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第1話 人違いで知らない世界に放り出されてしまったよ・・・
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『あなた、一体誰ですか?』
初対面の美女に開口一番そんな事を言われてしまった佐藤 始(さとう はじめ)は面食らってしまった、近くのコンビニに飯でも買いに行こうと玄関を開けた瞬間知らない場所に飛ばされていたのだ。こちらの方が聞きたい事がたくさん有る。
「それはこっちのセリフだよ、あなたは一体誰なんだ?それからここは一体どこなんだ?」
『先に質問しているのはこちらです、私からの問いに答えなさい』
(偉そうな態度の女だな・・・)
内心ではそう思いつつも、女性を立てる事にした始は自己紹介を始める。
「俺の名前は佐藤 始、出身地は・・・」
一通りの自己紹介を終えた始の前で女性は残念そうな顔をしていた。
『どうやら同姓同名の人を間違ってこちらの世界に呼び出してしまったみたいです、改めて本来呼ぶべき人を呼び出さないとなりませんね』
「なんだって!?」
人違いで呼び出されたって事は元の世界に返して貰えるのだろうか?
「人違いで呼び出されたって事は元の世界に返してくれるんだよな?」
『いいえ、私の存在を知られてしまった以上返す訳には参りません。私、女神システィナの治める異世界システィーナで暮らして頂きます』
(おいおい、勝手な事を言ってるんじゃねえぞ)
始は怒鳴りつけたい気持ちを抑え、せめて暮らしていくのに便利な物を幾つか貰おうと考える事にした。
「それじゃあ、人違いで迷惑を掛けたんだから食っていくのに困らないだけの物をくれないか?」
『何を厚かましい事を言うのですか?私と直接会う事など普通の人間には出来ない経験なのですよ?この経験だけで十分過ぎる恩恵だと感謝されたい位です』
システィナのこの言葉に流石の始もキレた。
「感謝するしないはこっちが決める事だ!大体てめえが人違いで呼び出したくせに何だその態度は?こっちはな【食べ物が自分の口に合うか分からない】、【言葉が通じるかも分からない】って不安だらけなんだよ!せめてこれ位解消してくれたって良いだろうが!?」
ヤケ気味に叫ぶと、システィナはイライラした様子で逆ギレしてきた。
『分かりました!【食べ物が自分の口に合うか分からない】、【言葉が通じるかも分からない】が解消されれば文句は無いのですね?では【丈夫な胃袋】と【共通言語】を差し上げますから後は好きにしてください!!』
こうして始は女神システィナから【丈夫な胃袋】と【共通言語】の2つの能力のみ与えられ、無一文の状態で異世界システィーナに放り出されてしまった・・・。
「何かお手伝い出来る事は有りませんか?」
「そんな物無いから早く村から出て行け!」
異世界システィーナに放り出されてから2日・・・空腹が限界に達しようとしていた。偶然近くの村を見付けて駆け込んでみたものの、出身地をまともに言えず一銭も持たずに現れた始を村人達は警戒して簡単な仕事の紹介すらしなかった。宿に泊まる事も出来ず、村外れの空き家で何とか夜露を凌ぐ事は出来たが最早餓死は避けられない状況だった。
(何で俺こんな所で餓死する羽目になったんだ?)
