家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下

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第24話:捕り物

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家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
今のところ駆け出しとして冒険者生活は順調……だった。

だが今は王様に呼び出しを受けて、ゼオンさんの発案で城の警護することに。



正門の警備の仕事の後。
近衛騎士団長バラストさんの従者の中に、怪しい人を発見した。

「分かりました。その人が賊です! 何かで変装しています!」

理由は【鑑定】で怪しいモノを発見したから。

「は? 何を言っているのだ、ワットソンは私の信頼置ける従者だぞ⁉ 我々、騎士を侮辱するつもりか、キサマ!」

でも鑑定の結果は、ボクにしか見えない。
どうやって、バラストさんに信じてもらおう。

あっ、そうか。
相手の“本当の姿”を、皆に見せたらいいのか!

よし、無詠唱で魔法を唱えよう。

(いくぞ……【解呪ディスペル】!)

ポワン!

相手の魔法を打ち消す術を、発動。
従者ワットソンに化けていた人は、一瞬で別の姿になる。

――――黒づくめ、明らかに怪しい人物だ。

「「「なっ…………⁉」」」

その場にいた全員が、驚きの声を上げる。
バラストさんと他の従者。

「はっ……?」

変装していた怪しい男でさえ、自分に何が起きたから理解できずにいた。

このタイミングだ。
ボクはすかさず声を上げる。

「バラストさん! その人が賊の一味です!」

「くっ⁉」

先に反応したのは賊。
腰から短剣を抜こうとする。

近くにいるバラストさんを、人質にとるつもりなのだ。
危ない。

「いけ! 【風斬撃スラッシュ・カッター】!」

自分の剣技の中でも、かなり威力が低い技を発動。
一筋の斬撃が発射される。

ヒューン、ザン!

賊の身体に命中。

「うぐっ……⁉」

その場に倒れ込む。
威力はかなり抑えていたから、死んではいない。
でも数日は動けないはずだ。

「大丈夫ですか、バラストさん⁉ 怪我は?」

「ああ……お蔭で、この通り無傷だ。だが今のは、いったい⁉ この者の姿は、つい先ほどまで我が従者ワットソンだったはずなのに……」

「えーと、この賊は変装。いえ……えーと、あった。この魔道具で変化していたんです!」

気絶している賊の懐から、小さな魔道具を取り出す。

自分の姿を、他人に見せる物だ。
魔道具に関しては、父に厳しく教育を受けていた。

「な、なんと……私の従者に化けていたとは⁉ はっ、本物のワットソンはどこに⁉」

「たぶん、まだ生きています。この魔道具が作り的に、姿を移す相手が生きてないと、発動できです。たぶんワットソンさんは、ひと気のない城の倉庫か、どこかに眠らされているのかと思います」

