召喚勇者は魔王と放浪する事になりました。

いけお

文字の大きさ
18 / 55
第2章~出来ればあの日に戻りたい~

閑話休題その2 風魔王エダが飛び去った後の立ち寄り先

しおりを挟む
「ジーク! あの色ボケ娘に会って土魔王の所まで行ってくる様に伝えてきたわよ~!」

『エダ、お疲れ様。 あそこからここまで飛んでくるのは少し大変だったのではないか?』

「大丈夫よ、それに自分の領土に帰る前の一休みで寄ったみたいな感じだしね」 側近達は分かり易い嘘に気付いていないフリをしているが、内心口から砂を吐きそうである。 エダの領土は直接帰った方がはるかに早い。 だが、エダはジークと話をしたいが為にわざわざ遠回りをしているのである。

風魔王ことエダ・ウィンディと火魔王であるジーク・フレイムは、遠目から見ても分かるくらいに微笑ましいラブラブぶりをしているのだがお互いに告白までいっていない・・・。 2人とも顔を赤くして見つめ合っているのに手が触れただけでもびっくりして距離を取ってしまう位で、いつまでも進展しないから逆にイライラしそうになるのだが、今日こそは何かしらの進展を果たして欲しいとも火魔の側近達は願っているのであった。 

『夜の帝王と夜の女帝・・・か。 聖女からどうやればそこまで堕ちれるのか不思議でならんわ』

「そうね、ただ聖魔から聖女になったのはきっとあのヤマトって男が原因でしょうけどね。 ボソッ(どこかの誰かさんみたいに黙ってみていられなくなったと思うけど)」

『ん? 何か言ったか?』「いいえ、気のせいよ」 進展が無い訳である。

トントントントン。 扉を数回ノックする音と共に火魔のメイドがお茶を運んできた。

(エダ様、そろそろ日が暮れる頃となりましたが夜に空を飛ばれるのは危ないのではと思いましたので大変失礼だとは存じますが寝室のご用意をさせておりますので1晩お休みになられて明朝出立されるのは如何でしょうか?)

「あら? もうそんな時間!? あ、あまり長く居過ぎるとジークにか、か、かえって迷惑にならないかしら?」

『そ、そんな事は無いぞ。 む、むしろそれだけ長く顔を見れるのだからな』

顔を赤らめモジモジしている2人に軽く挨拶をして、メイドは部屋を退出する。 っがもちろんコレは側近達の考えたラブラブ進展大作戦の一環である。 そもそも夜に多少視界が悪いからといって、空中戦でも魔王に勝てる様な存在は居る訳がない。 けれでも、好きな相手の臣下に心配を掛けない事を名目(言い訳)にすれば一晩くらいは泊まってもいいだろうと自分を納得させているのである。

お茶も飲み終わり、そろそろ会話のネタも尽きそうになった時になってエダは急に思い出した様にジークに話しかけた。

「セシルだけど、色ボケ娘にはなっちゃいるけどやっぱり元・水魔王の名は伊達じゃなかったわね。 わたしがここに寄るのも見越した上で気付かない内にお土産2袋をアイテムボックスに入れられていたわ」

『やるな、相変わらず。 っで? その袋の中身は一体何だったんだ?』

「まだ、開けてないからココで開けてみましょうか? コッチがジーク、あなたの袋ね。 ご丁寧に名前まで書いてくれちゃって」

ガサガサガサ・・・テーブルの上に出してみて、2人は凍りついた。 

『「な、な、な、な、なんじゃこりゃ~!?」』

それは、ヤマトがオマケで付けると言ってエダにハリセンで叩かれた、男性向けと女性向けの性魔道具の試供品一式であった。 エダはマグマみたいに顔を赤くすると思わず叫んでしまった。

「あのエロボケ娘! なんてものをお土産にするのよ~!!!!!!!!!!」

『これが・・・帝王と女帝の産み出した物なのか。 説明書まで添えてくるとは我々にこれを試せとでも言っているのか?』 ジークの一言にエダは動揺してしまった。

「何を言っているのよジーク~! そ、そ、そんな訳が無い・・・っと思いたいわ。 きっと、そうアレよ! 嫌がらせよ!」

『だがこの嫌がらせに負けたままってのも何かムカつくな。 な、なあエダ。 今夜お互いにこれを試してみて、後日この感想を酒の肴にするのはどうだ?』

「え!? わ、わた、わた、わたくしに寝室で、こ、こ、ここ、これらを使ってこいと言うの!?」

『ああ、どうせヒト共が熱狂する程度じゃ我々の予想を超える物であろう筈も無い。 物笑いの種に丁度良いではないか?』

「じゃ、じゃあジークもそれの感想を教えてよね?」『もちろんだとも』

その晩はその後少しの酒を追加で飲んでから、2人はそれぞれの寝室に入っていった。 例の試供品一式を片手に持って・・・。

翌日・・・昼過ぎになっても出てこないエダを心配してメイドが部屋をノックしようとした所、エダが少しやつれた様な表情で部屋を出てきた。

(エ、エダ様!? お身体の具合がどこか悪いのでしょうか!? すぐに治療師をお呼びしますが?)

「だ、大丈夫よ。 と、と、ところで~ジークは相変わらずお元気?」

(いえ・・・魔王様も今朝は先程ようやく部屋を出てこられたばかりになりますが何かお分かりなのでしょうか?)

「いえ! 存じませんわオホホホホ・・・!」 あやしい・・・メイドは思ったが口には出さなかった。

「じゃ、じゃあちょっとジークに挨拶をしてくるわね・・・」 胸元に何か紙袋を抱えて小走りで去るエダを不思議に思ったメイドであったが、まずはエダの居た寝室の掃除を始めようと中に入るとベッドの物凄い惨状を見てその場で失神した。

コンコン・・・ 「わたしよ、入ってもいいかしら?」『あ、ああ。 入ってくれ・・・』

・・・・・無言の時間は続き、『「あの!」』っと2人で同時に話し掛けまた顔をお互い赤くして無言になってしまった。

『そ、そちらはどうたったのだ? エダ』「え!? ど、ど、どうだったって?」

『ほ、ほ、ほらあの試供品って奴』「あ、あれね。 あれは、ちょっと・・・」

2人は深いため息を吐くとまた同時に『「凄すぎた、あれは」』と答えていた。

『帝王と女帝になってしまう訳だ、あんなものを産み出すとは悪魔か!? あ、魔王か・・・』

「そ、そうね。 流石に見くびっていたわね」

お互いの紙袋を交互に見ながら、しばらく沈黙の時間が流れたがやがてジークが意を決した様にエダに話しかけた。

『な、なあ、エダ。 疲れている様だし今夜もう一晩泊まっていくのはどうだ?』

「え、ど、どういう事ジーク?」

『そ、それで、も、も、もしそなたが良かったらわたしに使わせてもらえないだろうか? その魔道具を!』

「ジ、ジ、ジーク!? そ、それって、も、も、もしかして、わ、わたくしと!?」

ゆっくりと頷くジークを見て、思わずエダはパニックになってしまい

「こ、こ、こんな、わたくしで、よろしければ、よ、よ、よ、喜んで~!!!」 と叫んでしまった。

『オ、オレでいいのか? エダ』「わ、わたくしでいいの? ジーク」

こうして2人はまだ昼過ぎにも関わらずジークの寝室へと消えていくのであった・・・。

後日2人の間に、この世界上で初となる魔王の両親を持つ子供が誕生する。 ・・・しかし産まれた際に魔族の神託神官が将来2人の魔王を討つ勇者となると予言し、魔族全体を揺るがす騒動を起こしてしまうのは、また別のお話である。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...