徐々に意識が朦朧とする中、始の視界に何やら青っぽい物がモゾモゾと近付いて来るのが見えた。
(もう口に入れられるなら何でも良いや、いただきま~す)
始は顔の真横にいたのを右手で掴むとそれをそのまま口に運ぶ、コンニャクを少しだけ硬くした様な歯応えだったが食べられない事も無い。しかも味覚が戻ってくると、この今食べている物の味は昔親戚の家に遊びに行った時にお茶菓子で出された信玄餅とよく似ていた。
「何だこれ?結構美味いぞ」
少しだけ空腹が満たされた事で意識が回復したので、周囲を改めて見てみると始の周りに集まっていたのは何とスライムだった!弱って死ぬ寸前だった始を捕食しようとどこからか集まってきたのだ。
「食えるとさえ分かれば、目の前のごちそうを食わない手は無いよな。これで餓死する心配は無くなった」
大喜びでスライムを食べ始めた始だったが、後日少しだけ仲良くなった村人からある事実を聞かされた。スライムは主に農作物を荒らすモンスターではあるが弱った動物や人間も捕食する、体内に含まれる人の歯さえ溶かしてしまう程の強力な酸で消化して吸収するので食べる事は不可能なのだと。どうやらシスティナの与えてくれた【丈夫な胃袋】は歯をスライムの酸にも耐える丈夫な物に変えていた様だ・・・。
「ハジメ~!またスライムの奴が畑に出てきたから、空いている時にでも退治してくれないか?」
「またかよハンス、良いけど小遣い弾んでくれよな?」
「今月ようやくガキが産まれそうだから、少しまけてくれないか?」
「しょうがないな、今度酒の一杯でも奢ってくれよ」
「有難ぇ!恩に着るよ」
ハンスと分かれた始は自宅へ帰った、自宅といってもあの時夜露を凌いでいた空き家だが村人達から文句を言う者は誰も居ない。モンドール村に住み始めてから3年近く、この村の住人にとって始は無くてはならない存在となっていたのだ。最初警戒していた村人達も畑を荒らすスライムを食べ出した始を見て仰天したがそのお陰で農作物の収穫量も少しずつ増え今では畑にスライムが現れると始に頼んで退治してもらう様になっていた。
始もスライムを食べる代わりに小遣いや酒等を頂く生活へと変わっていたが同じ物を毎日食べてばかりいるとやはり飽きてしまう、そこで始は村人達に内緒でこっそり別のスライムを時々食べる様になっていた。
「明日はハンスの畑に行った後、久しぶりにあそこの沼にでも行ってみるかな?」
始が今回狙っているスライムはグリーンスライム、身体中がボコボコと泡立ち体内に酸では無く猛毒を内包する恐ろしいスライムだった・・・。
初対面の美女に開口一番そんな事を言われてしまった佐藤 始(さとう はじめ)は面食らってしまった、近くのコンビニに飯でも買いに行こうと玄関を開けた瞬間知らない場所に飛ばされていたのだ。こちらの方が聞きたい事がたくさん有る。
「それはこっちのセリフだよ、あなたは一体誰なんだ?それからここは一体どこなんだ?」
『先に質問しているのはこちらです、私からの問いに答えなさい』
(偉そうな態度の女だな・・・)
内心ではそう思いつつも、女性を立てる事にした始は自己紹介を始める。
「俺の名前は佐藤 始、出身地は・・・」
一通りの自己紹介を終えた始の前で女性は残念そうな顔をしていた。
『どうやら同姓同名の人を間違ってこちらの世界に呼び出してしまったみたいです、改めて本来呼ぶべき人を呼び出さないとなりませんね』
「なんだって!?」
人違いで呼び出されたって事は元の世界に返して貰えるのだろうか?
