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番外編
後日談:幼獣精霊
しおりを挟むリンジェーラは大きくなったお腹に手を添えながら、ゾディアスの帰宅を待っていた。しかしまつ場所は2人の住む屋敷ではない。
今日はディミドラと団長の屋敷に来ていたのだ。もちろん団長もゾディアス様と同じに仕事のため、ここにはいない。
「今日は来てくれてありがとう。臨月に近いのにごめんね。この子が生まれてから、余計に外にも出られないし、屋敷外の誰にも合わせてもらえなかったから」
ディミドラはそういい、腕に我が子を抱いている。ディミドラが生んだ子は団長の色を受け継いだ上位種獣人の男の子だった。
「デラに会えて嬉しいわ。結婚式以来だものね。私も会いたかったの、デラの子も見れて良かったわ。本当に可愛いわね」
「そう言ってもらえて嬉しいわ。番とは獣人の子の確率がかなり高いと言われてたけど、この耳と尾は違う意味で最強ね。ずっと見てられるわ」
ディミドラは愛おしそうに我が子をみつめていた。赤子の耳がピクピクと動いている。
「私も楽しみだわ・・・早くこの子に会いたい」
リンジェーラも、お腹の子が生まれてくるのがとても楽しみだった。獣人か人族か・・・。獣人の確率がかなり高いのだろうが、もし人族だとしてもゾディアス様との子だから、正直リンジェーラはどちらでもよかった。
だが、ディミドラの子をみていると、確かに耳や尾が付いた我が子も可愛いのだろうなと思った。確かに、こんなに可愛いと攫われそうだから獣人の子が姿を見せないのも納得だ。
リンジェーラは今まで獣人の幼子の姿を見なかったのは、攫われる可能性もあり姿を隠していたのかなと推測した。
「それより・・・今日来てもらったのはね」
ディミドラが今日の本題を話し出す。
「じゃんッ」
リンジェーラの目の前に可愛らしい物をさしだした。
「かっ可愛いッ!これって?」
ディミドラの手のひらには、小さく幼い幼獣が眠っていた。
「これは・・・幼獣精霊よ!私も初めて見たの。獣人の上位種の子が生まれる時、子と共に成長する精霊なんだそうよ。レナードが教えてくれたの。レナードにも小さい頃は一緒に育った精霊がいたそうなの」
「上位種の子にくっ付くように生まれてくるって、ゾディアス様に聞いてるわ。幼獣の精霊だなんて・・・とっても愛らしいわね」
「でしょでしょ!?精霊の方が成長が早いらしくて、子の子守をしてくれるようになるってレナードが言ってたわ」
「それは良い子守ね」
「そうよね。獣人の子育てって人族には体力がいるらしいから大変って聞いてたんだけど・・・精霊がいれば心強くて安心できるわ。もちろんレナードも子育ては手伝ってはくれるけど・・・」
なぜか最後の言葉をディミドラは濁した。
「へぇ・・・あの団長が子育てをね。意外・・・」
リンジェーラには団長が赤子をあやす姿は想像がつかなかった。つくとしたら、もっと成長した子供に鍛錬をしている姿くらいだ。
「もうッリンジーは正直者ね・・・。嫌いじゃないわ」
ディミドラはリンジェーラの反応に可笑しそうに笑った。
「だって、未だに私に対して扱いが酷いんだもの。まだ根に持ってるような男が子育てとかね・・・」
「意外にちゃんとあやしてくれるのよ?でも直ぐに自分が構ってもらいたくて乳母に預けようとするけどね」
ディミドラはやれやれといった態度だった。
「団長はやっぱり団長ね・・・。まだまだお子様の甘えん坊」
ゾディアス様は団長のように極端なタイプではないだろう・・・けれど、今の過保護ぶりから似た感じにはなるかもしれないとは思ってしまった。
「まあ彼は極端だからね・・・とにかくリンジーも子が産まれたら屋敷の外には当分出してもらえないだろうから、そのつもりでいた方がいいわよ」
「そうね・・・そんな感じの事を言われた気がするわ。産まれる予定まであと少しだし、今はゾディアス様との時間を大切に過ごしながら待つ事にするわ」
リンジェーラはゾディアス様が甘やかしてくれるのに最初は慣れなかったが、今は触れ合いがないと寂しく感じるようになっていた。
これからの事も楽しみにしつつ、迎えがくるまでディミドラと育児について語り合うのだった。
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