上 下
8 / 20

新しい命(母視点)

しおりを挟む
「あーあうあう?」
可愛い声がし私はそちらへと視線を向けると、小さな手を動かし何やら求めている様にも見えた。
「まぁこの子ったら、抱っこして欲しいのかしら?手なんか出して。」
そう言い私は赤子を抱き抱えあやした。
すると安心したのか、赤子はゆっくりとウトウトして行った。
その時だった部屋へこの国の大臣が入ってきた。
「産まれた子は男か?女か?それによっては国王への報告が変わってくるのでな。」
そう言いながら大臣は私の元へと近寄ってきた。
なかなか質問に答えない私にイライラしたのか、大臣は少し乱暴に赤子を私から取り上げると、いきなりその赤子のおくるみを剥ぎ取り性別を確認する。
「……男か、あまり隠し立てするとあなたの風当たりもきつくなる、国王にはしっかりと第二王子が産まれたことを報告する、では私はこれで。」
その言葉だけを言うと、大臣は赤子を置きすぐに去っていった。
第二王子が産まれたことにより、第一王子との対立が始まる事、その事によって命を狙われることなどすぐに理解出来た。
「私が出来る限りこの子を守ってあげないと……」
そう思いふと視線に気付く。
赤子がこちらを眺めていたのだ。
私はすぐに抱き抱えこれから起きるこの子の運命を恨み一言つぶやいてしまった。
「ゴメンね男の子に産んでしまって。」
しおりを挟む

処理中です...