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第四話 城郭都市
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「とりあえず近くの村か街を探しましょう!」
マリは草原を囲うようにそびえ立つ山の間を指差し言った。
色々ありすぎて疲れていた正はあまり乗り気ではなかったがマリの笑顔に負けて山あいへ行くことになった。
もちろん辺りは見渡す限り草原なのでトラックで向かうことにした。
心配なのは軽油の残量だったが、マリ曰く
「こっちにそんな物はないので、多分永久に動き続けますよ。ある種このトラックは世界のバグみたいな物なので」
だそうだ。
一番の問題が解決した所で
正はいつもの運行前点検から始めた。
異世界まで一緒にぶっ飛ばされてきた車体だ
ウインカーやランプ類はいいとして
タイヤに亀裂でも入っていたら一大事だ。
隅々まで目視で確認した所
大きな損傷は無さそうで一先ず安心した。
助手席に既に乗っていたマリに声をかける。
「それじゃ、行こうか。」
キーを差し込みエンジンを始動する。
ディーゼルエンジン特有の揺れが二人を襲う。
正はいつも乗っているので気にならないが
マリは違ったらしい。
「こ、これ 凄い揺れてますけど
大丈夫なんですか!?」
その声すら震えていて面白かったのだが
正は笑いを堪えて答える。
「ディーゼルエンジンはこんなもんだよ。」
正がマリの事を笑わなかったのは
自分もマリのように怯えていた時期があったからだ。
小学5年生の頃学校の資源回収で父に乗せてもらった2tトラックでこれに近い揺れを体験し泣きそうになった覚えがある。
あの時は
「こんな乗り物誰が好き好んで乗るんだ」
と思ったが、それが今では20tトラックを運転しているのだから人生というのは全くもって分からないものだ。
起伏の緩やかな草原を20tトラックが駆ける。
先程マリが指をさしていた山あいの近くまで来ると草原の草は徐々に薄くなっていった。
薄くなった草原の先は土が露出しており、その土の上には正たちの視線を遮るように高さ5m程、石材らしきもので作られた城壁がそびえ立っていた。
それは現代では中々お目にかかれない城郭都市そのものだった。
「マリ、これこのまま行ったらまずくない?」
正は心配になりマリに尋ねたが。
「いやぁ~大丈夫でしょ!」
と恐らく何も考えていない回答が返ってきた。
まぁそんな事だろうと思った。
正は心の中で呟き、脳内お花畑神様の言う事を完全に聞き流した。
その後、城壁からかなり離れた所で
一旦トラックを停め考えを巡らせた。
その間も脳内お花畑神様は
「ねーえー、大丈夫だって。」だの
「はーやーくー」だの
言ってきたが、最終的に正が出した結論は
『トラックを降りて、歩きで街に入る』
だった。
理由としては
・ここが未知の異世界であること
・トラックに乗っていては住人に怪しまれる
などが挙げられたが、一番の理由は
・自称神様の言うことは信用ならないから
だった。
トラックはとりあえず人目につかない場所に置いて歩きで城壁に向かった。
城壁に近づくにつれ段々と壁の細部が見えてきた。
壁は左右の山の斜面を繋ぐように横に5kmほど続いており所々に城門が設けられていた。
それを見ながら
「マリ、あれ多分入国検査的なものだよね」
「はい、多分そうですね」
「どうやって通るつもり?」
「まぁ...ノリで!」
と毎度のネタを繰り広げた後
「よしっ、行きますか!」
とマリが門に向かって走り出した。
どうやら本当にノリでどうにかするつもりらしい。
マリは草原を囲うようにそびえ立つ山の間を指差し言った。
色々ありすぎて疲れていた正はあまり乗り気ではなかったがマリの笑顔に負けて山あいへ行くことになった。
もちろん辺りは見渡す限り草原なのでトラックで向かうことにした。
心配なのは軽油の残量だったが、マリ曰く
「こっちにそんな物はないので、多分永久に動き続けますよ。ある種このトラックは世界のバグみたいな物なので」
だそうだ。
一番の問題が解決した所で
正はいつもの運行前点検から始めた。
異世界まで一緒にぶっ飛ばされてきた車体だ
ウインカーやランプ類はいいとして
タイヤに亀裂でも入っていたら一大事だ。
隅々まで目視で確認した所
大きな損傷は無さそうで一先ず安心した。
助手席に既に乗っていたマリに声をかける。
「それじゃ、行こうか。」
キーを差し込みエンジンを始動する。
ディーゼルエンジン特有の揺れが二人を襲う。
正はいつも乗っているので気にならないが
マリは違ったらしい。
「こ、これ 凄い揺れてますけど
大丈夫なんですか!?」
その声すら震えていて面白かったのだが
正は笑いを堪えて答える。
「ディーゼルエンジンはこんなもんだよ。」
正がマリの事を笑わなかったのは
自分もマリのように怯えていた時期があったからだ。
小学5年生の頃学校の資源回収で父に乗せてもらった2tトラックでこれに近い揺れを体験し泣きそうになった覚えがある。
あの時は
「こんな乗り物誰が好き好んで乗るんだ」
と思ったが、それが今では20tトラックを運転しているのだから人生というのは全くもって分からないものだ。
起伏の緩やかな草原を20tトラックが駆ける。
先程マリが指をさしていた山あいの近くまで来ると草原の草は徐々に薄くなっていった。
薄くなった草原の先は土が露出しており、その土の上には正たちの視線を遮るように高さ5m程、石材らしきもので作られた城壁がそびえ立っていた。
それは現代では中々お目にかかれない城郭都市そのものだった。
「マリ、これこのまま行ったらまずくない?」
正は心配になりマリに尋ねたが。
「いやぁ~大丈夫でしょ!」
と恐らく何も考えていない回答が返ってきた。
まぁそんな事だろうと思った。
正は心の中で呟き、脳内お花畑神様の言う事を完全に聞き流した。
その後、城壁からかなり離れた所で
一旦トラックを停め考えを巡らせた。
その間も脳内お花畑神様は
「ねーえー、大丈夫だって。」だの
「はーやーくー」だの
言ってきたが、最終的に正が出した結論は
『トラックを降りて、歩きで街に入る』
だった。
理由としては
・ここが未知の異世界であること
・トラックに乗っていては住人に怪しまれる
などが挙げられたが、一番の理由は
・自称神様の言うことは信用ならないから
だった。
トラックはとりあえず人目につかない場所に置いて歩きで城壁に向かった。
城壁に近づくにつれ段々と壁の細部が見えてきた。
壁は左右の山の斜面を繋ぐように横に5kmほど続いており所々に城門が設けられていた。
それを見ながら
「マリ、あれ多分入国検査的なものだよね」
「はい、多分そうですね」
「どうやって通るつもり?」
「まぁ...ノリで!」
と毎度のネタを繰り広げた後
「よしっ、行きますか!」
とマリが門に向かって走り出した。
どうやら本当にノリでどうにかするつもりらしい。
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