獣人の番!?匂いだけで求められたくない!〜薬師(調香師)の逃亡〜【本編完結】

ドール

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番外編

後日談:夫婦喧嘩騒動

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 今日は珍しく、ゾディアス様が何故か団長を連れて帰ってきた。ゾディアス様は迷惑そうな表情を隠そうともしていないため、おそらく勝手に着いてきただけだろう。


「あら、うちに団長を連れてくるなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
 ゾディアス様はリンジェーラの頬にただいまと、リップ音をたてて口付けをくれる。

「リンジーただいま。すまないな・・・着いてきてしまった」
 やはりゾディアス様が連れてきたわけではないようで、ゾディアス様は誤ってくる。
  

「ゾディアス・・・冷たい事をいうな」
 何故だか団長はいつもより元気がない様子で、ため息をついている。

「だからどうしたというんですか。団長は何をしにこられたんですか?」
 団長がいくら元気がなかろうと、リンジェーラにとっては団長はただの無礼で番重視な人だから、つい冷たい口調で、要件をさっさと聞きだそうとしてしまった。

「面倒事だ」
 だが、リンジェーラの問いかけに、ゾディアス様が呆れと疲労を滲ませた表情で答える。

「面倒事ではない!一大事だ!」
 ゾディアス様の言葉に反応して、団長は声を荒げて反論してくる。


「いきなり大きな声を出さないで下さい。お腹の子に障ります」
 ゾディアス様はリンジェーラのお腹から包むように抱きしめてきた。リンジェーラはゾディアス様の温もりに、早く2人の時間を過ごしたくなった。

「では、その一大事とやらが何か早く話して下さい。すでにゾディアス様は勤務時間外なのですから、団長に付き合う時間がもったいないので」


「くッ、お前はいつもブレないな」
 団長はリンジェーラの態度をいっている。いつも塩対応だからだろう。


「貴方に対してだけです。特別ですね」
 リンジェーラは特別対応だと強調してやる。

「リンジー、特別扱いは許さないぞ」
 ゾディアス様が特別という言葉に反応して、抱きしめる力を強めた。

「悪い意味でのですから、気にしないで下さい」


「だめだ・・・・・・気になる」
 ゾディアス様はやはり独占欲が強いなと思いながらも、リンジェーラは拗ねるような顔のゾディアス様が可愛くみえて仕方なかった。

「でしたら、貴方のために言い方を変えましょうね・・・敬意を払わないでいい人枠な扱い」

「・・・おい」


「ああ、まだ居たんでしたね」
 団長がリンジェーラに速攻で突っ込んできたが、リンジェーラはマイペースに切り返す。


「・・・・・・」

「まあ、冗談はさておき。本当に要件はなんなんでしょうか?まあ団長の事だから、聞くまでもなくディミドラの事でしょうけど」


「もちろんだ!そうでなければ、お前に会いにわざわざ来たりはしない」


 この人は、ディミドラ以外に対して・・・いや、リンジェーラに対しては、素で無礼だ。ディミドラ関係の相談なら、リンジェーラに対する接し方があるだろうに・・・番馬鹿は本当に嫌になってしまう。


 最初はまだこんな感じではなかったが、ディミドラがリンジェーラと仲良くなると嫉妬し敵意をむけてきだしたのだ。それも理不尽な話で、自分からディミドラと引き合わせたくせにだ。


「はあ・・・お前ね・・・。私だってわざわざ団長に会いたくなんてないのに。こっちだって会いたくないリストナンバー1でも、ゾディアス様との時間を割いてあげてるんですから・・・感謝こそすれ、そんな風に言われるのは癪にさわります!本当、無礼すぎると何があっても無視しますから」
 団長の物言いにリンジェーラは、話を聞くのをやめようかと苛立ち口調が強くなった。妊娠しているからだろうか、嫌な人との時間はイライラして仕方ない。


