理想の嫁は自分自身、転生した大賢者(?)の楽園建国記

いけお

文字の大きさ
6 / 29
転生~旅立ちの章

2人だけの秘密の場所

しおりを挟む
収穫祭の騒動から数日が過ぎました、あの時教会に居た人達は私が飛び出した後で何が有ったのかを教えてくれません。きっとスキル名が伏せられていた事に驚いているのだと思います。それとあの冒険者崩れの方達がどうなったかというと残念ながら発見出来ていません、恐らく綺麗さっぱり吹き飛んだと思うのであの連中に酷い目に遭わされる人はもう出ないでしょう。

(リリアの味見をしようだなんて考えなければ長生き出来たかもしれないのに・・・)

あとラクスィの村で変わった事といえば、私が創った鳥さん達が自主的に村の周囲を見回る様になり悪い人達が近付くと村に着く前に撃退してくれるようになりました。

ドゴォーン! 今日も遠くから爆発音が響き渡る、村の人を傷つけたり騙そうと考えている人はフンによる爆撃を受けて退場していきます。どこから退場するのかは敢えて言いません、知っても意味が無いからです。



村に小さな(?)変化を起こしつつあるセラは現在1大決心をしながら教会へ向かっていた。リリアを秘密基地に招待するつもりなのだ。

「リリア、きっと驚くだろうな」

足取りも軽やかに教会に到着すると勢い良く正面の扉から中に入った。

「こんにちわ、リリア居る~?」

しかし、中には誰も居なかった。普段はトマス小父さんが居る筈なのにおかしいな?すると教会の裏の方から声がするのでセラは祭壇下の隠し通路を通って裏庭に回る事にした。

「よし、そのまま障壁を展開したまま息を止めるんだ!」

「むむむむ・・・!」

「回復や浄化のスキルでは魔力を強化出来ない、お前が更に上の力を目指したいのならこの障壁を持続させる練習を毎日欠かさずする事。良いね?」

「はい、ありがとうございます父さん」

どうやらリリアはトマス小父さんから自分の魔力を上げる方法を学んでいたみたいだ。自身の魔力が上がればそれだけ早く回復出来る様になり、より大勢の人の命を救う事が出来る。タシムの父親テヘロを救えた事がリリアに回復術師への道を決断させたのかもしれない。

「リリア、少しだけ時間良いかな?駄目なら明日また来るけど」

「あ、セラいらっしゃい!ねえ父さん、少しだけセラとお出かけしてきても良い?」

「ああ良いよ、ただしくれぐれもセラ様に失礼の無いようにね」

「は~い」

トマス小父さんは何故か収穫祭の後から私の事をセラ様と呼ぶようになりました、その理由をリリアはもちろんうちのパパとママにもお話してくれません。年上の人から様付けで呼ばれるのに慣れていないので背中が痒くなりそうですが、しばらくすれば元に戻るだろうと考える事にしました。



「今日はね、リリアが凄くびっくりする物を見せてあげようと思うんだ」

「えっ!何々、なにを見せてくれるの!?」

リリアが興味を示してくれたので、誰にも見つからない様に村の外れの空き家に向かいます。

「ねえセラ、ここ空き家だよ?この中にびっくりする物を隠してあるの?」

「う~んと、ちょっとだけ違うかな。でも他の人には見られたくないの、私とリリアだけの秘密の場所にしておきたいから」

「私達だけの秘密の場所って何だかドキドキするかも」

「でしょ?じゃあ私の手を握って、こうしないと一緒に中に入れないから」

リリアと手を繋ぐとセラは大きく息を吸ってスキル名を口にする。

「姿を見せて、私だけの秘密基地」

ウィーン。 目の前に自動ドアが現れて左右に開く、たったこれだけでもリリアは目が飛び出そうになる位驚いていた。

「凄い凄い!目の前に急に扉が現れた、これがセラの言っていた秘密の場所?」

「そう、でもこれ実は私のスキルで作り出した物なのよ」

「スキル!?これってセラのスキルなの?」

「だから他の人には秘密にしておかないといけないの、でもリリアだけは特別。だって私の大切な友達だから」

(ここを上手く利用して、大人達に見つからずにアレやコレやするんだものね)

ゾクッ! リリアの背筋に悪寒が走った、最近特に増えてきた気がする。

(セラと一緒に時に何故か最近寒気をよく感じるのだけど、きっと気のせいよね?)



リリアの戸惑いに気付かないセラは先に居住区画から案内する事にした。薄いピンク色の自動ドアを抜け広いリビングに入るとリリアは目を輝かせた。

「何この広い部屋!?教会の礼拝堂の半分近くある、しかも台所まで一緒になっているの?」

「そうなの、でも驚くのはこれからよ。左右に3つずつ扉が有るでしょ?これ、全部で6人が自分だけの部屋として使える様になっているの。私は左奥の部屋に荷物を入れ始めているからリリアも好きな部屋に荷物を入れておくと良いわよ。このスキルを上手く使えば宿で泊まったり野宿をする心配は無くなるわ」

「・・・本当に凄いスキルね、秘密にしておかないといけない理由が良く分かったわ」

その後、奥の大浴場を案内したセラはリリアと2人で思う存分入浴を楽しんだ。そして普段絶対に出来ない事をしようとリリアに提案する。

「ねえリリア、このまま私の部屋で一緒にお昼寝しない?普段じゃ裸のままで歩くとママに叱られちゃうけど、ここなら誰も見ていないからいけない事も一杯出来るわよ」

「何も身に着けないで歩くのって凄く恥ずかしいけど、確かに今はセラと2人きりだものね。折角だし、いけない事一杯しちゃおうか!」

大浴場を出た2人はバスタオルも羽織らずに並んで歩く、隣を歩くセラの視線が何だかいやらしい。

(セラの目、村の井戸で行水している時に向けてくる大人達の視線に何だかよく似てる。でも同じ女の子の筈なのにセラに見られていると思うだけで身体が熱くなってくるのは何故?)

セラに感化され始めているのかは不明だが、リリアも少しずついけない世界に足を踏み入れようとしていた・・・。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...