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11話 初めての魔法実技
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その広い部屋は、貝殻の裏側を思わせる不思議な光沢を持つ壁に囲まれている。
ここは、ヴァールハイト魔法学院の校舎に幾つか造られた「魔法実技練習場」の一つだ。
「これまで、諸君は魔法の基礎の基礎を学んだ訳ですが、いよいよ実際に魔法の実技の授業に入ります」
魔法実技練習場へ集合した、エルマーたち「月組」の生徒は、教師の言葉に小さな歓声を上げた。
「これから、皆さんの杖を配布します。これは学校指定のものですが、こだわりのある生徒の中には規定の範囲内で気に入ったものを購入する人もいます。その辺りは、ご自由に」
教師の指示で、補助教員たちが生徒たちに杖と、それを腰から下げる為のベルトを配り始めた。
エルマーは、渡された杖をしげしげと見た。自分の肘から先くらいの長さの、知らない者が見れば捻じれた木の棒にしか見えないものだが、呪文を詠唱する際の精神集中を助ける機能があるという。
「杖を持たなくても魔法の発動は可能ですが、魔術師の伝統というものもありますからね」
やや茶目っ気を感じさせる教師の口調に、生徒たちの間から、くすくすと笑い声が漏れる。
「初めての呪文の行使ですから、一人ずつ私の前で呪文を詠唱して魔法を発動してください。待っている人は勝手に呪文を詠唱しないように。いいですね」
名前を呼ばれた生徒が順番に前へ出て、教師の前で呪文の詠唱を行うことになった。
使える呪文の系統は個々人で異なる為、生徒たちは、それぞれ自分の得意そうな呪文を選び、教師の前で披露している。
もっとも、魔法を学び始めて間もない彼らが使えるのは、杖の先端に小さな火や光を灯したり、植木鉢の花に浴びせる程度の水を生成したりといった、ささやかなものだ。
それでも、初めて自ら「魔法」を発動させた者は、目を輝かせている。
呼ばれるのを待つ間、エルマーたちは用意されていた椅子に座り、同級生たちが披露する魔法を眺めつつ、教科書を見て呪文を復習していた。
「呪文を間違えると、魔法が発動されないんだよね」
ヨーンが真剣な顔で教科書を読みつつ言った。
魔法の呪文を構成する魔法言語という言葉は、ゼーゲン王国や周辺国で用いられる共通語とは文法も発音も異なるものだ。
同級生たちの中にも、呪文の発音が良くない為に一度で魔法を発動できなかった者が少なくない。
「呪文のページを覚えておいて、詠唱する時に思い出せばいいじゃないか」
エルマーは何の気なしに言ったが、友人たちは首を傾げた。
「それは……教科書のページを丸ごと覚えているということですか?」
「集中して見れば、一ページくらいは一枚の絵みたいに記憶できるでしょ? あとは、必要になった時に思い出せば……」
アヤナの問いかけに答えながら、エルマーは皆が益々首を傾げているのに気づいた。彼は、自分が何かおかしなことを言っているのかもしれないと不安になった。
「たぶん、普通の人は、そういう覚え方はできないと思う」
ロルフが言うと、アヤナとヨーンも頷いた。
「いつも、そうやって暗記してるの?」
「……みんなは、違うの?」
驚いた様子のヨーンと、エルマーは顔を見合わせて呟いた。
「そうですね、エルマーのように記憶できるなら、試験の時も困りませんね。もっとも、書いてあることを理解できなければ意味はありませんし、やはり、あなたはすごいですね」
感心したように、アヤナが微笑んだ。
そうこうしているうちに、ロルフが呼び出された。
彼を前にして、教師は手にした帳面を見ながら言った。
「ロルフの適性が高い呪文は……火と風か。では、覚えている呪文を詠唱してください」
「じゃあ、火の呪文にします」
ロルフは杖を構え、火属性の初級とされる呪文を詠唱した。
次の瞬間、彼の杖の先端に、松明を思わせる大きさをした火球が出現した。
「うわ、ちょっと大きくない? みんな、離れて!」
呪文を唱えた本人であるロルフが驚いている間に、教師が素早く呪文を唱えた。
すると、火球は瞬く間に萎んで消滅した。
「ふむ、ロルフは使える呪文の範囲は広くありませんが、『魔素の器』自体が大きいから、魔法の効果も大きくなるのですね。いや、油断していました」
教師は、少々きまり悪そうに言って、頭を掻いた。
「火の呪文は戦闘でも役に立つ場面が多いから、魔法兵団や魔法警察などで活躍できるかもしれませんね」
