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25.嫌じゃない
しおりを挟む「でも、納得できません。・・・副長がこの嫌な匂いの女に手を出すなんて。証拠でもないと・・・信用できない。諦めもつきませんッ」
ジェイクは証拠を見せろと言うが、まさかこの場で交われとでもいうつもりだろうか・・・。リンジェーラは嫌気がさした。
「お前は、交わりをみたいのか?彼女は伯爵令嬢だ・・・。そんな見せ物のような真似はさせられない。それに、他の雄にこれ以上彼女の肌を見せる気はない。俺は自分のものは独り占めしたいタイプだから、尚更な」
ゾディアス様はリンジェーラを引き寄せると、片手で軽々抱き上げた。
「ならッまだ諦められない。それに・・・そいつからは副長の匂いなんてしていませんッ」
それはそうだろう・・・。ゾディアス様とはそんな仲ではないし、リンジェーラから匂うのは、獣人が嫌いな匂いだけだ。
彼の言いようだと、交われば相手の匂いがつくから、誰の相手をしているか、わかるという意味だろう。獣人のマーキングというやつだ・・・。
「匂わなくて当たり前だろう・・・。匂いも嗅げないよう、わざとこの匂いを纏わせているんだ。マーキングしていたとしても、それは嗅がれる行為をされたからわかる事だ・・・。俺は、それすらさせたくないくらい独占欲が強いんだ」
ゾディアス様はつらつらと、本当のように答えていく。本当にゾディアス様が本心から言っている言葉なら、言われた相手は堪らないだろう。
上位種の獣人で、騎士団の副長をつとめ、見目も良くて、体つきは逞しいがスマート・・・。女性的には好きな人は多いだろうと思う。
リンジェーラも例外ではないため、意識をしっかり保たなくてはにやけそうになるため、気を引き締める。
「いくら独占欲が強くても、自分が苦手な匂いを、女に纏わせるわけないじゃないかッ。こんな匂いじゃ口付けなんて出来もしないだろッ」
口付けと言われ、リンジェーラはどきりとした。ゾディアス様の腕に力が入ったのがわかる。
「そんな事はない・・・」
チラリとゾディアス様が視線を此方に向けてきた。この流れはするながれになりそうな雰囲気だ・・・。リンジェーラは見つめられて戸惑う。
「・・・人前でするのは嫌か?」
ゾディアス様が聞いてくる。話の流れ的に、拒否もできる聞き方だ。本当は、この場を凌ぐために、自分と口付けをするのは嫌かと聞いているのだ。
あのように宣言までしてくれて、今まで唯一獣人で優しい対応をしてくれる人だ。
それに、ゾディアス様となら、嫌ではないという気持ちがあるのも事実・・・。それが初めてだったとしても、彼が相手ならと・・・意を決する事にした。
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