21 / 117
20.呼び出し返し
しおりを挟む王都へ帰り、辺境伯領でのことを父に報告した。パーティーでの事と、ディミドラ嬢の事を・・・。
父は直ぐに対処してくれた。ちなみに彼は以前確かにうちに申し込みに来ていたらしく、条件を出すと渋い顔をしていたという。
父がくれたドレスは、いい人以外も惹きつけてしまったようで父は申し訳なかったと言った。リンジェーラは気にしてはいなかったが、謝る父にそれならと、次のドレスは肌を隠すタイプをお願いしておいた。
数日後には、団長から呼び出しの手紙が来たが・・・、場所は以前と同じ師団長室を借りた。借りられる物ではないのだが、師団長にも魔法具が役に立ったとお礼をいいに行った際、パーティーでの詳細を聞かれ、半ば無理やり報告させられた。
「それで・・・やつは、ディミドラ嬢を連れ去り、君を1人にさせたのだな」
師団長は、リンジェーラを1人置き去りにした事を怒っている。
「まあ・・・そうですね」
間違いはないので肯定しておく。
「そのせいで、リンジーは酷い目にあったと・・・」
「まあ・・・そうですね」
さらに肯定。
「それなのに、やつはリンジーを呼び出すだと・・・最初の手紙には騎士団にと来いと書いてあったのだったな」
「まぁ・・・そうですね。でもそれはお断りして今日に至ります。敵の巣窟に行くなど、そこまで馬鹿じゃありません」
理由を話しているにも関わらず、獣人が多い騎士団に招くとは・・・悪意を感じた。
まあ・・・悪意を向けられたら、向け返そうではないかと、リンジェーラはちょっとした仕返しを実行中だ。
「リンジーは馬鹿ではない。馬鹿はやつだ・・・。それにしても、時間を指定した奴がまだ現れないとは・・・」
師団長は時間にルーズな人は嫌いだから、さらにお怒りだ。15分はすぎている。まあ・・・リンジェーラの仕返しのせいではあるのだろうが・・・。
師団長が椅子から立ち上がると同時に、師団長室のドアがノックされた。
師団長がドアを開けると、しかめ面の団長が立っていた。
その表情は、リンジェーラの仕返しが関係ありそうだった。団長の頬が赤くなっていたからだ。でも打たれた様な感じの赤さではなく何かがついている。
「何か・・・ついてますが、何かありました?」
リンジェーラは、笑いを堪え、嫌味の様に団長の頬の赤みを指摘すると・・・睨まれた。
「まだ、ついているか・・・。さっき、ここにくる時に不意に口付けられた・・・不快だ。まだ匂いが残ってる。ちょっと顔を洗わせてもらうぞ」
団長はそう言い、顔を洗いに行ってしまった。
リンジェーラの仕返しとはそういうことだ。普段女性を侍らせていた団長は、まだ番を見つけたとは公表しておらず、彼女達とは縁を完全には切っていない。
今日ここに、団長がくる事を何人かの女性に、それとなく聞こえるように話していたので、最近関係を持っていなかった彼女らに待ち伏せされたのだ。
複数の女性に話していたので、少しのいざこざはあるだろうと思ったが・・・番以外には、口付けされるのも嫌だとは意外だった。
22
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。
感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。
残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。
よろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる