まわる車

トマト

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問題編?

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久男は、警察官を横目で、チラチラみながら電話で、政夫に怒っていた。


今日 、久男は郊外の大型スーパーに買い物にきたのだが、スーパーの駐車場が あまりに混んでいたので、近くの空港用の駐車場に車をとめておいた。

ところが、買い物を終えて、駐車したはずのDの7に、もどると、車がない。

広い駐車場なので、間違えたかもしれないと、周りを全部確認してみた。黒いレクサス。ナンバーはうろ覚えだ。98◯□。。やはり、ない。


困った。盗まれたんだろうか。。。

実は、車は友人の政夫に借りたものだった。
しかも、中には、バイクを買おうと貯めたお金、100万円のはいった封筒も置いたままだったのだ。

仕方ない。警察に連絡しよう。

すぐ、近くに派出所があったので、そこで、警察官に説明をする。

「ああ、今 高級車ねらいがこのあたりで、おおいんですよねー」

「そうなんですか。。お金も置いてあってー。」

「それは、無用心ですね。気をつけたほうがいいです。」

「はあ。それから、実は盗まれたのは僕の車じゃなくて、友達に借りたものなんです。」

「ふむ。それでは、そのかたにも来ていただきたいんですが。連絡とってもらえますか」

「はい。わかりました」

トゥルトゥルートゥルトゥルー

「あ。久男?ごめん。おれ、政夫。」

(携帯に表示されるから、わかってるよ)

「ごめん。ほんと、ごめんなんだけどさあ。車借りたじゃん。あれ、盗まれちゃってさあ。。。」

(はああああ。フザケンナ!
お前なにやってんだよー)

「ほんと、ごめん。でさあ。おまわりさんが、持ち主にも来てもらえって」

(いや。ムリムリ。無理だって。あの車、俺んのじゃないもん。一樹のだもん。)

「えーー。一樹って、だれだよ。お前、車又貸ししたってこと?俺から、借り賃8000円とったよなあ。」

(俺だって、一樹から借りるのに、5000円払ったんだからー)

「3000円、増えてんじゃん!」

警官が コホンと咳払いをした。

「ま、いいや。じゃあさ、その一樹ってのに、事情を話して きてもらえないかなあ」

(えーーー。やだよ。一樹、怖いもん)

「怖くても放っておけないだろう」

(じゃあ、お前、電話しろよ。番号教えるから)

仕方なく、久男は一樹に電話することにした。

トゥルトゥルー

『。。だれ?』

不機嫌 極まりない声だった。

「申し訳ありません。わたくし、政夫の友人で久男と申します。じつは。。。。。。」

かくかくしかじかと、説明し終わると

『テメエ、なにしてくれてんだああ。』
鼓膜が破れそうな勢いで怒鳴られた。

「申し訳ありません。申し訳ありません。でも、持ち主にきていただかないと。。。。」

『俺のじゃねえよー。俺も、郷原センパイから、借りてるんだよお。俺、殺されちまうよおー』

「えええええ。そんな怖いかたなんですか。」

震えながら、きくと

『怖いなんてもんじゃねえ。いろいろ、悪いことしてっからよお。あの車だって、センパイのだけど、センパイのじゃねえと思うぜ。』

「は?どういうことでしょう。」

『大きな声では、言えないけどなあ。センパイ、高級車の盗みをやってるらしい。
港とか飛行場の駐車場とか、何日も停まってる車あるだろ。ああいうのは、狙い目だって、いってたぜ。
下手に盗難届だしたら、その車、盗難車ですってことになるかもよ』

「えええええ。ぼ、ぼく、どうしたら、いいんでしょう。もう、おまわりさんとこ、きちゃったんですけど。。。ってか、、」

声をひそめて きいてみる
「その郷原センパイ、まさか、前盗んだ車、また盗んじゃったってことないでしょうね」

「。。。。なくは、ないかもな!』

「えーー。そんなあ」


。。《その二時間前 空港駐車場》。。


空港ロビーから、ある家族が出てきた。

「ママ、ハワイ楽しかったね。」
「ええ。また、いきましょうね」

先に行っていたパパが キョロキョロしながら、戻ってきた。

「パパ、どうしたの?」

「車が、ないんだよ。たしかBの1エリアだったはずなんだが。。。。。。」

「ホントにBなの?パパ、よく間違えるからー」

「絶対そうだって」

夫婦が 軽い言い争いをしそうになったとき


「パパ。これ、うちの車じゃない?」

娘がすぐ近くの車をゆびさした。

黒のレクサス ナンバーは98◯□

「あ、ほんとだ」

この辺りは Dの7エリアだ。

「ほらーBじゃなくてDだったのよー」

「おかしいなあ」

「もう、いいから、早く帰ろうよ」

娘に促されて、車に乗り込む。

後部座席に座った娘が座席の隙間から、封筒をみつけてママに渡す。

チラリと中をみたママは  指を唇にあて、娘に耳打ちする。
「これは、ママのよ。パパには内緒ね」


(パパったら、こんなとこに へそくり隠しておくなんて。ふふふ。もらっちゃおっと。。。)


シートの位置を調整して首をかしげているパパにみつからないように、ママはこっそり、封筒をバッグにしまいこんだ。




(ん?なんだかよくわからない?ですよね。では、次のページで時系列にみていきましょう)


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