「そ、そうか。それならワットソンを探さねば!」

「あっ、バラストさん。その前に、他の賊を見つけましょう! この城の中に、たぶんまだ数名が侵入しています」

この気絶させた賊の鑑定結果の中に、他の仲間に関する情報があった。
つまり賊は昨夜の内に数人が潜入。
同じ魔道具で、城内の人に化けていたのだ。

きっと今なら間に合う。
これから夜になってから、賊は動き出すはずだ。

「な、なんと、他にもいるのか⁉ それは先に必ず見つけ出さないと! でも、この大規模な城と王宮の中から、どうやれば……」

「あっ、それは簡単です。えーと、【完全探知エクス・スキャン】&【探知共有スキャン・リンク】!」

いつもの探知魔法を平行発動。
共有の対象者はバラストさんと、ゼオンさん。

二人の目の前に、探知の表示が出現する。

「な、なんだ……これは⁉ 目の前に沢山の点があるぞ⁉」

初体験のバラストさんは、声を上げて驚いていた。

「バラスト、詳しい説明は後だ。おい、ハリト。この赤い点が、変装している賊か?」

「はい、ゼオンさん。この魔道具と同じ波長の場所……つまり賊の位置です」

ゼオンさんは何度も体験して、かなり理解が深まっていた。
説明は省けるので有り難い。

「あと階層も分かるように、立体的にも見えるようにしておきますね。はい、どうぞ!」

「ほほう、これは便利だな。これなら賊がどの部屋にいるか一目瞭然《いちもくりょうぜん》だな。おい、バラスト、どうだ? ウチのスーパールーキーを信じてみねぇか?」

「にわかに信じがたいが、偽ワットソンを瞬時に見破った事実がある。今はハリト……ハリト殿を信じよう。王国を守るためにも、急ぐぞ、ゼオン!」

「そうだな。よし、この反応を元に、虱潰しらみつぶしで賊を捕まえていくぞ。先導を頼んだぞ、ハリト!」

「はい、任せてください!」

ボクたちは城の中を探索していく。



調べてみた結果、賊は色んな人物に化けていた。

番兵や厨房の料理人、メイドや従者など全部で五人も。

「あの人が最後です、バラストさん!」

「よし、捕縛するぞ!」

「ひっ⁉ な、なんで、バレたんだ⁉」

相手は魔道具よる変化を、過信していた。
全員を捕縛することが出来た。

「ふう……これで一安心ですね。あっ、でも念のために、城と王宮にいる人を、全員調べていきましょう。もしかしたら違う手段で、変装している可能性もあります」

「な、なんだと、ハリト殿⁉ でも、どうやって調べていくのだ⁉」

「まぁ、バラスト。その辺は、今度酒でも飲みながら、オレが説明してやる。今日はハリトのことを信じてやりな?」

「ああ……そうだな。ここまで完璧に賊を、捕まえてくれたのだ。私も信じよう。ハリト殿の規格外の力というものを」

「ありがとうございます! それでは早速、いきましょう!」

その後は城と王宮にいる全員に対して、ボクは【鑑定】を使っていった。

夕方の遅い時間からの開始だったので、かなり大変な調査。

「おい、近衛騎士団長のバラストだ! 部屋を開けるぞ!」

でも城内では特別な権利を持っている、バラストさんが全面協力してくれた。
お蔭で翌朝までに、全員のことを調べてことが出来た。

「えーと、この人はクロです。情報を賊に売っています!」

「ひっ、な、なんで分かった⁉」

結果として、数人の内通者を発見することに成功。
お金のために城の情報を、違う賊に売っていた人たちだ。



「ふう……まさか、こんなに内通者もいるとはな。だから、今まで賊が潜入してきたのか……」

全ての捕り物を終えて、バラストさんは深いため息をついていた。
城内の警備の担当は、この人が責任者だ。

今まで見つけられなかったことに関して、責任を感じているのだろう。

「まぁ、そこまで落ち込むことはないぜ、バラスト。結果オーライで、これから気を付けていけばいいことさ。だろ?」

「ああ、そうだな。こういう時は、貴殿のような性分はありがたい」

なんかバラストさんとゼオンさんが、いい感じ話をしている。
今宵の捕り物を通じて、二人の友情が強まったみたいな?

本当によかった。

――――そんな、さわやかな明朝の時間であった。

「バラスト殿、ここにいらっしゃいましたか⁉ 陛下がお呼びです! 支給、ハリト殿とゼオン殿と一緒に、謁見の間にお越しください!」

近衛騎士の人が、血相を変えて呼びに来た。

「ああ、すぐに行く……」

バラストさんの顔色が急に青くなる。
もしかしたら徹夜で城と王宮の中で、大捕り物をしたから、王様に怒られてしまうのかな。

かなり不安だ。

「すまないが、ハリト殿、ゼオン。一緒に来てくれ」

「はい!」

でもボクたちは何も悪いことはしていない。
胸を張って、謁見の間に向かうことにした。



結果として、王様は怒ってはいなかった。

「この度は、よくぞ未然に賊と、内通者を掴まえてくれた。感謝するぞ、バラストよ」

「はっ、有り難きお言葉!」

多くの賊たちを捕まえたことに、王様は気分を良くしていた。
何しろ王様の従者の中にも、変化した賊がいたのだ。

下手をしていたら、今宵の内に毒を盛られていた危険性も。
そのため王様はかなり上機嫌だ。

「恐れ多くも陛下! 今回のことは全て、ここにいるハリト殿の協力のお蔭でございます!」

「ほほう? 自分の手柄を、他人に譲るというのか? 欲深いお前にしては珍しいな、バラストよ?」

「はっ。恥ずかしながら私も、このハリト殿に命を救われた身。これ以上の欲を出したら、罰があたります」

何やらバラストさんはボクのことを、凄く認めてくれている。

昨夜はそれほど大したことを、ボクはしていない。
そこまで言われると、なんか恥ずかしくなってしまう。

「それでは冒険者ハリト。お主には改めて褒美を取らせよう」

「えっ、はい。ボクに褒美をですか?」

「ああ、そうだ。もちろん我が娘クルシュに関する以外のことでな?」

「そうですね……あっはっはは……」

王様から先に釘を刺さたので、笑ってゴマます。

でも褒美か……何を言えばいいのかな?
今、気になることを頼んでみよう。

まず出クルシュ姫のことは、遠くからでもいいので、もう少し調べてみたい。

あと城の警備のことの心配。
完全に怪しいひとは排除したけど、また族や内通者が忍び込む可能性もある。

今回は偶然、城にきた時に見つけただけ。
何か良い作戦はないかな?

ん?
あっ……そうだ。

これなら両方ともいけるかも。

王様に提案してみよう。

「もしも可能なら、“権利”が欲しいです、陛下」

「ん、権利だと? どんな権利だ? 土地や爵位の権利か?」

「いえ、違いますです。望むのは『自由にダラク城に出入りできる権利』です!」

「「「なっ……⁉」」」

ボクの提案を聞いて、隣のバラストさんと、後ろのゼオンさんが言葉を失っている。
他の近衛騎士の人たちも、かなり驚いた顔をしていた。

あっ……もしかしたら、マズイ望みを言っちゃった感じかな。
急いで訂正しないと。

だが王様が先に口を開く。

「はっはっは……どんな大きな望みかと思えば、たったそれだけのことか! 欲がない少年だな。よし、自由に出入りする権利を、与えよう、冒険者ハリトよ!」

「えっ? はい! ありがとうございます、陛下!」

こうしてボクは望みを叶えてもらった。

ここから先はどうするか、これから考えていこう。
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