理想の嫁は自分自身、転生した大賢者(?)の楽園建国記

いけお

文字の大きさ
8 / 29
転生~旅立ちの章

ミスリルで溢れ返る村

しおりを挟む
「な、なあセラちゃん。いきなりこんなモンスターを創ってどうするつもりなんだ?」

目の前ではワームがミスリルの糸を吐いている。この糸を集めて売れば一生食うに困らないだけの金が入るかもしれない、そんな欲望に駆られそうになった猟師達はセラの目的を問い質した。事と次第によっては村の中で争い事が起きる可能性だって有る、金の鉱脈を掘り当てた以上の騒ぎとなるだろう。

「ええと、この糸を使ってミスリルの布を作って売ればみんなの食事のオカズをもう1品増やす事も出来ないかと思って」

(1品どころの話じゃないです、下手すれば家を全員新築出来ます)

「でもセラ、この糸を誰が布にするの?」

「そこもしっかり考えてあるよリリア、我が願いに応え出でよ【機織りゴブリン(ウィーバーゴブリン)】・【仕立屋ゴブリン(ティラーゴブリン)】」

セラが新たに創り出した2種のゴブリン、機織りゴブリンの方は何故か手織機とセットになっておりワームの吐いた糸を手繰り寄せると誰からも指示されていないのに布を織り始めた。そして透き通る様に光り輝く布が一反出来上がるとそれを今度は仕立屋ゴブリン(ティラーゴブリン)に手渡す。

「ギャギャ!」

仕立屋ゴブリン(ティラーゴブリン)は黒を基調としたスーツで身を固め背筋をピンと伸ばしている、そのスーツの内側にはハサミやメジャーなど仕立てに必要な道具が揃っているが背筋を伸ばしスーツを着こなすゴブリンの姿はとてつもなくシュールだ。

「仕立屋ゴブリン(テイラーゴブリン)、リリアにフリルの一杯付いたワンピースを作ってあげて」

「ギャ!」

リリアの背後に回るとテキパキとメジャーで採寸を始める仕立屋ゴブリン(ティラーゴブリン)、サイズを測り終えると今度は希少なミスリルの布にワンピースのパーツの線を書き込むと迷い無くハサミを入れる。そしてミスリルの糸を針に通し、パーツを縫い合わせていくとあっという間にリリアに体型にピッタリのワンピースが仕上がったのだった。

「ほら、リリア。そこの木の陰に行って着替えて着替えて」

「えっちょっとセラ分かったから押さないで!」

何が起きているのか分からないままワンピースを受け取るとリリアは着替え始めた、そして着替え終えて出てきたリリアはどこかの国のお姫様と言われても信じそうになるくらいの気品と華やかさが溢れていた。

「良い、良いよ、凄く良い!リリアがまるでお姫様みたいに見える、だからそれは私からリリア姫へのプレゼントだよ」

「本当に良いの?でも何だか悪いよ」

「気にしなくたって平気だって、だってこれからは幾らでも作れるから。リリアにぜひ着てもらいたい服が一杯♪」

予想以上の出来栄えだったのでセラが仕立屋ゴブリンに向けて親指を立てると、ゴブリンの方も満足気に笑みを浮かべて親指を立てて返す。言葉が通じていない筈なのに何故か今後の衣装製作の意思疎通まで図れているようで何だか怖い・・・。

「リリア、トマス小父さんにその服を見せてきたらどう?きっと驚くと思うよ」

それは驚くだろう、全てミスリルで出来たワンピースなど現時点で世界にこの1着しか存在しないのだから・・・。

「そうしようかな、でもさっきまで着ていた服どうしよう?」

「それなら、私がいつも通り洗濯しておくから後で返しに行くよ」

「じゃあお願い、すぐに戻るから!」

リリアが走って見せに行こうとするのでセラがそれとなく制した。

「焦らなくても大丈夫だから・・・・ゆっくりで良いからね」

セラは速攻で秘密基地に逃げ込むとリリア成分をたっぷりと補給してから秘密基地を出て外に戻った。



「さっきミスリル繊維蚕を創ってみて気付いたけど桑の葉をあげたり毎日世話をするの結構大変だから、今度は世話の必要も無くて村の役にも立つモンスターを創ってみようかしら?」

1人でブツブツ言いながら村の中を見て回るセラ、すると丁度村人の1人が畑を耕している所に出くわした。

「広い畑をああやって耕すのは大変なんだよな、何とかしてあげたいな」

(そういえば【怪物創造】は最初から鳥型モンスターを創る事が出来たけど、他にも創れるのが有るのかな?)

