星見と私

ほろ苦

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男?女? 3

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私が聞こうかどうしようか悩んだ。

「すみません。失礼とは思いますが性別をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そういうことね。男だよ」

ニコリと微笑む顔があまりに美し過ぎて男とは思えない。

「でも、男宿舎にわたしを泊めるのは止めた方がいいよ」
「なぜですか?」
「大概風呂あがりに襲われるから」

平然と物凄い事を言ってるレイ様に私はドン引きしながらぬるい返事をした。

「はあ…では、団長と相談して別の部屋を準備します」
「よろしく頼む。あ、キミの部屋でもいいよ」
「へ?」
「キミなら安全そうだしね」

何を基準に安全を決めているかわからないが、私は遠慮したい。
私達は団長の許可をもらうため、団長執務室に向かった。
大きく重い立派な扉をノックすると一時して、団長専任の執務補佐が出てきた。
ここの騎士団で一番の美人でとても仕事が出来そうな女性だ。

「エメラルドさん、王都騎士団からきたレイ様が団長にご挨拶と宿泊の許可を頂きたいとの事です」
「わかりました、中にどうぞ」

部屋の中に案内されるとデスクの上に書類の山があり、隙間から団長が顔を出した。
団長、シルバ・ガルは年を召されているが、鍛え続けている筋肉は現役のまま、大柄な体格で貫禄がある。
事務仕事が苦手でお年いっぱいで隠居したいとこの前ぼやいていたが、おそらく無理だろう。

「団長、噂の客人です」
「レイか、久しいな」
「ご無沙汰しております。」

おや?ここも知り合いか。
やっぱりこの人はただものではないようだ。

「その子は…」
「ロシャール家の令嬢サナです。今年庶務配属となりました」

まあ、団長が私の存在を知らないのは無理ない。
私はお辞儀をすると団長は軽く手をあげて答えた。

「実は数日滞在したいと考えております。」
「そうか…なら部屋を用意させよう。離れがあるのでそこでいいだろう」
「団長、今離れは使えません。」
「ああ、なら男子宿舎で…ダメだな。風紀が乱れる」

エメラルドさんは少し眉間にシワを寄せていた。

「同感です。レイ様、大変申し訳ないのですが、街に宿を手配しますのでそちらでお願い出来ないでしょうか?」
「あいにく、街の宿が借りれなかったからお願いしているのだが…祭があるとか?」

あ、そうだ。今日から3日間街では豊作祭が行われる。

「あとは…」
「このサナの部屋に泊めさせてもらおうと思っているのだが、良いだろう?」

レイ様は私の肩を抱きグッと近づけた。
エメラルドさんは更に険しい表情になりレイ様を睨んだ。

「ダメに決まってます。男女が寮の同じ部屋で寝泊まりなんて不謹慎な」
「わたしは女ですよ?エメラルドさん」

は?さっき確か男って…
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