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172話 あのお方
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彼らがウィッシュタニアの諜報員である時点で大方の予想は出来てはいるが、ちゃんと詳細を聞いておかねばと確認するも、本国から俺の排除とよしのんの捕獲を命じられたと白状した。
予想通り過ぎるが、普通は第三王子みたく交渉人を派遣するとか順序ってもんがあるだろ。
なのになんで最初から〝刺客を送り込む〟になるんだよ、最終手段を初手にもってくんなし。
てかあんな刺客程度でどうにかなると本気で思っているのなら、頭がおめでたすぎてウィッシュタニアの第一王子宛てに祝辞でも贈りつけたくなる。
金の無駄なのでやりはしないけど。
諜報員の男達はこのまま猫達に見張らせて迷宮に放置して、お次はならず者集団だ。
こいつらはどうやらライシーンのスラムを支配する闇ギルトの集団で、赤毛の美女が闇ギルドのギルドマスターとのこと。
このまま猫の餌にするのもありなのだが、ここは闇ギルドの健全化とスラムの貧困を無くす目的で、この場に居たならず者全員を奴隷契約で縛り、俺の配下に置くことにした。
「お前ら、明日から冒険者な」
「は? あっしらが冒険者ですって?」
足を斬り飛ばした男に治療魔法を施しながら皆そう告げると、男達は鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をし、すっとんきょな声を上げた。
「いやいや旦那、あっしら脛に傷のある罪人ですぜ。冒険者ギルドが冒険者カードを発光しねぇどころかそのまま牢屋にぶちこまれやすぜ」
ここが迷宮の四十七階層と告げてから、妙に畏まられている。
「依頼は俺の使いが受けるから、お前らはそれをこなせ。あと麻薬みたいな危険な薬物とか扱ってるなら今日限り其れも無しだ」
「「「へい……」」」
「そっちの2人は?」
「わかったよ……」
「はいはい……」
女ボスがか細くも忌々し気に頷き、銀髪の女アサシンも不貞腐れた顔で返事をする。
「そうだ、お前はさらった人を解放するように。それと既に売られた人のリストを大至急作れ。あと隣国の奴隷商人の居場所も教るように」
今の俺の財力なら、数十人くらいなら買い戻せるだろう。
応じなければ金だけおいて強引に連れ帰ってくるまでだ。
こうして俺は、ライシーンの闇ギルドの一部の人間から〝あのお方〟と呼ばれる存在になってしまった。
クレアル湖のいつもの湖岸。
鬱屈した感情を家に持ち帰る訳にはいかず、頭が覚めるのを夜の湖を眺めながら過ごしていた。
人を殺し、白骨死体を目撃し、怒りに任せて身動きの取れない人間の脚を斬り飛ばす。
挙句の果てには国家から命を狙われる。
俺の異世界ライフはなんでこんなにハードモードなんだよ!
しかも保護した勇者は役に立たないどころか腐臭を家に蔓延させやがるし!
やべぇ、ストレスで胃に穴が開きそう……。
いやもうすでに開いているんじゃね?
おい誰か、俺に給料を与えてもバチなんて当たらないぞー!
ストレスが脳内でいつもの妄想ボディビルダーとして顕現すると、『お前なんぞプロテインでも飲んでろ!』と半ギレ風味でプロテイン缶を全力投球し、俺にトドメを刺しに来やがった。
お前こそワセリンで溺死しろ!
俺は全ての鬱憤を吐き出す様に、湖の上空に向かって最大火力の爆裂魔法をぶっ放した。
予想通り過ぎるが、普通は第三王子みたく交渉人を派遣するとか順序ってもんがあるだろ。
なのになんで最初から〝刺客を送り込む〟になるんだよ、最終手段を初手にもってくんなし。
てかあんな刺客程度でどうにかなると本気で思っているのなら、頭がおめでたすぎてウィッシュタニアの第一王子宛てに祝辞でも贈りつけたくなる。
金の無駄なのでやりはしないけど。
諜報員の男達はこのまま猫達に見張らせて迷宮に放置して、お次はならず者集団だ。
こいつらはどうやらライシーンのスラムを支配する闇ギルトの集団で、赤毛の美女が闇ギルドのギルドマスターとのこと。
このまま猫の餌にするのもありなのだが、ここは闇ギルドの健全化とスラムの貧困を無くす目的で、この場に居たならず者全員を奴隷契約で縛り、俺の配下に置くことにした。
「お前ら、明日から冒険者な」
「は? あっしらが冒険者ですって?」
足を斬り飛ばした男に治療魔法を施しながら皆そう告げると、男達は鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をし、すっとんきょな声を上げた。
「いやいや旦那、あっしら脛に傷のある罪人ですぜ。冒険者ギルドが冒険者カードを発光しねぇどころかそのまま牢屋にぶちこまれやすぜ」
ここが迷宮の四十七階層と告げてから、妙に畏まられている。
「依頼は俺の使いが受けるから、お前らはそれをこなせ。あと麻薬みたいな危険な薬物とか扱ってるなら今日限り其れも無しだ」
「「「へい……」」」
「そっちの2人は?」
「わかったよ……」
「はいはい……」
女ボスがか細くも忌々し気に頷き、銀髪の女アサシンも不貞腐れた顔で返事をする。
「そうだ、お前はさらった人を解放するように。それと既に売られた人のリストを大至急作れ。あと隣国の奴隷商人の居場所も教るように」
今の俺の財力なら、数十人くらいなら買い戻せるだろう。
応じなければ金だけおいて強引に連れ帰ってくるまでだ。
こうして俺は、ライシーンの闇ギルドの一部の人間から〝あのお方〟と呼ばれる存在になってしまった。
クレアル湖のいつもの湖岸。
鬱屈した感情を家に持ち帰る訳にはいかず、頭が覚めるのを夜の湖を眺めながら過ごしていた。
人を殺し、白骨死体を目撃し、怒りに任せて身動きの取れない人間の脚を斬り飛ばす。
挙句の果てには国家から命を狙われる。
俺の異世界ライフはなんでこんなにハードモードなんだよ!
しかも保護した勇者は役に立たないどころか腐臭を家に蔓延させやがるし!
やべぇ、ストレスで胃に穴が開きそう……。
いやもうすでに開いているんじゃね?
おい誰か、俺に給料を与えてもバチなんて当たらないぞー!
ストレスが脳内でいつもの妄想ボディビルダーとして顕現すると、『お前なんぞプロテインでも飲んでろ!』と半ギレ風味でプロテイン缶を全力投球し、俺にトドメを刺しに来やがった。
お前こそワセリンで溺死しろ!
俺は全ての鬱憤を吐き出す様に、湖の上空に向かって最大火力の爆裂魔法をぶっ放した。
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