99%断罪確定の悪役令嬢に転生したので、美男騎士だらけの学園でボッチ令嬢を目指します

ハーーナ殿下

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第25話【閑話】公爵令嬢エリザベス視点

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《公爵令嬢エリザベス視点》

 不思議な人に出会いました。

 彼女の名はマリアンヌ=バルマン。

 そう……帝国の“裏三役”を代々任せられ、帝国中の貴族に恐れられている“あの”バルマン家の令嬢だ。

私は幼い時から父に、言われていた戒めの言葉がある。

『バルマン家に縁ある者と、いざこざを起こしてはならぬ』

 不思議な戒めであった。
何しろバルマン家は帝国の中でも、治める領土はそれほど広くはない。
保有する軍事力や経済力も、帝国貴族の中では中の上だ。


だから私は父様に尋ねた。

『その程度の家ならば、我が公爵家の敵ではないですか?』

 何しろ当家は王族の親戚。
宮中や軍部の中核にも、多数の血縁者を排出している。
帝国内でかなりの権力を有しており、王族以外は敵なしの状態なのだ。

何故そこまでバルマン家を警戒しているのだろうか?

そんな無知な私に、父は真剣な顔で答えてくれた。

『バルマン家と事を構えたら、私の命は次の週には消えているであろう。それほどまでにバルマン家は恐ろしいのだ』

 “影の宰相”と呼ばれている父上は、目を細めながら静かに語っていた。

 この事の真意を知る者は、帝国内でも数少ない。
だが帝国の裏の歴史が、それを事実として証明しているのだと。

「えっ……」

 父の言葉を聞いて、私は背筋に寒くなった。
バルマン家の裏の力に、心より恐怖する。

「でも……だからこそ……私は」

同時に強い想いも込み上げてきた。
 
なぜなら私の野望は、尊敬する父を超えること。
その為にはお父様ですらも恐れる者を、打ち倒す必要があった。 

「新学期か……」

 そういえばファルマ学園に、“バルマン家”の長女が入学してきたという噂があった。
 入学式の後の《顔合わせ会》で、早くもその存在感を示していたとも。
 
 学園内でいつか会うのが楽しみ。
自分の心の爪を研ぎながら、私は心の中で微笑むのであった。
 


 そんな彼女、バルマン家令嬢マリアンヌと初対面した。

 時は〝ファルマの花”が咲き乱れる花見会で。

 場面は、些細なトラブルの場だ。

 花見会での私の特等席……周りの同級生たちが、勝手に決めていた席。
その取り合いが起きた時であった。

 相手は一年生のドルム伯爵家の令嬢が、マリアンヌさんの友人だったのだ。
 これも運命の女神のイタズラかしら、と心躍る。

はたしてマリアンヌがどんな女性か、心を躍らせて待ちかまえていた。

真紅血クリムゾン・レッドのマリアンヌ”
 噂には聞いていたけど、実際に対面するのは初めてな相手。

……『遅くなりましたわ、ヒドリーナ様』
 
 だが聞いていた恐ろしい話とは違い、彼女は“平凡”であった。

……『さあ、ヒドリーナ様。一緒に皆様に謝って、向こうの席に行きましょう』

 他の令嬢と同じように、私の顔色を伺ってきた。
自たちの過ちを認め、ここから逃げ去っていこうとしたのだ。
 
『なんだ、こんなものか』……そう残念に思いながらも、私は次なる行動に出る。
彼女の友人を挑発したら、マリアンヌはどんな反応をするのか?

……「あら、これだけ言われても平気なのね。さすがは“媚び伯爵”として有名なドルム伯爵の娘さんであること。オッホホホ……」

……「オッホホホ……“媚び令嬢”というのはどうかしら、あの子のあだ名は?」

 庶民の常識で考えたら、褒められた言葉ではない。
 でもここは大陸中の貴族が集うファルマ学園だ。

大人の貴族社会は、普通と常識では生き残れない場所。
裏切りに賄賂に毒殺。とにかく油断できない魑魅魍魎ちみもうりょう跋扈ばっこする世界

この程度の挑発は、挨拶がわりにて飛び交う厳しい世界なのだ。
 
だから私はあえ挑発した。
帝国の“裏三役”と呼ばれているバルマン家、その血筋の者の真の実力を見たかったのだ。



その後の戦いの結果は、私の“惨敗”だった

マリアンヌの提案による〝新しいスタイル”の観桜会が、その場の皆を賑わせていた。
学園の生徒が、あれほど楽しそうにしていたのを、私は初めて見た。
 
 普段の彼らは、家柄や学年や成績を気にして、上辺だけの付き合いが多い。
 だがマリアンヌは行動によって、あの場にいた誰もが心を高めていたのだ。

 実が私もその一人。
 何故なら想い人である騎士ラインハルト様、そのすぐ隣でファルマの花を見る事が出来たからだ。

その事に関しては、マリアンヌには……マリアンヌさんには感謝している。

でも、あの場で気に入らなかったこともある。
それはラインハルト様とマリアンヌさんの距離が、あまりにも近かったことだ。

『マリア!』『ラインハルトさま!』そんな愛称で、お互いに呼び合っていましたし。

 マリアンヌさん、悪い人ではなかった。
 
 ですが今後は、全力で潰していきます。

 何故なら私は“ファルマの女帝”エリザベス。

 生まれながらにして、偉大なる公爵家の血を受け継ぐ者。

 一つの学園くにに、女王は二人もいらないからだ。

 これが公爵の令嬢として生まれた者の定……いや女の意地。

――――絶対にラインハルト様のことは譲れないのです!
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