召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

さよならは言いません!

クリス先輩との模擬戦が終わると、月日はあっという間に過ぎていった。
ゆっくりと進ませようとする俺たちの願いは虚しく、今日はクリス先輩たち三年生の卒業式となる。

「本日をもって卒業するみなさんへ」

そんな日に俺たちは講堂にて学園長の言葉を聞いていた。

「卒業するみなさんにとっては学園生活は楽しかったでしょうか?私にとってはあっという間の出来事でありますが、これからみなさんが旅立つ世界は厳しいものとなるでしょう。ですが召喚士はどこからでも求められる人材なのです。みなさんの存在価値は闘いだけではありません。そのことだけはしっかりと覚えておいてください」

〔こういうのって眠くなるよな……〕

〔いいお話をされているのだからちゃんと聞いてください〕

〔はーい……〕

「それでは卒業生を代表してクリスさん、在校生に向けてどうぞ」

「は、はい!」

緊張した様子のクリス先輩が、壇上へと上がっていく。
すると学生と保護者たちから大きな拍手が沸き上がった。

「こうして卒業することができて嬉しい反面、ボクは友人の将来を断ってしまった過去もあります。そんなボクがこのまま学園に居続けていいのかと思ったこともありました。でも、居てもいいんだと言ってくれた友人の後押しと可愛い後輩たちのおかげでボクは今、こうしてここに立てています。そして何より先生方、こんなボクを導いてくれてありがとうございました!」

短いながらも想いのこもったスピーチをしたクリス先輩は涙が溢れている。

「でもここで終わりじゃありません……ボクたちはこれからも前に進んでいきますので、どうか温かく見守っていてください……それと在校生のみんな!頑張ってね!悩んで苦しいときもあると思うけど!君たちは一人じゃないから!」

クリス先輩の言葉に俺も涙が溢れてくる。
クリス先輩との模擬戦に旅行の思い出、それに日々の明るい笑顔で希望をくれたのは確かにクリス先輩だった。

「ありがとうございます!クリス先輩!」

気づけば俺は声を上げていた。
それに続きクラスメイトたちも声を上げていく。

ファーナは、

「教えてもらった剣技!しっかりと磨いていきます!」

リーナは、

「クリス先輩の明るさにいっぱい助けてもらいました!ありがとうございます!」

サリアは、

「いっぱいいっぱい話聞いてもらった!楽しかった!」

ルースは、

「とっても楽しい一年をありがとうございました!」

誰しもが涙を堪えきれずに、泣きながら声を上げた。


「クリス先輩の笑顔に元気をもらいました!」
「最高の先輩でした!」
「ありがとうございます!」

一年生から二年生、そして三年生の先輩たちも声を上げた。

「みんな……ボク、最高に幸せです!ありがとう!」

その言葉を最後に、クリス先輩は壇上から降りていった。
そして……

「これにて、卒業式を終わりとさせていただきます」

進行の人の言葉によって式は終わりを迎えたのだった。


「やあみんな!お待たせ!」

大きな声でグラウンドを走ってきたのはクリス先輩。
すっかりと元気になっているようで安心した。
そんなクリス先輩を待っていたのはレオン先輩とセツカ先輩、それにいつもの俺たちだ。

「お疲れ様です、クリス先輩。スピーチとってもよかったです」

「いやぁ、そう言われると照れちゃうね?ところでどうしてボクをここに呼んだの?」

クリス先輩の問いに俺たちはみんなで顔を見合わせ、笑った。

「みんなで買った剣をプレゼントします!じゃじゃーん!」

俺が代表して、クリス先輩に剣を渡す。
以前にファーナが折ってしまって以来、購入していないようだったので記念にこの場にいる全員でお金を出し合って購入したのだ。

「実用してもらってもいいですし、もし手に合わないようなら記念だと思って……ってクリス先輩!?」

「ありがとう……ボク、とっても嬉しいよ……」

クリス先輩は先ほどよりもポロポロと大きな涙を溢していた。
そのことにオロオロとする俺だったが、

「……ごめんね、本当に嬉しいんだ。本当にもらっていいの?」

「もちろんです!どうぞ受け取ってください!」

クリス先輩が以前に使っていたのと同じような新品のロングソード。
鞘は青い装飾が施されていて、クリス先輩の瞳の色と同じだ。

そんなロングソードを受け取ったクリス先輩が鞘から引き抜くと、太陽に当たった剣身がキラリと輝く。

「素敵なプレゼントをありがとう……ボク、大切にするね?」

「そう言ってくれるだけで嬉しいですよ!なあみんな!」

俺は振り返ってみると、みんなは笑顔でいてくれる。

「本当にありがとう!ボク……最高に幸せでした!またね!」

クリス先輩はその言葉を最後に、学園から去っていった。
たった一つだけ、俺にあるものを託して。

〔それはなんですか?〕

〔クリス先輩の制服のボタンだよ〕

〔先ほど受け取ったものはそれでしたか〕

〔ああ、クリス先輩が帰るときにこっそりと渡されたんだ〕

〔マスターは特別、なんでしょうね〕

〔これだけでも傍に置かせてねって言われたよ……〕

〔大切にしてあげてくださいね〕

〔もちろんだ〕

俺は丸いそのボタンをしっかりと握りしめた。

いずれまた、会える日が来ることを願って。
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