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107話 光の神剣
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ライシーン第五迷宮四十三階層ボス部屋。
「〈異世界人〉のスキルとは便利なものですにゃ」
こちらは本日のゲストとしてお招きしたモーディーンさん。
レスティー達と納屋で合流後、ワープゲートで彼の居た村にお迎えに上がり、こうしてダンジョンまでお連れした。
彼らも村での復興作業の護衛で15人で来たが、半日交代で任務に就くそうで、モーディーンさん達とは午前中までの付き合いとなる予定だ。
モーディーンさん以外のゲストメンバーは、彼の奥さんのビアンカさんに、エルフでアーチャーの最上級職であるスナイパーのベクスさんとウセージのアメリアさん。
このエルフの二人は兄妹なのか恋人なのかは分からない。
年齢も近いのでどうなんだろう?
そしていつもはいかつい大男ザァラッドさんが居るところなのだが、今日はその姿が無く、代わりに顔は美少女体はボディビルダーなロイヤルガードのマルグリットさんが来ていた。
「トシオ~、なんで会いに来てくれなかったのよー。お姉さん寂しかったんだからね~?」
「色々と忙しかったのでそんな余裕なかったんです。それとくっつくのはやめてください」
ワープゲートを潜るなり、俺に抱き付いてきたマルグリットさんを引きはがしながら言い訳を述べておく。
そう言えば彼女も俺に好意を寄せてくれていたっけ。
半分冗談だと思ってた。
だが単純に好みではないと言い放つと、人間関係に影響が出るのでそこは伏せる。
どうせならユーベルトに行ってくれたら色々と丸く収まるのに何で俺なんだ?
認めたくはないが、ユーベルトは俺よりよっぽど美形で主人公顔だ。
とてもモテそうに思えるのだが、恋人が出来ないのは出会いが無いのか、はたまた思春期に加えてDTを拗らせているからなのか。
……全部だな。
「それとすぐに出発したいので早くPTに戻ってください」
「ちぇっ、折角トシオとステキなことが出来ると思ってザァラッドのおっさんと代わってもらったのにー」
拗ねながらもモーディーンさん達が居るPTに向かうマルグリットさん。
俺好みのモン娘美少女orモン娘美女だったら喜んで受け入れるたくなるのだが、ガチビルダー体型はちょっとすんません……。
アラクネとかこの前見たスライムの上位種だったらワンチャンスだったのになぁ。
俺の好みは置いといて、緑髪の美女で魔法使いのヴァルナさんと、禿頭の中年男性で神官のレナルドルさんが、モーディーンさん達の仲間として同行している。
話したことは無いが、2人は合宿にも居た気がする。
何気にドワーフ女性の神官クリスタさんも居ない。
「それではこれより〝エセ勇者と行くダンジョン最深部探索ツアー〟の簡単な取り扱い説明をします」
そんな出だしから無詠唱とクールタイム減少にマルチプルキャストでの魔法やスキルの使い方を簡単にレクチャーさせてもらうと、これまで拾った魔水晶を消費して全体のレベルUPを図ってからタンザス村のワープゲートを閉じ、よしのんにも自宅のワープゲートを閉じさせた。
これはタンザス村の居残り組であるザァラッドさん達や、自宅に居るローザ達のレベル上げのためである。
レスティー達が最上級ジョブとなり、全員に着けたセカンドとサードジョブも上位職の後半にまで上がったが、俺達の最上位ジョブのカンストにまではいかなかった。
まぁジョブレベルの上限がなくなってるので、実質的にカンストなんて無くなったけど。
ちなみにモーディーンさん達が同行する契約的なものは、拾ったアイテムはその場に居た全員で山分けする。
