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第二十話
土曜日の午前中、僕は魚倉君と一緒に早穂さんのお屋敷に向けて歩いていた。早穂さんからOKの返事をもらった翌日に魚倉君にその事を伝えると魚倉君はとても喜び、当日は学校の前に一度集合してからお屋敷に向かうという事にした。
そして当日になって魚倉君と校門の前で合流し、お屋敷の前まで歩いていくと、そこにはジャージ姿の早穂さんが立っており、早穂さんはこちらを見ると嬉しそうに手を振り始めた。
「おはようございます、歩さん」
「おはよう、早穂さん。今日も元気そうだね」
「はい。部活動のために常日頃から早寝早起きを心がけ、平日もお屋敷の中や庭園内を歩くようにしていますから」
「健康的で良いね。魚倉君、こちらが御供早穂さん。散歩部の部員で副部長をしてもらってるよ。そして早穂さん、こちらは魚倉進君。クラスメートで今回の見学者だよ」
僕が紹介すると、二人は揃って頭を下げた。
「初めまして、御供早穂と申します」
「初めまして、魚倉進です。今日は無理を言ってすみません」
「いえ、これまであまり他の方と関わる機会を持ってこなかったのでこれも良い機会ですから。歩さんから散歩部の活動については聞いていらっしゃいますか?」
魚倉君は静かに頷く。
「妖怪さんとGO! っていうアプリを使ってそのお題に沿った散歩をするという感じでしたよね。実はその話を聞いてから俺もアプリをインストールしてみたんです。学校帰りでも出来そうなお題もあるみたいなので、それが出るまで粘ってからお題をこなす形にはなりますけど」
「それでも良いと思うよ。後、お題をこなさなくても位置情報を出しながら歩いているだけで妖怪を育成するためのアイテムは手に入るから、余裕があれば登校中もやってみて良いと思うよ」
「なるほど、そういうのもあるのか。ありがとな、共田」
「どういたしまして」
頷きながら返事をしていると、不意に腕を捕まれ何かが絡まってくる感触があった。それと同時に脇の辺りに何か柔らかい物があたる感触を感じていると、いつの間にか早穂さんが隣に立って僕の腕に自分の腕を絡ませていた。
「え……さ、早穂さん……!?」
「……私抜きで話していたので」
「そ、それはごめんだけど……!」
早穂さんがより僕に体を寄せ、早穂さんから漂う甘い良い香りとその体の柔らかさでクラクラしそうになっていると、魚倉君はそんな僕達を見ながらプッと吹き出した。
「共田、だいぶ御供さんから好かれてるな」
「ありがたいことにね。早穂さん、そろそろ活動を始めるから一回離れてもらって良い?」
「わかりました」
早穂さんがスッと体を離し、その事に対してホッとする反面、名残惜しさも感じた後、僕と早穂さんは携帯を取り出して妖怪さんとGO! を起動した。そして日替わりお題をこなすためにお題の画面の日替わりお題をタップすると、ワラシちゃんが持つ御籤箱から一本の御籤棒が飛び出した。
「今回は……」
「“西に歩いて、鳥や虫を見つけよう”ですか。この場合、時間や距離は関係なくひたすらに西にという事で良いんですよね?」
「そうだね。今回は比較的難しくはなさそうだし、のんびり西に向かって歩きながら鳥や虫を探してみようか」
早穂さんと魚倉君が頷いた後、僕達はお屋敷の前からゆっくりと歩き始めた。
そして当日になって魚倉君と校門の前で合流し、お屋敷の前まで歩いていくと、そこにはジャージ姿の早穂さんが立っており、早穂さんはこちらを見ると嬉しそうに手を振り始めた。
「おはようございます、歩さん」
「おはよう、早穂さん。今日も元気そうだね」
「はい。部活動のために常日頃から早寝早起きを心がけ、平日もお屋敷の中や庭園内を歩くようにしていますから」
「健康的で良いね。魚倉君、こちらが御供早穂さん。散歩部の部員で副部長をしてもらってるよ。そして早穂さん、こちらは魚倉進君。クラスメートで今回の見学者だよ」
僕が紹介すると、二人は揃って頭を下げた。
「初めまして、御供早穂と申します」
「初めまして、魚倉進です。今日は無理を言ってすみません」
「いえ、これまであまり他の方と関わる機会を持ってこなかったのでこれも良い機会ですから。歩さんから散歩部の活動については聞いていらっしゃいますか?」
魚倉君は静かに頷く。
「妖怪さんとGO! っていうアプリを使ってそのお題に沿った散歩をするという感じでしたよね。実はその話を聞いてから俺もアプリをインストールしてみたんです。学校帰りでも出来そうなお題もあるみたいなので、それが出るまで粘ってからお題をこなす形にはなりますけど」
「それでも良いと思うよ。後、お題をこなさなくても位置情報を出しながら歩いているだけで妖怪を育成するためのアイテムは手に入るから、余裕があれば登校中もやってみて良いと思うよ」
「なるほど、そういうのもあるのか。ありがとな、共田」
「どういたしまして」
頷きながら返事をしていると、不意に腕を捕まれ何かが絡まってくる感触があった。それと同時に脇の辺りに何か柔らかい物があたる感触を感じていると、いつの間にか早穂さんが隣に立って僕の腕に自分の腕を絡ませていた。
「え……さ、早穂さん……!?」
「……私抜きで話していたので」
「そ、それはごめんだけど……!」
早穂さんがより僕に体を寄せ、早穂さんから漂う甘い良い香りとその体の柔らかさでクラクラしそうになっていると、魚倉君はそんな僕達を見ながらプッと吹き出した。
「共田、だいぶ御供さんから好かれてるな」
「ありがたいことにね。早穂さん、そろそろ活動を始めるから一回離れてもらって良い?」
「わかりました」
早穂さんがスッと体を離し、その事に対してホッとする反面、名残惜しさも感じた後、僕と早穂さんは携帯を取り出して妖怪さんとGO! を起動した。そして日替わりお題をこなすためにお題の画面の日替わりお題をタップすると、ワラシちゃんが持つ御籤箱から一本の御籤棒が飛び出した。
「今回は……」
「“西に歩いて、鳥や虫を見つけよう”ですか。この場合、時間や距離は関係なくひたすらに西にという事で良いんですよね?」
「そうだね。今回は比較的難しくはなさそうだし、のんびり西に向かって歩きながら鳥や虫を探してみようか」
早穂さんと魚倉君が頷いた後、僕達はお屋敷の前からゆっくりと歩き始めた。
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