異世界で物騒な異名を得ました~スライムに憑依した八百万の駄神~

いけお

文字の大きさ
8 / 9

第8話 1人のドワーフとの出会いと新たなスライム登場

しおりを挟む
「レミア、それは俺の荷物だから持たなくても大丈夫だから」

「いいえ!これ位の荷物でしたら私が代わりにお持ちします。御身に何か有れば死んでも死に切れません」

行き倒れになりかけていた所を救ったり、村を助けたりした縁でレミアというシスターの娘が護を現人神として崇めて後を追ってきてから数日が経とうとしていた。レミアにこの国の大臣を倒しに行くので危険だからツオレに戻る様に言うと

「戦う事は出来なくても背後から人が来た時に知らせる事位は出来ますから、このまま傍に置いてください」

と拒否される、出会った際に着ていた修道服やローブは既に遺棄したそうで理由を尋ねると

「これまではこの世界の神々に祈りを捧げてきましたが実際に救ってくださったのは現人神である護様です。ですから、あなたに祈りと私の全てを捧げ御仕えするのです」

結局、修道服を捨てた理由はさっぱり分からないが汚い格好で居ると主(護)の恥になるから普段着で今後は生活するそうだ。

「そういえば、まだお礼を言ってなかったな。レミア、ありがとう」

「急にお礼だなんて、私が何かしましたか護様?」

「ほら、この国と首都の名前を教えてもらっただろ?」

「ああ、国名のスルファムと首都のアセスですか。この程度でお礼を言われるなんて恐縮します」

「あとは大臣を倒すと言いながら反対方向に向かっていた事に気付かせてくれたのが1番大きいかもな。首都のアセスが山脈を越えた先だったとはね・・・」



レミアから教えてもらったのだが、この国の名前はスルファムといって首都のアセスは最初に立ち寄ったフェスの村の北に在る山脈の反対側の町を更に北上した場所に在るそうだ。フェスの村人が最北端の村と言っていたのは誤りだが、これ以上北に進む事が出来ないのでわざとそう言って南下させたのではないかと話していた。

少しずつレミアと打ち解けながら進んでいると道の脇で物凄い勢いで飯を食べている背の低い男の姿が有った。確かこの辺りはレミアと出会う前に賊に絡まれた場所の近くだよな?

「こんにちわ、この付近では賊が出てくるので目立つ場所で食事をしていると見つかっちゃいますよ?」

「ほう、それは良い事を聞いた。いやな、この少し先で大量の穀物が捨てられていたのを見たら腹の虫が鳴り出してな。我慢出来ず、それを使って腹を満たしていた所だったんだがマズかったか?」

「いえ問題無いですよ、その穀物の山の下で人が埋もれていませんでしたか?」

「地獄に落ちているであろう賊共の死体なら確かに有ったが、なんじゃお前達が倒した連中だったのか?」

「実はそうなんです、もし運良く生き延びていたらその穀物でも食べて飢えを凌ぐ様に言っておいたのですが声は既に届いてなかったみたいですね」

返り討ちにして命を結果的に奪っておきながら、飄々とした態度で話す護を見て男は大声で笑い始める。

「ガハハハハハ!相手が賊とはいえ人を殺しておきながら、何事も無かったかの様に話せる者はそうはおらん。面白い奴だ気に入ったぞ、わしの名はマルト。ドワーフで防具専門の鍛冶をしておる。お前の名は?」

「俺は神守 護、まあ色々と有ってこの世界を混乱させる者を退治する様に言われて旅をしている異世界人だ。そして、この隣に居るのは俺のパートナーで元の世界の神が憑依したスライムでアマテラスっていうんだ」

「ほほ~異世界人とな?この国の住人とは違う服装をしていたのはそれが理由か」

「見ている所は見ているんだな」

「無論だ、そんな貧弱な軽装で旅をするのは頭のイカれた奴らばかりだからな。じゃあ、お前がわざと残した穀物を食べてしまった謝罪の代わりに何か簡単な防具でも作ってやろう」

マルトはそう言うと、横に置いていたリュックから鋼板1枚と動物の皮を取り出した。そして護達の目の前であっという間に1つの胸当てが作られる。

「ほれ、せめて心臓だけでも守っておけ。目検討でサイズを合わせたがきつかったり緩かったりしたら自分で調整しておけよ」

渡された胸当てを身に付けると、サイズ調整の必要は全く無かった。

「凄い、サイズ調整の必要なんて無い。良い目を持っているんだな」

「なあに、それだけの数をこなしてきただけだ。褒められる様な事じゃない」

「そういえば、マルトさんはどうしてこんな所に居るのかな?」

初めて会ったドワーフの目的に護は興味津々だ。

「なあに、この先の山脈にな良い鉱石が有ると聞いて鍛冶屋の血が騒いでな。鉱脈の近くに山小屋でも建てて住もうと思ってきたんだよ」

すると、アマテラスが護に話しかけてきた。

「あの護さん、製鉄と鍛冶の神である天目一箇神が手伝いたいと言ってきたので出しても良いですか?」

「ドワーフのマルトさんと気が合いそうだな、別に構わないよ出すといい」

「ありがとうございます」

そう言うと、アマテラスは新たなスライムを生み出した。



エントリーナンバー7番

天目一箇スライム(製鉄の神・鍛冶の神)

製鉄・鍛冶の神である天目一箇神が宿ったスライム、岩戸隠れの際に刀斧・鉄鐸を造った逸話を残している。自らの身体を熱して高温での体当たり攻撃を得意とする。



(自分から高温になるとは体当たりする前に自爆するのがオチだな)

説明を見る限り、自爆しか出来ない様に見えた。しかし天目一箇スライムは自爆すると大量の鋼や鉄鉱石を周囲に降らせる事がこの後で判明する。

「我が名は天目一箇、鉱脈を探す手伝いを我もしたいと思う。護、すまないが山脈を迂回せずにこのまま進んでもらっても良いか?」

「それで鉱脈を見つけてあげたら、引き返せば良いのか?」

「山を越える方が早いのだろう?だったら、越えられる様に山の一部を我々の力で砕き道を作ればいい」

スライム達の自爆による道の造成・・・護はその作業内容に不安を覚えた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

異世界配信中。幼馴染みに捨てられた俺に、神々(視聴者)がコメントしてくるんだが。

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...