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第36話 魔族との遭遇
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「今日は天照が雨を降らせてくれた所為ですっかり足止め喰らってしまったから、明日は少し急ぐからね」
「はい、護様」
(さま!?)×5
天照の護に対する話し方が急に変わった事に、レミア達5人は驚いた。そして5人はそれぞれ色んな考えを巡らした。
【レミアの場合】
(どうやら、護と天照さんの仲が更に一歩踏み込んだ様ね。お互いの好意は確認し合った様だけど何か理由が有って正式なお付き合いはまだ始めないみたいね。まあ何にせよ、お互いの手を離さない様にしていって欲しいわね。2人が結ばれた時にはお祝いで手作りのイギリス料理を出せれる様に更に練習を重ねておいた方が良さそうだわ!)
【トリーの場合】
(わたくしが掃除をしている間に、2人の間で何か有ったっていうの!?天照さんに1歩どころか2歩以上先に進まれてしまったかもしれませんが、わたくしにもチャンスがまだ残っている筈。護さんと2人きりになれる時を上手く作らないといけませんわ)
【オッサン(スサノヲ)の場合】
(どうやら、護の奴も姉上に好意を抱いている事を明かした様だな。姉上の実体化が進んでいる、完全な実体化まで至っていないのは護の方で何か考えが有るのだろう。どうせ、奴の事だから地図を作る目的辺りを進ませてから姉上の想いを受け入れるつもりであろう。神を伴侶として手に入れる事も立派な功績だと教えてやった方が良いのだろうか?)
【ヤミの場合】
(何だか護と天照がすっかりラブラブになってるみたい、私も護とラブラブしたいからトリーとも相談して護を天照だけに独占させない様にしないとね)
【タケミカヅチの場合】
(あ~俺もレミアさんから『タケミカヅチ様♪』っなんて言われてみてえよ~!!)
っとまあ5人の考えはそれぞれだったが、実は1番頭の中がお花畑状態になっているのは天照だった。
(うふふふふふふふふふ・・・♪護様ったら「お前は俺の女だ」なんて、他の男に心が向く訳無いじゃないですか!?この国の地図が出来た暁には正式にお付き合いを始めて・・・最終的にはお嫁さんにして貰えるのかな?しかし、まだまだ時間が掛かります。トリーさんやヤミさんに正妻の座を奪われない様にこれまで以上に目を光らせないといけませんね)
正妻の座・・・天照は無意識の内にトリーとヤミも護の妻になる事を予想していた。
翌日、家を出ると昨日の雨の影響で地面がまだ泥に近い常態だったが天照は護に頼まれない内から本来は太陽神かもしれないと言われている天宇受売神(あめのうずめのかみ)を呼び出し地面を乾かしてしまう。歩きやすい状態にした事を護に褒められると満面の笑みで喜びを表す。天照の護に対する献身ぶりはこれまで以上になったと言える、そして護に何もしてあげる事が出来ないと思い込んだトリーは焦燥感を募らせていく。
平原を進む事3時間近く、そろそろ昼食を取ろうと思い始めた頃道の先から1人の旅の者が歩いてきた。全身を黒に近い灰色のローブで覆い顔を隠しているので、護達は少しだけ警戒しながらすれ違おうとしていた。
「待て」
声を掛けられる、聞く限り男性の様だが何かトラブルに巻き込まれたのだろうか?
「俺達に何か用ですか?」
「ああ、今お前達が着ている鎧に使っている物は竜の鱗と殻ではないのか?しかもその色は闇色、この先に住まう闇竜様に何か有ったとでも言うのか!?」
ヤミのお知り合いかな?