そう教師に言われたロルフは、嬉しそうな顔をしている。
「先生、今のは何をしたんですか」
エルマーは、火球を瞬時に消滅させた教師の呪文が気になっていた。
「火の呪文を消滅させられる、水属性の呪文を使いました。いずれは、皆さんも咄嗟の判断で魔法が使えるよう、勉強していきましょうね」
「ありがとうございます。属性による相性ということですね」
「そのとおり。しかし、相手の魔法の威力が自分よりも勝っている場合は、属性の相性が有利であっても負けることがあります。魔法は、なかなか奥が深いのですよ」
「僕も、頑張れば火の呪文で水の呪文を抑え込むことができるかもしれないってことか」
教師の言葉を聞いていたロルフも、なるほどと言うように頷いている。
「次は、アヤナ。君は光と水に土……治癒呪文の適性が高いけれど、どれにしますか」
「私は、治癒呪文を試してみたいのですが……怪我をしている人がいないと駄目でしょうか?」
教師の言葉に答えつつ、アヤナは少し困った顔を見せた。
その時、ヨーンが手を挙げた。
「さっき、教科書の紙で手を切っちゃったんだけど、治癒呪文で治してもらえますか?」
「そうですか。いい機会だし、アヤナに協力してあげてください」
教師の許可を得たアヤナは、ヨーンの手についた切り傷に向かって、治癒の呪文を唱えた。
彼女の杖の先端が柔らかい光を放ったかと思うと、ヨーンの傷が、見る見るうちに塞がっていく。
「すごい、傷が消えたし全然痛くなくなったよ!」
自分の手を見ながら感心しているヨーンの姿に、アヤナも安堵した様子だ。
「少しくらい怪我をしても、アヤナがいれば安心だね」
「もちろん、あなたが傷ついたりしたら、私の魔法で治しますよ」
何気なく呟いたエルマーだが、アヤナからの思わぬ言葉に、頬が熱くなるのを感じた。
「では、傷も治ったところでヨーンの番です。きみの適性は……属性呪文も広範囲で使えますが、適性が高いのは支援呪文ですね」
「はい、防御壁を展開する呪文を使います」
待ってましたとばかりに進み出たヨーンが、杖を構えると真剣な表情で呪文を詠唱した。
詠唱が終わると同時に、淡く輝く円盤状の光の壁が、ヨーンの前方に出現した。
「物理攻撃の威力を軽減する防御壁ですね」
そう言いながら、教師はヨーンの防御壁に近付き、手にした杖を振り上げた。
かなりの速度で振り下ろした杖が命中すると、防御壁は光の粒子を散らしながら消滅した。
「いいですね。さっきの防御壁がなければ、きみは頭に瘤を作っていたでしょう」
驚きで目を丸くしているヨーンに、教師は微笑んでみせた。
「でも、杖で殴ったくらいで消えちゃうのか……」
「その一撃が決め手になることもあります。また、支援魔法は応用次第で多様な効果を生みますよ」
少しがっかりしていたヨーンだったが、教師の言葉を聞いて、その表情は明るさを取り戻した。
「次はエルマー……きみは『魔素の器』の大きさもさることながら、治癒呪文以外の全ての呪文に高い適性を持っているのでしたね」
「……そうみたいです」
エルマーは、教師の言葉を聞いて面はゆい気持ちになった。
「もちろん、素質は持っているだけでは意味がありません。鍛えて磨きをかけてこそです。きみは、どの呪文を使ってみますか」
「水を生成する呪文を使います」
言って、エルマーは杖を構えた。
――水なら、最悪、誰かに当たっても濡れるだけだし、一番安全だろう。
そう思いながら、エルマーは呪文を唱えた。彼は、自分の周囲を、目に見えない「何か」が風のように動き回るのを感じた。
「何か」が杖の先端に収束したと思うと、エルマーの目の前に水でできた巨大な球体が出現した。
「ええっ?!」
驚いたエルマーが集中を乱した途端、球体は勢いよく破裂した。
頭から水を被った生徒たちの悲鳴が、練習場に響き渡る。
「これは、すごいね。みんな、魔法で乾かすから落ち着いて」
教師と補助教員たちが呪文を詠唱すると、ずぶ濡れだった生徒たちの制服が一瞬で乾いた。
「な、なんか、すみません……」
「なに、時たま起きることです。きみには、魔法の威力を手加減する方法を先に教えたほうが良さそうですね」
恐縮するエルマーに、教師が快活に笑いながら言った。
「ところで、呪文を詠唱した時、自分の周りを『何か』が走り抜けるような感じがあったんですけど、あれは何ですか?」
エルマーの質問に、教師は目を丸くした。
「ああ、それは多分、『魔素』の気配ですね。通常、『魔素』は人間には知覚できないものですが、ごく稀に、その気配を感じられる人もいるんです。ちなみに、私は分からないほうですけど」
