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第32話:激戦
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巨大なドラゴン、“北の覇者”“古代竜”アバロン。
第二ラウンドが開幕した。
◇
アバロンは竜魔法で、自分の傷を回復。
全身の防御力と攻撃力も、強化してしまう。
『ギャァアアアアアアアア!』
怒りに満ちたアバロンの咆哮が、ダラク平原に響き渡る。
アバロンはそのまま急降下してきた。
「来るぞ! 長弓隊、今だ、射てぇえ!」
ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!
ダラク守備隊が、一斉に矢を放つ。
宮廷魔術師隊の強化も受けて、矢の雨はアバロンに襲いかかる。
カキン! カキン! カキン! カキン! カキン!
だが今回は全て弾かれてしまう。
竜魔法で防御された鱗を、誰も貫通出来なかったのだ。
「く、くそっ! 魔術師隊、放て!」
同時に宮廷魔術隊も、攻撃魔法を発動。
アバロンを迎撃する。
ヒューン、ガギン! ガキン!
無数の攻撃魔法が、アバロンに直撃。
だが魔法でもダメージ与えられない。
竜魔法によって、対魔法防御も向上していたのだ。
『ガァラァー!』
直後、アバロンが口を大きく開ける。
火炎吐を吐き出そうとしているのだ。
「ちっ! 【耐火】の魔法の発動だ!」
「「「はい!」」」
神官長の悲痛に近い号令に従い、神官戦士団は防御系の聖魔法を発動。
シャーーン!
長弓隊の身体と、控えていた大盾隊が明るく光る。
ゴォオオオオオオオ!
直後、地獄の業火のような炎が、城壁の兵士たちを襲う。
彼らなんとか大盾と耐火の魔法で、防御している。
――――だが……彼らは無事ではなかった。
「うわぁあ!」
「ひ、退けぇ!」
竜魔法によって火炎吐も強化されていた。
大盾と耐火の防御力を、貫通してしまったのだ。
「ゼオンさん、ボクも回復と防御を!」
「ああ、頼んだぞ、ハリト!」
攻撃系の魔法では、周りに被害を出してしまう。
だが回復と防御魔法なら、大丈夫だ。
ボクは意識を集中。
「ふう……いきます、【広範囲治癒】!」
聖魔法を即座に発動。
治癒の対象は、火傷の怪我を負っている人たちに。
ヒュイ――――ン!
発動に無事成功。
初めて使う大規模の大人数だったけど、なんとか発動できた。
「おお⁉ け、怪我が治っているぞ⁉」
「どうしてだ⁉」
「よく分からないが、助かった!」
兵士たちの士気も回復している。
これならまだ戦えそうだ。
よし、次の魔法も発動する。
「ふう……いくぞ、【完全探知補助】!」
味方の補助系の魔法を発動。
これは王城で賊探索用に、新たに作り出したオリジナル魔法。
【完全探知】と【鑑定】の効果を持つ。
味方の位置と怪我の状態を、発動中は常にオレが把握できる。
ダメージを受けた人から、優先的に遠距離で回復魔法をかけていく作戦だ。
「ん? 今のは? また何ややったのか、ハリト?」
「はい、ゼオンさん。とりあえず味方のダメージは、これで常時回復していけます!」
「な、何だと!? そいつはスゲェな!」
「でも弱点もあります。即死の人は助けられないです。申し訳ないですが」
「いや、それでもかなりの効果がある! おい、伝令! 他の部隊にも伝えろ! うちの守護神様が、スゲエ支援魔法を発動した。即死攻撃だけ、各自で気を付けろと!」
「「「了解!」」」
ギルドメンバーの伝令の人たちが駆けていく。
【完全探知補助】の効果を、上手く各部隊の人たちに伝えにいってくれたのだ。
冒険者ギルドは戦闘とサポートを両方行える、貴重な部隊なのだ。
「よし、ハリトのお蔭で防御と回復は、目途がついた。あとは攻撃か……ハリト、どうだ。いけそうか?」
「うーん、普通の攻撃魔法だと、あの竜魔法の防御の前には、効果はないと思います。かなり強力な攻撃魔法じゃないと……」
「やはり、そうか。だが、それは最後の手段だ。周辺の被害が読めないからな」
「はい、分かりました」
ボクは今まで本気で攻撃魔法を、こうした密集地で放ったことはない。
何しろ家族に鍛えられた時は、いつも人里離れた荒野だった。
だから攻撃魔法の調整が難しいのだ。
あと麻痺や睡眠系の状態異常の魔法も、アバロンには通じないだろう。
家の辞典に“古代竜”には、状態異常系は効きにくいと書いてあったのだ。
『ガァラァー!』
上空のアバロンに動きがある。
また急降下して、口を大きく開ける。
火炎吐を吐き出そうとしているのだ。
あれはマズイ。
ボクは意識を集中。
「ふう……【広域耐火】!」
防御系の聖魔法を発動。
神官戦士団の先ほどの【耐火】を、強制的に上書きしていく。
ゴォオオオオオオオ!