「人違いで呼び出されたって事は元の世界に返してくれるんだよな?」
『いいえ、私の存在を知られてしまった以上返す訳には参りません。私、女神システィナの治める異世界システィーナで暮らして頂きます』
(おいおい、勝手な事を言ってるんじゃねえぞ)
始は怒鳴りつけたい気持ちを抑え、せめて暮らしていくのに便利な物を幾つか貰おうと考える事にした。
「それじゃあ、人違いで迷惑を掛けたんだから食っていくのに困らないだけの物をくれないか?」
『何を厚かましい事を言うのですか?私と直接会う事など普通の人間には出来ない経験なのですよ?この経験だけで十分過ぎる恩恵だと感謝されたい位です』
システィナのこの言葉に流石の始もキレた。
「感謝するしないはこっちが決める事だ!大体てめえが人違いで呼び出したくせに何だその態度は?こっちはな【食べ物が自分の口に合うか分からない】、【言葉が通じるかも分からない】って不安だらけなんだよ!せめてこれ位解消してくれたって良いだろうが!?」
ヤケ気味に叫ぶと、システィナはイライラした様子で逆ギレしてきた。
『分かりました!【食べ物が自分の口に合うか分からない】、【言葉が通じるかも分からない】が解消されれば文句は無いのですね?では【丈夫な胃袋】と【共通言語】を差し上げますから後は好きにしてください!!』
こうして始は女神システィナから【丈夫な胃袋】と【共通言語】の2つの能力のみ与えられ、無一文の状態で異世界システィーナに放り出されてしまった・・・。
「何かお手伝い出来る事は有りませんか?」
「そんな物無いから早く村から出て行け!」
異世界システィーナに放り出されてから2日・・・空腹が限界に達しようとしていた。偶然近くの村を見付けて駆け込んでみたものの、出身地をまともに言えず一銭も持たずに現れた始を村人達は警戒して簡単な仕事の紹介すらしなかった。宿に泊まる事も出来ず、村外れの空き家で何とか夜露を凌ぐ事は出来たが最早餓死は避けられない状況だった。
(何で俺こんな所で餓死する羽目になったんだ?)
徐々に意識が朦朧とする中、始の視界に何やら青っぽい物がモゾモゾと近付いて来るのが見えた。
(もう口に入れられるなら何でも良いや、いただきま~す)
始は顔の真横にいたのを右手で掴むとそれをそのまま口に運ぶ、コンニャクを少しだけ硬くした様な歯応えだったが食べられない事も無い。しかも味覚が戻ってくると、この今食べている物の味は昔親戚の家に遊びに行った時にお茶菓子で出された信玄餅とよく似ていた。
「何だこれ?結構美味いぞ」
少しだけ空腹が満たされた事で意識が回復したので、周囲を改めて見てみると始の周りに集まっていたのは何とスライムだった!弱って死ぬ寸前だった始を捕食しようとどこからか集まってきたのだ。
「食えるとさえ分かれば、目の前のごちそうを食わない手は無いよな。これで餓死する心配は無くなった」
大喜びでスライムを食べ始めた始だったが、後日少しだけ仲良くなった村人からある事実を聞かされた。スライムは主に農作物を荒らすモンスターではあるが弱った動物や人間も捕食する、体内に含まれる人の歯さえ溶かしてしまう程の強力な酸で消化して吸収するので食べる事は不可能なのだと。どうやらシスティナの与えてくれた【丈夫な胃袋】は歯をスライムの酸にも耐える丈夫な物に変えていた様だ・・・。
「ハジメ~!またスライムの奴が畑に出てきたから、空いている時にでも退治してくれないか?」
「またかよハンス、良いけど小遣い弾んでくれよな?」
「今月ようやくガキが産まれそうだから、少しまけてくれないか?」
「しょうがないな、今度酒の一杯でも奢ってくれよ」
「有難ぇ!恩に着るよ」
ハンスと分かれた始は自宅へ帰った、自宅といってもあの時夜露を凌いでいた空き家だが村人達から文句を言う者は誰も居ない。モンドール村に住み始めてから3年近く、この村の住人にとって始は無くてはならない存在となっていたのだ。最初警戒していた村人達も畑を荒らすスライムを食べ出した始を見て仰天したがそのお陰で農作物の収穫量も少しずつ増え今では畑にスライムが現れると始に頼んで退治してもらう様になっていた。
始もスライムを食べる代わりに小遣いや酒等を頂く生活へと変わっていたが同じ物を毎日食べてばかりいるとやはり飽きてしまう、そこで始は村人達に内緒でこっそり別のスライムを時々食べる様になっていた。
「明日はハンスの畑に行った後、久しぶりにあそこの沼にでも行ってみるかな?」
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