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第57話 初めての異界と異母妹との出会い
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渦から出たウィル一行は、まずは周囲を見渡す。鬱蒼と茂る森の中へどうやら出てしまった様だ。
「ここが異世界か・・・タツト、魔脈とかは感じとれるかな?」
「生憎と魔脈は感じ取れないが、魔力その物がこの世界を満たしている。ダンジョンも元の世界と同様に自由に出せそうだ」
「それを聞いて安心した、ところで母ちゃん気分とかは大丈夫?母ちゃんはごく普通の人間だから無理をさせていないか心配なんだ」
「大丈夫だよ、この程度で音を上げているようじゃ父ちゃんの首根っこを掴んで連れ帰れないからね!5日しかこの世界に滞在出来ないのだからウィル急いで父ちゃんを見つけるんだよ!!」
怒涛の勢いでウィルを急かすミラ、ウィルの非常識な行動を止めるにはこれ位強引にやらないのいけないのだろうか?サチやリーン達はミラの一挙手一投足を注視して学習する。
ピー、ピー、ピー! 久しぶりに【地域安全安心MAP】のアラート音が鳴り響いた。見ると、20騎ほどの集団がこちらに向かってきていた。
「正体不明の集団が20騎ほど、こちらに真っ直ぐ向かってきている。母ちゃんとフクを抱いているサチを真ん中にして皆でいつでも迎撃出来る様にしよう」
「分かったわ」
「うむ。任せておけ」
「敵のお手並み拝見ですね、タツト背中は任せましたよ」
タツトと龍神のタツミは互いに背中を合わせて前後の敵に備える、ウィル達の見ていない所で2人は武芸の練習を重ねていたようだ。
騎馬の集団はウィル達の目の前まで来ると一斉に止まった、先頭で集団を率いていたのは色白な金髪ショートの美少女だった。ウィルは何故かその少女を吸い寄せられる様に見つめてしまう。
ギューッ!! それを見たサチ達新妻衆は全員でやきもちを焼いてウィルの頬をつねった。
「イタタタタッ!ごめん、見惚れてしまった俺が悪かったです。許してください!」
「まったく、結婚式を挙げた直後にもう他の女に目が行くなんてあんまりですわ」
「でも、何故か分からないけど他人の様に思えないんだよな」
目の前で複数の女性から怒られる男の姿を見て、唖然とする騎馬の少女達であったが気を取り直してウィル達を問い質し始めた。
「先程、この付近で異常な魔力の膨張と空間の歪みが観測されました。あなた達はこの近くで何が起きたのか目撃されていますか?知っているのでしたら正直に答えなさい、嘘を言うと痛い目を見ますよ」
少女が右手を挙げると、後ろで控えていた兵士らしき者達が鞘から剣を抜いて構える。答え次第では1戦交えるつもりみたいだ。
「出来れば戦いたくないから、剣を収めてくれないかな?」
「あら、もう命乞いかしら?」
少女は勝ち誇った顔でウィルを見下した、ウィルはそれに怒る事も無く
「ところで君は他の人のステータスを見る事は出来るの?」
「それ位出来るけど、それがどうかしたのかしら?」
「それじゃあさ、俺達のステータスを1度確認してから俺がさっき言った言葉を思い出してみて」
少女は訝しげな表情でウィル達のステータスを確認してすぐに顔が青ざめる。背後の者達もステータスの確認が出来る様で見た人間からすぐに下馬して平伏していた。
「相手を過小評価すると、いずれ痛い目を見るから言動には気をつけた方が良いよ。分かった?」
「はい・・・分かりました」
少女が心から反省している様なので、ウィルは許す事にした。そしてこの世界に召喚された勇者、つまり自分の父親が今どこに居るのか聞く事にする。
「ところで今この世界に勇者が召喚されている筈なんだけど、俺達はその勇者を追いかけてこの世界まで来てしまったんだ。勇者と魔王って今どこに住んでいるか分かるかな?」
ウィルの言葉を聞いた少女達は一斉に驚いた顔を浮かべた、次いで少女から出た言葉で今度はウィル達が驚かされる。
「それでは・・・皆様はアークブランドから転移して来られたのですか!?では、勇者様・・・いえお父様と面識が有るのですか?」
(えっ!?お父様だって?)
