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〜ルシウス視点〜
11.
しおりを挟むルーナはレミリアからの返事を待っている。緊張しながらも期待した目でレミリアを見ていた。
「あの、私、レミリア様が編まれたレース飾りを拝見してから、レミリア様の作品のファンで・・・ずっと見ていたいくらい繊細で素敵なデザインの作品を作られるレミリア様に、憧れてました」
ルーナはレミリアの手作りのレース飾りを、チャリティに参加した時に見たようで、毎回参加してはレミリアの作品を収集しているのだ。
「・・・・・・・・・・・・そう」
だが、レミリアはどこか覇気がなく、返事はそっけなかった。
「今日、紹介してもらって、お話できて、とても嬉しいです」
ルーナは一生懸命気持ちを伝える。真っ直ぐレミリアをみて、輝くような瞳を向けていた。
「まあ、レミリアのレース作品が素晴らしいというのは真実ね。それ以外にも、もちろん刺繍も素晴らしいけど・・・ でもレミリアは作品を自分のだと公表していないはずなんだけれど?」
ロドバス嬢がレミリアの事をどうして知っているのかと聞いてくる。
「それはもちろん、ルシウス様に教えてもらいました」
ルーナは、皆の前でいつものようにルシウスの名を口にしてしまい、皆んなの見る目が冷ややかなものに変わった。
ルーナの発言で、場の空気がピリピリしたものに変わったのを感じる。ルーナがルシウスの名を口にした事で、特に女性陣のルーナを見る目が冷ややかなものに変わったのだ。
「・・・レミリアの前で、彼女の婚約者を名前で呼ぶなんて、どういうつもりなのかしら」
ロドバス嬢がいち早く苦言をこぼし、ルーナに厳しい目線を向けて非難する。
「本当に・・・最低限のマナーができない人をお連れしたようね」
それに続き、ヴァークレイ嬢もルシウスを見ながら、冷ややかな視線を送った。
ヴァークレイ嬢の言葉にレミリアはハッとしたように、口に手を当てルシウスを見てきた。今まで兄と間違って呼ばないために名前で呼ぶようにしていたのが仇になったようだ。
まだまだ未熟なルーナはつい口が滑ってしまい、泣きそうな顔をしてしまっていた。
「彼女はマナーがなっていないわけではない。私が名を呼ぶ許可をだしていたから言ってしまっただけだ」
ルシウスはルーナをフォローするが、マナーができていないと直接言われため、つい口調が強くなっていた。
「あら、わざわざ許可を・・・。けれども普通なら、目の前にその方の婚約者がいるのだから名前を呼ぶのはいけないことだと気づかないかしら?私なら喧嘩を売られたと思いますわ」
ヴァークレイ嬢の発言に隣の席のロドバス嬢は力強く頷く。この2人はレミリアの友人だが、心優しいレミリアがそのように思うわけないのに、何を言っているんだと思った。
「貴方とレミリアは違う。レミリアならそんなふうには思わない」
「あら?そうかしら。人の婚約者の名前を目の前で呼ばれて不快にならない人なんているかしら。そうならないのであれば、それは興味も全くない相手だけですわね」
ヴァークレイ嬢はわざとルシウスを挑発する様な言い方をしてきてこちらを見定めるようにじっとみてきた。
「なんだと・・・」
ルシウスはヴァークレイ嬢の発言に完全に気分を害された。
「貴方のいうとおり、レミリアは優しくて全てを受け入れてくれるような包容力があるのは確かだと思うわ・・・けれど、それは自分の本心を言わないだけ・・・言えないかもしれないと思う事もできるわ」
だが、そのあとにはレミリアの事を思うような発言をされ、レミリアの事を理解していないのねと言われているようで、何も言い返す事が出来なかった。
「・・・・・・」
ルシウスは自分が不甲斐なくなり、席をたちあがると、黙り込むレミリアをみて、今日は失礼すると伝えルーナと共にその場から立ち去るのだった。
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