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第6話 アマテラスの気遣い
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ウカイの街の領主であった男爵を倒した護とアマテラスは準備も特にせずに、そのまま街を出た。男爵の屋敷前で死んだ兵士の家族から罵声を浴びせられたり、また防具屋の店主達からは爆発するスライムを扱う姿を異常に思われたのか商品を禄に見せてもらえないまま店から出されてしまう。
家族を失った者の目からすれば、護は仇に映るかもしれない。しかし、これまで男爵の犠牲となってきた者達からすれば我が身可愛さで助けようともしなかった街の住人達全員が仇として映るのではないか?結局は見る者の立場や環境で変わってしまうのだ、どんなに思い悩んだとしても最後は自分の信じた道を歩むしかない。護はそう自分に言い聞かせて大勢の命を奪った事実を受け入れる事にした。
「護さん、少しだけ大切な事を忘れていませんか?」
アマテラスが無言のまま歩いている護に話しかけた。
「不当な拘束から解放された人達からすれば、護さんは救いの神や勇者と等しく感じている人も居る筈です」
「そうかな?」
護は未だに半信半疑だ。
「今はまだ家族を奪われた者の声が大きいかもしれません、しかし時が経つにつれて護さんに救われた人の声がきっと上回る様になります。その時が来れば家族の方も何故死ぬ事になったのか理解出来る様になると私も信じたいです」
アマテラスが護を何とか励まそうとしているのが分かる、その心配りがとても嬉しかった。
「ありがとうアマテラス、そうだよ落ち込んでいる暇が有ったら男爵をのさばらせる原因となった大臣を倒しに行かないと!そうしなければ第2第3の男爵がまた出てきてしまう。その前に何とかしよう」
「その意気です、護さん」
先程までの憂鬱な気持ちが何時の間にかどこかへ消えていた、暗くなりそうな気持ちを察して明るく変えてくれるアマテラスみたいな女性が彼女だったら嬉しいのに。護はそんな妄想を思わず抱くと、すぐに頭を振って考え直した。
(何を考えているんだ俺は!?確かにアマテラスは女性だけど神でしかも今はスライムだ、スライムが女性の姿に変わるなんて有り得ないのだからくだらない妄想は止めておかないと・・・)
スライムがLVを上げていくとどんなスキル(技能)を身に着けていくのか?護はその大事な事を失念していた。
それからの数日の間、護達は大臣が居るこの国の都を目指して歩いていた。相変わらず雷神達はモンスターに突撃して自爆するしか能がないが、それでも少しずつLVは上がり現在6となっている。途中で初心者用のダンジョンが在るというので立ち寄ってみたが、LV10以上でないと入れないそうなので10まで上がったら再度来てみようとアマテラス達と話し合ってきめた。そして現在、護達はある厄介事に巻き込まれている。
「おう兄ちゃん、一杯金を持っているそうじゃねえか?」
「一文無しの可哀相な俺達に少し恵んでくれたって良いよな?」
「断るのも自由だけどよ、大金を持ち歩いてる事を見せ付けてくれた礼はたっぷりとさせてもらうがな」
「「「ぎゃははははは!」」」
盗賊というか野盗に絡まれていた、先程立ち寄った村の露天商の誰かが情報を流したのだろう。
「アマテラスどうする?」
「どうする?と言われましても・・・とりあえず、退場して頂くしかないと思いますが?」
「「「はいっ?」」」
「やっぱり、それしか無いよな。大気都姫スライム、せめてもの情けだから穀物だけ置いていってやろう。運良く生き延びれたらそれでも食べて飢えをしのいでくれ」
ドゴォオオオオオン!!
「「「ぎゃああああああああ!!」」」
吹き飛ばされて身動き1つしない賊達の上に覆い被さる様に積み上がっていく穀物の山。LVが上がる毎に少しずつ雷や穀物などの量が多くなっているのに護達は気付いていた。
「あれだけ有れば、当分の間飢える事も無いでしょう」
「そうだな、生きていればの話だが・・・」
レベルが6まで上がって爆発した際に空く穴の大きさも軽自動車からワンボックス車サイズとなっている、この調子でレベルが上がると村1つ簡単に爆破出来る様になりそうで内心不安な護やアマテラス達である。
生死の確認もせずに放置して立ち去った護達は、変わらずのんびりと歩いていると道端で倒れている人を見つけた。
「おい、あそこで人が倒れているぞ!」
「急ぎましょう!」
護は急いで駆け寄ると倒れている人を抱き起こすと若い娘だった、随分と身体が軽い。頬が痩せこけ食べ物を十分に取れていないのがすぐに分かった。
「急いで食べなくていいから、ゆっくりと少しずつ胃に収めるんだ」
近くに在った木陰で休ませながら持っていた水と食料を与えると物凄い勢いで食べ始める、余程空腹だったのだろう。
「ここ数日、食事をまともに取っていなかったので助かりました。有難うございます」
娘はようやく落ち着きを取り戻したのか、護達に頭を下げお礼を言う。
「助ける事が出来てこちらこそ何よりだよ、俺の名前は神守 護。っでこっちに居るスライムの名前はアマテラス、聞いて驚くかもしれないがこことは違う世界の立派な神様が憑依した姿なんだ」
「立派だなんて、護さん。お世辞が上手ですよ」
「いや、実際凄い逸話を多く残しているじゃないか」
和気藹々と話す護とアマテラスの間に中々入る事が出来なかった娘がとうとう耐え切れずに声を上げた。
「あの!私も自己紹介させて頂いてもいいですか?」
「ああ、ごめんごめん。話に夢中で名前を聞くのを忘れていた。君の名前は何ていうのかな?」
「私の名前はレミアと言います、この先のツオレの村からロレッツの街へ礼拝に向かおうとしておりました」
よく見るとその娘はボロボロの外套の内側にやはり色褪せて変色している修道服を着込んでいた・・・。
家族を失った者の目からすれば、護は仇に映るかもしれない。しかし、これまで男爵の犠牲となってきた者達からすれば我が身可愛さで助けようともしなかった街の住人達全員が仇として映るのではないか?結局は見る者の立場や環境で変わってしまうのだ、どんなに思い悩んだとしても最後は自分の信じた道を歩むしかない。護はそう自分に言い聞かせて大勢の命を奪った事実を受け入れる事にした。
「護さん、少しだけ大切な事を忘れていませんか?」
アマテラスが無言のまま歩いている護に話しかけた。
「不当な拘束から解放された人達からすれば、護さんは救いの神や勇者と等しく感じている人も居る筈です」
「そうかな?」
護は未だに半信半疑だ。
「今はまだ家族を奪われた者の声が大きいかもしれません、しかし時が経つにつれて護さんに救われた人の声がきっと上回る様になります。その時が来れば家族の方も何故死ぬ事になったのか理解出来る様になると私も信じたいです」
アマテラスが護を何とか励まそうとしているのが分かる、その心配りがとても嬉しかった。
「ありがとうアマテラス、そうだよ落ち込んでいる暇が有ったら男爵をのさばらせる原因となった大臣を倒しに行かないと!そうしなければ第2第3の男爵がまた出てきてしまう。その前に何とかしよう」
「その意気です、護さん」
先程までの憂鬱な気持ちが何時の間にかどこかへ消えていた、暗くなりそうな気持ちを察して明るく変えてくれるアマテラスみたいな女性が彼女だったら嬉しいのに。護はそんな妄想を思わず抱くと、すぐに頭を振って考え直した。
(何を考えているんだ俺は!?確かにアマテラスは女性だけど神でしかも今はスライムだ、スライムが女性の姿に変わるなんて有り得ないのだからくだらない妄想は止めておかないと・・・)
スライムがLVを上げていくとどんなスキル(技能)を身に着けていくのか?護はその大事な事を失念していた。
それからの数日の間、護達は大臣が居るこの国の都を目指して歩いていた。相変わらず雷神達はモンスターに突撃して自爆するしか能がないが、それでも少しずつLVは上がり現在6となっている。途中で初心者用のダンジョンが在るというので立ち寄ってみたが、LV10以上でないと入れないそうなので10まで上がったら再度来てみようとアマテラス達と話し合ってきめた。そして現在、護達はある厄介事に巻き込まれている。
「おう兄ちゃん、一杯金を持っているそうじゃねえか?」
「一文無しの可哀相な俺達に少し恵んでくれたって良いよな?」
「断るのも自由だけどよ、大金を持ち歩いてる事を見せ付けてくれた礼はたっぷりとさせてもらうがな」
「「「ぎゃははははは!」」」
盗賊というか野盗に絡まれていた、先程立ち寄った村の露天商の誰かが情報を流したのだろう。
「アマテラスどうする?」
「どうする?と言われましても・・・とりあえず、退場して頂くしかないと思いますが?」
「「「はいっ?」」」
「やっぱり、それしか無いよな。大気都姫スライム、せめてもの情けだから穀物だけ置いていってやろう。運良く生き延びれたらそれでも食べて飢えをしのいでくれ」
ドゴォオオオオオン!!
「「「ぎゃああああああああ!!」」」
吹き飛ばされて身動き1つしない賊達の上に覆い被さる様に積み上がっていく穀物の山。LVが上がる毎に少しずつ雷や穀物などの量が多くなっているのに護達は気付いていた。
「あれだけ有れば、当分の間飢える事も無いでしょう」
「そうだな、生きていればの話だが・・・」
レベルが6まで上がって爆発した際に空く穴の大きさも軽自動車からワンボックス車サイズとなっている、この調子でレベルが上がると村1つ簡単に爆破出来る様になりそうで内心不安な護やアマテラス達である。
生死の確認もせずに放置して立ち去った護達は、変わらずのんびりと歩いていると道端で倒れている人を見つけた。
「おい、あそこで人が倒れているぞ!」
「急ぎましょう!」
護は急いで駆け寄ると倒れている人を抱き起こすと若い娘だった、随分と身体が軽い。頬が痩せこけ食べ物を十分に取れていないのがすぐに分かった。
「急いで食べなくていいから、ゆっくりと少しずつ胃に収めるんだ」
近くに在った木陰で休ませながら持っていた水と食料を与えると物凄い勢いで食べ始める、余程空腹だったのだろう。
「ここ数日、食事をまともに取っていなかったので助かりました。有難うございます」
娘はようやく落ち着きを取り戻したのか、護達に頭を下げお礼を言う。
「助ける事が出来てこちらこそ何よりだよ、俺の名前は神守 護。っでこっちに居るスライムの名前はアマテラス、聞いて驚くかもしれないがこことは違う世界の立派な神様が憑依した姿なんだ」
「立派だなんて、護さん。お世辞が上手ですよ」
「いや、実際凄い逸話を多く残しているじゃないか」
和気藹々と話す護とアマテラスの間に中々入る事が出来なかった娘がとうとう耐え切れずに声を上げた。
「あの!私も自己紹介させて頂いてもいいですか?」
「ああ、ごめんごめん。話に夢中で名前を聞くのを忘れていた。君の名前は何ていうのかな?」
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