六人の勇者と……

ha-tsu

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第二十二話

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気がつくと蓮は見た事も無い建物の中に居た。
「一体何がおきたんだ……」
蓮は頭を掻きながらそう言うと、自分自身に起きている違和感に気づく。
「ん?あれ?何で僕の頭に猫耳がはえてるの?これは一体……」
辺りを見渡すと一人の女の子に気付き近付いてきた。
「お兄ちゃん……大丈夫?キズ痛くない?」
そう言わてると身体中の痛みに気づくと共に、自分が獣人族だと言う事も思い出した。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんこんなキズ痛くないから。」
そう言うと、女の子は蓮に抱きつき泣いていた。
蓮は優しく 女の子の頭を撫でながら言った。
「僕はお父さんやお母さん見たいに雪を一人にして何処にも行かないよ、ずっと一緒に居るからね。」
すると急に部屋のドアが開き人が入ってきた。
雪は素早く蓮の後ろへ隠れると、入ってきた人が一言「早く出るんだ!」と言った。
数時間後蓮はボロボロになって帰ってきた。
「お兄ちゃん!本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、このくらいお兄ちゃんは強いから。」
そういい蓮は雪に笑顔を見せる。
その後数日飲まず食わずの日々が続いた。
「お兄ちゃん……私もう喉乾いて……」
小さな声でかすれながら雪がそう言うと、蓮は笑いながら言った。
「雪、キツイかもだけど、生きるために少し我慢して欲しい。」
そう言うと蓮は自分の腕を噛んだ。
「雪……お兄ちゃんの血を飲んで生き延びるんだ、そうしないと雪が死んでしまうから、お願いだ。」
蓮はそう言い雪の目の前に腕を出した。
雪は泣きながらその日兄の血を飲んだ。
その数日後、またドアが開く。
「早く出るんだ。」
そう言われ蓮は雪に目で合図をする。
それに対し雪が頷くと急に蓮はその人に向かい襲いかかった。
「今だ雪!早く行って!兄ちゃんは後から行くから。」
それを聞き雪は勢いよく走り出した。
雪はがむしゃらに後ろを振り向かずに走った。
それが兄との約束でもあった。
しばらく走ったあと、雪は後ろを振り返る。
「誰も追ってこない…………」
確認すると、兄から渡された一通の手紙を読む。

雪へ、頑張って走って偉かったね、今は一人だとしても、これからの雪の未来には色んな人が関わって来て、きっと素敵な人とも出会うはず、だから生きることを諦めないで生まれ変わって雪に会うの兄ちゃん楽しみにしてるから、絶対に。

それを見て雪は、沢山涙を流した。
「お兄ちゃん……私頑張るよ、またお兄ちゃんと会えるように、頑張って生きていくよ。」
蓮は雪の言葉が微かに聞こえた気がした。
その瞬間蓮の目の前が真っ白になった。
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