11 / 106
11.怒っていると思われた
しおりを挟むルシウスはあれから、ワイアットにもすまなかったと謝罪をしてからレミリアを馬車までエスコートした。
一緒に馬車に乗ると、ルシウスはレミリアに友人を侮辱してしまった事も誤り、いつもの表情、無言な彼に戻ってしまった。いつもならレミリアから話を続ける所だが、もうレミリアは変わる事にしたのだ。
彼を好きな自分から・・・。これ以上好きにならないために。
レミリアから話さないため、馬車の中は沈黙し、ルシウスが何か言いたげな表情をして、こちらを伺う様に見ていた。
朝と同様、ルシウスはレミリアの隣に座っているが、レミリアは窓の外の風景を眺める事にし、ルシウスの視線に気づかないふりをする事にした。
「・・・怒っているのか」
しかし、ルシウスは沈黙を破り、レミリアに問いかけてきた。ルシウスはレミリアが話さないのを、怒っているのだと勘違いしたようだった。
聞かれているのに返事を返さないわけにはいかないため、レミリアは怒っていないと返すのだが、ルシウスは納得しなかった。
「なら・・・何故何も、言わないんだ」
ルシウスはレミリアが無言な理由を聞いてくる。
レミリアからしたら、彼を好きな気持ちを無くしたいのだ。だから距離を置きたい。その方が後から何を言われても傷つく大きさが違うから・・・。
だからレミリアはルシウスに返事を返す事なく逆に聞きかえす。
「何を言って欲しいんですか」
「・・・やはり怒っているのか。いつもなら、レミリアは他愛ない事を話してくれるだろう。それにそんな言い方はしない」
レミリアは、ルシウスの言葉にショックを受けた。
レミリアの話は、ルシウスにとってどうでもいい話と思われていた事に・・・。
「ですから、怒っていません。別に話す事が思いつかないだけです」
レミリアは怒ってはいないと言ったのに、黙り込んだだけでそう思われたのが心外だった。
「・・・・・・やはり怒っているな」
「・・・今怒りました。話さないだけで、そう思われたから」
レミリアは正直にルシウスにいう。
「そうか」
ルシウスはそれだけいうと、フッと笑みをこぼした。
「何で笑うのですか・・・」
ルシウスの貴重な笑みに、レミリアはどきりとしたが、それと同様に、なんだかバカにされたような気もしてしまい、つい会話を続けてしまう。
「いや、すまない。レミリアが可愛いくてな」
「そっそんなわけッ」
ルシウスの可愛い発言により、レミリアは頬を赤らめて動揺してしまう。今まで言われたこともないのだから仕方ない。
「・・・可愛いさ。赤くなるレミリアは貴重で特にな」
ルシウスはレミリアの火照る頬に手をのばして、さらにレミリアの腰を抱くように引き寄せた。
「そんなにッ触れないで下さい」
急に近くなった距離にレミリアはさらに狼狽える。
「何故」
「何故って・・・」
レミリアはルシウスの疑問にすぐに答えられない。婚約者同士ならこれくらいは普通な事だから。
しかしレミリアは、ルシウスに婚約解消を告げた身なのだ。それに、今までこのように触れ合う事も、軽いスキンシップでさえも自分達は今までしてこなかった。
だから普通の婚約者同士と基準を同じにしてはいけないと、レミリアは思った。
「君の友人、ロドバス嬢が言っていたじゃないか・・・ 我慢してるんだから、学園にいる間、好きな人と好きな様に触れ合い、過ごしたっていいと。彼女のいうことに、初めて感銘を受けたよ。だから俺もしたいようにする事にした」
そういい、ルシウスはレミリアの顎を掬い、許可もなく自身の唇を重ねてきたのだった。
454
あなたにおすすめの小説
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
もう何も信じられない
ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。
ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。
その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。
「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」
あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。
ガネット・フォルンは愛されたい
アズやっこ
恋愛
私はガネット・フォルンと申します。
子供も産めない役立たずの私は愛しておりました元旦那様の嫁を他の方へお譲りし、友との約束の為、辺境へ侍女としてやって参りました。
元旦那様と離縁し、傷物になった私が一人で生きていく為には侍女になるしかありませんでした。
それでも時々思うのです。私も愛されたかったと。私だけを愛してくれる男性が現れる事を夢に見るのです。
私も誰かに一途に愛されたかった。
❈ 旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。の作品のガネットの話です。
❈ ガネットにも幸せを…と、作者の自己満足作品です。
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる