六人の勇者と……

ha-tsu

文字の大きさ
上 下
23 / 24

第二十三話

しおりを挟む
「……ここは……僕戻ってきたのか?って言うか今のは夢?」
蓮は目を覚ますなり、少し混乱する。
「やっと目が覚めたね、あんたで最後だったんだよ、どうだったんだい?雪と話せたかい?」
おばさんは蓮に問いかける。
「おばさん、僕夢を見ていたんだよね?雪ちゃんとは夢の中で話はしたけど……」
「蓮あんたがみていたのは過去の雪だよ、特に蓮は雪ととても関わりが深いからねぇ。」
それを聞き蓮は驚いた。
「おばさんもしかして本当に僕は雪ちゃんの……」
そこまで言うと、蓮は言葉に詰まった。
「それじゃあ今見てきた出来事って……」
「本当にあった事さ、蓮が見てきたこと、その時にした事全てね。」
それを聞き蓮は言葉に詰まり、いつの間にか涙が溢れ出していた。
「蓮どしたんだ?一体何があった?」
武が心配そうに蓮に話しかける。
「武くん……大丈夫ちょっと色々と見てきたから、なんだか涙が止まらなくて……雪ちゃんは?どうなった?」
蓮がそう言うと、一斉に全員雪を注目する。
成功したのか、雪の見た目は元に戻っていた。
「あとは目を覚ませば成功じゃ。」
みんなの注目が雪に集まる。
数分後雪はゆっくり目を覚ました。
「あれ?私……何でここに居るの?おばさん?」
「やっと気がついたんだね雪、体調は大丈夫かい?」
「うん……大丈夫だ……」
雪がそこまで言うと蓮が急に雪を抱きしめた。
「……よって、どうしたのかにゃ?六黒くん。」
「雪ちゃん、いっぱい……いっぱいつらい思いしてきたんだね……ごめんな色々と……最後一人で行かせて、すごく後悔したけど、生きてて良かった……また会えて良かった。」
蓮のその言葉を聞き、雪も理解したのか涙が出てきた。
「私今まで頑張って生きてきたよ、でもずっと会いたかったよーお兄ちゃん。」
その言葉を聞きその場に居合わせたおばさん以外の全員が驚く。
「どういう事だよ蓮!お兄ちゃんって……でも蓮はどう見ても獣人族じゃ無いよな?」
「うん……色々あったんだよ、またおいおいその辺は話すよ、それよりおばさん、雪ちゃんの中にいる魔王はどうなったのですか?」
蓮が心配そうにそう言う。
「儀式は大成功だと思うよ、しっかりと雪の中に魔王を封印出来たはずじゃよ。」
おばさんのその言葉を聞き全員が安心する。
「にゃ?何の話かにゃ?」
「それじゃあもう魔王とも戦わなくていいって事なんだな?」
武がおばさんに詰め寄る。
「結果的にはそうじゃな……ただ今後絶対に出て来ないとは言いきれないのじゃよ。今後もし雪が正しい心を忘れてしまうような事があれば、また魔王は復活しようとするはずじゃ。」
雪を見ながらおばさんはそう言った。
「えっ?私の中に魔王がいたの?……私殺される?」
雪がそう言った瞬間勢いよく王子が雪のもとへ飛び込んできた。
「雪を絶対に殺させない!雪は僕が命に変えても守るから!」
そう言うとギュッと雪を抱きしめた。
しおりを挟む

処理中です...