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第42話 魔改造された家の登場再び
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「え~!!私が寝てる間に、天照とトリーは護のお嫁さんになっちゃったの!?」
「まあ・・・そういう事だ」
「それじゃあ、それじゃあさ『私も護のお嫁さんにして!』って言えばお嫁さんにして貰えるのかな♪」
「俺もお前の事が欲しいと思う事が出来たらな。そして今後の為にも家の神に協力してもらって今のままだときっと狭くなる家を更に改造してもらう必要が有るのさ」
(20人が住めるほどの寝室が有って、地上3階地下3階で浴場も4種類に屋上にプールまで有る家が狭くなるのか!?)
護を除くこの場に居る全員が思わず同じ事を考えてしまった。
「やっぱり、俺の男としての理想の家を実現して貰うにはしっかりと打ち合わせしておかないといけないな。天照とトリー、それに皆済まないけどバレッジの方々に今日はお昼までツオレに向かいそこでお終いにして今晩はそこに仮設住宅などを出しますと伝えて貰えないかな?」
「それは構いませんが、護様は午後からどうされるおつもりですか?」
「家の神と打ち合わせをする、だがその前に天照。俺達は夫婦になったんだ、様は必要無いから護と呼び捨てで構わないぞ」
「そ、それじゃあ。ま、護?」
「それでいい、相変わらず可愛い奴だ天照は」
俺が引き寄せ抱きしめると天照はすっかりデレデレ状態になってしまう、普段だとトリーが黒いオーラに包まれるのだが今日からは違う。
「護、天照だけずるいです。わたくしも抱きしめてくださいな」
「トリーも見かけによらず甘えん坊な奴だ」
「女は何時でも愛する男の前だけは甘えん坊になりたいんです♪」
「しょうがないな、早くこっちにおいで」
今度はトリーを抱きしめている護は幸せそうな顔で
「こんな美人2人を同時に妻に出来るなんて、こちらの世界に来てからの方が俺間違いなく幸せかもしれない」
護が一切我慢しなくなって朝からイチャイチャする様子を見る羽目になった、他の面々はやや嘆息気味になる。
(護よ、お前はこっちの世界でハーレムでも築くつもりか!?姉上まで侍らせて決して羨ましい訳では無いが・・・やっぱり少し羨ましいかもしれん)
(私の事を欲しいと思って貰えたならお嫁さんに加えてもらえるのか。護のお嫁さんになれる様に何から始めよう?)
オッサンとヤミはこんな事を考えており、レミアの場合は
(心配して損しちゃったみたい、っていうかトリーまで加わって更に悪化したとしか思えないわ。焚きつける様な真似をした私も悪かったけど、護も思い切りが良いのか思い込みが激しいのかこの家にハーレムでも作りたいのかしら?)
レミアの両隣で朝食を食べていたラメルとタケミカヅチは、護の豹変振りに開いた口が塞がらない。
「な、なあレミア。護は急にどうしたんだ!?」
『レミア殿、昨晩何かあったのか!?』
『はあ・・・そうよ有ったのよ。こうなった原因の1つに私のお節介も多少有るから文句も言えないわ。これからはアレが毎日の食事風景になるから諦めて頂戴ね』
周囲を呆れさせている中、護は牛乳を飲んでいるクロを呼ぶと抱き上げながらこう言った。
「クロ、あともう少しお前が大きくなったらな1人でちゃんと寝る様にするんだぞ?ちょっと一緒に寝る人数が多くなると思うからお前も寝づらくなるだろうしな」
ワン! クロが返事をすると、護は頭を撫でてやりながら褒めた。
「お前は本当に頭が良いな、このまま元気に育てよ」
クロも尻尾を振りながら喜んでいるが、他の者達はその前の護の発言が気になって仕方が無い。
(え、一緒に寝る人数が多くなるって・・・もしかして奥さん全員と同じベッドで寝るつもりなのか!?)