「・・・悪かった。謝るから相談にのってくれ」
 リンジェーラの気迫に、意外にも団長は素直に謝ってきた。


「・・・いいでしょう。それで、デラに何をしたんですか?」
 団長が素直に謝った事に対しては許し話を進める。まだディミドラと何があったのか内容は聞いていないのだ。


「それはだな・・・」

「・・・何をいい淀むことがあるのですか。どうせ団長が悪いんでしょ。今みたいに早くデラに謝ったらどうですか」

「元はと言えば原因はお前だぞ」
 団長はまた責任転換なのか、原因はリンジェーラだと言ってきた。

 リンジェーラはまたか、と団長を再度睨みつける。


「お前たちがもうふたりめを・・・授かるのが悪いのだ」
 だが団長は弱々しく不満を口にした。


「…もしかしてそれが喧嘩の原因ですか?」
 リンジェーラは団長の理由に呆れて、先程までの苛立ちが消えてしまった。


「まぁ、それ関係が元ではあるが・・・」

「はっきりしませんね。まぁ、どうせあなたが、私達への対抗心で2人目を作ろうとかでも言ってデラを怒らせたんでしょ」


「まあ・・・そうではある」


「それで・・・それ以外にもやらかした事がありそうですね」
 リンジェーラは団長がしでかしたのにはわかっていると言い切ってさらにといつめる。


 そして、団長は決心したのか、リンジェーラに洗いざらい起きたことを話し始めたのだが、話を聞きながら、タイミングも悪い事が重なりディミドラが怒ったわけ、悲しんでいるであろう事がわかった。

「団長・・・。子は授かりものですし、競うように宿すわけではないのは理解していると思います。デラは団長に子を物のように言われた気がしたから怒ったのでしょう」

「ああ・・・口も聞いてもらえなくなって、外で頭でも冷やしてこいと言われて・・・仕方なくデラの怒りが鎮まるまでと一旦外出したんだが・・・」

「それで娼館に行ったの?」


「いや、娼館に行こうとしたわけではなく、娼館近くの道を歩いていたら、以前相手をした娼館の娘がいて、捕まったところをみられたんだ」

「デラが迎えにきたくらいってのは、それだけ長い時間帰らなかったわけ?」

「夕刻に出て2時間くらいしかたってはいなかったが・・・小雨が降り出したからだろうな。傘をさして探しにきてくれたんだ」
 なんだかんだと喧嘩しながらも、ディミドラはやはり団長を気にかけているようだ。

「なるほど、デラは頭を冷やしに行った旦那が、娼館に行っているのを見てショックをうけたんでしょうね」
 団長は本当にタイミングが悪い。

「行ったわけではない!俺はもうデラにしか反応しない!」
 

「・・・はいはい。番以外は使い物にならないんでしたね」


「そうだが、もし使えてもデラ以外は抱く気はないし、なんならデラになら貞操帯をつけられも構わない」


「はぁ・・・嫌な単語聞いちゃった。なんでこんな下衆な話を聞かなくちゃいけないのかしら」
 団長の話にリンジェーラは妊婦だからか気分が悪くなる気がした。

「リンジー、リンジーの耳が汚されるからもう聞かなくていいぞ」
 側にいたゾディアス様がこれ以上はもうやめようと言って、肩を抱いてきた。

「ゾディアス!こんなとこにまで来たんだから、ちゃんとデラとの仲直りを考えるのに協力をしてもらうぞ」


「貴方が来たくて来ただけだろう。勝手に押し付けるな、リンジーに自分の不甲斐なさを押し付けようとするなら帰れ」
 ゾディアス様が我慢がならなくなったようで、団長に怒りを露わにしだした。


 ゾディアス様がいてくれるのはいいが、なかなか話が進まず、団長はいつまでも居座り続けてしまうと考えて、リンジェーラはゾディアス様の怒りを制するために、腰へだきつき甘える様にお願いをする。

「ゾディアス様、私気分が悪くなったので、フルーツでも少し頂きたいです」
 リンジェーラは空腹になると悪阻が辛くなるため、ゾディアス様に持ってきてほしいとお願いをしてみた。


 ゾディアス様はすぐに戻ると言って、部屋をでていったので、リンジェーラはその間に、団長へ懇々と説教をして何が悪かったのか考えさせ、ちゃんと自分の言葉で謝ることをすすめた。


 リンジェーラは以前、ゾディアス様が娼館に行った時に、つらい思いをしたので、ディミドラの気持ちがよくわかったが、ディミドラがどうしたら許してくれるかをリンジェーラが考えては意味がないと思ったのだ。

 謝るなら、ちゃんと自分の言葉でが1番いいに決まっている。


 団長はゾディアス様が戻る数分の間にきちんと理解してくれ、世話になったと言ってさっさと帰っていってくれた。帰ったら速攻誤りながら愛を伝えるであろう団長を想像し、ディミドラの気持ちが晴れてくれたらいいなとリンジェーラは願った。


 そして後日、ディミドラからは、リンジェーラのアドバイスで仲直りしたと手紙でお礼がきた。アドバイスは団長にしたのだが、ディミドラも団長を許せるきっかけがなく、意地になっていたので仲直りがしたかったらしかった。


 何はともあれ、夫婦喧嘩に巻き込まれる事態はもう遠慮したいなと思いながら、ゾディアス様にフルーツを食べさせてもらう至福の時間をリンジェーラは過ごすのだった。



 

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