氷の薔薇は愛に目覚める～婚約破棄された令嬢と救国の王子～

愛の誓いと真実の力 8

「…エドワード殿下」
エリザベスは、ゆっくりと、しかしその一歩一歩に、大地を踏みしめるような、そして決して後戻りはしないという確かな意志を込めて立ち上がり、先程までの、まるで死人のように虚ろで、そして全ての感情を失ったかのような表情とは、全く、そして劇的に異なる、凛とした、そしてその内なる、再び燃え始めた炎のような、強い意志と、そして何よりも、愛する者を守るという絶対的な決意を宿した声で、そのあまりの豹変ぶりに、ただただ驚きと、そしてどこか本能的な困惑の表情を浮かべるエドワード王太子に、静かに、しかしその場にいる全ての者の、魂の奥底まで届くような、きっぱりとした口調で語りかけた。
「わたくしは…先程、この場で、わたくしが、自らの意志とは全く関係なく、そしておそらくは悪魔に魂を売り渡したかのように口にした、全ての、醜く、そして偽りに満ちた言葉を、ここに、そしてこの場におられる全ての皆様の前で、完全に、そして永遠に撤回いたします。わたくしは、断じて、そして神に誓って『悪役令嬢』などではございません。そして、わたくしは、この世のいかなる法に照らしても、そして何よりも、わたくし自身の良心に照らしても、いかなる罪も、ただの一つとして、決して犯してはおりません！」
その、あまりにも堂々とした、そして以前の、どんな時よりも力強く、そして何よりも、その声に、一片の嘘も、一片の迷いもない、まるで生まれ変わったかのような、あるいは、真の自分自身にようやく目覚めたかのような彼女の、雷鳴のような宣言に、エドワードも、そしてその場にいた全ての者たち――その美しい顔を、信じられないという表情で歪ませるリリアも、そして、その能面のような顔に、初めて、ほんのわずかな、しかし確実な焦りの色を浮かべたオルダス公爵さえも――一瞬、言葉を完全に失い、まるで信じられないもの、あるいは理解できないもの、そして何よりも、自分たちの計算を、そして運命さえも狂わせる、恐るべきものを見たかのように、ただただ呆気に取られたような、そしてどこか本能的な、そして原始的な怯えのような表情を浮かべた。
「き、貴様…！いったい、何を…何を血迷ったようなことを、今更になって申すか、エリザベス！ついに、その頭がおかしくなってしまったのか！それとも、死を前にして、最後の悪あがきでもするつもりか！」エドワードは、その、彼女のあまりの、そして予想だにしなかった劇的な豹変ぶりに、もはや自らの動揺を隠すことさえできず、その声は上擦り、そして震えていた。
リリアは、その、天使のように美しい顔を、しかし今は、怒りと、屈辱と、そして何よりも、計算が狂ったことへの焦りで、まるで鬼女のように真っ赤にして、金切り声に近い、耳障りでヒステリックな声で、狂ったように叫んだ。「この女！この、どこまでも性根の腐った性悪女！まだ、そんな往生際の悪いことを言うつもりなのね！エドワード様、こんな、嘘つきで、恩知らずで、そして神をも恐れぬ大罪人の女の、最後の、そして見苦しいだけの戯言なんかに、ほんの少しでも耳を貸す必要は、これっぽっちもございませんわ！さっさと、この場で、この女の、その美しいが嘘つきな首を、潔く刎ねてしまいなさいまし！」

しかし、エリザベスは、もはや、彼女たちの、悪意と憎悪に満ちた言葉や、そして死の恐怖をちらつかせるような、卑劣な脅迫に、ほんのわずかたりとも、その心を揺らがせることは、断じてなかった。ルシアンの、その、自らの命そのものを懸けて届けられた、あまりにも深く、そしてあまりにも気高い愛と、彼女への、微塵の揺らぎもない絶対的な信頼が、彼女に、どんな困難にも、そしてどんな強大で、そしてどんな卑劣な敵にも、決して屈することのない、無限の、そして何よりも美しい勇気と、そして何よりも、自分自身の、その気高い魂を信じる力を、豊かに、そして永遠に与えてくれていた。