99%断罪確定の悪役令嬢に転生したので、美男騎士だらけの学園でボッチ令嬢を目指します

ハーーナ殿下

文字の大きさ
38 / 57

第37話:順調な準備の中

しおりを挟む
 学園祭のクラス準備は、順調に進んでいた。
 心配していた不幸なトラブルも、今のところ起こっていない。

今は昼食タイムの休み時間。
私はランチを早めに済ませ、ヒドリーナさんはと学園内の散策に出かけることにした。

「あちらが火櫓ひやぐらでございますわね、マリアンヌ様?」

 角材を高く積んで組まれた火櫓が、校庭にあった。
形としては現世のキャンプファイアーみたいな感じだ。

 これは来週に行われる学祭、その後夜祭で使われるものだ。

 後夜祭は生徒による打上げ。
野外に集まり学祭の成功を、みんなで祝い合う。

火櫓を中心にテーブルが設置され、歌や音楽に合わせて踊り楽しむらしい。
 
「当日は交響曲団による生演奏や、一流料理人によるバイキング・ビュッフェコーナーもございます」

 ヒドリーナさんの説明の通り、豪華さはファルマ学園流だ。
 当日は野外での晩餐会に近いのかもしれない。

 上級生の話によると、後夜祭はかなり盛り上がるという。
 三年生は最後の学園祭の思い出に、涙を流す者が続出。
誰もが新たなる誓いをたて、まさに青春の1ページなのだ。

 後夜祭で一番盛り上がるのは、何といってもダンス時間だという。
 ムーディーな音楽に合わせ男女がペアで躍る、伝説のダンスタイムがあるのだと。
 
 ファルマ学園には何でも“七つの伝説”というものがあるらしい。
 
 その一つが後夜祭でのダンス。
 『後夜祭で意中の人と踊り告白したら、二人は永遠の愛で結ばれる』……という神秘的な話であった。

 ちなみにこの伝説は、私のプレイしていたゲームの世界と、同じ設定だ。
 
 ゲームではダンスタイムの時間が始まると、男女はお互いに意中の異性の姿を探す。
 もちろん、人気のある者は競争相手も多い。

 だが惹かれ合う男女の想いとは、どんな障害にも負けない引力をもっている。

 障害の全てを乗り越えて、いつしか燃えさかる火櫓の光を浴びて、ゲームでも二つの影はやがて一つになっていた。

 うふふ……えへへっ……。

 まずい。
ゲームでのイケメン騎士とのことを思い出しただしただけ、顔が緩んで、よだれが出ていた。

 今の私は侯爵令嬢だから、 キリッといかないとね。

ヒドリーナさんと散歩の会話は続いていく。

「学園祭の準備、皆さま忙しそうですが、本当に楽しそうに準備をしておりますわね、マリアンヌ様?」

「本当でございますわね、ヒドリーナ様」

 楽しそうに学園祭の準備をしている生徒たちの姿を、学園内の至る所で見かける。

 今はまだランチタイム中で。
 だが誰もが早めに食事を終えて、自分たちの作業に取りかかっていたのだ。

 高貴な身分であるはずの令嬢と騎士たちは、汗を流しながら作業していた。
 その光景は美しい。
若い学生たちが身分や性別も関係なく、誰もが一生懸命な姿なのだ。

 見ていて心が温まる光景であり、自分の胸が熱くなる。
 よし!
 私も準備のラストスパートを頑張ろう。

「私たちもクラスの設営のお手伝いに、これから参りませんか、ヒドリーナ様?」

「はい、マリアンヌ様! 私も同じことを考えていましたわ!」

 学園の中の熱気を受けて私たちも、なんか更にやる気が出てきちゃった。
 


 自分たちの教室に戻る。
会場の飾りつけの手伝いを、私たちもすることにした。
昼休み時間のギリギリまで、頑張ろう!

 大まかなカフェの内装工事は、プロの職人さんの手により完成していた。
 後は自分たちで可愛らしく装飾したり、手書きのウェルカムボードを書いたしていく。

「マリアンヌ様、メイド服の最終的なバランスは、こちらでよろしいでしょうか?」

「はい、とっても素敵でございますわ」

「マリアンヌ様、オムライスに描く絵と文字は、こちらでいかがでしょうか?」

「あら、こちらも素敵ですわね」

 クラスの模擬店の統括プロデューサーに任命されていた私は、一個ずつ確認をしていく。

 うん。
それにしても本当にみんな素敵だよ。

 私が想像していたメイドカフェと、同じぐらい。
いや、それ以上の素晴らしい出来栄えに、心の中で思わず感動する。

 クラスの皆のメイド服の着こなしの完成度は高く、飲み物や料理も準備も素晴らしい。
 最上級の職人さんと料理人が、食材を惜しげもなく結集した成果なのだ。
 
 そして何よりは素晴らしいのは、クラスのみんなの意気込み。
 誰もがこのメイドカフェの準備に、情熱をもって全面協力。
クラスの委員長さんを筆頭に、クラスみんながメイドカフェに一致団結していたのだ。

 今の教室の準備していうる光景は、まさに"ザ・青春”。
 学生時代にしか発せられない、眩しい輝きだ。

 ああ、素晴らしいな、本当に素敵。

 うっ……、感動でまた目頭が熱くなってきそう。
 
 ハンス、ハンカチをちょうだい。
 ん?
って、ハンスいないぞ?

 あっ、そうか。
急な呼び出しがあって、私の代わりにハンスは学園の事務室に行っていたのね。
 
 仕方がないから自分のハンカチで、心の汗を拭こう。
ふう、これで、よし。

――――そんな時だった。

「あら、マリアンヌさん、今日は随分と楽しそうね?」

 感涙に浸っていた私に、後ろから声をかけてくる女性がいた
 
 ん? 誰だろう?

あっ、この声と口調は。

「……エリザベス様、ごきげんよう」

 声をかけてきたのは上級生エリザベスさんだった
 あの公爵令嬢なエリザベス先輩だ。

いつもの取り巻きの令嬢たちを、周りに引き連れている

(うっ……嫌な予感がする……)

せっかく学園祭の準備の、クラスのみんなと頑張っていたのに。

何も起こらなければいいな。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。 こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。 完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。 この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。 ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。 彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。 ※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

悪役令嬢に転生したので、剣を執って戦い抜く

秋鷺 照
ファンタジー
 断罪イベント(?)のあった夜、シャルロッテは前世の記憶を取り戻し、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと知った。  ゲームシナリオは絶賛進行中。自分の死まで残り約1か月。  シャルロッテは1つの結論を出す。それすなわち、「私が強くなれば良い」。  目指すのは、誰も死なないハッピーエンド。そのために、剣を執って戦い抜く。 ※なろうにも投稿しています

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について

夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。 ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。 しかし、断罪劇は予想外の展開へ。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

処理中です...