装備は使いたい人に回し、複数いたらジャンケンで(権利を得た人は次にほしいものが出たとしても、他に欲しい人が居て、且つその人が権利を行使していない場合は辞退する)。
落ちていた魔水晶は探索打ち切り時に関係者を集めて即使用、ダンジョンコアだけは俺達が貰う。以上。
なので魔水晶による経験値は大規模PTに含まれている40人近い全員が経験値を得られるようになる仕組みだ。
昨日までに拾ったアイテムは俺が一括管理し、これから拾うアイテムはよしのんに任せることで、これまでの収入とこれからの収入を別けて扱うこととなっている。
「それじゃ、四十四階層は俺も初めてだから、皆気を付けてね」
ククを先頭に四十四階層へと進軍を開始した。
「複数の敵です」
ふわもこの毛で顔を包んだククの短く発せられた声で意識を集中すると、サーチエネミーで前方から向かってくる魔物を5体確認した。
しばらくすると金属の足音が重なって聞こえてくる。
デスナイトLv44
属性:闇。
耐性:なし。
弱点:炎ダメージ倍。光ダメージ倍。神聖ダメージ倍。
状態異常:なし。
体長三メートルは優にあろうかという髑髏の騎士が、大きな剣と盾を携え歩いてきた。
フル装備の巨大骸骨とかすごい威圧感だ。
「敵はデスナイト、闇属性、弱点に火と光と神聖属性にダメージ倍。耐性は無し」
「デスナイトだって!?」
「1体でも中堅PTが全滅しかねない強敵ですにゃ」
「そんなのが5体も居るのか!?」
「デスナイトは身体能力が高く、物理も魔法も通し難いので注意してください……」
「物理攻撃しかしてきませんが、攻撃を受けると呪われて体力を失い続けましゅ! 呪った個体を倒さない限りは呪いはとけません!」
俺の知らせに後ろの方からディオンやモーディーンさん、それにベクスさんからも緊張の声が響くも、すぐさまセシルとフィローラのアドバイスを頂いた。
魔法に強いと言っても闇属性な上に光ダメージ弱点持ちなら、光属性ならダメージ倍率400%だ。
俺はデスナイト5体を巻き込むようにセージの光属性の範囲攻撃魔法バーニングレイを三倍掛けで発動させると、ドーム状の光が骸骨ナイトを飲み込んだ。
しかし、魔法攻撃中は盾を構え身を竦めていたデスナイト達が、光の消失と共に湯気を上げながらも平然と立ち上がり、こちらを敵と認識して大きな歩幅で走って詰め寄ってきた。
おいおい、総魔力250を超えた上に弱点を突いた範囲魔法が、それも念を入れての三倍掛けが殆ど利いてないじゃないか!?
すぐさまメリティエの隣に並び立つと、左腕を前に突き出し光属性の単体魔法レイボウを重ね掛けで発動。
先頭を走っていたデスナイトの胸部にレーザー光線を照射すると、着弾貫通し後ろに吹き飛ぶ。
しかし直ぐに起き上がり、横を抜けていくデスナイトの後に加わりまた向かってきた。
マジか!?
今のは効いているように見えたが、いかんせん被害箇所が小さすぎたせいで、致命的な効果に繋がらなかったのだ。
追撃にイルミナさんやセシルからシャイニングブラストが放たれるも、あろうことか避けやがった。
さらに迫るデスナイト、その距離僅か5メートル。
髑髏の騎士が大剣を大きく振りかぶった。
やらせるか!
「〈クラウ・ソラス〉!」
シャイニングランスを10倍掛けにしたモノをMPギリギリまで多重展開で生み出し続け、それを一つにまとめて更に圧縮をかける。
左手に握りしめた輝きには紫電一閃の時のような大きな音は無く、ただ純白に輝く一振りの片手剣として静かに眩く自己の存在を主張した。
その光の剣を脅威と捉えたのか、5体のデスナイトが俺に向かって一斉に殺到、その巨大な剣を振り下ろす。
そんな実体剣の速度より、俺が重さの無い魔法剣を振り下ろす方がはるかに速い!
デスナイトめがけてレーザーロングソードを袈裟斬りに振り下すと刀身が弾けた。
光の剣は極小の光弾となって失った刀身の軌跡を追い、高密度の光弾の群れが軌道上のデスナイトへと降り注いだ。
指向性のある光の散弾が一瞬で2体のデスナイトをズタボロに変えてみせる。
さらに刀身の無い光の柄を握りしめ横に薙ぎ払うと、後ろに居た残りの三体に向かった光の飛礫で易々と駆逐してみせた。
だが、直ぐ様MP酔いからくる目眩と嘔吐感でその場に倒れると、盛大にリバース。
あぁ、さっき食べた朝ごはんが勿体ない。
リシア、ローザ、クク、ごめんね……。
朝食を作ってくれた三人に心の中で謝罪した。
クラウ・ソラス、技の発想は〝〈マルチプルキャスト〉をもってしても同時に10倍掛けまでしかできないなら、〈クールタイム減少〉で連発すればいい〟と、〝魔法は圧縮した方が威力が高いなら、重ね掛けした魔法をさらに重ねてから圧縮した〟、そして〝クレアル湖の湖面でやったマジックアローの群游〟である。
圧縮することで失われた打撃面を補おうため、散弾という形となった。
使用感覚は蛇腹剣(剣の刀身を分割してその中にワイヤーを仕込み、鞭の様にしならせて遠距離斬撃を加える架空の武器)のノリだ。
でも散弾にするより細い棒状のようにした方がカッコいいかもなぁ。
その辺は用途に合わせて変えるべきか。
一転集中する時などは分割せずに使っても良いしな。
そんな訳で折角生み出した技なので、かっこいい名前がほしいと思い、ケルト神話の戦神〈銀の腕のヌァザ〉が持つとされる光の神剣にして不敗の魔剣である〈クラウ・ソラス〉の名を冠した。
文献ではヌァザ神の剣と言う確証はないんだけどね。
レーヴァテインも巨人スルトの剣じゃないらしいし。
あと、別に蛇腹剣感覚で柄を振り回さなくても、生み出した光弾はマジックアローの魚群同様、念じれば敵を追い回すなんてことだって出来る。
MP酔いにも拘らず今回のような振り回すと、酔いを加速させるバカっぷりを披露する羽目になるが。
でもほら、気分って大事じゃエレエレエレエレエレ……。
「デスナイトをああも容易く葬るとは、ほんに恐ろしいのぅ……」
「これが流れ人の力なのか!?」
「流石トシオ、あたしの目に狂いはなかった!」
「今戦ったら勝てるか怪しいですにゃ」
イルミナさんや新加入のディオン、マルグリットやモーディーンさん達までもが後ろの方で〝さすトシ〟してくれているが、当の本人は倒れたまま胃の内容物を迷宮の肥料にするお仕事を満喫中である。
これが容易く見えるなら、今すぐ眼科に行けと言いたい。
吐瀉物が幻想的な黄緑色の粒子となり、迷宮の中に消えていった。
「〈異世界人〉のスキルとは便利なものですにゃ」
こちらは本日のゲストとしてお招きしたモーディーンさん。
レスティー達と納屋で合流後、ワープゲートで彼の居た村にお迎えに上がり、こうしてダンジョンまでお連れした。
彼らも村での復興作業の護衛で15人で来たが、半日交代で任務に就くそうで、モーディーンさん達とは午前中までの付き合いとなる予定だ。
モーディーンさん以外のゲストメンバーは、彼の奥さんのビアンカさんに、エルフでアーチャーの最上級職であるスナイパーのベクスさんとウセージのアメリアさん。
このエルフの二人は兄妹なのか恋人なのかは分からない。
年齢も近いのでどうなんだろう?
そしていつもはいかつい大男ザァラッドさんが居るところなのだが、今日はその姿が無く、代わりに顔は美少女体はボディビルダーなロイヤルガードのマルグリットさんが来ていた。
「トシオ~、なんで会いに来てくれなかったのよー。お姉さん寂しかったんだからね~?」
「色々と忙しかったのでそんな余裕なかったんです。それとくっつくのはやめてください」
ワープゲートを潜るなり、俺に抱き付いてきたマルグリットさんを引きはがしながら言い訳を述べておく。
そう言えば彼女も俺に好意を寄せてくれていたっけ。
半分冗談だと思ってた。
だが単純に好みではないと言い放つと、人間関係に影響が出るのでそこは伏せる。
どうせならユーベルトに行ってくれたら色々と丸く収まるのに何で俺なんだ?
認めたくはないが、ユーベルトは俺よりよっぽど美形で主人公顔だ。
とてもモテそうに思えるのだが、恋人が出来ないのは出会いが無いのか、はたまた思春期に加えてDTを拗らせているからなのか。
……全部だな。
「それとすぐに出発したいので早くPTに戻ってください」
「ちぇっ、折角トシオとステキなことが出来ると思ってザァラッドのおっさんと代わってもらったのにー」
拗ねながらもモーディーンさん達が居るPTに向かうマルグリットさん。
俺好みのモン娘美少女orモン娘美女だったら喜んで受け入れるたくなるのだが、ガチビルダー体型はちょっとすんません……。
アラクネとかこの前見たスライムの上位種だったらワンチャンスだったのになぁ。
俺の好みは置いといて、緑髪の美女で魔法使いのヴァルナさんと、禿頭の中年男性で神官のレナルドルさんが、モーディーンさん達の仲間として同行している。
話したことは無いが、2人は合宿にも居た気がする。
何気にドワーフ女性の神官クリスタさんも居ない。
「それではこれより〝エセ勇者と行くダンジョン最深部探索ツアー〟の簡単な取り扱い説明をします」
そんな出だしから無詠唱とクールタイム減少にマルチプルキャストでの魔法やスキルの使い方を簡単にレクチャーさせてもらうと、これまで拾った魔水晶を消費して全体のレベルUPを図ってからタンザス村のワープゲートを閉じ、よしのんにも自宅のワープゲートを閉じさせた。
これはタンザス村の居残り組であるザァラッドさん達や、自宅に居るローザ達のレベル上げのためである。
レスティー達が最上級ジョブとなり、全員に着けたセカンドとサードジョブも上位職の後半にまで上がったが、俺達の最上位ジョブのカンストにまではいかなかった。
まぁジョブレベルの上限がなくなってるので、実質的にカンストなんて無くなったけど。
ちなみにモーディーンさん達が同行する契約的なものは、拾ったアイテムはその場に居た全員で山分けする。
装備は使いたい人に回し、複数いたらジャンケンで(権利を得た人は次にほしいものが出たとしても、他に欲しい人が居て、且つその人が権利を行使していない場合は辞退する)。
落ちていた魔水晶は探索打ち切り時に関係者を集めて即使用、ダンジョンコアだけは俺達が貰う。以上。
なので魔水晶による経験値は大規模PTに含まれている40人近い全員が経験値を得られるようになる仕組みだ。
昨日までに拾ったアイテムは俺が一括管理し、これから拾うアイテムはよしのんに任せることで、これまでの収入とこれからの収入を別けて扱うこととなっている。
「それじゃ、四十四階層は俺も初めてだから、皆気を付けてね」
ククを先頭に四十四階層へと進軍を開始した。
「複数の敵です」
ふわもこの毛で顔を包んだククの短く発せられた声で意識を集中すると、サーチエネミーで前方から向かってくる魔物を5体確認した。
しばらくすると金属の足音が重なって聞こえてくる。
デスナイトLv44
属性:闇。
耐性:なし。
弱点:炎ダメージ倍。光ダメージ倍。神聖ダメージ倍。
状態異常:なし。
体長三メートルは優にあろうかという髑髏の騎士が、大きな剣と盾を携え歩いてきた。
フル装備の巨大骸骨とかすごい威圧感だ。
「敵はデスナイト、闇属性、弱点に火と光と神聖属性にダメージ倍。耐性は無し」
「デスナイトだって!?」
「1体でも中堅PTが全滅しかねない強敵ですにゃ」
「そんなのが5体も居るのか!?」
「デスナイトは身体能力が高く、物理も魔法も通し難いので注意してください……」
「物理攻撃しかしてきませんが、攻撃を受けると呪われて体力を失い続けましゅ! 呪った個体を倒さない限りは呪いはとけません!」
俺の知らせに後ろの方からディオンやモーディーンさん、それにベクスさんからも緊張の声が響くも、すぐさまセシルとフィローラのアドバイスを頂いた。
魔法に強いと言っても闇属性な上に光ダメージ弱点持ちなら、光属性ならダメージ倍率400%だ。
俺はデスナイト5体を巻き込むようにセージの光属性の範囲攻撃魔法バーニングレイを三倍掛けで発動させると、ドーム状の光が骸骨ナイトを飲み込んだ。
しかし、魔法攻撃中は盾を構え身を竦めていたデスナイト達が、光の消失と共に湯気を上げながらも平然と立ち上がり、こちらを敵と認識して大きな歩幅で走って詰め寄ってきた。
おいおい、総魔力250を超えた上に弱点を突いた範囲魔法が、それも念を入れての三倍掛けが殆ど利いてないじゃないか!?
すぐさまメリティエの隣に並び立つと、左腕を前に突き出し光属性の単体魔法レイボウを重ね掛けで発動。
先頭を走っていたデスナイトの胸部にレーザー光線を照射すると、着弾貫通し後ろに吹き飛ぶ。
しかし直ぐに起き上がり、横を抜けていくデスナイトの後に加わりまた向かってきた。
マジか!?
今のは効いているように見えたが、いかんせん被害箇所が小さすぎたせいで、致命的な効果に繋がらなかったのだ。
追撃にイルミナさんやセシルからシャイニングブラストが放たれるも、あろうことか避けやがった。
さらに迫るデスナイト、その距離僅か5メートル。
髑髏の騎士が大剣を大きく振りかぶった。
やらせるか!
「〈クラウ・ソラス〉!」
シャイニングランスを10倍掛けにしたモノをMPギリギリまで多重展開で生み出し続け、それを一つにまとめて更に圧縮をかける。
左手に握りしめた輝きには紫電一閃の時のような大きな音は無く、ただ純白に輝く一振りの片手剣として静かに眩く自己の存在を主張した。
その光の剣を脅威と捉えたのか、5体のデスナイトが俺に向かって一斉に殺到、その巨大な剣を振り下ろす。
そんな実体剣の速度より、俺が重さの無い魔法剣を振り下ろす方がはるかに速い!
デスナイトめがけてレーザーロングソードを袈裟斬りに振り下すと刀身が弾けた。
光の剣は極小の光弾となって失った刀身の軌跡を追い、高密度の光弾の群れが軌道上のデスナイトへと降り注いだ。
指向性のある光の散弾が一瞬で2体のデスナイトをズタボロに変えてみせる。
さらに刀身の無い光の柄を握りしめ横に薙ぎ払うと、後ろに居た残りの三体に向かった光の飛礫で易々と駆逐してみせた。
だが、直ぐ様MP酔いからくる目眩と嘔吐感でその場に倒れると、盛大にリバース。
あぁ、さっき食べた朝ごはんが勿体ない。
リシア、ローザ、クク、ごめんね……。
朝食を作ってくれた三人に心の中で謝罪した。
クラウ・ソラス、技の発想は〝〈マルチプルキャスト〉をもってしても同時に10倍掛けまでしかできないなら、〈クールタイム減少〉で連発すればいい〟と、〝魔法は圧縮した方が威力が高いなら、重ね掛けした魔法をさらに重ねてから圧縮した〟、そして〝クレアル湖の湖面でやったマジックアローの群游〟である。
圧縮することで失われた打撃面を補おうため、散弾という形となった。
使用感覚は蛇腹剣(剣の刀身を分割してその中にワイヤーを仕込み、鞭の様にしならせて遠距離斬撃を加える架空の武器)のノリだ。
でも散弾にするより細い棒状のようにした方がカッコいいかもなぁ。
その辺は用途に合わせて変えるべきか。
一転集中する時などは分割せずに使っても良いしな。
そんな訳で折角生み出した技なので、かっこいい名前がほしいと思い、ケルト神話の戦神〈銀の腕のヌァザ〉が持つとされる光の神剣にして不敗の魔剣である〈クラウ・ソラス〉の名を冠した。
文献ではヌァザ神の剣と言う確証はないんだけどね。
レーヴァテインも巨人スルトの剣じゃないらしいし。
あと、別に蛇腹剣感覚で柄を振り回さなくても、生み出した光弾はマジックアローの魚群同様、念じれば敵を追い回すなんてことだって出来る。
MP酔いにも拘らず今回のような振り回すと、酔いを加速させるバカっぷりを披露する羽目になるが。
でもほら、気分って大事じゃエレエレエレエレエレ……。
「デスナイトをああも容易く葬るとは、ほんに恐ろしいのぅ……」
「これが流れ人の力なのか!?」
「流石トシオ、あたしの目に狂いはなかった!」
「今戦ったら勝てるか怪しいですにゃ」
イルミナさんや新加入のディオン、マルグリットやモーディーンさん達までもが後ろの方で〝さすトシ〟してくれているが、当の本人は倒れたまま胃の内容物を迷宮の肥料にするお仕事を満喫中である。
これが容易く見えるなら、今すぐ眼科に行けと言いたい。
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