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24.会場入前

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 夜会当日。シェリー様とキール様が迎えに来てくれ、一緒に馬車で向かった。
 
 キール様は、ドレスが似合っていると言ってくれ、今日は側を離れないようにと釘を刺された。
 シェリー様とコンセプトを同じにしたドレスはシルフィのコンプレックであった胸を隠してくれ、綺麗なデコルテを見せていた。

 デコルテに映えるように、キール様がネックレスを準備してくれており、今日はそれを身につけた。シンプルだが、存在感が凄いブルーダイヤモンドがシルフィの白いデコルテの上に飾られ、さらに強調されているようだった。
 見た瞬間は、凄すぎて断ろうと思ったが、シェリー様も加わり、キール様に押し切られた。


 シェリー様のパートナーである皇太子殿下は、シェリー様を待っておられ出迎えてくれた。王妃様譲りの黒髪に、国王様と同じグリーンの瞳が目を引く。今日の装いは、白でまとめられており、シェリー様の白銀の髪色に合わせているようだった。


 会場に入るまでに、皇太子殿下に紹介される。

「お初にお目にかかります、マクスウェル侯爵家が四女、シルフィール=マクスウェルと申します」


「ああ、宰相からも話は聞いている。娘達の中で四女が1番賢くて頼りになるとね。容姿に関しては聞いた事が無かったが・・・可愛らしさが際立って、今日はとても可憐だな」


「ありがとうございます。シェリー様とコンセプトを同じにしたドレスを作って頂いたんです。似合っているなら安心いたしました」
 お世話かもしれないが、似合っていると言われると、ドレスを着こなせている事に安堵した。


「確かにポイントが同じだな・・・」
 皇太子殿下は、シェリー様のドレスと見比べシェリー様の髪に手を伸ばされた。

「髪型は揃えなかったんだな」


 シェリー様は皇太子殿下が髪に触れられたが、表情をかえず、手を払いのけられた。
「髪を触るは困ります。ルール違反です。髪の長さが違うので同じ髪型はできなかっただけです」

「ルール?」
 シルフィは首をかしげる

「ああ・・・なんだ、まだ根にもっているのか?」
 皇太子殿下はシェリー様に問われる。

「当たり前です・・・。貴方のせいで髪を切ることになったのに・・・父や兄にあれだけ怒られておきながら、あなたはまだ懲りてないようですね。父に言っておきます」


「いやっ、幼い時の事ではあるが、それはすまないと思っている。しっかりと反省はしているから言わないでくれ・・・、別に懲りてないわけじゃなく・・・今日の髪型が似合ってると思っただけで、触れたのに他意はない」
 皇太子殿下は焦った様子をみせ、シェリー様に謝られていた。


「そうですか・・・極力触らないようにお願いします。今日は父はいませんが、お目付役はいるはずですから、父に睨まれたく無かったら行動は謹んで下さい。今回のパートナーも父は、渋ったそうなので・・・お相手は出来なくなりますよ」
 シェリー様は皇太子殿下に釘をさすように進言する。

「気をつける・・・シェリーが1番気を使わなくていいし、本当は毎回パートナーがいいくらいなんだが・・・師団長には睨まれたくないしな・・・」
 皇太子殿下は残念そうに返事をされていた。


 殿下の返事に、シェリー様の口元が少し嬉しげに上がっているように見え、シルフィはキール様に視線をむける。
 キール様は頷かれ、シルフィの耳元で、そういう事だと言われた。
「いつもは、もう少し言い合いもする。シルフィ嬢がいるし、殿下は素がまだでないだけで、本当はもっと口も悪い」
 キール様は、そう教えてくれた。


 シェリー様の好きな方が殿下なのは、シェリー様の表情を見たらわかる、嬉しいのを我慢している顔だったから・・・。 

 シェリー様の恋が実って、未来の王妃様がシェリー様ならいいなと、シルフィは思うのだった。

 
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