「ああそうだ、天照。午後からの打ち合わせにはあと何人か参加して貰いたいのだけど呼んで貰えないかな?」
「私では駄目なのですか?」
「お前達を驚かせたいからな、完成を楽しみに待っていてくれ」
護はすっかりノリノリである、それを見た天照達はこの家がどんな姿に変わるか不安になる。朝食を終えて護達はバレッジの住人達とツオレに向け歩き始めるが鼻歌交じりで歩く護に住人達も驚いていた。そして昼食を終えると何故か天照・トリー・レミア・オッサン・ヤミ・タケミカヅチ・ラメル・クロの7人と1匹は避難所の中に待機させられた。外を絶対に見ない様に言われ窓にもカーテンが掛けられるが時折カーテン越しに外に何か巨大な物の影が映りこむので護の理想の家に対する不安と興味が入り乱れる結果となる。そして、夕刻ようやく納得出来る家が出来たのか護は満足そうな表情で天照達を迎えに来た。
「すっかり待たせてしまったな、俺の理想の家が出来たから見てくれ。これが今日から俺・天照・トリーの3人の愛の巣だ」
護はブレスレットに手を伸ばし家を元の姿に戻した、外観を見た面々が最初に思った感想はこれだけだった。
(これって何!?)
そう、天照達の目の前に現れたのは斜めの傾斜が付いた鋼鉄製の壁に覆われた野球グラウンド位の大きさの4階建ての丸い建物だった。斜めの傾斜が有る為1階部分に比べ4階部分は少し面積が小さい。あと窓まで同じ角度の傾斜がついているのには何か理由が有るのだろうか?
「とりあえず中に入ろう、何で壁や窓に傾斜をつけてあるのかは後で説明するからさ」
護を先頭にして一行は家の中に入る事にした、入り口はこれまでの家と同じ様に風除室が設けられ指紋認証のロックと呼び出し用のインターホンに監視カメラが設置されていたが風除室の広さが一回り大きくなっていた。
「まず1階の中央を食堂スペース兼談笑ルームとして設けてある、ここで各自が何時でも好きな物を食べられる様に食べ物の神にバイキング形式で用意して貰う様に頼んであるからお腹がすいたら行くといい」
そこまで言ってから護はレミア・オッサン・ヤミ・タケミカヅチ・ラメルの5人に頭を下げた。
「先に謝っておくが、この家の地上部分は屋上を除いて半分の場所で壁で仕切られていてあの奥に見える扉から先は俺と妻になった者達しか入れない様になっている。屋上に上がったり地下に降りる為のエレベーターはこの中央にのみ設置してある。俺が他の人達には見せられない姿も妻達だけには曝け出せる様にしておきたかったんだ許してくれ」
後日、この護とその妻達のエリアは【大奥】と呼ばれる様になる。
「これまで地下にあったボウリング場とカラオケルームはあまり使う機会が無かったから廃止した。その代わり屋上に在った温水プールを地下1階に、地下2階には弓の練習場と銃の射撃練習場を新たに新設させた。地下3階は今まで通りクロの為のスペースだからな」
ワンワン! クロが大はしゃぎで護の周りを走り回る。レミア・トリー・ヤミ・ラメルの4人は銃と射撃場の意味が分からずにいたが他の3人は護の口から物騒な言葉が出てきたのに驚いていた。
「レミア達に住んでもらうこちら側は【個人エリア】と呼ばせてもらう、1~4階までの各階に男女別のトイレを2ヶ所ずつ設置してあり1階と2階に少し大きくした寝室を合計で30部屋用意してある。3階部分は男女別の大浴場となっていて4階部分は色んな男女の出会いの場になる様に混浴エリアにしてみた。各浴場にはワイン風呂・薬草風呂・電気風呂・寝風呂等の他にも高温サウナや低温サウナも完備させたぞ」
(何故そこまで風呂に拘る!?)