「なあ、ヤミ。お前の知り合いか?」
「う~ん、声だけじゃ思い出せないや」
すると、ローブの男はヤミに気付いた様で声を荒げた。
「そ、その角と尻尾はもしかして闇竜様なのですか!?まだ引き継ぎの時期は先だと思っておりましたが、無事に引き継ぎを終えられた様で何よりです」
ローブの男はヤミの前で跪いて手を合わせ拝んでいる。何者だこいつ
「う~んとね、誰だが知らないけど私は護からヤミって名前を貰ってるからこれからはヤミって呼んでね」
「はっ分かりましたヤミ様!」
「ところでさ、君は誰?」
「それは酷いですよ、ヤミ様。私の名前を授けて下さったのはあなたなのに・・・」
そう言うと、男は顔を隠していた部分を後ろに回して顔を見せた。
「私はラメルです、思い出して頂けましたか?」
「あ~!?ラメルか、久しぶり~♪クトアは元気にしてる?」
「はい、母上は相変わらず元気でヤミ様の事も気にしておいででした」
「そうか~ラメルが少年位の大きさの印象しか無かったからすぐに思い出せなかった。しばらく見ない間に大きくなったね~!」
「そりゃそうですよ、前にお会いした時から100年以上経っておりますから」
ヤミはラメルと名乗った男と互いに笑っている、しかし今の会話の中にちょっと重大な事を言ってなかったか?
「ヤミ、こちらのラメルさんは一体?」
「あ~!?紹介するの忘れてた、あのね護。この子の名はラメルといって、キスト法国魔王クトアの息子さんなの」
へ~魔王の息子さんか・・・って息子!?
「お初にお目にかかる、私の名はラメル。現キスト法国魔王クトアの息子だ、だが純粋な魔族では無い。母上が人族の男と結ばれて出来た子ゆえ亜種である魔人と呼ばれ国内ではそれほど高い発言力は持っていない。けれど、ヤミ様へのお使い程度は頼まれるだけの魔力は持っているつもりだ」
自分から色々な事を話してくれた、魔王が人と結ばれて出来た子か。人と神が結ばれて子を生すのも罰当たりじゃないのかもな・・・はっ!俺は今なんて事を考えていたんだ!?
「こちらこそ初めまして、俺の名は神守 護。この世界とは違う世界から来てしまった人間だ。そして、隣に居る女性と髭もじゃのオッサンは俺と同じく向こうの世界の神達だ」
「神だと!?」
ラメルは剣を抜こうとするが、それをヤミに止められた。
「ラメル、この人達はスパウダの連中とは違うから安心して。私の引き継ぎの時もずっと卵を守ってくれたんだから」
抜こうとしていた剣を鞘に戻すと、ラメルは俺達に丁寧に頭を下げてきた。
「ヤミ様の引き継ぎの間守っていてくださったとは露知らず大変ご無礼を致しました、謹んでお詫び申し上げます」
「堅苦しい挨拶はいいよ、この世界の神族についてはヤミ達から色々と聞いたり天使とやり合ったりしているからさ」
「天使とやり合った!?それでその天使はどうしましたか?」
『あいつは俺がボコボコにしたら、捨て台詞を吐いてどこかに飛んでいったぞ』
「それは少しまずいですね・・・」
「何がまずいのかな?」
「スパウダの連中はこの先の山にヤミ様の住処が在るのは知っている筈なのですぐに越えてこないと思いますが、もしかしたら天使よりも上位の者達で編成された部隊をあなた方を見せしめに殺す為に派遣している可能性が有ります」
「ははは、いくら何でも・・・それ、やりそうな連中だよなやっぱり」
「最悪のケースも考えてしばらくの間護殿、あなた達に同行させて頂いても宜しいでしょうか?」
「それは大丈夫だよ、でもお使いは済んだのかい?」
「ああ、ヤミ様のお身体の調子を見てくるだけだったから既に済んでいる。ヤミ様が引き継ぎをされる際はキスト法国の国民総出でお守りしようとまで考えておいででしたから母上は」
未だに前魔王のした行為を悔いている様だ、残る竜達の引き継ぎも治世の間に行われようとしたら全てを国の威信に掛けて守り抜こうとするに違いない。
そんな事を考えていると、ラメルがレミアを見て一瞬顔を蒼くしたがこう言ってきた。
「君は・・・もしかして、レミア、レミアなのか!?」
『確かに私はレミアという名前だけど、あなたと会った記憶が無いのだけれど?』
「君は怪となっていたんだね、シスターを夢見て礼拝の為にツオレの村を出たのにあの様な最期を迎えてしまったからなのか?」
『ちょっと!もしかして生前の私の事を知っているの!?』
「知っているとも、何しろここに来る途中でツオレに在る君の墓にも立ち寄って花を手向けてきたんだからね」
この世界に来て初めて立ち寄った村の名がツオレだとこの時知った、だがこの魔王の息子と生前のレミアがどの様な繋がりを持っているのか聞いておきたい事も出来てしまった様だ。
「はい、護様」
(さま!?)×5
天照の護に対する話し方が急に変わった事に、レミア達5人は驚いた。そして5人はそれぞれ色んな考えを巡らした。
【レミアの場合】
(どうやら、護と天照さんの仲が更に一歩踏み込んだ様ね。お互いの好意は確認し合った様だけど何か理由が有って正式なお付き合いはまだ始めないみたいね。まあ何にせよ、お互いの手を離さない様にしていって欲しいわね。2人が結ばれた時にはお祝いで手作りのイギリス料理を出せれる様に更に練習を重ねておいた方が良さそうだわ!)
