攻撃手段をもつ魔物なのかは、伝えていない。
全く知識なく、戦いながら学び、対処方法を見出して、討伐するのが、目的。
「ボスって、コルドホーンだったのか。後衛には厄介な相手だな」
「魔物の森のコルドホーンとは違う亜種。素早い動きや攻撃パターンは同じだけど、この洞窟固有のダークホーンよ。吹雪は吐かないけど、その代わり別の攻撃を仕掛けてくる。楽しみにしてて」
メグとリットは、すっかり観戦モード。
リットはリュックを降ろすと、通常通り、距離を取って、火球を放ったが、鹿はさっと動いて、それを交わす。
放射型鎌鼬も交わされ、リットも長距離からでは当たらないと分かり、懐に飛び込んで至近距離から魔法を当てようと作戦変更する。
だが、鹿は足で攻撃してきて、リットは当たらない様に交わすのが精いっぱいで、魔法を出せない。
「あいつ、本当にEランクなのか? C級でもおかしくない素早い動きだ」
自分がC級なので、C級と言っているが、A級並みの足さばき。
弟子を褒められるのは嬉しいかったが、メグは素直じゃない。
「私が、懇切丁寧に、指導してきたんだから、当然でしょう。それに、今日でDランクに昇格する予定」
「いかん。よけろ」
鹿が高くジャンプし、ケントがつい大声を上げ、落下衝撃が来るのを伝えた。
だが、リットはその意味が分からず、ぎりぎりで交わし、着地時の衝撃波で吹っ飛ばされた。
そして倒れた所に、角での突進攻撃。
どうするのかと思っていたら、なんと無詠唱で、教えていない高圧放水を放った。水属性の防御魔法なので、敢えて教えなかったのに、私が使ったのを見て、練習していたらしい。
鹿の突進は、その水圧で止まり、リットは態勢を立て直す。
「なかなかやるな。これなら、魔物の森でも全く問題ない」
苦手だった水魔法も、すっかり得意になっていて、今度は、遠距離からでも当てられる高圧水刃で、鹿の足を切りに行く。
見事に当たったが、切り落とすほどの威力はないので、前足が切れた程度だ。
前足にダメージを与えるのはいい着眼点で、もう少し、足にダメージを与えていれば、前足打撃や、ハイジャンプを防げるのだが、もう一度、切らないと、そこまでには至らない。
それでも、多少は効果があり、鹿の俊敏な動きが少し鈍くなっている。
再び、近接戦が始まり、またハイジャブしてきたが、今度は大きく交わして、衝撃波を受けない様にした。
そして、鹿の攻撃の隙をついて、近接距離から火炎放射を放つことに成功する。
流石によけきれず、火だるまになるも、なんとか距離を取り、致命傷を逃れ、角が赤くなり始めた。
止めを刺しに、懐に飛び込んでいくと、火礫を浴びることになるが、何も知らないリットは、鹿の懐に飛び込んでいく。
角から一斉に、小さな火球が、次々と無数に放たれた。
だが、彼が選択して発動した魔法が良かった。トルネードという竜巻を起こす魔法だったので、火礫はその竜巻に飲み込まれて彼に当たらなかった。
本来、トルネードは任意位置に竜巻を発生できるので、近接戦闘用の魔法ではないのだが、遠距離から放つと、竜巻になる前に位置をずらされると考え、敢えて近接に飛び込んで、足で攻撃に来る瞬間を狙う作戦を考えていたらしい。
足攻撃ではなかったが、それが幸いし、彼は火傷を負わず、鹿は仰け反る様に態勢を崩す結果となった。
続いて雷球を放って、鹿を感電させ、止めとばかりに火柱で吹き飛ばす。
もう勝負はほぼ着いた。絶命するまで魔法攻撃すれば、リットの勝ちだ。
誰もがそう思っていたら、鹿がウェ~~~~~ッと、悲鳴の様な奇妙な声を上げだした。
すると、どこからともなく、次々と魔物が駆けつけてきた。
メグもこんなことは初めて。いつも、剣技で、直ぐに止めを刺していたので、このボスの最終奥義を知らなかった。
ダークホーンは、瀕死になると、この最終奥義で、救援を求めるのだ。
E級の雑魚でも、数は脅威なのに、D級までなだれ込んでくる。
流石に、これには静観することもできず、三人掛りで必死に応戦した。
「ふぅ、疲れた」
百体以上を倒した気がする。
「もうだめかと思いましたよ」
「こんなダンジョンでも結構楽しめるんだな」
三人は、何もいなくなった洞窟の地べたに倒れ込んでいた。
「ところで、あのボスは?」
「はい、これ」
リットはあのどさくさの中でも、ちゃんとダークホーンを仕留めていたらしく、魔宝石をメグに渡して来た。
「偉い。じゃあ、ここに転がってる魔石玉も全て集めてね」
「ええっ、これ全部持って帰るんですか?」
「魔石玉なんて、大した金にはならんだろう。そんなに集めて何するんだ」
「秘密。ちょっと実験してみたいの。ケントの新しい武器にできなかなって」
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