氷の薔薇は愛に目覚める~婚約破棄された令嬢と救国の王子~

イアペコス

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追放と孤独の現実 2

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エルム村に、ようやく、というべきか、ついに、というべきか、到着した日、空はまるでエリザベスの絶望した心をそのまま映し出したかのように、厚く重苦しい鉛色の雲に覆われ、冷たく鋭い針のような霧雨が、容赦なく、そして執拗に降り注いでいた。馬車が、村の入り口を示す、半分朽ちかけた木の柵に差し掛かると、エリザベスは思わず息を飲み、言葉を失った。そこは、彼女がこれまでの人生で見たことも、想像したことすらないほど、貧しく、荒れ果て、まるで生命の輝きというものが完全に失われてしまったかのような場所だった。家々は、今にも崩れ落ちそうなほど古びて傾き、壁は長年の風雨と煤で黒ずみ、屋根には大きな穴が開いて、そこから雨水が容赦なく流れ込んでいるのが見えるものさえあった。道と呼べるものはなく、ぬかるんだ泥濘が広がり、家畜の糞尿の強烈な匂いと、淀んだ生活排水の腐敗臭、そして何よりも、貧困と絶望が染みついた、重く息苦しい空気が鼻をつき、吐き気を催させた。そして、物珍しげに、しかし決して近づこうとはせず、遠巻きにこちらを薄汚れた顔で窺う村人たちの顔には、長年の過酷な労働と、報われることのない日々の生活への諦観が、まるで深い皺のように刻まれ、その虚ろな瞳は、エリザベスという、場違いなほどに美しく、異質な存在に対して、あからさまな好奇心と、それ以上に強い、本能的な警戒心、そして何よりも「王都から追放されてきた、何かとんでもない罪を犯した悪女」への、隠そうともしない、動物的な侮蔑と敵意の色をありありと浮かべていた。

彼女に、今後の「住居」として割り当てられたのは、村の外れ、雑草が生い茂り、まるで墓場のような陰鬱な雰囲気が漂う場所に、ポツンと一軒だけ建つ、かつてはそれなりの地位の役人が住んでいたのであろうが、今は見る影もなく荒れ果て、廃墟同然と化した石造りの小さな館だった。苔むして滑りやすくなった石壁には、まるで建物を絞め殺そうとするかのように、不気味な蔦がびっしりと絡みつき、窓ガラスは埃と泥で分厚く覆われ、そのほとんどは割れて失われ、代わりに風雨を防ぐためか、粗末な木の板が打ち付けられている。屋根瓦はところどころ剥がれ落ち、その隙間からは、まるで獣の巣のように、枯れ草や鳥の羽根が覗いていた。重い木の扉を、同行してきた役人が力任せに押し開けると、カビと埃とネズミの糞、そして長年放置された建材の腐敗臭が混じり合った、耐え難いほどに不快な空気が、淀んだ塊となってエリザベスの顔にまとわりついた。暖炉は、何十年も火が入った形跡がなく、その内側は煤と蜘蛛の巣で真っ黒に覆われ、まるで地獄への入り口のように不気味な口を開けていた。床には厚く埃が積もり、歩くたびに乾いた音がして舞い上がり、壁紙は剥がれ落ち、シミだらけで、そこからは湿った石壁が覗いている。王都の、陽光が降り注ぎ、花の香りに満ち、常に清潔で美しく整えられた壮麗な公爵邸や、機能的で洗練された美しい調度品に囲まれた王宮での、夢のような生活しか知らなかったエリザベスにとって、それは、言葉では言い表せないほどの精神的苦痛と、内臓が捩れるような生理的な嫌悪感を伴う、あまりにも残酷な落差だった。
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