23 / 56
第二章 チーム『オリーブの芽』の躍進
平和な村に、B級魔物が現れたのは……
しおりを挟む
ミラのD級昇格のついでに、魔物の森で起きた『血塗られたナイフ』による魔結晶強奪事件を報告した。
なのに、ギルド窓口の女性は、「経過はどうであれ、魔物に止めを刺したチームの成果になりますので、不正はないと思います」と、ジェットを庇ってきた。
その前日のカツアゲの件も、「暴力を振るって強奪したのなら問題ですが、交渉の上で渡したのなら、仕方ないことです」と、言ってきた。
流石に頭にきたけど、それ以上にミラが怒り出したので、彼女を宥めて、その場は大人しく引き下がった。けど、冒険者ギルドが、何であんな無法者を野放しにしているのか、不思議でならなかった。
その理由をケントが、ミラのD級昇格祝いの席で、教えてくれた。
ジェットは、二十五年前、魔王と戦った勇者一行の一人なんだとか。当時は正義感もあり、国王からも目を掛けらる程の立派な冒険者だったらしい。それが何があったのか分からないが、悪党になり、札付きの悪を統率してチームを作った。
今のメンバーも、全員ブラックリスト登録されている問題ある冒険者ばかりだが、その手綱をしっかりと握り、犯罪を犯さない様に、管理してるのも彼。
彼がリーダーをしているからこそ、彼らによる犯罪が起きずに済んでいる。
そんな訳で、冒険者ギルドは、『血塗られたナイフ』の件は、関与しないようにしているという話だった。
「なにそれ、必要悪だから、見逃すってこと。そんな理屈、納得できない」
今日のミラは、麦酒を煽る様に飲んでいて、絡みだした。
「ボクが、あいつらを成敗してやる。ねぇ、メグ。私にも強力な武器作ってよ」
「もう考えてはあるけど、あなたの場合、先にあっちの問題をかたずけないと……」
「その問題は置いといて、とりあえずその武器、ボクに作って。狂人化しなくても、同等に戦える位の武器が欲しいの。お願い」
ケントとリットは、反対していたけど、今日は彼女のお祝いなので、要望に応えてあげることにした。
バーサク化しないと、今のハンマーは重すぎるし、バーサーカーになると軽すぎるので、自在に重さを変えられる武器がいいなんて、無理難題をいってきたけど、できるだけ彼女の要望に応える新たなハンマーを作るつもり。
それから暫く、ワイワイと賑やかに過ごして居ると、隣の席から、興味深い話が、聞こえてきた。
王国北西部のカーマン山脈の裾野のナージ村に、薬師の老婆が居て、その鎮静丸という薬を飲むと、精神が落ち着いて、どんなに興奮していても直ぐに眠れるという話。
その旅商人は、睡眠薬とは違うとも話していたので、鎮静薬のような気がした。
前世のドラマで、錯乱していた人に、鎮静剤を打つと、直ぐに大人しくなったのを思い出し、バーサク化にも有効ではないかと考え始めた。
という事で、次の依頼は、ナージ村の星一つ依頼にした。ナージ村は、馬でも二日近くかかり、皆に反対されたけど、バーサク化対応が可能な薬があるかもしれないと説明すると、納得してくれた。
依頼内容は、D級魔物の翼竜の巣から、翼竜の卵の殻を三百グラム以上を持ち換えれというもの。中身が入った卵なら三個分位の重さだけど、殻で三百グラムというと、どれだけの翼竜の巣を回らなければならないか、想像がつかない。
当然、かなりの翼竜と交戦することになる。
ナージ村に着いたのは丁度昼頃だったので、昼食を食べてから、観光がてら、その薬師の老婆を探すことにした。
食事は質素で美味しいとは言えなかったし、かなり高かった。その他全てが、品数が少ないのに、王都並みに高い。こんな田舎なのに、こんなに物価が高いとは思いもしなかった。
もしかして、王都からやってくる観光客が目当てで、態と高く設定しているのかもしれない。
この村の直ぐ近くの洞窟の中に、白濁した温泉が湧いていて、とてもよく利くとかで、その温泉目当てに、王都や大都市から、遠路はるばるこの温泉に浸かりにくるのだそう。
メグ以外の三人は、温泉を知らず、後で、入浴することにした。
そんな訳で、この村は全体的に物価が高いが、薬類だけは、かなり安い。
この村には、薬草の森とよばれる様々な珍しい薬草が生い茂る森があり、様々な変わった薬を製造販売して生活しているらしい。
薬師の老婆も、その一人の変わり者の有名人で、森の入り口に一人で住んでいて、魔女じゃないかとの噂まであった。
早速、その薬草の森の老婆を訪ねたが、薬草取りに出かけているのか、留守だった。
暫く、待ってみたが、戻ってこないので、村に戻り、少し早めの夕食を取って、皆でその温泉に行くことにした。
誰もいない温泉と思いきや、しっかりとかなりの高額の入浴料を取って営業していた。
しかも、混浴なんだとか。
恥ずかしくなって、やめようかと思っていると、「湯着を着用して入浴するので、大丈夫ですよ」と、商魂逞しく勧めてきた。
ここまで来て、入らずに帰るのもしゅくなので、四人分六千クレーゼを支払って、皆で入ることに決めた。
私は、前世でお風呂や温泉に入っていたからから、なんとも思わなかったけど、他の皆はこんな熱い湯に我慢して入りたがる気が知れないと、不満を言っていた。
でも、直ぐに気持ちよくなってきたみたいで、ミラは温泉で泳ぎ始め、最後にはのぼせてダウン。女性は私ひとりだったので、更衣室まで運んだり、着替えさせなくてはならず、大変だった。
翌日は、朝から、翼竜のいる山に入り、卵の殻集め。険しい絶壁に巣があり、巣に近づくだけでも、一苦労。しかも、丁度、羽化する時期なのか、翼竜の赤ちゃんが巣にはいて、殻を食べてしまうのか、卵の殻がない。
翼竜の母親が襲ってきて、倒すのは簡単だけど、翼竜の赤ちゃんの為に、殺さずに逃げ、散々な目にあった。
それでも、無事、任務完了。羽化したばかりの翼竜の巣を探し、親の竜に気絶してもらい、殻を集めた。卵を回収した方が早いというミラの意見もあったけど、生まれてくる赤ちゃんを殺すのは不憫だったから。
そして、その夕方、再び薬師の老婆に会いに行った。
「それは、メルノスの卵の殻ではないか。もしかして、儂の依頼を受けてくれた冒険者か。なら、直ぐにそれを渡してくれんか」
「それは、できません。これは、ギルド窓口に提出することになっているので」
「そんなことすると、どんどん鮮度が落ちてしまう。儂が依頼達成したと裏書をした証文を書くから、直ぐに渡してくれ」
四人で相談し、意見が割れて、なかなか結論がだせなかったけど、鎮静丸という薬を、無料で試させてもらう条件で、老婆に、殻を渡すことにした。
そして、早速、その鎮静丸を使って、バーサク化しても冷静でいられるかを試すことにした。
でも、結果は失敗。この薬を服用すると、何故かバーサーカーが解除され、その後、バーサーカーになれなくなってしまった。
「なんじゃ、鎮静丸をそんなことのために、使おうとしていたのか。愚かじゃのう。ちょっと待っておれ」
老婆は、奥から何かの薬品の入った瓶を持ち出して来た。
「そこの兎。四時間ほどすれば、また狂人化できるようになる。その時、この薬を一口飲んでみよ。狂人化かしたまま、理性を取り戻すことができる筈じゃ。だが、少々値が張る。一瓶、一万クルーゼじゃが、買うか?」
今のメグたちにとって、一万クルーゼなんて、はした金。
試しに、一瓶買って、効果があれば、十本程、分けてもらう事にした。
勿論、上手く行った。バーサーカーになったまま、通常通りの冷静なミラのままでいられた。リットは、難しい計算問題を出して、やっぱり狂人だと言って揶揄って、殴られていたけど、これでミラの力を存分に発揮できるようになって、一安心。
この村まで来て、本当に良かった。
翌朝、十万クルーゼを準備して、購入に行ったが、もう少し待ってくれと言われた。この精神安定剤は、あまり売れない薬なので、残り一瓶しかなく、現在量産しているが、できるまであと二日は掛かるのだとか。
この村まで、往復する手間を考えると、この場に滞在した方がいいとなって、その間、温泉を楽しんで過ごすことにした。
だが、その翌日、村が大変な騒ぎになった。
翼竜とは違う、本物の竜が二体、山の方から飛来してきたというのだ。
竜型魔物と言えば、少なくともB級以上の魔物。そんな魔物は、魔物の森にしかいない筈だが、こんな辺鄙な村に何故か飛来してきた。
暴れている方向は、村の南北と別らしく、先ずは、北側から討伐することにしたが、南側も放置しておくわけにはいかず、ミラが一人で、防戦して時間を稼いでくれることになった。
三人で北側に向かうと、その竜はB級のワイバーンだった。翼竜よりかなり大きいが、フェルニゲシュに比べるとかなり小さく、B級の中では弱い部類だ。
『ワイバーンは、翼竜が進化して、竜化したものという説もあります。もしかして、翼竜の巣を荒らしたので、その復讐にきたのかもしれません』
ミラは、なるほど、私たちの所為でこうなったんだと、早速討伐を開始した。
ワイバーンは、空を飛び、口から火球を飛ばすのが厄介だが、動きはさほど速くない。翼に穴をあけて、飛べなくすれば、こっちのもの。固い鱗で守られているとはいえ、フェルニゲシュの鱗とは比べ物にならない程に軟で、飛べ無くなればC級程度の魔物だ。
二丁拳銃と、つらら攻撃、火礫、石礫で、飛べなくして、ミラの奥義と、拳銃や魔法の乱れ打ちで、十分もかからずに、無傷で、倒しきった。
そして、急いで、ミラの方に向かったら、上空からハンマーを振り下ろし、止めを刺したところだった。
バーサーカーになっていたとは言え、彼女一人で、無傷でB級魔物を狩ってしまっていた。
そして、村人から、命の恩人の英雄だと、感謝され、その夜は、村人から歓待を受けることになった。
私たちが、翼竜の巣を荒らしたために、こんなことになったのに、その事を素直に謝れず、英雄の様にたたえてくれる。
浮かれる三人の横で、メグは、心苦しく感じていた。
なのに、ギルド窓口の女性は、「経過はどうであれ、魔物に止めを刺したチームの成果になりますので、不正はないと思います」と、ジェットを庇ってきた。
その前日のカツアゲの件も、「暴力を振るって強奪したのなら問題ですが、交渉の上で渡したのなら、仕方ないことです」と、言ってきた。
流石に頭にきたけど、それ以上にミラが怒り出したので、彼女を宥めて、その場は大人しく引き下がった。けど、冒険者ギルドが、何であんな無法者を野放しにしているのか、不思議でならなかった。
その理由をケントが、ミラのD級昇格祝いの席で、教えてくれた。
ジェットは、二十五年前、魔王と戦った勇者一行の一人なんだとか。当時は正義感もあり、国王からも目を掛けらる程の立派な冒険者だったらしい。それが何があったのか分からないが、悪党になり、札付きの悪を統率してチームを作った。
今のメンバーも、全員ブラックリスト登録されている問題ある冒険者ばかりだが、その手綱をしっかりと握り、犯罪を犯さない様に、管理してるのも彼。
彼がリーダーをしているからこそ、彼らによる犯罪が起きずに済んでいる。
そんな訳で、冒険者ギルドは、『血塗られたナイフ』の件は、関与しないようにしているという話だった。
「なにそれ、必要悪だから、見逃すってこと。そんな理屈、納得できない」
今日のミラは、麦酒を煽る様に飲んでいて、絡みだした。
「ボクが、あいつらを成敗してやる。ねぇ、メグ。私にも強力な武器作ってよ」
「もう考えてはあるけど、あなたの場合、先にあっちの問題をかたずけないと……」
「その問題は置いといて、とりあえずその武器、ボクに作って。狂人化しなくても、同等に戦える位の武器が欲しいの。お願い」
ケントとリットは、反対していたけど、今日は彼女のお祝いなので、要望に応えてあげることにした。
バーサク化しないと、今のハンマーは重すぎるし、バーサーカーになると軽すぎるので、自在に重さを変えられる武器がいいなんて、無理難題をいってきたけど、できるだけ彼女の要望に応える新たなハンマーを作るつもり。
それから暫く、ワイワイと賑やかに過ごして居ると、隣の席から、興味深い話が、聞こえてきた。
王国北西部のカーマン山脈の裾野のナージ村に、薬師の老婆が居て、その鎮静丸という薬を飲むと、精神が落ち着いて、どんなに興奮していても直ぐに眠れるという話。
その旅商人は、睡眠薬とは違うとも話していたので、鎮静薬のような気がした。
前世のドラマで、錯乱していた人に、鎮静剤を打つと、直ぐに大人しくなったのを思い出し、バーサク化にも有効ではないかと考え始めた。
という事で、次の依頼は、ナージ村の星一つ依頼にした。ナージ村は、馬でも二日近くかかり、皆に反対されたけど、バーサク化対応が可能な薬があるかもしれないと説明すると、納得してくれた。
依頼内容は、D級魔物の翼竜の巣から、翼竜の卵の殻を三百グラム以上を持ち換えれというもの。中身が入った卵なら三個分位の重さだけど、殻で三百グラムというと、どれだけの翼竜の巣を回らなければならないか、想像がつかない。
当然、かなりの翼竜と交戦することになる。
ナージ村に着いたのは丁度昼頃だったので、昼食を食べてから、観光がてら、その薬師の老婆を探すことにした。