オッサン達5人は思わず声に出そうになってしまった。
「5人とクロはここで少しの間別れよう、各々の寝室の場所決めや部屋の中の配置を確認していてくれ。俺は天照とトリーに奥のエリアを案内してくるから」
護達3人が奥のエリアに消えていくと、オッサンとタケミカヅチが護から出た物騒な言葉について話し始めた。
『おい、タケミカヅチよ。護の奴は銃とか射撃場とか言っていたが大丈夫か!?』
『俺も凄く気になった、あいつはあんな物をこちらの世界に持ち込んでどうするつもりだ!?どこかと戦争でもするつもりなのか?』
レミアとヤミにラメルの3人は戦争という言葉にやっと反応する事が出来た。
『あのスサノヲさん、護が言っていたジュウという物はそれほど危険な物なのですか?』
『ああ、銃という物は火薬というのを使って金属の弾を撃つ武器の事でたった1発でも当たれば人を簡単に殺せてしまう恐ろしい凶器だ』
「護はそんな凶器を撃つ為の練習場を地下に設けたと言うのか!?」
「これは私は想像なんだけど、護は多分きっと私達を守る為にこちらの世界に無い物だろうと遠慮無く使う覚悟が出来たんだと思う」
ヤミの言葉に残された者は驚きを隠せなかった。
「スサノヲさんがワイトで天使をボコボコにしたって話だから、いずれはスパウダと戦いになる。その時にこれはこの世界に無いからとか持ち込むのは問題だとか考えていたら守りたい人達も守れない。護は護なりに私達全員が傷つかない方法を模索したんじゃないかな?」
『そんな心配などせんでも、我輩達は護よりも遥かに強い。まずは己の身を守る事だけ考えておれば良いものをあやつらしいかもな』
『ええ、そうね。だから私達も護と一緒に旅をしたいと思える様になるのだわ』
護の不器用過ぎる程過剰な思いやりに5人は苦笑いを浮かべているが悪い気は全くしなかった。一方、護に連れられて奥のエリアに来た天照とトリーは2階にある護の理想の寝室を最初に見せられて驚愕していた。
「あ、あの・・・護?見間違えじゃないのでしたら、あの巨大なベッドは一体何なのですか!?」
「天照さんの言う通りです、10人以上が大の字になっても軽く寝れそうな大きさですよ!?」
「ああ、これか?俺は全員の妻を平等に愛したい、だから曜日毎に別々の妻の寝室を訪ねるなんて真似はせずに妻達の方から俺と愛し合う為に訪れられる様に少し大きめのベッドにして貰った訳だ」
((10人以上寝られるベッドは少しどころじゃありません!?))
天照とトリーは心の中でツッコミを言わずにはいられなかった。
「1階部分は妻達のプライベートルーム兼寝室として20部屋用意した。2階はこの俺の寝室の隣にシャワー室も設置してあるから気になるようなら使ってくれ。そして3階と4階は俺達専用の混浴風呂となっていて3階部分は個室エリアと同様の各種お風呂やサウナを設置してあるが4階部分は全てを混浴露天風呂にして全面ガラス張りにして外の景色を楽しめる様になっているぞ!」
「ちょっと!それですと外から丸見えになっちゃうじゃないですか!?」
「そうよ、護以外に裸を見られたくなんて無いし見せたくも無いわよ!?」
「安心しろ、この家の全ての窓ガラスは特殊なマジックミラーになっていて例え夜でも内側からの明かりで中が透けて見える事は無い。だから気にする事無く俺に全てを見せてくれ」
「護は今まで猫の皮を被っていただけで物凄いスケベだったんですね」
「お前達が俺の中の獣を起こした癖にそれを言うか?今晩は俺達3人の初夜なんだから覚悟しておけよ」
天照とトリーは護からどんな事をされるのか想像しただけで思わず唾を飲み込んでしまう。
「それじゃあ、1度皆と合流して屋上に行こう。そこでこの家になんで傾斜が付いているのか説明するから」
護達は中央ルームに戻ると、レミア達を呼んで屋上まで上がった。そして屋上に出た天照達は護の皆を守る覚悟を見る事となる。