【トリーの場合】
(わたくしが掃除をしている間に、2人の間で何か有ったっていうの!?天照さんに1歩どころか2歩以上先に進まれてしまったかもしれませんが、わたくしにもチャンスがまだ残っている筈。護さんと2人きりになれる時を上手く作らないといけませんわ)
【オッサン(スサノヲ)の場合】
(どうやら、護の奴も姉上に好意を抱いている事を明かした様だな。姉上の実体化が進んでいる、完全な実体化まで至っていないのは護の方で何か考えが有るのだろう。どうせ、奴の事だから地図を作る目的辺りを進ませてから姉上の想いを受け入れるつもりであろう。神を伴侶として手に入れる事も立派な功績だと教えてやった方が良いのだろうか?)
【ヤミの場合】
(何だか護と天照がすっかりラブラブになってるみたい、私も護とラブラブしたいからトリーとも相談して護を天照だけに独占させない様にしないとね)
【タケミカヅチの場合】
(あ~俺もレミアさんから『タケミカヅチ様♪』っなんて言われてみてえよ~!!)
っとまあ5人の考えはそれぞれだったが、実は1番頭の中がお花畑状態になっているのは天照だった。
(うふふふふふふふふふ・・・♪護様ったら「お前は俺の女だ」なんて、他の男に心が向く訳無いじゃないですか!?この国の地図が出来た暁には正式にお付き合いを始めて・・・最終的にはお嫁さんにして貰えるのかな?しかし、まだまだ時間が掛かります。トリーさんやヤミさんに正妻の座を奪われない様にこれまで以上に目を光らせないといけませんね)
正妻の座・・・天照は無意識の内にトリーとヤミも護の妻になる事を予想していた。
翌日、家を出ると昨日の雨の影響で地面がまだ泥に近い常態だったが天照は護に頼まれない内から本来は太陽神かもしれないと言われている天宇受売神(あめのうずめのかみ)を呼び出し地面を乾かしてしまう。歩きやすい状態にした事を護に褒められると満面の笑みで喜びを表す。天照の護に対する献身ぶりはこれまで以上になったと言える、そして護に何もしてあげる事が出来ないと思い込んだトリーは焦燥感を募らせていく。
平原を進む事3時間近く、そろそろ昼食を取ろうと思い始めた頃道の先から1人の旅の者が歩いてきた。全身を黒に近い灰色のローブで覆い顔を隠しているので、護達は少しだけ警戒しながらすれ違おうとしていた。
「待て」
声を掛けられる、聞く限り男性の様だが何かトラブルに巻き込まれたのだろうか?
「俺達に何か用ですか?」
「ああ、今お前達が着ている鎧に使っている物は竜の鱗と殻ではないのか?しかもその色は闇色、この先に住まう闇竜様に何か有ったとでも言うのか!?」
ヤミのお知り合いかな?
