108 / 117
番外編
後日談:夫婦喧嘩騒動
しおりを挟む今日は珍しく、ゾディアス様が何故か団長を連れて帰ってきた。ゾディアス様は迷惑そうな表情を隠そうともしていないため、おそらく勝手に着いてきただけだろう。
「あら、うちに団長を連れてくるなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
ゾディアス様はリンジェーラの頬にただいまと、リップ音をたてて口付けをくれる。
「リンジーただいま。すまないな・・・着いてきてしまった」
やはりゾディアス様が連れてきたわけではないようで、ゾディアス様は誤ってくる。
「ゾディアス・・・冷たい事をいうな」
何故だか団長はいつもより元気がない様子で、ため息をついている。
「だからどうしたというんですか。団長は何をしにこられたんですか?」
団長がいくら元気がなかろうと、リンジェーラにとっては団長はただの無礼で番重視な人だから、つい冷たい口調で、要件をさっさと聞きだそうとしてしまった。
「面倒事だ」
だが、リンジェーラの問いかけに、ゾディアス様が呆れと疲労を滲ませた表情で答える。
「面倒事ではない!一大事だ!」
ゾディアス様の言葉に反応して、団長は声を荒げて反論してくる。
「いきなり大きな声を出さないで下さい。お腹の子に障ります」
ゾディアス様はリンジェーラのお腹から包むように抱きしめてきた。リンジェーラはゾディアス様の温もりに、早く2人の時間を過ごしたくなった。
「では、その一大事とやらが何か早く話して下さい。すでにゾディアス様は勤務時間外なのですから、団長に付き合う時間がもったいないので」
「くッ、お前はいつもブレないな」
団長はリンジェーラの態度をいっている。いつも塩対応だからだろう。
「貴方に対してだけです。特別ですね」
リンジェーラは特別対応だと強調してやる。
「リンジー、特別扱いは許さないぞ」
ゾディアス様が特別という言葉に反応して、抱きしめる力を強めた。
「悪い意味でのですから、気にしないで下さい」
「だめだ・・・・・・気になる」
ゾディアス様はやはり独占欲が強いなと思いながらも、リンジェーラは拗ねるような顔のゾディアス様が可愛くみえて仕方なかった。
「でしたら、貴方のために言い方を変えましょうね・・・敬意を払わないでいい人枠な扱い」
「・・・おい」
「ああ、まだ居たんでしたね」
団長がリンジェーラに速攻で突っ込んできたが、リンジェーラはマイペースに切り返す。
「・・・・・・」
「まあ、冗談はさておき。本当に要件はなんなんでしょうか?まあ団長の事だから、聞くまでもなくディミドラの事でしょうけど」
「もちろんだ!そうでなければ、お前に会いにわざわざ来たりはしない」
この人は、ディミドラ以外に対して・・・いや、リンジェーラに対しては、素で無礼だ。ディミドラ関係の相談なら、リンジェーラに対する接し方があるだろうに・・・番馬鹿は本当に嫌になってしまう。
最初はまだこんな感じではなかったが、ディミドラがリンジェーラと仲良くなると嫉妬し敵意をむけてきだしたのだ。それも理不尽な話で、自分からディミドラと引き合わせたくせにだ。
「はあ・・・お前ね・・・。私だってわざわざ団長に会いたくなんてないのに。こっちだって会いたくないリストナンバー1でも、ゾディアス様との時間を割いてあげてるんですから・・・感謝こそすれ、そんな風に言われるのは癪にさわります!本当、無礼すぎると何があっても無視しますから」
団長の物言いにリンジェーラは、話を聞くのをやめようかと苛立ち口調が強くなった。妊娠しているからだろうか、嫌な人との時間はイライラして仕方ない。
「・・・悪かった。謝るから相談にのってくれ」
リンジェーラの気迫に、意外にも団長は素直に謝ってきた。
「・・・いいでしょう。それで、デラに何をしたんですか?」
団長が素直に謝った事に対しては許し話を進める。まだディミドラと何があったのか内容は聞いていないのだ。
「それはだな・・・」
「・・・何をいい淀むことがあるのですか。どうせ団長が悪いんでしょ。今みたいに早くデラに謝ったらどうですか」
「元はと言えば原因はお前だぞ」
団長はまた責任転換なのか、原因はリンジェーラだと言ってきた。
リンジェーラはまたか、と団長を再度睨みつける。
「お前たちがもうふたりめを・・・授かるのが悪いのだ」
だが団長は弱々しく不満を口にした。
「…もしかしてそれが喧嘩の原因ですか?」
リンジェーラは団長の理由に呆れて、先程までの苛立ちが消えてしまった。
「まぁ、それ関係が元ではあるが・・・」
「はっきりしませんね。まぁ、どうせあなたが、私達への対抗心で2人目を作ろうとかでも言ってデラを怒らせたんでしょ」
