家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下

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第16話:聖魔法の修行

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家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
盗賊団を皆で退治して、隣街との交易ルートの足がかりを作れた。

『満月の襲撃』の城壁の防衛の任務も完了。
そんな中、同居人の神官見習いマリアから、お願いをされる。



マリアの家での夕食後、
神妙な顔の彼女に頼まれる。

「実は……私に、聖魔法を教えて欲しいのです」

「えっ……ボクがマリアに、聖魔法を?」

未熟な自分は今まで、他の人に魔法を教えたことはない。
理論は分かるけど、自信がなかったのだ。

でもマリアにお世話になっている。
彼女に力になりたい。

「もしかして、迷惑でしたか、ハリト君?」

「うんうん、大丈夫。うん、聖魔法を教えるのは大丈夫だよ!」

「えっ、本当ですか?」

「ああ、もちろん。大事なマリアのためだからね! それじゃ早速、明日の安息日でもどう?」

「はい、ありがとうございます、ハリト君! それなら場所はウチの教会で、どうですか?」

「うん、分かった。それじゃ明日に」

マリアは凄く嬉しそうな顔になっている。
明日はボクも精一杯に頑張らないと。

「よかったね、お姉ちゃん」

「うん、ありがとう、レオン……」

「あと、せっかくだから、明日はハリトさんとデートしてくれば?」

「ちょ、ちょっと、なに言っているのよ、もう……」

こんな感じで、いつもの感じで夜はふけていく。



そして翌日になる。
今日は週に一度の安息日。

冒険者ギルドの通常の仕事は、休み。
だからマリアの案内で、ボクは街の教会にやってきた。

「おおー、ここがダラクの街の教会なんだね!」

到着して思わず声を上げる。

街の規模に対しては、かなりの大きさの建物。
派手さはないけど、伝統と重厚感がすごい。

「ここは五十年前に“初代勇者様”が降臨された時、同じパーティーになる【大聖女様】が在籍して場所なのです。そのため大陸の中でも、特別な教会なのです」

「へー、そうだったのか」

今から五十年に降臨した魔王。
それを倒すために召喚されたのが、異世界人である初代勇者だ。

大陸を守った大英雄。
そんな彼には五人の仲間がいた。

その内の一人が、聖魔法の使い手【大聖女様】。
まさか、マリアが修行している教会の出身だったのか。

思わず感心してしまう。

「それではハリト君。こっちに。神官の修行の部屋に案内します」

「あ、うん、わかった」

マリアの案内で、教会の中を進んでいく。
中も結構な広さがある。

礼拝堂と、神官たちの生活の間。
あと怪我人を治療する教会病院も、敷地内にあった。

「ここの部屋ですハリト君。ここなら聖魔法を、いくら使っても大丈夫です」

案内されたのは、神官の修行の部屋。
それほど広くはないが、清潔で緊張感のある場所だ。

「よし、それじゃ、さっそく聖魔法の練習をしよう。その前にマリアの実力を知りたいんだんけど……何かないかな?」

「それなら、この聖魔道具を使いましょう。術者の魔力に反応して、色が強くなります」

「へー、そんなモノがあるんだ」

修練の間にあったのは、固定された水晶。
手をかざして聖魔法を発すると、反応するらしい
術者の魔力によって、《微弱から極大》までの五段階の強さで光るという。

なるほど、これは便利だ。
ちなみにウチに実家にも、父が作って似たような物がある。

でも、あっちは細かい数字で、術者の魔力が表示される。
ケタも大きすぎて分かり辛い。

コッチの方がシンプルで、性能が上なのであろう。

「あとハリト君は、この水晶を使わないでください」

「えっ? どうして? ちょっと試してみたかったんだけど」

「いえ、駄目です。嫌な予感しかしません。この水晶は教会に、一個しかない貴重な品なのです」

「そ、そうなだ……うん、肝に命じておきます」

万が一にでも壊したら大変。
マリアに釘を刺さてしまったので、諦めることにした。

よし、それなら今日はマリアの指導に精を出そう。

「それなら私が試してみます」

マリアは真剣な顔になり、意識を集中する。

「いきます……【治療キュア】!」

ポアン

マリアの回復系の聖魔法が発動。
反応して、水晶が微かに光る。

「うっ……やはり《微弱》の結果しかでませんでした……はぁ」

結果を見て、マリアは落ち込んでいた。
強弱の反応は分からないが、あまり良くない結果なのだろう。

「どうですか、ハリト君? 指導点を何か、気が付きましたか?」

「うーん、そうだね。指導に関してはボク素人だから、よく分からないけど、マリアは凄く基礎はしっかりしていると気がする? もしか今まで、かなり修行してきた?」

「えっ? はい。聖魔法の修行は、幼い時からしてきました。自分でも言うのは恥ずかしいですが、他の子の何倍も努力してきたはずです」

「やっぱり、そうか! マリアの聖魔法はキレイだから、ボクにも分かったよ」

「えっ……私の聖魔法が、キレイ……なんですか?」

「うん、そうだよ。きっと今までの、努力の成果だと思うよ」

聖魔法は才能だけは、決して上達していかない。
日々の修行やお祈り。
生活の全てを捧げていかなと、なかなかキレイには発動できない。

ボクも母に幼い時から、そう厳しく教えられてきた。

「ありがとう、ハリト君。でも、それでも《微弱》ということは、やはり私には才能がないのかな?」

「うーん、才能はあると、思うんだけどな。何か原因が、あるような気がするだんよね?」

こればかりはマリアの身体を、直接調べてみないと分からない。

――――そんな悩んでいた時だった。

「あら、マリアさん? こんな所で何をしているのかしら?」

一人の女性がやってきた。
金髪縦ロールな派手な髪型だけど、神官着なのでマリアと同じ神官なのであろう。

「あっ……これはララエル様、こんにちはです」

「あら? もしかしたら、修行をしていたのですか? しかも殿方と密室で二人きりで? 見習いの身でありながら、そっちの方は随分と大胆なことね?」

ララエルと呼ばれた女性は、かなり厳しい口調だった。
マリアよりは少しだけ、歳上かもしれない。

美人だけど、目つきが鋭い。
そしてマリアに対して、厳しい態度な人だ。

「も、申し訳ありません。司祭様には許可を貰っています。この方はハリト君と言いまして、聖魔法も使える方なのです」

「あっ、名乗るのが遅くなりました。新人冒険者のハリトと申します!」

話を振られたので、誠心誠意で自己紹介する。
これでララエルさんの態度が少しでも、改善してくれたら嬉しい。

――――だが効果は逆だった。

「ぼ、冒険者ギルドですって⁉ あんな最低の人の集まり場所から、来たのですか、あたなは⁉ マリアさん、これはどういうことですか⁉ まったくこれだから……!」

ララエルさんの態度が急変する。
まるで親の仇のように冒険者ギルドに対して、過剰に反応してきた。

一人でブツブツ言いながら、何か怒っている。

いったい、どうしたのだろう。
隣のマリアに小声で聞いてみよう。

「ねぇ、ララエルさんは、どんな人なの?」

「……実はララエル様のお婆さん様は、初代【大聖女様】で、彼女もすごい聖魔法の才女なのです」

「えっ、本当⁉ それは凄い。あと冒険者ギルドと何かあったの?」

「実はララエル様のお母様は、冒険者ギルドのゼオンさんの奥さんなのです。今は別居していますが」

「なるほど、喧嘩別れ中なのか……ん⁉ えっ、つまり、それって、ララエルさんって……?」

「はい、ゼオンさんの実の娘さんです」

「えーーーー⁉ あのゼオンさんの娘さん⁉」

まさかの事実に、思わず叫んでしまう。

あの熊のようなゼオンさんと、怖いけど美人なララエルさんが、実の親子⁉

「ん? 今の名前は? やはり、あなたは“あの最低な男”の、スパイなのですね⁉」

厄介な人間関係に、巻き込まれてしまった……そんな予感がする。























 ◇



 ――――あとがき――――


 ◇




読んで頂きありがとうございます!

 同じような痛快ファンタジーを、もう一つスタートしました。

こちらも是非よろしくお願いします!



 《タイトル》

 「パワハラ幼馴染の聖女を絶縁、【一万倍の次元】も突破、最強剣士は学園生活を満喫する」

https://www.alphapolis.co.jp/novel/832153235/115369945


《あらすじ》

 昔は素直だった幼馴染エルザが、聖女として覚醒してから態度が激変。聖女のストレスを解消するために、同居人のオレに罵詈雑言な日々を。このまま人生が終了する前に彼女を絶縁、憧れの剣士学園を目指す。
 
 だが道中、漆黒の穴に落下。そこは【時間が一万倍で進む】“次元の狭間”。偶然、落ちていた剣を振り続け、何万回も窮地を回避、なんとか元の世界に帰還。

  無事に剣士学園に入学できたが、オレは何か変になっていた。ぽっちゃり系だったのに、一万倍の修行で凄腕イケメン剣士に激変を? お蔭で女の子が多い学園生活で、活躍しそうな予感だ。

  一方、絶縁の後遺症で幼馴染の様子が変だけど、彼女自身のために無視することに。
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