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見捨てられた者
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「ディザイア、ちょっと話があるのだけど……」
「お前の方から俺に声をかけるなんて、どういう風の吹き回しだ安藤?」
「無駄話をする時間も惜しいから、単刀直入に言うわ。 あなた、部下の教育くらいちゃんとしなさい。 この調子だと、私達が困るのよ」
ディザイアには、安藤 沙織の言っていることが理解出来なかった。
一緒に居た佐々木 小梅と共に性処理要員となって、今では毎日多くのオーク達を相手にしている。
だが何故部下の教育が行き届いていないと彼女達が困るのか、見当が付かない。
しかし彼女のいう教育とは、勉強の方面の教育ではなかった。
「折角大きくて立派なモノを持ちながら、馬鹿の1つ覚えみたいに腰を振るだけじゃ私達は満足にイカすことも出来ないのよ。 そっちの教育も、あなたの責任できちんとする事良いわね!」
言いたいことだけ言うと、安藤はまた繁殖小屋へと歩いて戻っていく。
その性欲面でのタフさには、流石のディザイアも呆れるしかなかった。
けれども彼女の言葉の意味を考え直してみて、かなり深刻な事態だと彼は気付く。 すぐに紅葉院 玲奈と子作りに励んでいた息子のコージを呼び出すと、2人で今後のことについて話し合いを始めた。
「さっき安藤から言われたことで気付いたが、俺が率いているオーク達の知性は相当低いと言わざるをえない。 よく考えてみれば人の言葉を話せる奴も少ない、これは後々悪影響を及ぼすリスクとなりかねないだろう」
「たしかに父上の言うように、大半の者は本能のままに生きております。 けれども今さらそれを直そうとしても、無理ではないでしょうか?」
「お前の言うとおり、そんなこと出来る筈が無い。 生後間もない頃から、きちんと育てない限りはな……」
そこまで話すと、ディザイアは息子を指差す。
「お前はクレアが面倒をみていたおかげもあり、人の言葉も話せるし礼節もちゃんと弁えている。 だが他の連中にはそれをしてこなかった、俺の落ち度でもあるが今の状態が続けば我らの命取りとなるやもしれぬ」
次いで周辺の地図を取り出すと、これまで元同級生達を探してきた際に書き込んできた情報と照らし合わせた。
「ここを見てほしい。 偶然見つけたのだが、ここから北に2日ほど行った所に手頃な大きなの山がある。 川の源流もあり、水の心配も少ない。 ここにいくつもの砦を築きそれらを繋いで、この山を1つの拠点にしようと思うのだがどう思う?」
「それは良いお考えですが、今の我らの人数を考えるとどうしても狭い気がします。 そこはどうなさるおつもりなのですか、父上」
息子の懸念に対するディザイアの答えは、冷酷で非情なものである。
「言葉を覚えられそうな奴らとめぼしい女達だけ連れて、ここは捨てる。 残された奴らは限りある食糧と女を奪い合って自滅するか、新たなリーダーを作るだろう。 念のため、後者の可能性を消す準備も行っておく必要があるがな……」
その日の晩、繁殖小屋から1人の若い娘が消えた。
「残念だが付近を探してみたが、女は見つからなかった。 ここの場所を国の率いる軍隊に知らされると、少しばかり厄介だ。 そこでここから少し離れた場所に、秘密の隠れ里を築こうと思う。 体力的に若い奴らを中心に選ぶので選ばれた者は、息子のコージの指示に従うように。 以上だ」
選ばれた50人のオークとその他を引き連れて、コージは拠点を築く山へ向かう。
その他には性処理の名目で若くて知性のある女達も含まれる、当然ながらその中にクレアや玲奈に沙織達の姿もあった。
コージが山へ向かってからちょうど1週間後、ディザイアが探索に町を出たまま姿を消してしまう。
残されたオーク達は初めのうちリーダーを失ってパニック状態となったが、すぐに新しいリーダーを選び元の生活に戻ったかに見えた。