食事は質素で美味しいとは言えなかったし、かなり高かった。その他全てが、品数が少ないのに、王都並みに高い。こんな田舎なのに、こんなに物価が高いとは思いもしなかった。
もしかして、王都からやってくる観光客が目当てで、態と高く設定しているのかもしれない。
この村の直ぐ近くの洞窟の中に、白濁した温泉が湧いていて、とてもよく利くとかで、その温泉目当てに、王都や大都市から、遠路はるばるこの温泉に浸かりにくるのだそう。
メグ以外の三人は、温泉を知らず、後で、入浴することにした。
そんな訳で、この村は全体的に物価が高いが、薬類だけは、かなり安い。
この村には、薬草の森とよばれる様々な珍しい薬草が生い茂る森があり、様々な変わった薬を製造販売して生活しているらしい。
薬師の老婆も、その一人の変わり者の有名人で、森の入り口に一人で住んでいて、魔女じゃないかとの噂まであった。
早速、その薬草の森の老婆を訪ねたが、薬草取りに出かけているのか、留守だった。
暫く、待ってみたが、戻ってこないので、村に戻り、少し早めの夕食を取って、皆でその温泉に行くことにした。
誰もいない温泉と思いきや、しっかりとかなりの高額の入浴料を取って営業していた。
しかも、混浴なんだとか。
恥ずかしくなって、やめようかと思っていると、「湯着を着用して入浴するので、大丈夫ですよ」と、商魂逞しく勧めてきた。
ここまで来て、入らずに帰るのもしゅくなので、四人分六千クレーゼを支払って、皆で入ることに決めた。
私は、前世でお風呂や温泉に入っていたからから、なんとも思わなかったけど、他の皆はこんな熱い湯に我慢して入りたがる気が知れないと、不満を言っていた。
でも、直ぐに気持ちよくなってきたみたいで、ミラは温泉で泳ぎ始め、最後にはのぼせてダウン。女性は私ひとりだったので、更衣室まで運んだり、着替えさせなくてはならず、大変だった。
翌日は、朝から、翼竜のいる山に入り、卵の殻集め。険しい絶壁に巣があり、巣に近づくだけでも、一苦労。しかも、丁度、羽化する時期なのか、翼竜の赤ちゃんが巣にはいて、殻を食べてしまうのか、卵の殻がない。
翼竜の母親が襲ってきて、倒すのは簡単だけど、翼竜の赤ちゃんの為に、殺さずに逃げ、散々な目にあった。
それでも、無事、任務完了。羽化したばかりの翼竜の巣を探し、親の竜に気絶してもらい、殻を集めた。卵を回収した方が早いというミラの意見もあったけど、生まれてくる赤ちゃんを殺すのは不憫だったから。
そして、その夕方、再び薬師の老婆に会いに行った。
「それは、メルノスの卵の殻ではないか。もしかして、儂の依頼を受けてくれた冒険者か。なら、直ぐにそれを渡してくれんか」
「それは、できません。これは、ギルド窓口に提出することになっているので」
「そんなことすると、どんどん鮮度が落ちてしまう。儂が依頼達成したと裏書をした証文を書くから、直ぐに渡してくれ」
四人で相談し、意見が割れて、なかなか結論がだせなかったけど、鎮静丸という薬を、無料で試させてもらう条件で、老婆に、殻を渡すことにした。
そして、早速、その鎮静丸を使って、バーサク化しても冷静でいられるかを試すことにした。
でも、結果は失敗。この薬を服用すると、何故かバーサーカーが解除され、その後、バーサーカーになれなくなってしまった。
「なんじゃ、鎮静丸をそんなことのために、使おうとしていたのか。愚かじゃのう。ちょっと待っておれ」
老婆は、奥から何かの薬品の入った瓶を持ち出して来た。
「そこの兎。四時間ほどすれば、また狂人化できるようになる。その時、この薬を一口飲んでみよ。狂人化かしたまま、理性を取り戻すことができる筈じゃ。だが、少々値が張る。一瓶、一万クルーゼじゃが、買うか?」
今のメグたちにとって、一万クルーゼなんて、はした金。
試しに、一瓶買って、効果があれば、十本程、分けてもらう事にした。
勿論、上手く行った。バーサーカーになったまま、通常通りの冷静なミラのままでいられた。リットは、難しい計算問題を出して、やっぱり狂人だと言って揶揄って、殴られていたけど、これでミラの力を存分に発揮できるようになって、一安心。
この村まで来て、本当に良かった。
翌朝、十万クルーゼを準備して、購入に行ったが、もう少し待ってくれと言われた。この精神安定剤は、あまり売れない薬なので、残り一瓶しかなく、現在量産しているが、できるまであと二日は掛かるのだとか。