直後、地獄の業火のような炎が、城壁の兵士たちを襲う。
ヒュィイイーーン!
今回、彼らは無事だった
【広域耐火】で完全に、火の攻撃を防げたのだ。
「おお、何だ⁉ この身体の光は⁉」
「これがダラク守護神の力か!」
「よし、反撃だ!」
精鋭部隊は弓矢と攻撃魔法で、反撃をしかけていく。
ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!
カキン! カキン! カキン! カキン! カキン!
ヒューン、ガギン! ガキン!
無数の矢と攻撃魔法が、アバロンに直撃。
だが今回もダメージ与えられない。
やはり竜魔法によって防御が、かなり向上していたのだ。
『ギャァアアアアアアアア!』
自慢の火炎吐が通じず、アバロンは上空に離脱していく。
今回はお互いにノーダメージだ。
「ふう……ありがとうな、ハリト。助かったぜ」
「いえいえ。防御系の魔法なら、気兼ねなく発動できるので、何でも注文してください!」
「ああ、分かった。だが、このままだとジリ貧で、こっちがマズいな」
ゼオンさんが焦る気持ちは分かる。
互いの攻撃は、有効打にならない。
でもアバロンは常に空を飛んでいて、攻撃のタイミングを制している。
一方で精鋭部隊は地上で迎撃するだけ。
状況的に、こっちが圧倒的に不利なのだ。
――――そんな時、上空のアバロンに新たな動きがある。
何かの竜魔法を詠唱しているのだ。
「ん? あれは……なんだ? あっ、もしかして!」
気がついた時は遅かった。
新たな竜魔法が発動されてしまう。
シュイーーン! シュイーーン! シュイーーン! シュイーーン!
ダラクの街の中に、異変が起きる。
灼熱色の柱が、無数に上がっていくのだ。
「ん? なんだ、ありゃ? 攻撃魔法か? だが、あまり意味はないぜ、あんなのは?」
ゼオンさんが安堵するには訳がある。
今、ダラク市民は全て、自宅の地下に避難している。
多少の攻撃魔法では、それほど市民には被害は出ないのだ。
「いえ、ゼオンさん、あれは攻撃魔法じゃないです!」
「なんだと、ハリト⁉ それじゃアレは何だ?」
「あれは召喚魔法です……恐らく」
ボクの予想は当たってしまう。
ダラクの街の至るところに、馬のように大きな炎のトカゲが出現したのだ。
その数数十以上。
「召喚魔法だと? あれは、まさか⁉」
「はい、火蜥蜴です。このままだと街とダラク城が危険です!」
こうして“古代竜”アバロン戦は、佳境に突入するのであった。
第二ラウンドが開幕した。
◇
アバロンは竜魔法で、自分の傷を回復。
全身の防御力と攻撃力も、強化してしまう。
『ギャァアアアアアアアア!』
怒りに満ちたアバロンの咆哮が、ダラク平原に響き渡る。
アバロンはそのまま急降下してきた。
「来るぞ! 長弓隊、今だ、射てぇえ!」
ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!
ダラク守備隊が、一斉に矢を放つ。
宮廷魔術師隊の強化も受けて、矢の雨はアバロンに襲いかかる。
カキン! カキン! カキン! カキン! カキン!
だが今回は全て弾かれてしまう。
竜魔法で防御された鱗を、誰も貫通出来なかったのだ。
「く、くそっ! 魔術師隊、放て!」
同時に宮廷魔術隊も、攻撃魔法を発動。
アバロンを迎撃する。
ヒューン、ガギン! ガキン!
無数の攻撃魔法が、アバロンに直撃。
だが魔法でもダメージ与えられない。
竜魔法によって、対魔法防御も向上していたのだ。
『ガァラァー!』
直後、アバロンが口を大きく開ける。
火炎吐を吐き出そうとしているのだ。
「ちっ! 【耐火】の魔法の発動だ!」
「「「はい!」」」
神官長の悲痛に近い号令に従い、神官戦士団は防御系の聖魔法を発動。
シャーーン!
長弓隊の身体と、控えていた大盾隊が明るく光る。
ゴォオオオオオオオ!
直後、地獄の業火のような炎が、城壁の兵士たちを襲う。
彼らなんとか大盾と耐火の魔法で、防御している。
――――だが……彼らは無事ではなかった。
「うわぁあ!」
「ひ、退けぇ!」
竜魔法によって火炎吐も強化されていた。
大盾と耐火の防御力を、貫通してしまったのだ。
「ゼオンさん、ボクも回復と防御を!」
「ああ、頼んだぞ、ハリト!」
攻撃系の魔法では、周りに被害を出してしまう。
だが回復と防御魔法なら、大丈夫だ。
ボクは意識を集中。
「ふう……いきます、【広範囲治癒】!」
聖魔法を即座に発動。
治癒の対象は、火傷の怪我を負っている人たちに。
ヒュイ――――ン!
発動に無事成功。
初めて使う大規模の大人数だったけど、なんとか発動できた。
「おお⁉ け、怪我が治っているぞ⁉」
「どうしてだ⁉」
「よく分からないが、助かった!」
兵士たちの士気も回復している。
これならまだ戦えそうだ。
よし、次の魔法も発動する。
「ふう……いくぞ、【完全探知補助】!」
味方の補助系の魔法を発動。
これは王城で賊探索用に、新たに作り出したオリジナル魔法。
【完全探知】と【鑑定】の効果を持つ。
味方の位置と怪我の状態を、発動中は常にオレが把握できる。
ダメージを受けた人から、優先的に遠距離で回復魔法をかけていく作戦だ。
「ん? 今のは? また何ややったのか、ハリト?」
「はい、ゼオンさん。とりあえず味方のダメージは、これで常時回復していけます!」
「な、何だと!? そいつはスゲェな!」
「でも弱点もあります。即死の人は助けられないです。申し訳ないですが」
「いや、それでもかなりの効果がある! おい、伝令! 他の部隊にも伝えろ! うちの守護神様が、スゲエ支援魔法を発動した。即死攻撃だけ、各自で気を付けろと!」
「「「了解!」」」
ギルドメンバーの伝令の人たちが駆けていく。
【完全探知補助】の効果を、上手く各部隊の人たちに伝えにいってくれたのだ。
冒険者ギルドは戦闘とサポートを両方行える、貴重な部隊なのだ。
「よし、ハリトのお蔭で防御と回復は、目途がついた。あとは攻撃か……ハリト、どうだ。いけそうか?」
「うーん、普通の攻撃魔法だと、あの竜魔法の防御の前には、効果はないと思います。かなり強力な攻撃魔法じゃないと……」
「やはり、そうか。だが、それは最後の手段だ。周辺の被害が読めないからな」
「はい、分かりました」
ボクは今まで本気で攻撃魔法を、こうした密集地で放ったことはない。
何しろ家族に鍛えられた時は、いつも人里離れた荒野だった。
だから攻撃魔法の調整が難しいのだ。
あと麻痺や睡眠系の状態異常の魔法も、アバロンには通じないだろう。
家の辞典に“古代竜”には、状態異常系は効きにくいと書いてあったのだ。
『ガァラァー!』
上空のアバロンに動きがある。
また急降下して、口を大きく開ける。
火炎吐を吐き出そうとしているのだ。
あれはマズイ。
ボクは意識を集中。
「ふう……【広域耐火】!」
防御系の聖魔法を発動。
神官戦士団の先ほどの【耐火】を、強制的に上書きしていく。
ゴォオオオオオオオ!
直後、地獄の業火のような炎が、城壁の兵士たちを襲う。
ヒュィイイーーン!
今回、彼らは無事だった
【広域耐火】で完全に、火の攻撃を防げたのだ。
「おお、何だ⁉ この身体の光は⁉」
「これがダラク守護神の力か!」
「よし、反撃だ!」
精鋭部隊は弓矢と攻撃魔法で、反撃をしかけていく。
ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン!
カキン! カキン! カキン! カキン! カキン!
ヒューン、ガギン! ガキン!
無数の矢と攻撃魔法が、アバロンに直撃。
だが今回もダメージ与えられない。
やはり竜魔法によって防御が、かなり向上していたのだ。
『ギャァアアアアアアアア!』
自慢の火炎吐が通じず、アバロンは上空に離脱していく。
今回はお互いにノーダメージだ。
「ふう……ありがとうな、ハリト。助かったぜ」
「いえいえ。防御系の魔法なら、気兼ねなく発動できるので、何でも注文してください!」
「ああ、分かった。だが、このままだとジリ貧で、こっちがマズいな」
ゼオンさんが焦る気持ちは分かる。
互いの攻撃は、有効打にならない。
でもアバロンは常に空を飛んでいて、攻撃のタイミングを制している。
一方で精鋭部隊は地上で迎撃するだけ。
状況的に、こっちが圧倒的に不利なのだ。
――――そんな時、上空のアバロンに新たな動きがある。
何かの竜魔法を詠唱しているのだ。
「ん? あれは……なんだ? あっ、もしかして!」
気がついた時は遅かった。
新たな竜魔法が発動されてしまう。
シュイーーン! シュイーーン! シュイーーン! シュイーーン!
ダラクの街の中に、異変が起きる。
灼熱色の柱が、無数に上がっていくのだ。
「ん? なんだ、ありゃ? 攻撃魔法か? だが、あまり意味はないぜ、あんなのは?」
ゼオンさんが安堵するには訳がある。
今、ダラク市民は全て、自宅の地下に避難している。
多少の攻撃魔法では、それほど市民には被害は出ないのだ。
「いえ、ゼオンさん、あれは攻撃魔法じゃないです!」
「なんだと、ハリト⁉ それじゃアレは何だ?」
「あれは召喚魔法です……恐らく」
ボクの予想は当たってしまう。
ダラクの街の至るところに、馬のように大きな炎のトカゲが出現したのだ。
その数数十以上。
「召喚魔法だと? あれは、まさか⁉」
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