好きな人は兄のライバル〜魔導師団団長編〜【本編完結】

ドール

文字の大きさ
6 / 103

5.ダンス対決 後編

 ダンスが終盤になり、そろそろ団長対決である。 

 ダンスの前にリーディアは、シリウスとたくさん話をした。兄の弱点を探るような会話もみられたが、リーディアは思い人と一緒にいれて幸せだった。
 もちろん、ダンスの打ち合わせも行った。あとは、どんなテンポの曲が流れるかが重要だ。


「さぁ、最後だね。2人とも、準備はいいかい?」
皇太子は2人に合図した。

曲の変わり目で、リーディアはシリウスに手を引かれ踊り出す。テンポは遅すぎず、早すぎない曲だ。
 リーディアの腰にはシリウスの手が添えられ、リーディアはとても恥ずかしかったが、やっと踊りたかった相手と踊る機会が貰えて、夢みごこちだった。ステップも軽やかにこなせる余裕がある。


「上手いじゃないか、謙遜するくらいだから、リードをしっかりしないといけないかと思ったが」
シリウスはリーディアのダンスに満足しているようだ。

「ありがとうございます。一応公爵令嬢ですから、恥をかかせない程度には踊れますよ?シリウス様のリードがよくて、踊りやすいですし」

「ふっ、君は私をたててくれるのだな。あいつと違ってリードはどうだ?私の方が上手いか?」
 シリウスはちらりと、ジルベルトに視線を移す。

「はい。とても踊りやすいです。兄はちょっと強引なので、合わせる方は疲れるかと思います。」

「そうか、君もあいつが兄で大変だな。そのドレスは余り見たことがない形だと思うが、あいつの指定なのか?」


「よくわかりましたね。兄の指定です。動きやすいようにマーメイドラインでもスリットが入っています。実はこれは、シアがデザインしてくれたんですが、スリットがはいっているので、恥ずかしくて勿体ないですが、着たことがなかったのです」
 リーディアはドレスの感想をシリウスがくれるとは思わず、照れたような自然な笑みを浮かべる。


「そうか、シアがデザインを。だから普通のドレスと違ったのか。君によく似合っているよ。素敵なラインがでて、君にピッタリだ。とても、魅力的だと思うよ。シアは本当にセンスがあるな」
 リーディア褒められているのだろうが、ほぼシアの名前がでてくるため、苦笑いだ。


 音楽が変わり、少しテンポが速くなった。

「少し、君を試してみてもいいかな?練習の成果とやらを」
 シリウスはリーディアの返事をまたず、逆ステップを踏み出した。しかし、しっかりリードするようにピッタリと体が密着しているため、なんとかついていくことができた。

「シリウス様!いきなりだと、びっくり致します。」
リーディアはシリウスのために必死だ。


「でも、大丈夫だっただろう?しっかりと支えているし。特訓の成果なのだろうな」
 シリウスは悪戯心なのか、たびたびステップをかえ、リーディアを翻弄した。自然と互いに笑みを浮かべ、周りからみたら相思相愛のようだった。互いにパートナーをかえたとは思えないくらい、息はあっている。お互いのドレスが彼らの瞳の色だと気づいた者もいただろう。

音楽がとまり、拍手が響いた。
 すっかり勝負をしていたことを忘れるほど、すっきりしていた。


「ありがとう。とてもよかったよ。もともとパートナーだったかと錯覚するほどの、息の合わせ方だったよ」
皇太子殿下が兄たちに声をかける。
「この勝負、どうだろうね。どちらがより素晴らしかったか。僕の一存で決めていいものかな。勿体無いし、会場の皆様方の拍手の多さで決めてみようか。」


皇太子殿下はジルベルト、シリウスの順で名前をあげる。
 どうやら、拍手の量は、シリウスの方が多いようだった。

「実に素晴らしかったよ。息のあったステップの切り替えに何度も挑戦して、ひきつけられたよ。ジルベルト達も負けてはいなかったが、今回はシリウスの方に多くの者たちが魅力されたみたいだね。」
 皇太子はお開きの挨拶をしてパーティは終了した。


 シリウスは帰りの馬車まで、リーディアをエスコートしてくれた。
「君のおかげだ。リーディア嬢。ありがとう。また君となら一緒にダンスを踊ろう。」

「はい、ぜひ。でも次はゆっくりとしたのも・・・お願い致しますね」

「ああ、善処しよう。今日の勝利の女神。では、ディア嬢良い夢を」
シリウスはリーディアの手の甲に口付け去っていった。その後のことは曖昧で、記憶にないのだった。
感想 6

あなたにおすすめの小説

仮面王の花嫁

松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。 しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

【完結】好きでもない私とは婚約解消してください

里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。 そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。 婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。

心配するな、俺の本命は別にいる——冷酷王太子と籠の花嫁

柴田はつみ
恋愛
王国の公爵令嬢セレーネは、家を守るために王太子レオニスとの政略結婚を命じられる。 婚約の儀の日、彼が告げた冷酷な一言——「心配するな。俺の好きな人は別にいる」。 その言葉はセレーネの心を深く傷つけ、王宮での新たな生活は噂と誤解に満ちていく。 好きな人が別にいるはずの彼が、なぜか自分にだけ独占欲を見せる。 嫉妬、疑念、陰謀が渦巻くなかで明らかになる「真実」。 契約から始まった婚約は、やがて運命を変える愛の物語へと変わっていく——。

【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~

塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます! 2.23完結しました! ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。 相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。 ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。 幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。 好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。 そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。 それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……? 妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話 切なめ恋愛ファンタジー

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない

たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。 あなたに相応しくあろうと努力をした。 あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。 なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。 そして聖女様はわたしを嵌めた。 わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。 大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。 その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。 知らずにわたしはまた王子様に恋をする。