異世界に飛ばされた警備員は持ってた装備で無双する。

いけお

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第43話 残念な父との再会

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国境を越えてから色んな出来事を起こしながらも、ようやくシルフィの生まれ故郷であるエールの森に到着した。

森の中も綺麗な空気に満ちていたが、この森はそれ以上だ。綺麗過ぎてかえって普段は気にしていなかった汗などの匂いにすぐに気付いてしまう。

「空気が綺麗過ぎるのも悪影響をもたらす良い例よね、鼻が敏感な人だと余計にね・・・」

シルフィがこう言っているのはフォルネーゼに対してだ、ただでさえ鋭敏な嗅覚がこれまでは感じ取れなかった物まで嗅ぎ取ってしまう。だが、これまでの仕返しとばかりにフォルネーゼは突如振り返ると後ろに居たある2人に話しかけた。

「そういえばピートさん、イヤホンさん。御2人は昔からとても仲がよろしいのですか?」

『急に何を言い出すのかな?2人は創世の神の仲間としてこの世界を見守ってきたんだ。仲が悪い訳無いじゃないか』

「ですよね、この森に入って気付きましたが2人からお互いの体の匂いが移っておりましたので・・・つい」

(なんだって!?それじゃ2人は俺達の知らない間に抱き合っていたとでも言うのか?)

仰天したのは俺だけでは無い、バルドやシルフィにエルフ達までピート達に視線が向かっている。ちなみにシャンティは昨晩もフォルネーゼと俺に攻められ過ぎて気を失い未だに砦の中で目を覚ましていない。

『き、急に何を言い出すんだフォルネーゼ!?ぼ、ボク達はそんな事をするなんて・・・なあ、イヤホ』

ピートは同意を得ようとイヤホンの方を振り向くがイヤホンが顔を赤くしながらモジモジしている為絶句してしまう。神のくせに誤魔化す事が出来ないとは・・・。

「まあ、その・・・なんだ。神同士とはいえ仲が良いというのは良いものだ。これ以上立ち入った話を聞くのは野暮だろうからそろそろシルフィの父君に会いに行かないか?」

『ああ、そうだねそうしよう!』

「この場はこれくらいにしておきましょうか、ですがピートさんイヤホンさん。これまでにも何度か夜になると壁の向こう側から聞き耳を立てていた事については今晩ゆっくりとご説明して頂くのでそのつもりで・・・」

『『はい・・・』』

どうやら、ピート達は俺達の夫婦生活を覗き見していたらしい。フォルネーゼを甘く見ていた罰だが、覗き見されていた事をシャンティが知ったらどうなるだろうか?羞恥のあまりにまた気を失いそうだから黙っておくとしよう・・・。

しばらく森の中を進んで行くと、少し開けた場所に1件の家が現れた。

「ここが私の家です」

シルフィが俺達に告げると一緒に付いてきていたエルフ達にもお礼と一緒にこう言っていた。

「ここまで一緒に来てくれて有難う、お父様に一言挨拶をしたらまたこの森を出て本来の家に帰ります。もう戻らない、戻れないかもしれないけどこの森を守ってきた聖樹はイヤホン様とこの帰宅の旅路で判明しております。もうこの森に住むエルフは誰にも森から出る事を止められたりはしない。閉鎖された世界を出て世の広がりを自らの目や耳で知る時が来たのです」

エルフの男達はシルフィや俺達に軽く頭を下げるとこの場を後にする・・・しかし

「まあな~これまで聖樹と拝んできたのは実は神様がスピーカー代わりにしていただけで、その神様も夜中に抱き合っている様じゃ外の世界で嫁でも探して連れて帰ってきても問題無さそうだよな・・・」

なんて会話が聞こえてくるので、ピートとイヤホンは脂汗が流れっぱなしである。敬虔なエルフに崇められなくなる創世の神・・・信用を失った政治家を間近で見ている様でなんか嫌だった。

シルフィは家の扉の前に立つと、溜息を吐きながら俺達に向かって

「これから、少しお見苦しい所を見せると思いますがどうかご容赦下さい」

と言いながら扉をノックする。すると扉の向こうから男性の返事が聞こえてきた。

「お父様、シルフィです。今まで家を留守にしてしまって御免なさい。ただいま戻りました」

言うが早いか家の扉が勢い良く開くと、中から見た目は40台近いエルフが飛び出してきた。

「シルフィ~!!パパはねパパはとっても寂しかったんだよ!ママも居ないからこの家の中で何度お前の為に涙を流し溺れそうになった事か・・・もう外は危ないからパパが許すまで絶対家から出ちゃダメだよ、分かったね?」

シルフィに抱きつきながら恍惚の笑みを浮かべて頬ずりしている男性、それが弓聖とまで言われたシルフィの父ストラトス・ウィンドであった。

シルフィの困惑する様子を見て堪りかねたバルドが前に出て話かける。

「あの、お義父君。少しよろしいですか?」

「なんだね君は?失礼な奴だ、まずは名を名乗りなさい」

ストラトスはシルフィに向けていたものと異なりバルドを見下した目で見る。

「俺の名はバルド、あなたの大事な娘シルフィの夫です」

そう答えるとストラトスは急に笑い出しながらシルフィに話しかけた。

「ハハハ!シルフィ、君の連れてきた人族の者は冗談がとても上手な様だ。空気を和ませる為にこんな冗談を言えるなんて素晴らしい友人を持てたみたいだね」

だが、シルフィの返す言葉はストラトスの望むものでは無かった。

「いいえ、お父様。わたしはこのバルド様に助けられ救って頂きました、そして共に過ごす内に1人の男性として愛する様になり夫婦となりました。今日はこれまで帰らなかった謝罪と、正式に家を出る挨拶を済ませる為にこうして帰郷してきたのです」

ストラトスは慌ててシルフィを止めようと説得を試みるが無駄だった。シルフィの意思の強さを認めたストラトスは俺達に顔を向けると先程とは違い丁寧に頭を下げてきた。

「大変お見苦しい所を見せました、私がシルフィの父ストラトスです。この通り、娘は1度決めると最後までやり遂げようとする気性があって妻によく似ております。ご迷惑をお掛けするかもしれませんがよろしくお願いします」

娘を溺愛するあまり、人が変わる御仁のようだ。ストラトスは俺達を一通り眺めると気になる2人を見つけ聞いてきた。

「あの~?そちらのお二方からは人族でも魔族でも無い高位の力を感じるのですが一体何者ですか?」

『や~ストラトス、挨拶をするのは初めてだね。ぼくの名はPTT、ピートと呼んでくれ。隣に居るのはイヤホン、旅の途中から面白そうなので付いてきている。創世の神と呼ばれては居るが気にしないでくれたまえ』

ストラトスの反応が無いので、シルフィが父親の肩を叩くとそのまま前のめりに倒れてしまった。どうやら気絶していた様だ、俺達は今日中に挨拶を済ませ砦に帰宅出来るのか不安を感じつつもストラトスを抱えて家の中に入るのだった。
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