異変が起きたのはその日の晩、四方から突如火矢が放たれ町は火に包まれる。
「皆の者、ここが報告にあったオークの集落である。 中には捕らえられた女性達が大勢居る筈だ、醜い豚共を一刻も早く皆殺しにして我らの正義を示すのだ!」
『うぉおおおおお!!』
鬨の声と共に甲冑に身を包んだ兵士達が一斉になだれ込む。
新リーダーは以前町の自警団から奪った武器で応戦しようと考えたが、倉庫の中はもぬけの空となっていた。
武器が見当たらず、素手で応戦する羽目となったオーク達。
武器を持たずに勝てる訳がなく、町に残っていた者は全員討ち取られた。
つかのまの勝利に酔いしれる兵士達だったが、この直後に救助した女性から出た話を聞いて、ここに残されたオーク達は見捨てられたのだと悟る。
そして娘を町から逃がし、ここの場所を兵士達に教えさせたのはディザイア本人。
道に迷わないよう、簡単な地図まで渡しておくという念の入れようである。
役に立たない者達を人の手で処分させている間に、山の拠点はほぼ完成していた。
中央に居住区画、繁殖区画、生産区画、貯蔵区画の4つの区画を設け、その周囲に砦を巧妙に複数配置した上で柵で覆い騎馬の侵入を防ぐ。
見張りの櫓まで置かれたこの拠点は、ある意味で城塞都市と呼べるものであった。
この拠点を築くにあたり、ディザイアは繁殖区画に特別な小屋を作らせている。
それは彼専用の部屋であり、およそ20人までの女性を飼うことが可能な施設。
まだ復讐を終えていない女生徒達を、ここで思う存分辱めるのが目的だ。
この小屋に入る最初の犠牲者を楽しみにしていると、見張りに立っていた部下から緊急の連絡が入った。
得たいの知れない格好をした3人組が、この拠点に近づいてきていると。
鷹目(ホークアイ)を使いその者達を確認したディザイアは、周囲に居た者に死を連想させるほどの殺気をまき散らす。
「誰も手出しをするな……。 あの3人は、俺がこの手で殺す!」
何も知らずに拠点に近づく3人組、それは前世のディザイアに対するイジメに参加していた男子生徒達たちだった……。
「お前の方から俺に声をかけるなんて、どういう風の吹き回しだ安藤?」
「無駄話をする時間も惜しいから、単刀直入に言うわ。 あなた、部下の教育くらいちゃんとしなさい。 この調子だと、私達が困るのよ」
ディザイアには、安藤 沙織の言っていることが理解出来なかった。
一緒に居た佐々木 小梅と共に性処理要員となって、今では毎日多くのオーク達を相手にしている。
だが何故部下の教育が行き届いていないと彼女達が困るのか、見当が付かない。
しかし彼女のいう教育とは、勉強の方面の教育ではなかった。
「折角大きくて立派なモノを持ちながら、馬鹿の1つ覚えみたいに腰を振るだけじゃ私達は満足にイカすことも出来ないのよ。 そっちの教育も、あなたの責任できちんとする事良いわね!」
言いたいことだけ言うと、安藤はまた繁殖小屋へと歩いて戻っていく。
その性欲面でのタフさには、流石のディザイアも呆れるしかなかった。
けれども彼女の言葉の意味を考え直してみて、かなり深刻な事態だと彼は気付く。 すぐに紅葉院 玲奈と子作りに励んでいた息子のコージを呼び出すと、2人で今後のことについて話し合いを始めた。
「さっき安藤から言われたことで気付いたが、俺が率いているオーク達の知性は相当低いと言わざるをえない。 よく考えてみれば人の言葉を話せる奴も少ない、これは後々悪影響を及ぼすリスクとなりかねないだろう」
「たしかに父上の言うように、大半の者は本能のままに生きております。 けれども今さらそれを直そうとしても、無理ではないでしょうか?」
「お前の言うとおり、そんなこと出来る筈が無い。 生後間もない頃から、きちんと育てない限りはな……」
そこまで話すと、ディザイアは息子を指差す。
「お前はクレアが面倒をみていたおかげもあり、人の言葉も話せるし礼節もちゃんと弁えている。 だが他の連中にはそれをしてこなかった、俺の落ち度でもあるが今の状態が続けば我らの命取りとなるやもしれぬ」
次いで周辺の地図を取り出すと、これまで元同級生達を探してきた際に書き込んできた情報と照らし合わせた。
「ここを見てほしい。 偶然見つけたのだが、ここから北に2日ほど行った所に手頃な大きなの山がある。 川の源流もあり、水の心配も少ない。 ここにいくつもの砦を築きそれらを繋いで、この山を1つの拠点にしようと思うのだがどう思う?」
「それは良いお考えですが、今の我らの人数を考えるとどうしても狭い気がします。 そこはどうなさるおつもりなのですか、父上」
息子の懸念に対するディザイアの答えは、冷酷で非情なものである。
「言葉を覚えられそうな奴らとめぼしい女達だけ連れて、ここは捨てる。 残された奴らは限りある食糧と女を奪い合って自滅するか、新たなリーダーを作るだろう。 念のため、後者の可能性を消す準備も行っておく必要があるがな……」
その日の晩、繁殖小屋から1人の若い娘が消えた。
「残念だが付近を探してみたが、女は見つからなかった。 ここの場所を国の率いる軍隊に知らされると、少しばかり厄介だ。 そこでここから少し離れた場所に、秘密の隠れ里を築こうと思う。 体力的に若い奴らを中心に選ぶので選ばれた者は、息子のコージの指示に従うように。 以上だ」
選ばれた50人のオークとその他を引き連れて、コージは拠点を築く山へ向かう。
その他には性処理の名目で若くて知性のある女達も含まれる、当然ながらその中にクレアや玲奈に沙織達の姿もあった。
コージが山へ向かってからちょうど1週間後、ディザイアが探索に町を出たまま姿を消してしまう。
残されたオーク達は初めのうちリーダーを失ってパニック状態となったが、すぐに新しいリーダーを選び元の生活に戻ったかに見えた。
異変が起きたのはその日の晩、四方から突如火矢が放たれ町は火に包まれる。
「皆の者、ここが報告にあったオークの集落である。 中には捕らえられた女性達が大勢居る筈だ、醜い豚共を一刻も早く皆殺しにして我らの正義を示すのだ!」
『うぉおおおおお!!』
鬨の声と共に甲冑に身を包んだ兵士達が一斉になだれ込む。
新リーダーは以前町の自警団から奪った武器で応戦しようと考えたが、倉庫の中はもぬけの空となっていた。
武器が見当たらず、素手で応戦する羽目となったオーク達。
武器を持たずに勝てる訳がなく、町に残っていた者は全員討ち取られた。
つかのまの勝利に酔いしれる兵士達だったが、この直後に救助した女性から出た話を聞いて、ここに残されたオーク達は見捨てられたのだと悟る。
そして娘を町から逃がし、ここの場所を兵士達に教えさせたのはディザイア本人。
道に迷わないよう、簡単な地図まで渡しておくという念の入れようである。
役に立たない者達を人の手で処分させている間に、山の拠点はほぼ完成していた。
中央に居住区画、繁殖区画、生産区画、貯蔵区画の4つの区画を設け、その周囲に砦を巧妙に複数配置した上で柵で覆い騎馬の侵入を防ぐ。
見張りの櫓まで置かれたこの拠点は、ある意味で城塞都市と呼べるものであった。
この拠点を築くにあたり、ディザイアは繁殖区画に特別な小屋を作らせている。
それは彼専用の部屋であり、およそ20人までの女性を飼うことが可能な施設。
まだ復讐を終えていない女生徒達を、ここで思う存分辱めるのが目的だ。
この小屋に入る最初の犠牲者を楽しみにしていると、見張りに立っていた部下から緊急の連絡が入った。
得たいの知れない格好をした3人組が、この拠点に近づいてきていると。
鷹目(ホークアイ)を使いその者達を確認したディザイアは、周囲に居た者に死を連想させるほどの殺気をまき散らす。
「誰も手出しをするな……。 あの3人は、俺がこの手で殺す!」
何も知らずに拠点に近づく3人組、それは前世のディザイアに対するイジメに参加していた男子生徒達たちだった……。
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