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ブレサの赤い霧(その5)
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「どうかなさいましたか?」
暗い部屋の中で何やら考え事をしている主に、侍従が声をかけた。
「いや……、人間の街をオークが襲撃しているようだ」
主が手を乗せているテーブルの中央には水晶玉があり、そこには襲撃を受けているベルサの街が映し出されている。
「性欲が強いだけの豚のこと、おそらくは数が増えたのでこの人数なら勝てるだろうと考えたのでは? たかだか100~や200で、街を落とせる訳も無いのに……」
水晶玉をのぞき込んだ侍従は、1万に近いオークの大軍を見て驚いた。
「こんな小さな街1つを襲撃するのに、これだけのオークを!? ……しかし誰からも今回の件の連絡は来ておりませんが」
「我らの配下ではないということだ」
主がゆっくりと立ち上がる、燃え上がるような赤いドレスを身に付けた女性。
だがそのドレスは次第に赤から黒へと色が変わり、女性の背に黒い翼が現れた。
「侍従よ。 今すぐ適当な者を見つくろい、この者への使者として派遣するのだ。 オークとはいえ1万近い軍勢、少しでも味方は多い方が良い。 もしかすると此奴らを率いているのは、転生者なのかもしれぬぞ」
「人間がオークに転生ですと!? たしかによく見ると、全員の姿形が同じに見えますが……たんなる偶然とは思えませんな」
侍従は使者の人選を始める、血の気の多い連中ばかりの陣営。
せっかくの戦力が減ってしまうのは勿体ないので、格の違いを見せつけられる人物を選ぶことにした。
「この者などは如何でしょう? 生前は我が方にも甚大な被害を招いた元聖騎士で、現在はデュラハンとして死者の一軍を任されておりますが……」
「デュラハンか……、まあ良かろう。 だがもしもこの者が交渉に失敗した場合は、私自ら出向くことにしよう。 この者を倒せるだけの人物であれば、私の将の1人に相応しいからな」
「では、そのようにいたします。 すべて望むままに進むと良いですな、魔王様」
カルマの見えざる手が働いたかは不明だが、このベルサの襲撃はクラスメイト達の召喚の為に生み出された魔王の目に留まる。
侍従が部屋を退出すると、魔王は再び水晶玉の映像をぼんやりと見つめた。
しかし次の瞬間映し出された映像を見て、魔王は大きく目を開く。
襲われている者の中に、勇者の候補が含まれていることに気付いたからである。
(そうだ……私はこの者達を召喚するためだけに、魔王などという存在に身体を作り変えられた。 私をこんな身体にした張本人が、きっとここに居るに違いない)
怒りで我を忘れた魔王は、窓を開けると空へと舞い上がった。
行く先はベルサ、己の運命をねじ曲げた者へ復讐するのが目的。
「……佐伯 一平、いやディザイア。 お前は必ず殺す!」
復讐を果たしても、次に待っているのは自分が復讐される番……。
復讐の先にあるもの、それは無限につづく怨嗟の螺旋なのかもしれない。
魔王の殺意など知る由もないディザイアは、櫻木 誠(さくらぎ まこと)の前で盾となっている河合 今日子(かわい きょうこ)達女子生徒8人と戦闘に突入していた。
だが8人全員の能力を把握していないので、不用意に近づくことすら出来ない。
櫻木の支配する力に対抗するため目を閉じているが、それでも力の影響からか酷い頭痛に襲われる。
クローンの増援を待ち数で一気に押し潰す手もあるが、それでは芸がない。
睨み合いを続けていると、櫻木がディザイアを挑発してきた。
「どうした佐伯、この期におよんで女は傷つけられないとでも言うのか? それになお前は自らの手で、これまでに何人殺してきた? 平気で人を殺せるお前は、すでに人間じゃない。 ただの化け物だ」
櫻木の挑発に、ディザイアも挑発で返す。
「化け物はお前も同じだ。 他者を支配し思考や記憶をねじまげる、俺に犯された後に自殺したというこの街の娘、あれはお前のしわざだろう? お前にはヤリ逃げ勇者の称号が、よく似合っているぞ」
「佐伯……!?」
激昂した櫻木はディザイアを指差すと、支配している女子生徒8人に命令した。
「お前ら、今すぐ目の前の豚を殺せ。 味方ごと串刺しにしてでも必ず奴の息の根を止めるんだ、行け!」