「まあ・・・そうではある」
「それで・・・それ以外にもやらかした事がありそうですね」
リンジェーラは団長がしでかしたのにはわかっていると言い切ってさらにといつめる。
そして、団長は決心したのか、リンジェーラに洗いざらい起きたことを話し始めたのだが、話を聞きながら、タイミングも悪い事が重なりディミドラが怒ったわけ、悲しんでいるであろう事がわかった。
「団長・・・。子は授かりものですし、競うように宿すわけではないのは理解していると思います。デラは団長に子を物のように言われた気がしたから怒ったのでしょう」
「ああ・・・口も聞いてもらえなくなって、外で頭でも冷やしてこいと言われて・・・仕方なくデラの怒りが鎮まるまでと一旦外出したんだが・・・」
「それで娼館に行ったの?」
「いや、娼館に行こうとしたわけではなく、娼館近くの道を歩いていたら、以前相手をした娼館の娘がいて、捕まったところをみられたんだ」
「デラが迎えにきたくらいってのは、それだけ長い時間帰らなかったわけ?」
「夕刻に出て2時間くらいしかたってはいなかったが・・・小雨が降り出したからだろうな。傘をさして探しにきてくれたんだ」
なんだかんだと喧嘩しながらも、ディミドラはやはり団長を気にかけているようだ。
「なるほど、デラは頭を冷やしに行った旦那が、娼館に行っているのを見てショックをうけたんでしょうね」
団長は本当にタイミングが悪い。
「行ったわけではない!俺はもうデラにしか反応しない!」
「・・・はいはい。番以外は使い物にならないんでしたね」
「そうだが、もし使えてもデラ以外は抱く気はないし、なんならデラになら貞操帯をつけられも構わない」
「はぁ・・・嫌な単語聞いちゃった。なんでこんな下衆な話を聞かなくちゃいけないのかしら」
団長の話にリンジェーラは妊婦だからか気分が悪くなる気がした。
「リンジー、リンジーの耳が汚されるからもう聞かなくていいぞ」
側にいたゾディアス様がこれ以上はもうやめようと言って、肩を抱いてきた。
「ゾディアス!こんなとこにまで来たんだから、ちゃんとデラとの仲直りを考えるのに協力をしてもらうぞ」
「貴方が来たくて来ただけだろう。勝手に押し付けるな、リンジーに自分の不甲斐なさを押し付けようとするなら帰れ」
ゾディアス様が我慢がならなくなったようで、団長に怒りを露わにしだした。
ゾディアス様がいてくれるのはいいが、なかなか話が進まず、団長はいつまでも居座り続けてしまうと考えて、リンジェーラはゾディアス様の怒りを制するために、腰へだきつき甘える様にお願いをする。
「ゾディアス様、私気分が悪くなったので、フルーツでも少し頂きたいです」
リンジェーラは空腹になると悪阻が辛くなるため、ゾディアス様に持ってきてほしいとお願いをしてみた。
ゾディアス様はすぐに戻ると言って、部屋をでていったので、リンジェーラはその間に、団長へ懇々と説教をして何が悪かったのか考えさせ、ちゃんと自分の言葉で謝ることをすすめた。
リンジェーラは以前、ゾディアス様が娼館に行った時に、つらい思いをしたので、ディミドラの気持ちがよくわかったが、ディミドラがどうしたら許してくれるかをリンジェーラが考えては意味がないと思ったのだ。
謝るなら、ちゃんと自分の言葉でが1番いいに決まっている。
団長はゾディアス様が戻る数分の間にきちんと理解してくれ、世話になったと言ってさっさと帰っていってくれた。帰ったら速攻誤りながら愛を伝えるであろう団長を想像し、ディミドラの気持ちが晴れてくれたらいいなとリンジェーラは願った。
そして後日、ディミドラからは、リンジェーラのアドバイスで仲直りしたと手紙でお礼がきた。アドバイスは団長にしたのだが、ディミドラも団長を許せるきっかけがなく、意地になっていたので仲直りがしたかったらしかった。
何はともあれ、夫婦喧嘩に巻き込まれる事態はもう遠慮したいなと思いながら、ゾディアス様にフルーツを食べさせてもらう至福の時間をリンジェーラは過ごすのだった。
22
あなたにおすすめの小説
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです?
梅花
恋愛
日下美南(くさかみなみ)はある日、ひょんなことから異世界へとトリップしてしまう。
そして降り立ったのは異世界だったが、まさかの騎士団長ベルゴッドの腕の中。
何で!?
しかも、何を思ったのか盛大な勘違いをされてしまって、ベルゴッドに囲われ花嫁に?
堅物騎士団長と恋愛経験皆無の喪女のラブロマンス?
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる