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〜ルシウス視点〜
15.
しおりを挟むルシウスはレミリアを馬車の中に戻し座らせ、馬車を出発させる。
そして、向かいあって座る沈黙の中、ルシウスはレミリアにあの指輪をさしだした。外され床に転がってきた指輪を・・・・・・。
「レミリア、これを・・・」
「・・・あっ」
レミリアは今思い出したような表情で、瞳が不安げにゆれ指輪に視線をおとした。だから、もう落とさないようにとだけ言い、少し強張るレミリアの手をとり、いつもの小指に指輪をはめ、何故指輪を外したのかと、それ以上は口にしなかった。
「ッ」
だが、指輪をはめる際、レミリアは僅かながら顔をしかめ、手を引いた。
「いらない・・・のか」
ルシウスは手を引かれたことで、自分でも眉間にシワが寄るのがわかった。
「ッいいえ、違うの・・・・・・いらなくなんてッないわ・・・」
レミリアはすぐに否定の言葉を伝えてくるが、言葉が途切れ、不自然な返事をされてしまう。
だからまた衝動的に、未だ握っていたレミリアの手をひっぱり、レミリアの身体を強引に引き寄せ抱きしめていた。
「いたッ」
だが、ルシウスの行動にレミリアが痛みを口にしてしたため、ルシウスはレミリアの制服の袖を無言で捲りあげる。
「・・・・・・手を痛めていたのか」
そこには痛々しく赤く腫れあがった手首があった。
見られたためか、レミリアは観念したように、ルシウスの問いに素直に頷いたので、他に痛い所はないかとさらに聞いた。
レミリアは大丈夫だと口にしたが、ルシウスは自分の行動がレミリアに怪我をおわせる原因になったのだと後悔し、1人にしてすまなかったと口にする。
「他に痛みはないといったが、触れられた所は他にはないのか?」
ルシウスはレミリアの手首、身体を優しく撫でながら、レミリアが痛みを認識していない箇所はないかと確認していった。
「・・・・・・大丈夫よ」
「・・・間があったが、触れられた場所があるんだろう?」
レミリアからすぐに返事がなかったため、ルシウスはレミリアの顔を覗き込み、視線を絡めて言い逃れできないように見つめた。
「・・・顎を、掴まれたくらいよ」
レミリアは観念したのか、ルシウスから顔を背けて答えた。
「この様にか・・・」
ルシウスはレミリアの顎を掴み、背けた顔を再び戻させ視線を交えさせる。
「それから・・・手で口を塞がれていたんだったな」
あの時の光景を思い出し、レミリアへの独占欲が溢れ出す。今自分の腕の中にいるレミリアを感じながら、ルシウスはゆっくりとレミリアの唇へ口付けを落とし、ちゃんと消毒をしなくてはなと呟いた。
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