聖女な幼馴染に裏切られた少年、地獄の【一万倍の次元】の修行を突破。最強剣士として学園生活を満喫する

ハーーナ殿下

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第19話:魔物退治

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 オレは自由を手にして、北の名門キタエル剣士学園に入学。
 お姫様マリエルと同居を開始。魔の森に実戦式の特訓にきた。



森の浅いところで、魔物の群れを発見。
武装した五匹の子鬼ゴブリンだ。

「よし、マリエル。攻撃の前に、最終確認しよう。作戦は浮かんだ?」

「はい、まずは私の剣術技……風系の斬撃で先制攻撃をしかけます。その後は、攻撃力が高いハリト様が追撃を。この策でどうでしょうか?」

「良案だね」

前回の襲撃では、マリエルは風系の剣術技を使用してきた。
おそらく得意な分野なのであろう。

風系は先制攻撃にも向いているので、理にかなった作戦だ。

「よし、その作戦でいこう」

「はい」

いよいよ戦闘開始。

「ふう……」

マリエルは剣を構え集中。
体内の魔力を高めていく。

「それではハリト様、参ります! 『風の斬撃よ、彼方の敵を斬り裂け!』……剣術技【第二階位】二の型……【飛風斬ひふうざん】!」


詠唱を終えて、マリエルは斬撃を繰り出す。
鋭い風の斬撃が、剣から発射。
子鬼ゴブリンに直撃する。

ザッ、ゴォオオオオ!

着弾と同時に、風の衝撃波が発生。
凄まじい爆音と風の波が、こちらまで伝わってくる。

今の攻撃で二匹の子鬼ゴブリンを仕留めた。

「ナイス、マリエル! よし、次はオレの番だ!」

相手は混乱している。
オレはすぐさま追撃に移る。

茂みから飛び出して、混乱している三匹の子鬼ゴブリンの中に、突撃していく。

「ふう……」

 オレは駆けならが、深く息を吐き出す。
 腰だめに剣を構える。

「今回こそは、成功させるぞ……」

 意識を集中して、魔力を高めていく。
魔力による高揚感が、全身にみなぎる。

 よし――――今ならいけるかもしれない。

 マリエルとの戦いの後に、頭の中に浮かんできた言葉一つ。
剣術技を詠唱する。

「『春雷よ、敵を斬り裂け』 ……剣術技【第一階位】一の型……いくぞ【雷斬ライ・ザン】!」

無事に発動できた。
オレの右の手から光の筋、雷撃をまとった斬撃が繰り出される。

ゴォオオオオオ、ザァアアン!

次の瞬間、子鬼ゴブリンたちが吹き飛んでいく。
オレの新しい技が成功したのだ。

「よし!」

油断せずに周囲を確認。
今のところ他の魔物はいなそうだ。

「お見事です、ハリト様!」

「マリエルも先制攻撃、凄かったね!」

二人で合流して、子鬼ゴブリンが他にいない再確認していく。

どうやら本当にいなそうだ。
後は魔物退治の事後処理をする。

「ハリト様。魔物は倒せましたが、この後はどうすればよろしいのでしょうか?」

「そうだね。まずは子鬼ゴブリンの死体の後に、“魔石”があるはずだから、回収しておこう。授業でも教えてもらった感じで」

“魔石”は魔物や魔獣の体内にある器官。
死後は結晶化して、小さな石となって跡に残る。

街の魔法専門店にいけば、魔物の強さによって換金できるのだ。

「そうでしたね。ですが、この状況では……?」

マリエルが心配するのも無理はない。
五匹の子鬼ゴブリンは、跡形もなく吹き飛んでいた。

オレたちの攻撃がオーバーキルすぎたのだ。
小さな魔石を探すのは困難そう。

「でも、大丈夫。こんな時も【探知・魔】を使えば大丈夫だよ」

「なるほど、そういうことでしたか。では、さっそく……」

【探知・魔】は近距離なら、魔石も探知可能な技。
マリエルは発動して探す。

「あっ、ありました、ハリト様!

そして地面の下から魔石を発見。
周囲を警戒しながら、二人で回収していく。

よし、全部で五個あった。
これ子鬼ゴブリン討伐は完了だ。

「次はどうしますか、ハリト様?」

「そうだね。まだ時間も有るから、次の魔物を探してみようか。まだいけるマリエル?」

「はい、私は大丈夫です。それでは、また探知で魔物を探してみます」

マリエルは【探知・魔】を詠唱して、再び発動。
今度は先ほどよりも、少しだけ広範囲。
次の魔物を索敵している。

「ん? 反応がありました。でも、この反応は? 先ほどと違う感じです?」

マリエルは眉をひそめる。
一体の魔物は発見。

だが“魔物とは違う反応”が、その近くにいるという。

「違う反応? じゃあ、オレも調べてみるね」

オレも意識を集中して【探知・魔】を発動。

でもさっきよりも少しだけ、魔力を弱めて。
またキタエルの街までいかないように。

(おっ、いた。これか……)

オレも発見した。
一つ目は魔物の反応。
先ほどの子鬼ゴブリンよりも、かなり大きな反応魔物だ。

(あと、こっち反応は……あれ、これは?)

マリエルの言っていたように、もう一つは違った。

(これは人か……それも剣士の?)

もう一つは人を現す反応だった。
授業でも習ったもの。

(それに、この相手の魔物の大きさ……これはマズイな……)

【探知】によると対峙している魔物は、かなり強力な部類。
オレの全身が警戒音を発している。

「ハリト様……どうしましょう?」

マリエルは不安そうな顔だった。
おそらく彼女も感じているのであろう。

オレたち新入生には太刀打ちできない魔物がいる、危険な状況だと。


「よし……行こう、マリエル!」

「えっ、ハリト様……」

「大丈夫だ、オレに任せて。この人を助けよう!」

「はい、ハリト様! お供します!」

こうしてオレたちは魔の森に迷い込んだ人を、助けて向かうのであった。
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