Little Garden

きはる

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道を越えて

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 広く平らにならされた道には、様々な人種の行商人が行き交っていた。黒や赤褐色の肌の人間はもちろんのこと、魚のような鱗を散りばめている者なんてのもいる。僕が昔、住んでいた国は沢山人がいたけれど、彼らはみんな白く美しい人間ばかりだった。あそこはみんな等しく統一されてばかりいたから、きっと彼らはこの光景を見ただけで失神してしまうかもしれない。
「リオ、余所見ばかりしてないでちゃんとついてきなさい」
 彼女の声が耳に入ったと同時に、僕はアルビオの手をほどきそうにいたことに気づいた。細く華奢な手に全てを預けるよう強く握り締めると、軽い力で(それは彼女にとってはという意味で、僕はその強さに驚いて転びそうになった)引っ張りながら、彼女の隣りに僕を立たせた。
「私を見失わないようにするのよ。こんなに人が多いところで迷ったら、リオを見つけるのは大変だし、それにあなた自身も困ることになるでしょ?」
 目深に被った外套から見える赤く光る目に向かって、小さく頷く。そうだ、僕は気をつけなくちゃいけない。アルビオに迷惑なんてかけたくない。
「でも、なんでこんなに人が多いんだろう?ハーベストって昨日の話以上に栄えてるの?」
「うーん、以前来たときはこんなにはいなかったわよ。誰か見失っちゃうんじゃないか、なんて思うほどこんなに人で溢れていなかったもの」
「ふーん、何かお祭りとかでもやってるのかな?」
「さあ、どうかしら?只、ものすごく栄えるようになっただけかもしれないわよ。まあ、あの国は一年中、お祭りみたいだけれど」
 溜め息と一緒に吐き出した言葉が気にかかり、思わず彼女に尋ねた。
「何か嫌な思い出とかあるの?」
「いいえ、そうじゃないのよ」
 小さく首を振るけれど、彼女は憂鬱を貼り付けたような顔をしている。
 ふと、彼女が僕の方を見た。一瞬、驚いた顔をしてからすぐにさっきの表情は崩れて、僕に笑顔をむけた。
「嫌なことなんてないのは本当よ。只……」
「只?」
「仕事がすぐには終わらないんじゃないかって思うと、憂鬱になるのよ」
「ああ……、でも僕もできることは手伝うから」
「あら、当たり前でしょ?そのために、あなたを連れてきたんだから」
 柔く微笑むアルビオの顔を瞳に映しながら、僕も小さく笑顔を向けた。
「入国手続きを進めたら、すぐに宿を探しに行きましょう。のんびりしてたらとれないかもしれないわ」
 その言葉に頷いて顔を上げる。段々と、周りの景色がハーベストの国にあてられて変わっていく。匂いも空気も、その国のものになっていることがありありと感じられた。はやる高揚感を胸の奥におさめながら、足取りを強めた
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