そんな事を考えたセラは畑を代わりに耕すモンスター創り始めた、勿論明後日の方向に向いたオマケ付きで・・・一方その頃リリアもようやく教会に辿り着いていた。父のトマスは日課の神への祈りを済ませ、午後のティータイムを楽しんでいた。

「父さ~ん、ねえこれ見て。セラがね私にワンピースを1着プレゼントしてくれたの!ミスリルを糸にして吐くモンスターから作ったんだよ」

ブーッ!! トマスは飲んでいた紅茶を思わず吹いてしまう。

「父さん、行儀悪いよ」

「ゲホゲホッ! リリア、そ、その服が全てミスリルで出来ているだって!?」

「そうだよ、セラが糸を布にするゴブリンと服に仕立ててくれるゴブリンも一緒に創ってた」

トマスは鬼に様な形相でリリアの肩を掴んだ。

「リリア、今すぐセラ様の所まで案内するんだ!急いで止めないととんでもない事になる」

「とんでもない事?」

「ああ・・・・最悪は世界中の国の兵士達がこの村を目指して殺到するぞ」

父親の顔を見て流石に不安になってきたリリアはトマスを連れてセラを探し始めた。



「セラ~!」

「セラ様~!どこに居られますか!?」

「セラちゃん、返事しとくれ~!」

村中を回る親娘の様子を見て何か起きたのだろうと村人の一部もセラを探すのに協力してくれた。

「ト、トマス神父。い、居た、セラちゃんは向こうの畑に居たよ!」

「畑?畑でセラ様は一体何をされてましたか?」

「分からない、だけど畑に何か白く光り輝く物がゴロゴロ落ちていた」

「まずい、リリア急ぐぞ!」

「はい父さん!」

最悪の事態だけは防がなければならない、2人はセラが居たという畑を目指し駆け出していた。そして畑に到着すると満足そうに頷くセラと呆然とした顔で見ている村人の姿が有った。

「セ~ラ~!」

「リリア早かったね、あとトマス小父さんまで一緒にどうかしたの?」

「セ、セラ様?この畑にゴロゴロと落ちている物は一体何ですか?」

「リリアから多分話を聞いたと思うけどミスリルの糸だけだと服しか作れないから、畑を代わりに耕しながらミスリルまで作れるモンスターを試しに創ってみたの。どうやら上手くいってるみたい」

トマスが畑を見ると誰も居ない畑の地面の一部がボコボコと盛り上がりながらこちらに向かい移動してくる、するとそこから現れたのは体長2m近い巨大な白いミミズだった!

「ミスリルティラーワーム(ミスリル耕運ミミズ)。硬くなった土を耕しながら身体の表面から肥料を分泌し、更に土の中に含まれる悪い成分を食べてそれをミスリルのフンの塊として出してくれるの」

ボトッ 言ってるそばからトマスの目の前で拳大のミスリルのフンをするミミズ。ガックリと地面に両手を付いて項垂れながらトマスは村を戦場にしない方法を何とか見つけようと思考する。

(この事が村の外に広まってしまえば多くの国に目を付けられ争いの元となるのは必至。我が国だけでなく他の国からも迂闊に手出し出来ない様に庇護を得なければ!)



「セ、セラ様。リリアにプレゼントしてくれた服と同じミスリルの布を一反譲っていただく事は出来ませんか?」

「良いけど、何に使うの?」

「ああ、知っていると思うが私達父娘と母さんは今離れて暮らしている。母さんにリリアと同じ布で出来た服を着せてあげたいと思ってね」

「それは良いアイデアですよトマス小父さん、それなら1着だけでなく何着も作れる様に10反位贈りましょうよ!急いで用意させますね、行こうリリア」

リリアの手を掴んで走り去っていくセラ、心配そうに見つめる村人を落ち着かせる為にトマスは導き出された答えを明かした。

「我が国はもちろん他の国も迂闊に手出し出来ない集団、教会を味方に付けましょう。この村を教会の庇護下に置く事で攻め入る事の出来ない聖地とするのです」

聖地も何も悪意を持って近づく連中は鳥のフンの爆撃で村に入る事すら出来ない事をトマスはもちろん村人達もすっかり忘れていた。日常の一部となった村の外での爆発音に慣れてしまった所為なのかもしれない・・・。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

処理中です...