「さすが、エルマーはすごいな」
「これから、もっと難しい呪文を覚えたら、どうなるのかな。なんか、楽しみになってきたよ」
ロルフとヨーンに賞賛され、エルマーは顔を赤らめた。
ここは、ヴァールハイト魔法学院の校舎に幾つか造られた「魔法実技練習場」の一つだ。
「これまで、諸君は魔法の基礎の基礎を学んだ訳ですが、いよいよ実際に魔法の実技の授業に入ります」
魔法実技練習場へ集合した、エルマーたち「月組」の生徒は、教師の言葉に小さな歓声を上げた。
「これから、皆さんの杖を配布します。これは学校指定のものですが、こだわりのある生徒の中には規定の範囲内で気に入ったものを購入する人もいます。その辺りは、ご自由に」
教師の指示で、補助教員たちが生徒たちに杖と、それを腰から下げる為のベルトを配り始めた。
エルマーは、渡された杖をしげしげと見た。自分の肘から先くらいの長さの、知らない者が見れば捻じれた木の棒にしか見えないものだが、呪文を詠唱する際の精神集中を助ける機能があるという。
「杖を持たなくても魔法の発動は可能ですが、魔術師の伝統というものもありますからね」
やや茶目っ気を感じさせる教師の口調に、生徒たちの間から、くすくすと笑い声が漏れる。
「初めての呪文の行使ですから、一人ずつ私の前で呪文を詠唱して魔法を発動してください。待っている人は勝手に呪文を詠唱しないように。いいですね」
名前を呼ばれた生徒が順番に前へ出て、教師の前で呪文の詠唱を行うことになった。
使える呪文の系統は個々人で異なる為、生徒たちは、それぞれ自分の得意そうな呪文を選び、教師の前で披露している。
もっとも、魔法を学び始めて間もない彼らが使えるのは、杖の先端に小さな火や光を灯したり、植木鉢の花に浴びせる程度の水を生成したりといった、ささやかなものだ。
それでも、初めて自ら「魔法」を発動させた者は、目を輝かせている。
呼ばれるのを待つ間、エルマーたちは用意されていた椅子に座り、同級生たちが披露する魔法を眺めつつ、教科書を見て呪文を復習していた。
「呪文を間違えると、魔法が発動されないんだよね」
ヨーンが真剣な顔で教科書を読みつつ言った。
魔法の呪文を構成する魔法言語という言葉は、ゼーゲン王国や周辺国で用いられる共通語とは文法も発音も異なるものだ。
同級生たちの中にも、呪文の発音が良くない為に一度で魔法を発動できなかった者が少なくない。
「呪文のページを覚えておいて、詠唱する時に思い出せばいいじゃないか」
エルマーは何の気なしに言ったが、友人たちは首を傾げた。
「それは……教科書のページを丸ごと覚えているということですか?」
「集中して見れば、一ページくらいは一枚の絵みたいに記憶できるでしょ? あとは、必要になった時に思い出せば……」
アヤナの問いかけに答えながら、エルマーは皆が益々首を傾げているのに気づいた。彼は、自分が何かおかしなことを言っているのかもしれないと不安になった。
「たぶん、普通の人は、そういう覚え方はできないと思う」
ロルフが言うと、アヤナとヨーンも頷いた。
「いつも、そうやって暗記してるの?」
「……みんなは、違うの?」
驚いた様子のヨーンと、エルマーは顔を見合わせて呟いた。
「そうですね、エルマーのように記憶できるなら、試験の時も困りませんね。もっとも、書いてあることを理解できなければ意味はありませんし、やはり、あなたはすごいですね」
感心したように、アヤナが微笑んだ。
そうこうしているうちに、ロルフが呼び出された。
彼を前にして、教師は手にした帳面を見ながら言った。
「ロルフの適性が高い呪文は……火と風か。では、覚えている呪文を詠唱してください」
「じゃあ、火の呪文にします」
ロルフは杖を構え、火属性の初級とされる呪文を詠唱した。
次の瞬間、彼の杖の先端に、松明を思わせる大きさをした火球が出現した。
「うわ、ちょっと大きくない? みんな、離れて!」
呪文を唱えた本人であるロルフが驚いている間に、教師が素早く呪文を唱えた。
すると、火球は瞬く間に萎んで消滅した。
「ふむ、ロルフは使える呪文の範囲は広くありませんが、『魔素の器』自体が大きいから、魔法の効果も大きくなるのですね。いや、油断していました」
教師は、少々きまり悪そうに言って、頭を掻いた。
「火の呪文は戦闘でも役に立つ場面が多いから、魔法兵団や魔法警察などで活躍できるかもしれませんね」
そう教師に言われたロルフは、嬉しそうな顔をしている。
「先生、今のは何をしたんですか」
エルマーは、火球を瞬時に消滅させた教師の呪文が気になっていた。
「火の呪文を消滅させられる、水属性の呪文を使いました。いずれは、皆さんも咄嗟の判断で魔法が使えるよう、勉強していきましょうね」
「ありがとうございます。属性による相性ということですね」
「そのとおり。しかし、相手の魔法の威力が自分よりも勝っている場合は、属性の相性が有利であっても負けることがあります。魔法は、なかなか奥が深いのですよ」
「僕も、頑張れば火の呪文で水の呪文を抑え込むことができるかもしれないってことか」
教師の言葉を聞いていたロルフも、なるほどと言うように頷いている。
「次は、アヤナ。君は光と水に土……治癒呪文の適性が高いけれど、どれにしますか」
「私は、治癒呪文を試してみたいのですが……怪我をしている人がいないと駄目でしょうか?」
教師の言葉に答えつつ、アヤナは少し困った顔を見せた。
その時、ヨーンが手を挙げた。
「さっき、教科書の紙で手を切っちゃったんだけど、治癒呪文で治してもらえますか?」
「そうですか。いい機会だし、アヤナに協力してあげてください」
教師の許可を得たアヤナは、ヨーンの手についた切り傷に向かって、治癒の呪文を唱えた。
彼女の杖の先端が柔らかい光を放ったかと思うと、ヨーンの傷が、見る見るうちに塞がっていく。
「すごい、傷が消えたし全然痛くなくなったよ!」
自分の手を見ながら感心しているヨーンの姿に、アヤナも安堵した様子だ。
「少しくらい怪我をしても、アヤナがいれば安心だね」
「もちろん、あなたが傷ついたりしたら、私の魔法で治しますよ」
何気なく呟いたエルマーだが、アヤナからの思わぬ言葉に、頬が熱くなるのを感じた。
「では、傷も治ったところでヨーンの番です。きみの適性は……属性呪文も広範囲で使えますが、適性が高いのは支援呪文ですね」
「はい、防御壁を展開する呪文を使います」
待ってましたとばかりに進み出たヨーンが、杖を構えると真剣な表情で呪文を詠唱した。
詠唱が終わると同時に、淡く輝く円盤状の光の壁が、ヨーンの前方に出現した。
「物理攻撃の威力を軽減する防御壁ですね」
そう言いながら、教師はヨーンの防御壁に近付き、手にした杖を振り上げた。
かなりの速度で振り下ろした杖が命中すると、防御壁は光の粒子を散らしながら消滅した。
「いいですね。さっきの防御壁がなければ、きみは頭に瘤を作っていたでしょう」
驚きで目を丸くしているヨーンに、教師は微笑んでみせた。
「でも、杖で殴ったくらいで消えちゃうのか……」
「その一撃が決め手になることもあります。また、支援魔法は応用次第で多様な効果を生みますよ」
少しがっかりしていたヨーンだったが、教師の言葉を聞いて、その表情は明るさを取り戻した。
「次はエルマー……きみは『魔素の器』の大きさもさることながら、治癒呪文以外の全ての呪文に高い適性を持っているのでしたね」
「……そうみたいです」
エルマーは、教師の言葉を聞いて面はゆい気持ちになった。
「もちろん、素質は持っているだけでは意味がありません。鍛えて磨きをかけてこそです。きみは、どの呪文を使ってみますか」
「水を生成する呪文を使います」
言って、エルマーは杖を構えた。
――水なら、最悪、誰かに当たっても濡れるだけだし、一番安全だろう。
そう思いながら、エルマーは呪文を唱えた。彼は、自分の周囲を、目に見えない「何か」が風のように動き回るのを感じた。
「何か」が杖の先端に収束したと思うと、エルマーの目の前に水でできた巨大な球体が出現した。
「ええっ?!」
驚いたエルマーが集中を乱した途端、球体は勢いよく破裂した。
頭から水を被った生徒たちの悲鳴が、練習場に響き渡る。
「これは、すごいね。みんな、魔法で乾かすから落ち着いて」
教師と補助教員たちが呪文を詠唱すると、ずぶ濡れだった生徒たちの制服が一瞬で乾いた。
「な、なんか、すみません……」
「なに、時たま起きることです。きみには、魔法の威力を手加減する方法を先に教えたほうが良さそうですね」
恐縮するエルマーに、教師が快活に笑いながら言った。
「ところで、呪文を詠唱した時、自分の周りを『何か』が走り抜けるような感じがあったんですけど、あれは何ですか?」
エルマーの質問に、教師は目を丸くした。
「ああ、それは多分、『魔素』の気配ですね。通常、『魔素』は人間には知覚できないものですが、ごく稀に、その気配を感じられる人もいるんです。ちなみに、私は分からないほうですけど」
「さすが、エルマーはすごいな」
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