私って何者なの

根鳥 泰造

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第四章 この世界の秘密

拷問をうけました

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 明朝、魔王城に案内してもらえるとの話で、その日は、彼らの接待を受けることになった。酒や食事を頂きながら、鬼人の踊りを見せてもらったり、ゴブリンの曲芸、虫型魔物の演奏会と、全く知らなかった魔界の文化に触れあう事がてぎた。
 食事が、つくだ煮や、芋の煮物、サラダの様な質素なもので、肉料理が全くなかったのが少し不満だったが、貴重な体験ができた。
 そして、大広間の様な所に案内された。
 ふかふかの布団が既に敷いてあり、皆で寝ることになった。
 
 何日も、野宿していただけに、久しぶりの柔らかい寝床は気持ちよく、直ぐに皆寝息を立て始めた。
 でも、メグはそっとその場を抜け出して、独り、魔王城へと向かっていった。

 魔王城は円柱状の建物だが、入り口らしきものが、どこにも存在しなかった。
 隠し扉か何かがあるのかと、壁を触りながら、周りを歩きつづけたが、やはりそれらしきものはなかった。
 どこから中に入れるのかも分からないし、門番すらいない。
「ひとりで抜け出して、何をしてるのかな」
 塔の周りをもう一度ぐるりと回っていると、ミラが仁王立ちして待ち構えていた。
「いや、ちょっと散歩がてら、下見に」
「見つけた。ミラ、押さえろ」
 ケントと、リットまで現れて、問答無用で取り押さえられられ、ロープで縛られてしまった。
「ちょっと、どういうこと。なんで縛る必要があるの?」
「時間魔法で、逃げ出しかねないからな。気づかなかったとでも思ってるのか。お前、聖剣を手にした時、記憶が戻っただろう。しかも、魔王と知り合いじゃないのか」
 気づかれないように振舞っていたのに、気づかれていた。
「なんのこと。英雄の加護で、少しぼうっとしてたかもしれないけど、記憶何て戻ってないわよ」
「ボクたちに嘘は通用しない。白状しろ」
 皆が私をくすぐってきた。
「ちょっと、お願いやめて、いや、助けて」
「白状してください。師匠が何者でも、僕たちは仲間んですから」
「わかった。いうから、やめて、くすぐったいって」
 漸く、やめてもらえた。
「記憶が戻ったのは、本当。私は七歳の時から八年間、この地下三階層に軟禁されていた。でも、それだけ。魔王と知り合いなんかじゃない」
「じゃあ、なぜ、魔王城に忍び込もうとしてた。それに、お前は何処の誰だったんだ」
「魔王城に忍び込もうしたのは、私を逃がしてくれた知り合いが、ここの地下牢に幽閉されているから、助けようと思っただけ。私は、マーガレット・ヴィダーで……」
 現存する三国の王女だといっても、嘘だとばれてしまう。
「黙ってないで、早く言え、どこの国のプリンセスだったというんだ」
「師匠、正直に話してください」
「やっちゃいな」
「ちょっと、やめて、言うから、くすぐったいって」
 もう、最悪。白状する覚悟を決めた。
「私は、この魔界の王女。父は、大魔王ヴァンサン・ヴィダー。私が勇者になる異世界転生者だと、気づいて、軟禁したの」
「やはりな。そうだろうとは思っていたが、やはり魔王の娘だったか」
「ヴァンサン・ヴィダーって、行方不明の勇者ビンセント・ヴィダーの読み方かを変えただけじゃないですか」
 リットがとんでもないことを言ってきた。確かに、ビンセントは、ヴァンサンと発音することもできる。父が人間であることも、地下四階層に聖剣が葬る様に突き立ててあったのも、父が先代勇者だとすれば、納得いく。
「なるほどな。勇者が魔王を討って、新たな魔王として君臨したということか」
「どういう意味? ボクには理解できない」
「もしかして、人間を滅ぼそうとしてた魔物を抑えるために、魔王になったということではないですか。先のロンブル帝国の侵略だって、ロンブルが魔物に酷いことばかりしていたから、滅ぼしただけで、三国で捕虜奪還に動いたら、戦闘もせずに消えたじゃないですか」
「たしかに、この国を見て、ボクも魔物の認識が変わったけど、それでも分からない。人間に酷い仕打ちをして、奴隷にしてたんだよ」
「俺も魔王の意図が分からない。人間の味方なのか、敵なのか。メグ、お前は、親父に会って、真意を確かめるつもりだったらしいが、どうするつもりなんだ。人間界を滅ぼす意図がないなら、無理に討伐する必要はないが、もし女王の言う様に、人間を支配するつもりなら、本当に魔王を対峙できるのか?」
「わからない。父を討伐するのが勇者の宿命だと、自分に言い聞かせてきたけど、父と戦いたくないと言うのが、正直なところ。でも、セージは救いたいし……」
「セージ?」
 メグは、セージとの関係を説明してから、改めて、魔王とは対峙してみないと、どうしたらいいかわからないと正直に、その気持ちを述べた。
「分かった。俺は、お前の気持ちを尊重する。ミラとリットはどうするんだ」
「ボクも同意。リーダーはメグだし、国王陛下の命令なんて糞くらえだから」
「正直、僕は、魔王討伐を終えたら、お抱え魔導士になるつもりでいました。だから、できれば、魔王を討ちたいですが、一人ではどうしようもありませんからね。僕も師匠の判断に委ねます」
「なら、決まりだ。メグの判断に委ねる。それで、メグが魔王の娘だと言う話は、親衛隊はもとより、あの三人にも内緒な。ここだけの秘密」
 本当に、この人たちとチームが組めて、本当によかった。

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