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72.確信
しおりを挟むリンジェーラは自分の思いをぶつけてしまい、涙が溢れるが、ゾディアス様はゆっくりとした口調で話しながら、涙を指って掬ってきた。
「違う・・・そうじゃない。俺は君を手放す気はない」
リンジェーラの想像とは違う返事が返ってくる。
「・・・なら、何が違うんですか・・・」
リンジェーラは、ゾディアス様の諭すような言い方に、少し落ちつきを取り戻して、問いかける。
「ダメだったんだ・・・」
「ダメ?・・・できなかったってことですか?」
「ああ・・・昨日、リンジー以外とでもできるか、確かめに行くぞと、団長に無理やり連れて行かれてな・・・」
団長のせいか・・・。そういえば、あの時もう1人いたような気もする。ゾディアス様にしか目がいかなかったので定かではなかったが、言われてみれば誰か隣にいた気がした。
「・・・それで、どのようにしたのか聞いても?」
出来なかったと言われて、胸のモヤモヤが少しマシになった。だが、あの場に赴いて、ことに及ぼうとしたのは事実なので、リンジェーラ的にはすっきりしない。ゾディアス様には誰にも触れてほしくないという気持ちが強かった。
「・・・この間と同じようにしたんだが・・・・・・反応もしなかった。それよりも不快に感じたくらいだ」
ゾディアス様はリンジェーラとした時を再現したようだった。
「匂いを嗅いでも・・・って事ですよね」
ゾディアス様が別の人に、反応しなかった事がリンジェーラは嬉しく思う。
「ああ、リンジーはやはり特別なようだ」
「特別ですか・・・?」
特別だと言われて、先程までの悲しい気持ちがどこかにいくくらいには嬉しいと感じ、ゾディアス様を見つめてしまう。
「ああ、特別な存在だ。他人に触れられるのは嫌だったが・・・リンジーには触れたいと思う」
ゾディアス様の手がリンジェーラの頬を撫で、ゆっくりと顔が近づいてくる。
「んッ」
唇が合わさり、軽く啄まれるように口付けられる。
「・・・我慢ができなくなりそうだ」
ゾディアス様に見つめられて、ゆっくりとソファに押し倒されながらも、口付けをうけとめる。
「ッもう、すでに触れてるのに・・・我慢してるって言えるんですか?」
リンジェーラは口付けられながらも、おかしくなり笑みを浮かべながら問いかける。
「ああ、これ以上は触らないように・・・我慢している。・・・リンジェーラ・・・俺と婚約をしてくれないか・・・」
ゾディアス様は押し倒している体勢で、真剣な表情だ。
「ふふ。それは、断るとどうなりますか?」
リンジェーラはゾディアス様が真剣だったが、揶揄いたくなった。
「そうだな・・・。団長のように外堀からかためて、逃げられないように構いたおそうか」
そういいながらゾディアス様は、リンジェーラに優しく口付けを続ける。
「んッ」
「リンジェーラ・・・俺は本気だ。婚約の話は考えておいてほしい。父君は俺との婚約の話は聞いていないと言っていたから、君からも話しておいてくれ」
先程父が言ってくれた事を言われてしまうが、あの時は別の人からの婚約の話があったため、念を押してきたのだろう。
「ゾディアス様は・・・私が他の人にとられると思って婚約の話をするのですか?」
ゾディアス様の口付け攻撃を回避して起き上がる。
「・・・聞いていたのか。それだけでは無いが、最近はリンジーが番だったならと・・・そうも思ってしまう自分がいる。番を求めていたはずなのに、番が現れなければ、リンジーと一緒にいれるのだろうかと」
ゾディアス様が言った言葉は、番よりもリンジェーラを選んでくれているのだと理解し、リンジェーラは固まる。
「番が現れたら、リンジーといられなくなるなら・・・番をわからなくなるように対処してもらってもいい」
ゾディアス様は、リンジェーラと一緒にいたいと言ってくれる。
そのためには番を探さなくても、番が現れても、前に言っていた相手がいた時の場合の処置を施すと・・・。
そこまでしてくれるのは、つまり・・・。
「それって・・・あの」
リンジェーラは、ゾディアス様が望んでいた答えをくれたのに、すぐに返答ができなかった。
「俺はどうやら・・・いつの間にか、番を探すことよりも、リンジーと過ごす事を考えてしまう。リンジーの顔を思い出す時間の方が多いと気づいたんだ・・・。昨日、団長に無理やり連れて行かされた時も浮かんだのはリンジーだ・・・。先程リンジーが泣いていたのは、俺と同じ気持ちだからだと思ったが・・・違うか?」
ゾディアス様は先程のリンジェーラを見て、リンジェーラの気持ちに気づいたようで、確信をついてくるのだった。
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