女子生徒が動き始めようとした時、櫻木の顔の前を何かが横切る。
それは1枚の紙で折られた、小さな紙飛行機。
櫻木の眼球はパックリと裂け、彼は視力と力の大半を失った。
「ぎゃあああああっ! 目が、僕の目がぁあああ!?」
目を両手で押さえながら、地面を転がる櫻木。
すると建物の影から、水尾 舞(みなお まい)が姿を見せた。
「……おまえか」
「……うん、もしかして邪魔だった?」
「いや、攻めあぐんでいたところだったから助かった。 礼を言う」
「お礼なら、あとで身体で支払ってもらうわ。 ところで河合さん達、あのまま逃亡させていいの?」
櫻木の支配力が弱まったことで、河合たち女子生徒は正気を取り戻し、櫻木1人を残してバラバラに逃げ始めている。
「彼女らも1人1人に分かれてしまえば、俺でなくても十分だ。 すぐにクローンに見つかり、降伏しなかったことを後悔する羽目になるだろう」
ディザイアには女子生徒よりも先に、しておくべきことがあった。
それは目の前にいるイジメの主犯である櫻木に、さらなる苦痛と絶望を与え復讐を果たすこと。
まずは左肘に足を乗せて体重をかける、骨の砕ける嫌な音と櫻木の絶叫が路地裏に木霊する。
右肘や両足のひざも順に破壊したディザイアは、佐々木 小梅(ささき こうめ)を呼び出すと小声である命令を与えた。
「はぁっ……。 わたしも早くコージ君と沙織のところに帰りたいから、ちゃっちゃと済ませるわよ」
そう言った小梅は振り上げた剣で、櫻木の四肢を切断する。
叫び声をあげる櫻木を鬱陶しそうに見つめながら、小梅はこの場から立ち去った。
「もう気は済んだだろう? 俺を殺してくれ……」
視力を奪われ四肢も切断された櫻木が望むのは、トドメを刺されて楽になること。 その願いをディザイアは叶える気などない、この男に最も相応しいと思える最期を迎えさせることで復讐は果たされるのだ。
「この程度で、すぐに殺してもらえるとでも思っているのか? お前は俺に自ら死を選ばせるだけのことをした、その恨みを今ここではらす」
簡単な治療で出血のみ止められた櫻木は、ディザイアの手で街の中央広場に連れて行かれる。
そこで彼は、恥辱に満ちた最期を迎えることとなった。
街の住人達に対する見せしめとして、これから利用されるのである……。
暗い部屋の中で何やら考え事をしている主に、侍従が声をかけた。
「いや……、人間の街をオークが襲撃しているようだ」
主が手を乗せているテーブルの中央には水晶玉があり、そこには襲撃を受けているベルサの街が映し出されている。
「性欲が強いだけの豚のこと、おそらくは数が増えたのでこの人数なら勝てるだろうと考えたのでは? たかだか100~や200で、街を落とせる訳も無いのに……」
水晶玉をのぞき込んだ侍従は、1万に近いオークの大軍を見て驚いた。
「こんな小さな街1つを襲撃するのに、これだけのオークを!? ……しかし誰からも今回の件の連絡は来ておりませんが」
「我らの配下ではないということだ」
主がゆっくりと立ち上がる、燃え上がるような赤いドレスを身に付けた女性。
だがそのドレスは次第に赤から黒へと色が変わり、女性の背に黒い翼が現れた。
「侍従よ。 今すぐ適当な者を見つくろい、この者への使者として派遣するのだ。 オークとはいえ1万近い軍勢、少しでも味方は多い方が良い。 もしかすると此奴らを率いているのは、転生者なのかもしれぬぞ」
「人間がオークに転生ですと!? たしかによく見ると、全員の姿形が同じに見えますが……たんなる偶然とは思えませんな」
侍従は使者の人選を始める、血の気の多い連中ばかりの陣営。
せっかくの戦力が減ってしまうのは勿体ないので、格の違いを見せつけられる人物を選ぶことにした。
「この者などは如何でしょう? 生前は我が方にも甚大な被害を招いた元聖騎士で、現在はデュラハンとして死者の一軍を任されておりますが……」
「デュラハンか……、まあ良かろう。 だがもしもこの者が交渉に失敗した場合は、私自ら出向くことにしよう。 この者を倒せるだけの人物であれば、私の将の1人に相応しいからな」
「では、そのようにいたします。 すべて望むままに進むと良いですな、魔王様」
カルマの見えざる手が働いたかは不明だが、このベルサの襲撃はクラスメイト達の召喚の為に生み出された魔王の目に留まる。
侍従が部屋を退出すると、魔王は再び水晶玉の映像をぼんやりと見つめた。
しかし次の瞬間映し出された映像を見て、魔王は大きく目を開く。
襲われている者の中に、勇者の候補が含まれていることに気付いたからである。
(そうだ……私はこの者達を召喚するためだけに、魔王などという存在に身体を作り変えられた。 私をこんな身体にした張本人が、きっとここに居るに違いない)
怒りで我を忘れた魔王は、窓を開けると空へと舞い上がった。
行く先はベルサ、己の運命をねじ曲げた者へ復讐するのが目的。
「……佐伯 一平、いやディザイア。 お前は必ず殺す!」
復讐を果たしても、次に待っているのは自分が復讐される番……。
復讐の先にあるもの、それは無限につづく怨嗟の螺旋なのかもしれない。
魔王の殺意など知る由もないディザイアは、櫻木 誠(さくらぎ まこと)の前で盾となっている河合 今日子(かわい きょうこ)達女子生徒8人と戦闘に突入していた。
だが8人全員の能力を把握していないので、不用意に近づくことすら出来ない。
櫻木の支配する力に対抗するため目を閉じているが、それでも力の影響からか酷い頭痛に襲われる。
クローンの増援を待ち数で一気に押し潰す手もあるが、それでは芸がない。
睨み合いを続けていると、櫻木がディザイアを挑発してきた。
「どうした佐伯、この期におよんで女は傷つけられないとでも言うのか? それになお前は自らの手で、これまでに何人殺してきた? 平気で人を殺せるお前は、すでに人間じゃない。 ただの化け物だ」
櫻木の挑発に、ディザイアも挑発で返す。
「化け物はお前も同じだ。 他者を支配し思考や記憶をねじまげる、俺に犯された後に自殺したというこの街の娘、あれはお前のしわざだろう? お前にはヤリ逃げ勇者の称号が、よく似合っているぞ」
「佐伯……!?」
激昂した櫻木はディザイアを指差すと、支配している女子生徒8人に命令した。
「お前ら、今すぐ目の前の豚を殺せ。 味方ごと串刺しにしてでも必ず奴の息の根を止めるんだ、行け!」
女子生徒が動き始めようとした時、櫻木の顔の前を何かが横切る。
それは1枚の紙で折られた、小さな紙飛行機。
櫻木の眼球はパックリと裂け、彼は視力と力の大半を失った。
「ぎゃあああああっ! 目が、僕の目がぁあああ!?」
目を両手で押さえながら、地面を転がる櫻木。
すると建物の影から、水尾 舞(みなお まい)が姿を見せた。
「……おまえか」
「……うん、もしかして邪魔だった?」
「いや、攻めあぐんでいたところだったから助かった。 礼を言う」
「お礼なら、あとで身体で支払ってもらうわ。 ところで河合さん達、あのまま逃亡させていいの?」
櫻木の支配力が弱まったことで、河合たち女子生徒は正気を取り戻し、櫻木1人を残してバラバラに逃げ始めている。
「彼女らも1人1人に分かれてしまえば、俺でなくても十分だ。 すぐにクローンに見つかり、降伏しなかったことを後悔する羽目になるだろう」
ディザイアには女子生徒よりも先に、しておくべきことがあった。
それは目の前にいるイジメの主犯である櫻木に、さらなる苦痛と絶望を与え復讐を果たすこと。
まずは左肘に足を乗せて体重をかける、骨の砕ける嫌な音と櫻木の絶叫が路地裏に木霊する。
右肘や両足のひざも順に破壊したディザイアは、佐々木 小梅(ささき こうめ)を呼び出すと小声である命令を与えた。
「はぁっ……。 わたしも早くコージ君と沙織のところに帰りたいから、ちゃっちゃと済ませるわよ」
そう言った小梅は振り上げた剣で、櫻木の四肢を切断する。
叫び声をあげる櫻木を鬱陶しそうに見つめながら、小梅はこの場から立ち去った。
「もう気は済んだだろう? 俺を殺してくれ……」
視力を奪われ四肢も切断された櫻木が望むのは、トドメを刺されて楽になること。 その願いをディザイアは叶える気などない、この男に最も相応しいと思える最期を迎えさせることで復讐は果たされるのだ。
「この程度で、すぐに殺してもらえるとでも思っているのか? お前は俺に自ら死を選ばせるだけのことをした、その恨みを今ここではらす」
簡単な治療で出血のみ止められた櫻木は、ディザイアの手で街の中央広場に連れて行かれる。
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