「ここが屋上だ、空から攻められた場合を想定して高射砲と対空ミサイル、地上からの攻撃に備えてバルカン砲と滑空砲や榴弾砲を全方位に向けて要塞の神に頼んで設置して貰った。レーダーも含め管理は要塞の神にお願いしたから俺達が操作する必要は無いので安心してね」
『おい護、これは流石にやり過ぎだろ!?』
「やり過ぎなものか、おそらく今後俺達はスパウダと戦争になる。相手が物量戦に持ち込んできた時に何かあるといけないからまずはこれだけの防衛システムを設置してみる事にした。足りない様だったら更に加えていくつもりだ」
この護の予感は的中するのだが、この防衛システムの前に捜索隊の面々はかなりの痛手を被る事となった。
「それから窓や壁に傾斜を付けているのは、傾斜装甲の応用だ。斜めにする事で実際よりも厚みを持たせる事が出来る。ガラスも厚い防弾ガラスにしてあるから割れる心配もしなくていい」
「護、ここまで家を改造する必要が有るのですか!?」
「だって、スパウダの国内に入ると下手したら四六時中襲われる訳だろ?夜襲とかされると夜もおちおち眠れやしない。だったら、愛する人との時間を守る為にも考え付く限りの防衛システムを組んで撃退しようって思ったんだ。俺って本当に妻思いでしょ!?」
(異世界に現代兵器を持ち込むのは妻思いとしては流石にどうかと思う)
天照・オッサン・タケミカヅチは護の愛に異常な重さを感じてしまった。
「あとタケミカヅチ、ごめん!?」
(え、俺!?)
タケミカヅチは護に急に名指しで謝られたのでビックリした。
「この家に改造したらさ、家の消費電力が跳ね上がっちゃってさ。家の充電を1日1回じゃなく1日3回して欲しいからよろしく頼むね」
『俺を更に発電機扱いするんじゃねえぞコラァ~!!』
タケミカヅチの叫びは周囲に無情に響き渡るだけであった。
「まあ・・・そういう事だ」
「それじゃあ、それじゃあさ『私も護のお嫁さんにして!』って言えばお嫁さんにして貰えるのかな♪」
「俺もお前の事が欲しいと思う事が出来たらな。そして今後の為にも家の神に協力してもらって今のままだときっと狭くなる家を更に改造してもらう必要が有るのさ」
(20人が住めるほどの寝室が有って、地上3階地下3階で浴場も4種類に屋上にプールまで有る家が狭くなるのか!?)
護を除くこの場に居る全員が思わず同じ事を考えてしまった。
「やっぱり、俺の男としての理想の家を実現して貰うにはしっかりと打ち合わせしておかないといけないな。天照とトリー、それに皆済まないけどバレッジの方々に今日はお昼までツオレに向かいそこでお終いにして今晩はそこに仮設住宅などを出しますと伝えて貰えないかな?」
「それは構いませんが、護様は午後からどうされるおつもりですか?」
「家の神と打ち合わせをする、だがその前に天照。俺達は夫婦になったんだ、様は必要無いから護と呼び捨てで構わないぞ」
「そ、それじゃあ。ま、護?」
「それでいい、相変わらず可愛い奴だ天照は」
俺が引き寄せ抱きしめると天照はすっかりデレデレ状態になってしまう、普段だとトリーが黒いオーラに包まれるのだが今日からは違う。
「護、天照だけずるいです。わたくしも抱きしめてくださいな」
「トリーも見かけによらず甘えん坊な奴だ」
「女は何時でも愛する男の前だけは甘えん坊になりたいんです♪」
「しょうがないな、早くこっちにおいで」
今度はトリーを抱きしめている護は幸せそうな顔で
「こんな美人2人を同時に妻に出来るなんて、こちらの世界に来てからの方が俺間違いなく幸せかもしれない」
護が一切我慢しなくなって朝からイチャイチャする様子を見る羽目になった、他の面々はやや嘆息気味になる。
(護よ、お前はこっちの世界でハーレムでも築くつもりか!?姉上まで侍らせて決して羨ましい訳では無いが・・・やっぱり少し羨ましいかもしれん)
(私の事を欲しいと思って貰えたならお嫁さんに加えてもらえるのか。護のお嫁さんになれる様に何から始めよう?)
