ライブキャット

ha-tsu

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第二話 学校もバンドも

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バンド、キャットウォークと出会ってあれから三年後。
バンドの影のマネージャーこと宮野みやの 音凛ねりんもこの春、高校生になりました。
「高校生かー、緊張してきたー。」
胸に手を当てながら早口で話す。
「音凛が緊張?熱でも出てるんか?」
ニヤニヤしながら兄に朝から冗談を言われながらも一緒に家を出る。
「今日はバンドの練習あるけど来るか?」
咲夜さくやが顔を覗く。
「んー、今日は行けないかな?なんせ学校初日だし、友達頑張って作るよ!」
気合を入れて言うと、フワッと頭の上に兄の手が乗る。
ニコッと笑いながら、
「頑張れよ!一年生」
と言った途端髪の毛をクシャクシャにされる。
いつも私が何か頑張ろうとすると、兄はこうやって応援してくれるのだ。
途中で兄と別れて学校に着く。
自分のクラスを確認し教室へ行く。
家から少し遠い学校を選んだせいか、クラスには知った顔は無かった。
( どうしよう、本当に緊張してきた、どうやって友達になるんだっけ?)
一瞬頭の中がまっ白になるも、とりあえず席に着いた。
( よし!とりあえず隣の席の人に声を掛けて仲良くなるぞ!)
心の中で思い、横の人に声を掛ける。
「始めました、私、、宮野 音凛といいます、よろしくおねねねね?」
挨拶の言い方を間違えた挙句、最後は噛んでしまった......
音凛の顔は紅潮し恥ずかしさのあまり目が合わせなくなり下を向いてしまった。
( どうしよう、挨拶おかしくなったし返事を待たずに目をそらして下向いちゃったよ、きっと変なやつと思われたよね......)
と音凛が軽くへこんでいると、横からクスクスと笑い声が聞こえて来た。
音凛は恥ずかしかったがチラッとその笑い声がする方へ目を向ける。
「笑ってゴメン、変わった挨拶の仕方だなぁと思って、俺槙野まきの  流星りゅうせいです、よろしく」
ニコッと笑った顔は可愛くどこかさわやかにも見えた。
「全然知ってる人居なくて......その......めっちゃ緊張してて何か変な挨拶になっちゃった。」
と少し目をそらしながら言う。
放課後一枚の紙を見ながら音凛が悩んでいると、流星が声を掛けてきた。
「どしたん?」
「部活のことで悩んでて......」
実はこの学校は部活が必須で絶対に入らなくてはいけなかったのだ。
「槙野くんは決まってるの?」
「オレ中学でバスケしてたしバスケ部入ろうかな?ってか、流星でいいよ、オレ苗字であんまり呼ばれ慣れてないし。」
「う......うんわかった」
「で、何でそんなに悩んでるの?入りたい部活が多いとか?」
「どっちかと言うと、部活に入りたくないと言うか、放課後は早く帰りたいと言うか......」
少し歯切れが悪い言い方をしながら流星の顔を見ると、何やらひらめいた様な顔をしていた。
「だったら放送部に入ったら?放送部は月に何回かしか放課後は集まらないし、お昼の放送を交代制でしてる見たいだから。」
確かに、放課後残らなくて良くて、お昼の放送さえ何とか出来れば良いのだから、これ以上いい部活は無いと思い放送部に決めることにした。
( でも、なんでそんな事知ってるんやろ?)
少し疑問に思うも聞かない事にした。
後日放送部に入部届けを出しに行く。
流星から聞いた通り月四回の放課後のミーティングと、ローテーションでのお昼の放送のみだった。
お昼の放送も自分の好きな曲を流したり、話をする人もいるらしい。
( よし、これならバンドの事も出来る。)
放送部の説明を受けてる際、部長からの挨拶があり、流星と話している時の疑問が解決する。
「皆さん初めまして、私が部長の槙野まきの  流香りゅうかです、これからよろしくお願いします」
その挨拶とともにすぐに気付く、流星とどことなく似ている目や笑い方、そして、決定的な事は同じ苗字だったと言う事。
説明が終わり、今日のミーティングが終わると流香が話しかけてきた。
