獣人の番!?匂いだけで求められたくない!〜薬師(調香師)の逃亡〜【本編完結】

ドール

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1.薬師の仕事

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 私は今年で16歳になる。10歳で初潮がきて、獣人が好む匂いを放ちだしてしまう事件があった日から、伯爵家の養女として迎えいれられ、リンジェーラ=ベルタスになった。

 その日の事件以降、獣人が近づいてこない様に、獣人が嫌いな匂いをまとっている。
 人には嫌な匂いには感じないものだが、嗅覚が鋭い獣人にはかなり嫌われる。


 今日も、獣人を寄せ付けないように、首元のチョーカーに薬を仕込み、宮廷薬師をしている父のために、お弁当を届けに王宮へ来ていた。
 本当はお弁当が次いでで、自宅で作っている薬を宮廷魔導師団に配達するためでもある・・・。
 

 宮廷薬師ではない自分が、なぜ宮廷魔導師団に配達に来ているのか・・・緊急事態に、魔力回復薬を魔導師団に寄付した事で、師団長のフィラデル様に、薬師としての腕を見込まれたからだった。

 それから、こうして魔導師団のおかかえ薬師として、贔屓にしてもらっている。


「こんにちは~納品に来ました」
 いつもの様に魔導師団の詰所まで来て、声をかける。


「いらっしゃい、リンジーちゃん。今日は大量みたいね、ご苦労様。すぐに運ばせるわ」
 受付には人族のラミアさんが居て、いつも優しく対応してくれる。ラミアさんは、40歳で2人の息子がいて、もう独立もしているらしいが、旦那さんが亡くなっているため、働いて生計を立てているらしい。

 娘も欲しかったと、リンジェーラの事を自分の娘の様に扱ってくれる。
 獣人に近寄る女性がいると仕事にならないため、魔導師団の団員以外に、若い女性はいないのだ。
 

 リンジェーラも若いのだが、宮廷薬師の娘でもあり、師団長のお墨付き。なんといっても、自分から獣人には近づく事もなく、なんなら獣人が嫌いな匂いをまとっているから、皆んなから信頼がある。

 何故獣人に近づかないのかは・・・師団長と父、兄しか事情を知らない。


「リンジーちゃん、師団長から伝言なんだけど、話があるらしいから、お昼をお父様と食べた後、団長室に来てくれって。あとコレ、またラブレター預かってるわよ」
 そう言い、ラミアさんはウインクをして、手紙を渡してきた。


「わかりました。ありがとうございます。では失礼します」
 手紙には触れずに、ラミアさんにお礼を言い、父のいる調合室に向かう事にした。


 時々ラミアさんから、こうして呼び出しの手紙をもらう。廊下を歩きながら内容を確認する。この手紙の内容も同様だった・・・。


 リンジェーラは16歳にしては発育がよく、女性的な大人の体型をしていた。背は160cm、肌色は白く、髪はクリーム色で優しい印象を与えた。そして、母譲りである容姿に、アメジストの瞳で見つめれば、大抵は好印象を抱かれた。
 だからか、話したことがない人からの手紙もよく来ていた。


 リンジェーラ的には、宮廷薬師で伯爵の位をもつ、父の顔を潰さない位に、伯爵令嬢として猫を被っているだけなのだ・・・。
 実はお淑やかではなく、どちらかというと、お転婆な方なのだった。


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