「なあ、ヤミ。お前の知り合いか?」
「う~ん、声だけじゃ思い出せないや」
すると、ローブの男はヤミに気付いた様で声を荒げた。
「そ、その角と尻尾はもしかして闇竜様なのですか!?まだ引き継ぎの時期は先だと思っておりましたが、無事に引き継ぎを終えられた様で何よりです」
ローブの男はヤミの前で跪いて手を合わせ拝んでいる。何者だこいつ
「う~んとね、誰だが知らないけど私は護からヤミって名前を貰ってるからこれからはヤミって呼んでね」
「はっ分かりましたヤミ様!」
「ところでさ、君は誰?」
「それは酷いですよ、ヤミ様。私の名前を授けて下さったのはあなたなのに・・・」
そう言うと、男は顔を隠していた部分を後ろに回して顔を見せた。
「私はラメルです、思い出して頂けましたか?」
「あ~!?ラメルか、久しぶり~♪クトアは元気にしてる?」
「はい、母上は相変わらず元気でヤミ様の事も気にしておいででした」
「そうか~ラメルが少年位の大きさの印象しか無かったからすぐに思い出せなかった。しばらく見ない間に大きくなったね~!」
「そりゃそうですよ、前にお会いした時から100年以上経っておりますから」
ヤミはラメルと名乗った男と互いに笑っている、しかし今の会話の中にちょっと重大な事を言ってなかったか?
「ヤミ、こちらのラメルさんは一体?」
「あ~!?紹介するの忘れてた、あのね護。この子の名はラメルといって、キスト法国魔王クトアの息子さんなの」
へ~魔王の息子さんか・・・って息子!?
「お初にお目にかかる、私の名はラメル。現キスト法国魔王クトアの息子だ、だが純粋な魔族では無い。母上が人族の男と結ばれて出来た子ゆえ亜種である魔人と呼ばれ国内ではそれほど高い発言力は持っていない。けれど、ヤミ様へのお使い程度は頼まれるだけの魔力は持っているつもりだ」
自分から色々な事を話してくれた、魔王が人と結ばれて出来た子か。人と神が結ばれて子を生すのも罰当たりじゃないのかもな・・・はっ!俺は今なんて事を考えていたんだ!?
「こちらこそ初めまして、俺の名は神守 護。この世界とは違う世界から来てしまった人間だ。そして、隣に居る女性と髭もじゃのオッサンは俺と同じく向こうの世界の神達だ」
「神だと!?」
ラメルは剣を抜こうとするが、それをヤミに止められた。
「ラメル、この人達はスパウダの連中とは違うから安心して。私の引き継ぎの時もずっと卵を守ってくれたんだから」
抜こうとしていた剣を鞘に戻すと、ラメルは俺達に丁寧に頭を下げてきた。
「ヤミ様の引き継ぎの間守っていてくださったとは露知らず大変ご無礼を致しました、謹んでお詫び申し上げます」
「堅苦しい挨拶はいいよ、この世界の神族についてはヤミ達から色々と聞いたり天使とやり合ったりしているからさ」
「天使とやり合った!?それでその天使はどうしましたか?」
『あいつは俺がボコボコにしたら、捨て台詞を吐いてどこかに飛んでいったぞ』
「それは少しまずいですね・・・」
「何がまずいのかな?」
「スパウダの連中はこの先の山にヤミ様の住処が在るのは知っている筈なのですぐに越えてこないと思いますが、もしかしたら天使よりも上位の者達で編成された部隊をあなた方を見せしめに殺す為に派遣している可能性が有ります」
「ははは、いくら何でも・・・それ、やりそうな連中だよなやっぱり」
「最悪のケースも考えてしばらくの間護殿、あなた達に同行させて頂いても宜しいでしょうか?」
「それは大丈夫だよ、でもお使いは済んだのかい?」
「ああ、ヤミ様のお身体の調子を見てくるだけだったから既に済んでいる。ヤミ様が引き継ぎをされる際はキスト法国の国民総出でお守りしようとまで考えておいででしたから母上は」
未だに前魔王のした行為を悔いている様だ、残る竜達の引き継ぎも治世の間に行われようとしたら全てを国の威信に掛けて守り抜こうとするに違いない。
そんな事を考えていると、ラメルがレミアを見て一瞬顔を蒼くしたがこう言ってきた。
「君は・・・もしかして、レミア、レミアなのか!?」
『確かに私はレミアという名前だけど、あなたと会った記憶が無いのだけれど?』
「君は怪となっていたんだね、シスターを夢見て礼拝の為にツオレの村を出たのにあの様な最期を迎えてしまったからなのか?」
『ちょっと!もしかして生前の私の事を知っているの!?』
「知っているとも、何しろここに来る途中でツオレに在る君の墓にも立ち寄って花を手向けてきたんだからね」
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