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54.話し合い
しおりを挟む辺境伯領に行く事に決まり、あれから殿下とシェリー様、キール様と部屋へ戻り話をした。
「巻き込んでしまってごめんなさい」
開口一番にシェリー様から謝られてしまう。殿下はちゃっかり隣に座り肩を抱いている。
「いえ、此方こそ出すぎた真似をしました」
実際には、詳しくしらない辺境伯領での魔物狩り勝負を提案してしまい、本当によかったのか考えていた。キール様はお強いから大丈夫だとは思うが・・・シルフィには殿下の実力はわからない。
キール様が決闘で殿下を傷つける様な事が有れば、その方が問題なのではないかと・・・自分はキールだけを守るべく提案したに過ぎない。
しかし、シェリー様にはお礼を言われた。
「貴方が父に意見してくれて、心強かったわ。私にはあれ以上は無理だったから。今日だって殿下と会う予定もなかったのに、急にくるし、シルフィを待たせて・・・巻きこんでしまって。お兄様も・・・ごめんなさい。嫌な役をさせてしまうわ・・・」
「俺はいい・・・。父の性格は知っていたからな、こうなる予感はあった。だが、今日のそもそもの失態は殿下が原因だ。俺はきちんと手順を踏めと言ったはずだぞ」
キール様は殿下に鋭い視線を向けられる。勿論シェリー様の肩にまわされている手にもだ。
「わかっている、今回の非は俺にある。手順は踏んだが話は進まないし、なかなかシェリーと会えなくてな、我慢が効かなかった。巻きこんですまないと思っている」
殿下は謝られるが、なんというか軽い気がする。
「本当にね・・・殿下は忍耐力を鍛えられた方がいいわ。見つかればどうなるか考えて行動しなさい」
シェリー様はいつもの調子を取り戻され、殿下に苦言を呈す。
「怒っても可愛い」
殿下はシェリー様の髪に口付ける。シェリー様の辛口に、甘口で対抗するようだ。
「本来、こういうふざけたやつだから、父上も許されないんだ。殿下との勝負、俺は本気で挑むからな」
「・・・手を抜いてくれるんじゃないのか?」
殿下は、かわらず軽い口調で問われる。
「それはないな・・・俺も父上の期待には応えたい。それに、手抜きは見抜かれる。シェリーを嫁にもらうための覚悟が軽いものでないならば全力で挑め・・・俺も父と考えは同じだ。大切な妹を守れない奴には任せられない」
キール様も殿下に厳しく言われる。キール様の凛とした顔にシルフィは見惚れてしまう。自分は本当に素敵な人と婚約したなと・・・。
「なんにせよ、辺境伯領での魔物は、他とは違い他国から流れてきたやつもいる。強さが違うから殿下は挑むならきちんと装備は整て、身体強化で万全にできるようにしておく事だ」
「そうするよ。魔力循環の確認をしたいから、少しシェリーを借りるよ。あとは君達で過ごすといい」
殿下はシェリー様の手を引いて部屋から出て行かれた。シェリー様はなぜか、まだ懲りないのかと怒っているようだった。
「何だかシェリー様怒っていらっしゃるようでしたね。それに魔力循環にシェリー様が必要なんでしょうか。普通は1人で集中してするものでは?」
キール様と2人きりにされ、シルフィは気になった事を呟いた。
「ああ、奴は本当に懲りない。普通の魔力循環ならばそうなのだが、誰かの魔力を自分のと混ぜると、魔力が増し、感覚がよくなるらしい。父上から聞いてはいたが・・・俺は試した事はない」
キール様は少し歯切れが悪い気がした。
「それは知りませんでした。でも強くなるのに、キール様はなぜしなかったんですか?」
「感覚がよくなるのは様々な作用があるからな・・・相手にも負担だ。相手と触れ合わなくてはいけないから、好きでもない相手とはしたくない・・・」
「?好きじゃない人とできないんですか?なら・・・私ではお役に立ちませんか?婚約者ですし・・・キール様のお役にたてるなら協力したいです」
シルフィにはやり方がわからないが、キール様のために力になりたいと思った。
キール様は何故か、ごくりと喉を鳴らすのだった。
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