ウィルが一瞬、思考が停止している間にミラが少女に近寄って話しかけた。
「ちょっと待っておくれ!それじゃあ、お前さんは父ちゃん・・・・いや、ホープの娘だと言うのかい!?」
「どうして、お父様の名前をご存知なのですか!?」
「私の名はミラ、ホープの故郷アークブランドで一緒に住んでいた家内だよ。それから、そこで呆然としているのはウィルと言って私とホープの間で生まれた1人息子だ」
「では・・・その方は私にとって」
「ああ、異母兄になるね。それにしても・・・あの男は私達をほったらかしにしておいて異世界で魔王と子供を作っているなんて良いご身分じゃないか!?」
ミラの全身から殺気が漲る、しかしこの殺気の量は尋常では無い。常人の出す物を遥かに逸脱していた、そこでウィルがミラのステータスを確認すると信じられない数値が転がっていた。
「母ちゃん、何でステータスがフクと全く同じなんだよ!?」
「渦に入る前に神様にちょっとお願いしてね、5日間の期間限定で孫のフクと同じステータスにしてもらったのさ。これでようやく可愛い孫を抱けるってもんだね」
フクの顔を頬ずりし始めるミラ。
(この親にしてこの子有りだ)
ミラもやはり非常識な人間なのだと評価を改めさせられたサチ達であった。
「ここが異世界か・・・タツト、魔脈とかは感じとれるかな?」
「生憎と魔脈は感じ取れないが、魔力その物がこの世界を満たしている。ダンジョンも元の世界と同様に自由に出せそうだ」
「それを聞いて安心した、ところで母ちゃん気分とかは大丈夫?母ちゃんはごく普通の人間だから無理をさせていないか心配なんだ」
「大丈夫だよ、この程度で音を上げているようじゃ父ちゃんの首根っこを掴んで連れ帰れないからね!5日しかこの世界に滞在出来ないのだからウィル急いで父ちゃんを見つけるんだよ!!」
怒涛の勢いでウィルを急かすミラ、ウィルの非常識な行動を止めるにはこれ位強引にやらないのいけないのだろうか?サチやリーン達はミラの一挙手一投足を注視して学習する。
ピー、ピー、ピー! 久しぶりに【地域安全安心MAP】のアラート音が鳴り響いた。見ると、20騎ほどの集団がこちらに向かってきていた。
「正体不明の集団が20騎ほど、こちらに真っ直ぐ向かってきている。母ちゃんとフクを抱いているサチを真ん中にして皆でいつでも迎撃出来る様にしよう」
「分かったわ」
「うむ。任せておけ」
「敵のお手並み拝見ですね、タツト背中は任せましたよ」
タツトと龍神のタツミは互いに背中を合わせて前後の敵に備える、ウィル達の見ていない所で2人は武芸の練習を重ねていたようだ。
騎馬の集団はウィル達の目の前まで来ると一斉に止まった、先頭で集団を率いていたのは色白な金髪ショートの美少女だった。ウィルは何故かその少女を吸い寄せられる様に見つめてしまう。
ギューッ!! それを見たサチ達新妻衆は全員でやきもちを焼いてウィルの頬をつねった。
「イタタタタッ!ごめん、見惚れてしまった俺が悪かったです。許してください!」
「まったく、結婚式を挙げた直後にもう他の女に目が行くなんてあんまりですわ」
「でも、何故か分からないけど他人の様に思えないんだよな」
目の前で複数の女性から怒られる男の姿を見て、唖然とする騎馬の少女達であったが気を取り直してウィル達を問い質し始めた。
「先程、この付近で異常な魔力の膨張と空間の歪みが観測されました。あなた達はこの近くで何が起きたのか目撃されていますか?知っているのでしたら正直に答えなさい、嘘を言うと痛い目を見ますよ」
少女が右手を挙げると、後ろで控えていた兵士らしき者達が鞘から剣を抜いて構える。答え次第では1戦交えるつもりみたいだ。
「出来れば戦いたくないから、剣を収めてくれないかな?」
「あら、もう命乞いかしら?」
少女は勝ち誇った顔でウィルを見下した、ウィルはそれに怒る事も無く
「ところで君は他の人のステータスを見る事は出来るの?」
「それ位出来るけど、それがどうかしたのかしら?」
「それじゃあさ、俺達のステータスを1度確認してから俺がさっき言った言葉を思い出してみて」
少女は訝しげな表情でウィル達のステータスを確認してすぐに顔が青ざめる。背後の者達もステータスの確認が出来る様で見た人間からすぐに下馬して平伏していた。
「相手を過小評価すると、いずれ痛い目を見るから言動には気をつけた方が良いよ。分かった?」
「はい・・・分かりました」
少女が心から反省している様なので、ウィルは許す事にした。そしてこの世界に召喚された勇者、つまり自分の父親が今どこに居るのか聞く事にする。
「ところで今この世界に勇者が召喚されている筈なんだけど、俺達はその勇者を追いかけてこの世界まで来てしまったんだ。勇者と魔王って今どこに住んでいるか分かるかな?」
ウィルの言葉を聞いた少女達は一斉に驚いた顔を浮かべた、次いで少女から出た言葉で今度はウィル達が驚かされる。
「それでは・・・皆様はアークブランドから転移して来られたのですか!?では、勇者様・・・いえお父様と面識が有るのですか?」
(えっ!?お父様だって?)
ウィルが一瞬、思考が停止している間にミラが少女に近寄って話しかけた。
「ちょっと待っておくれ!それじゃあ、お前さんは父ちゃん・・・・いや、ホープの娘だと言うのかい!?」
「どうして、お父様の名前をご存知なのですか!?」
「私の名はミラ、ホープの故郷アークブランドで一緒に住んでいた家内だよ。それから、そこで呆然としているのはウィルと言って私とホープの間で生まれた1人息子だ」
「では・・・その方は私にとって」
「ああ、異母兄になるね。それにしても・・・あの男は私達をほったらかしにしておいて異世界で魔王と子供を作っているなんて良いご身分じゃないか!?」
ミラの全身から殺気が漲る、しかしこの殺気の量は尋常では無い。常人の出す物を遥かに逸脱していた、そこでウィルがミラのステータスを確認すると信じられない数値が転がっていた。
「母ちゃん、何でステータスがフクと全く同じなんだよ!?」
「渦に入る前に神様にちょっとお願いしてね、5日間の期間限定で孫のフクと同じステータスにしてもらったのさ。これでようやく可愛い孫を抱けるってもんだね」
フクの顔を頬ずりし始めるミラ。
(この親にしてこの子有りだ)
ミラもやはり非常識な人間なのだと評価を改めさせられたサチ達であった。
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