「あなたが音凛ちゃんね、弟から聞いてるわ。」
流星と同じでニコッと笑った顔は可愛くどこかさわやかだった。
「これからよろしくお願いします。」
一礼し挨拶をすると、
「音凛ちゃんの事は弟から頼まれてるし、フォローしてくれって、だから放送部のグループ私と同じグループでもいい?」
( 昼の放送は五グループに別れてローテーションで回してるってさっき言ってたなぁ。)
心の中で先程の説明を思い出す。
「こちらこそ、お願いします。」
ミーティングが終わり、急いで練習スタジオに向かう。
スタジオに着いたと同時に清が中から出てくる。
「あれ?しんさんどしたんですか?」
「ごめんね、もうすぐバイトの時間だから、バイト終わったらちゃんと家で練習するよ。」
音凛の顔も見ずに告げるとすぐに走り出した。
音凛がスタジオ内に入ると何やら空気が重たかった。
「ねぇ、みんなどしたん?」
春が少し言いにくそうに話し出す。
「この前作った新曲ね、音源やら歌詞を渡してもう一ヶ月になるのに、清まだ覚えてなくて......」
「さすがにちょっと手抜きすぎと言うか、バイト大変なんは分かるけど」
少し愚痴るようにじゅんが言った。
私は先程の清の事を思い出し。
「さっき見かけた時だいぶ落ち込んでたし、バイト終わったら家で練習するって言ってたよ。」
音凛がそう言うと、四人の中に沈黙がつづく。
先に沈黙を破いたのは咲夜だった。
「まぁ本人も相当反省してるっぽいし、待ってみようか。」
「んー......そうやな、清も色々大変みたいやし......でも、オレらの練習どうする?ボーカルなしで、演奏だけしても何となくなぁ......」
また沈黙がつづく。
咲夜が何かをひらめいた様な表情をして、沈黙を破く。
「音凛、新曲の歌詞覚えたんか?」
「うん、いい歌詞だったよ、全部すぐに覚えちゃった。」
「どんな曲かも覚えてるよな?」
「え......うん覚えてるけど......私が歌うの?」
咲夜が無言の笑顔で頷くとともに、他のメンバーも頷く。
( まぁ、バンドの為に頑張るか......)
音凛は渋々マイクを持ち練習に参加した。
その日の帰り道、心配そうに潤が話し出す。
「なぁ、咲夜......清大丈夫だよな、バンドも、家の事も......」
「潤、家の事って、清の家なんかあったん?」
「うん......ちょっとあいつの親、何か借金してるみたいでな、それ返すためにバイト増やしてん。」
「そんなことあったんか......」
それっきり三人で何かを話す事も無く帰路に着いた。
その日から何週間もの間バンド練習に清の姿は無かった。
「ねぇお兄、何か私キャットウォークの歌全部歌えるようになっちゃったんだけど......」
「毎回練習付き合って貰って悪いなぁ。」
少し申し訳なさそうに言われる。
「音凛ちゃん、もしもの時は代役頼むわー」
と笑いながら潤がちゃかす。
「いやいや、潤さんボーイズバンドに女は入れませんよ、それに、キャットウォークの売りは歌とみんながイケメンな事やから。」
「やっぱオレってイケメンだよな、自分でも薄々気付いてたけどな。」
自信たっぷりに潤が答える。
「潤さん......何かゴメンね。」
真顔で音凛がボソッと言う。

「あら、音凛ちゃん私は見た目は男だけど、心は乙女よ」
すかさずはるが言う。
「春さんは......喋らなければ本当にイケメンだし、心も清らかだから良いんだよ。」
音凛の一言に潤以外の他のメンバーも頷く。
「なんかオレはイケメンじゃ無いみたいやん。」
潤が泣き真似をしながら訴える。
「潤、私はあなたくらいのイケメンの方が好きよ、庶民的で、親しみやすい感じが。」
春がそう言うのと同時に潤に抱きつく。
潤も春に抱きつくと、
「春さんだけや、オレの事イケメンで好きや言うてくれるん。」
「でも庶民的で親しみやすいって......」
そこまで音凛が言うとすかさず横から咲夜がボソッと呟く。
「普通の人やん。」
咲夜の声は潤には聞こえてないようだった。
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