オッサンとヤミはこんな事を考えており、レミアの場合は
(心配して損しちゃったみたい、っていうかトリーまで加わって更に悪化したとしか思えないわ。焚きつける様な真似をした私も悪かったけど、護も思い切りが良いのか思い込みが激しいのかこの家にハーレムでも作りたいのかしら?)
レミアの両隣で朝食を食べていたラメルとタケミカヅチは、護の豹変振りに開いた口が塞がらない。
「な、なあレミア。護は急にどうしたんだ!?」
『レミア殿、昨晩何かあったのか!?』
『はあ・・・そうよ有ったのよ。こうなった原因の1つに私のお節介も多少有るから文句も言えないわ。これからはアレが毎日の食事風景になるから諦めて頂戴ね』
周囲を呆れさせている中、護は牛乳を飲んでいるクロを呼ぶと抱き上げながらこう言った。
「クロ、あともう少しお前が大きくなったらな1人でちゃんと寝る様にするんだぞ?ちょっと一緒に寝る人数が多くなると思うからお前も寝づらくなるだろうしな」
ワン! クロが返事をすると、護は頭を撫でてやりながら褒めた。
「お前は本当に頭が良いな、このまま元気に育てよ」
クロも尻尾を振りながら喜んでいるが、他の者達はその前の護の発言が気になって仕方が無い。
(え、一緒に寝る人数が多くなるって・・・もしかして奥さん全員と同じベッドで寝るつもりなのか!?)
「ああそうだ、天照。午後からの打ち合わせにはあと何人か参加して貰いたいのだけど呼んで貰えないかな?」
「私では駄目なのですか?」
「お前達を驚かせたいからな、完成を楽しみに待っていてくれ」
護はすっかりノリノリである、それを見た天照達はこの家がどんな姿に変わるか不安になる。朝食を終えて護達はバレッジの住人達とツオレに向け歩き始めるが鼻歌交じりで歩く護に住人達も驚いていた。そして昼食を終えると何故か天照・トリー・レミア・オッサン・ヤミ・タケミカヅチ・ラメル・クロの7人と1匹は避難所の中に待機させられた。外を絶対に見ない様に言われ窓にもカーテンが掛けられるが時折カーテン越しに外に何か巨大な物の影が映りこむので護の理想の家に対する不安と興味が入り乱れる結果となる。そして、夕刻ようやく納得出来る家が出来たのか護は満足そうな表情で天照達を迎えに来た。
「すっかり待たせてしまったな、俺の理想の家が出来たから見てくれ。これが今日から俺・天照・トリーの3人の愛の巣だ」
護はブレスレットに手を伸ばし家を元の姿に戻した、外観を見た面々が最初に思った感想はこれだけだった。
(これって何!?)
そう、天照達の目の前に現れたのは斜めの傾斜が付いた鋼鉄製の壁に覆われた野球グラウンド位の大きさの4階建ての丸い建物だった。斜めの傾斜が有る為1階部分に比べ4階部分は少し面積が小さい。あと窓まで同じ角度の傾斜がついているのには何か理由が有るのだろうか?
「とりあえず中に入ろう、何で壁や窓に傾斜をつけてあるのかは後で説明するからさ」
護を先頭にして一行は家の中に入る事にした、入り口はこれまでの家と同じ様に風除室が設けられ指紋認証のロックと呼び出し用のインターホンに監視カメラが設置されていたが風除室の広さが一回り大きくなっていた。
「まず1階の中央を食堂スペース兼談笑ルームとして設けてある、ここで各自が何時でも好きな物を食べられる様に食べ物の神にバイキング形式で用意して貰う様に頼んであるからお腹がすいたら行くといい」
そこまで言ってから護はレミア・オッサン・ヤミ・タケミカヅチ・ラメルの5人に頭を下げた。
「先に謝っておくが、この家の地上部分は屋上を除いて半分の場所で壁で仕切られていてあの奥に見える扉から先は俺と妻になった者達しか入れない様になっている。屋上に上がったり地下に降りる為のエレベーターはこの中央にのみ設置してある。俺が他の人達には見せられない姿も妻達だけには曝け出せる様にしておきたかったんだ許してくれ」
後日、この護とその妻達のエリアは【大奥】と呼ばれる様になる。
「これまで地下にあったボウリング場とカラオケルームはあまり使う機会が無かったから廃止した。その代わり屋上に在った温水プールを地下1階に、地下2階には弓の練習場と銃の射撃練習場を新たに新設させた。地下3階は今まで通りクロの為のスペースだからな」
ワンワン! クロが大はしゃぎで護の周りを走り回る。レミア・トリー・ヤミ・ラメルの4人は銃と射撃場の意味が分からずにいたが他の3人は護の口から物騒な言葉が出てきたのに驚いていた。
「レミア達に住んでもらうこちら側は【個人エリア】と呼ばせてもらう、1~4階までの各階に男女別のトイレを2ヶ所ずつ設置してあり1階と2階に少し大きくした寝室を合計で30部屋用意してある。3階部分は男女別の大浴場となっていて4階部分は色んな男女の出会いの場になる様に混浴エリアにしてみた。各浴場にはワイン風呂・薬草風呂・電気風呂・寝風呂等の他にも高温サウナや低温サウナも完備させたぞ」
(何故そこまで風呂に拘る!?)
オッサン達5人は思わず声に出そうになってしまった。
「5人とクロはここで少しの間別れよう、各々の寝室の場所決めや部屋の中の配置を確認していてくれ。俺は天照とトリーに奥のエリアを案内してくるから」
護達3人が奥のエリアに消えていくと、オッサンとタケミカヅチが護から出た物騒な言葉について話し始めた。
『おい、タケミカヅチよ。護の奴は銃とか射撃場とか言っていたが大丈夫か!?』
『俺も凄く気になった、あいつはあんな物をこちらの世界に持ち込んでどうするつもりだ!?どこかと戦争でもするつもりなのか?』
レミアとヤミにラメルの3人は戦争という言葉にやっと反応する事が出来た。
『あのスサノヲさん、護が言っていたジュウという物はそれほど危険な物なのですか?』
『ああ、銃という物は火薬というのを使って金属の弾を撃つ武器の事でたった1発でも当たれば人を簡単に殺せてしまう恐ろしい凶器だ』
「護はそんな凶器を撃つ為の練習場を地下に設けたと言うのか!?」
「これは私は想像なんだけど、護は多分きっと私達を守る為にこちらの世界に無い物だろうと遠慮無く使う覚悟が出来たんだと思う」
ヤミの言葉に残された者は驚きを隠せなかった。
「スサノヲさんがワイトで天使をボコボコにしたって話だから、いずれはスパウダと戦いになる。その時にこれはこの世界に無いからとか持ち込むのは問題だとか考えていたら守りたい人達も守れない。護は護なりに私達全員が傷つかない方法を模索したんじゃないかな?」
『そんな心配などせんでも、我輩達は護よりも遥かに強い。まずは己の身を守る事だけ考えておれば良いものをあやつらしいかもな』
『ええ、そうね。だから私達も護と一緒に旅をしたいと思える様になるのだわ』
護の不器用過ぎる程過剰な思いやりに5人は苦笑いを浮かべているが悪い気は全くしなかった。一方、護に連れられて奥のエリアに来た天照とトリーは2階にある護の理想の寝室を最初に見せられて驚愕していた。
「あ、あの・・・護?見間違えじゃないのでしたら、あの巨大なベッドは一体何なのですか!?」
「天照さんの言う通りです、10人以上が大の字になっても軽く寝れそうな大きさですよ!?」
「ああ、これか?俺は全員の妻を平等に愛したい、だから曜日毎に別々の妻の寝室を訪ねるなんて真似はせずに妻達の方から俺と愛し合う為に訪れられる様に少し大きめのベッドにして貰った訳だ」
((10人以上寝られるベッドは少しどころじゃありません!?))
天照とトリーは心の中でツッコミを言わずにはいられなかった。
「1階部分は妻達のプライベートルーム兼寝室として20部屋用意した。2階はこの俺の寝室の隣にシャワー室も設置してあるから気になるようなら使ってくれ。そして3階と4階は俺達専用の混浴風呂となっていて3階部分は個室エリアと同様の各種お風呂やサウナを設置してあるが4階部分は全てを混浴露天風呂にして全面ガラス張りにして外の景色を楽しめる様になっているぞ!」
「ちょっと!それですと外から丸見えになっちゃうじゃないですか!?」
「そうよ、護以外に裸を見られたくなんて無いし見せたくも無いわよ!?」
「安心しろ、この家の全ての窓ガラスは特殊なマジックミラーになっていて例え夜でも内側からの明かりで中が透けて見える事は無い。だから気にする事無く俺に全てを見せてくれ」
「護は今まで猫の皮を被っていただけで物凄いスケベだったんですね」
「お前達が俺の中の獣を起こした癖にそれを言うか?今晩は俺達3人の初夜なんだから覚悟しておけよ」
天照とトリーは護からどんな事をされるのか想像しただけで思わず唾を飲み込んでしまう。
「それじゃあ、1度皆と合流して屋上に行こう。そこでこの家になんで傾斜が付いているのか説明するから」
護達は中央ルームに戻ると、レミア達を呼んで屋上まで上がった。そして屋上に出た天照達は護の皆を守る覚悟を見る事となる。
「ここが屋上だ、空から攻められた場合を想定して高射砲と対空ミサイル、地上からの攻撃に備えてバルカン砲と滑空砲や榴弾砲を全方位に向けて要塞の神に頼んで設置して貰った。レーダーも含め管理は要塞の神にお願いしたから俺達が操作する必要は無いので安心してね」
『おい護、これは流石にやり過ぎだろ!?』
「やり過ぎなものか、おそらく今後俺達はスパウダと戦争になる。相手が物量戦に持ち込んできた時に何かあるといけないからまずはこれだけの防衛システムを設置してみる事にした。足りない様だったら更に加えていくつもりだ」
この護の予感は的中するのだが、この防衛システムの前に捜索隊の面々はかなりの痛手を被る事となった。
「それから窓や壁に傾斜を付けているのは、傾斜装甲の応用だ。斜めにする事で実際よりも厚みを持たせる事が出来る。ガラスも厚い防弾ガラスにしてあるから割れる心配もしなくていい」
「護、ここまで家を改造する必要が有るのですか!?」
「だって、スパウダの国内に入ると下手したら四六時中襲われる訳だろ?夜襲とかされると夜もおちおち眠れやしない。だったら、愛する人との時間を守る為にも考え付く限りの防衛システムを組んで撃退しようって思ったんだ。俺って本当に妻思いでしょ!?」
(異世界に現代兵器を持ち込むのは妻思いとしては流石にどうかと思う)
天照・オッサン・タケミカヅチは護の愛に異常な重さを感じてしまった。
「あとタケミカヅチ、ごめん!?」
(え、俺!?)
タケミカヅチは護に急に名指しで謝られたのでビックリした。
「この家に改造したらさ、家の消費電力が跳ね上がっちゃってさ。家の充電を1日1回じゃなく1日3回して欲しいからよろしく頼むね」
『俺を更に発電機扱いするんじゃねえぞコラァ~!!』
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