この村まで、往復する手間を考えると、この場に滞在した方がいいとなって、その間、温泉を楽しんで過ごすことにした。
だが、その翌日、村が大変な騒ぎになった。
翼竜とは違う、本物の竜が二体、山の方から飛来してきたというのだ。
竜型魔物と言えば、少なくともB級以上の魔物。そんな魔物は、魔物の森にしかいない筈だが、こんな辺鄙な村に何故か飛来してきた。
暴れている方向は、村の南北と別らしく、先ずは、北側から討伐することにしたが、南側も放置しておくわけにはいかず、ミラが一人で、防戦して時間を稼いでくれることになった。
三人で北側に向かうと、その竜はB級のワイバーンだった。翼竜よりかなり大きいが、フェルニゲシュに比べるとかなり小さく、B級の中では弱い部類だ。
『ワイバーンは、翼竜が進化して、竜化したものという説もあります。もしかして、翼竜の巣を荒らしたので、その復讐にきたのかもしれません』
ミラは、なるほど、私たちの所為でこうなったんだと、早速討伐を開始した。
ワイバーンは、空を飛び、口から火球を飛ばすのが厄介だが、動きはさほど速くない。翼に穴をあけて、飛べなくすれば、こっちのもの。固い鱗で守られているとはいえ、フェルニゲシュの鱗とは比べ物にならない程に軟で、飛べ無くなればC級程度の魔物だ。
二丁拳銃と、つらら攻撃、火礫、石礫で、飛べなくして、ミラの奥義と、拳銃や魔法の乱れ打ちで、十分もかからずに、無傷で、倒しきった。
そして、急いで、ミラの方に向かったら、上空からハンマーを振り下ろし、止めを刺したところだった。
バーサーカーになっていたとは言え、彼女一人で、無傷でB級魔物を狩ってしまっていた。
そして、村人から、命の恩人の英雄だと、感謝され、その夜は、村人から歓待を受けることになった。
私たちが、翼竜の巣を荒らしたために、こんなことになったのに、その事を素直に謝れず、英雄の様にたたえてくれる。
浮かれる三人の横で、メグは、心苦しく感じていた。
10
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦
未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?!
痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。
一体私が何をしたというのよーっ!
驚愕の異世界転生、始まり始まり。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
縫剣のセネカ
藤花スイ
ファンタジー
「ぬいけんのせねか」と読みます。
--
コルドバ村のセネカは英雄に憧れるお転婆娘だ。
幼馴染のルキウスと共に穏やかな日々を過ごしていた。
ある日、セネカとルキウスの両親は村を守るために戦いに向かった。
訳も分からず見送ったその後、二人は孤児となった。
その経験から、大切なものを守るためには強さが必要だとセネカは思い知った。
二人は力をつけて英雄になるのだと誓った。
しかし、セネカが十歳の時に授かったのは【縫う】という非戦闘系のスキルだった。
一方、ルキウスは破格のスキル【神聖魔法】を得て、王都の教会へと旅立ってゆく。
二人の道は分かれてしまった。
残されたセネカは、ルキウスとの約束を胸に問い続ける。
どうやって戦っていくのか。希望はどこにあるのか⋯⋯。
セネカは剣士で、膨大な魔力を持っている。
でも【縫う】と剣をどう合わせたら良いのか分からなかった。
答えは簡単に出ないけれど、セネカは諦めなかった。
創意を続ければいつしか全ての力が繋がる時が来ると信じていた。
セネカは誰よりも早く冒険者の道を駆け上がる。
天才剣士のルキウスに置いていかれないようにとひた向きに力を磨いていく。
遠い地でルキウスもまた自分の道を歩み始めた。
セネカとの大切な約束を守るために。
そして二人は巻き込まれていく。
あの日、月が瞬いた理由を知ることもなく⋯⋯。
これは、一人の少女が針と糸を使って世界と繋がる物語
(旧題:スキル【縫う】で無双します! 〜ハズレスキルと言われたけれど、努力で当たりにしてみます〜)
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる